Trademark Appeal Case
称呼の要部抽出と類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2001−90864(T2001−90864/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4498865号商標(以下「本件商標」という。)は、平成12年5月31日に登録出願され、「フォルクス」の片仮名文字と「VOLKS」の欧文字を二段に横書きしてなり、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成13年8月17日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立の理由
(1)申立の根拠
本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消されるべきものである。
(2)引用商標
異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4445300号商標(以下「引用商標」という。)は、「VOLKSWAGEN」の欧文字を標準文字により表してなり、商標登録原簿記載のとおりの区分及び商品並びに役務を指定商品及び指定役務として、平成11年3月5日に登録出願され、同13年1月12日に設定登録されたものである。
(3)具体的理由
(ア)本件商標は、片仮名文字「フォルクス」と欧文字「VOLKS」より成り「フォルクス」の称呼が生じる。
引用商標は、欧文字「VOLKSWAGEN」より成り「フォルクスワーゲン」または「フォルクスバーゲン」の称呼が生じる。
しかしながら、引用商標からは、この他に「フォルクス」の称呼も生じ得る。
(イ)引用商標は、迅速な取引秩序の下にあっては、冗長に過ぎる7音節という長い音節から構成されている。また、引用商標の前半部を構成する「VOLKS」は、「国民、大衆」等を意味する名詞「VOLK」の格変化(二格変化、〜の)したものであり、同じく後半部を構成する「WAGEN」は、「自動車、車」を意味する名詞である(甲第3号証)。
日本に於いては、ベンツ、ビー・エム・ダブリュ等をはじめとしてドイツ車は「高級自動車」、「高品質な自動車」として大変人気が高い。このため「VOLKS」や「WAGEN」のような基本的な単語が如何なる意味を有するかは、異議申立に係る役務の需要者に於いても容易に認識できる。この事実は、個人の「ホームページ」に於いて申立人の製造に係る自動車を「volks(フォルクス)」として表記していることからも明らかである(甲第4号証)。
さらに、申立人は、同人の子会社を通じて「クレジットカードの利用者に代わってする支払い代金の精算,割賦購入のあっせん」を業務として行っているので当該役務等との関係に於いては、引用商標「VOLKSWAGEN」中「WAGEN」の部分は識別力がなく、識別力は「VOLKS」の部分のみから生ずることは明らかである(甲第5号証)。
以上のように冗長すぎる引用商標の音節構成、引用商標が前半部「VOLKS」と後半部「WAGEN」に分離可能であること、略称「VOLKS(フォルクス)」が広く知られている事実並びに識別力が「VOLKS」のみから生ずることに鑑みれば、引用商標からは「フォルクス」の称呼も生じ得ることは明らかである。
(ウ)そこで、本件商標と引用商標との称呼を比較すると共に「フォルクス」の称呼が生じ得るので、称呼が共通することは明らかである。
上記の通りであるので本件商標と引用商標を発声した場合には、迅速な商取引の現場においては称呼上相紛らわしいものといわざるを得ない(甲第1号証ないし甲第4号証)。
(エ)従って、本件商標と引用商標は、観念、外観について論ずるまでもなく、称呼上類似する商標であり、かつ異議申立にかかる指定役務と引用商標の指定役務が互い抵触することも明らかである。
(オ)本件商標は引用商標との関係において商標法第4条第1項第11号に該当する瑕疵ある登録である。
したがって、本件商標登録は、商標法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「フォルクス」の欧文字と「VOLKS」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるものであるから、これよりは、「フォルクス」の称呼を生ずるものというのが相当である。
他方、引用商標は、「VOLKSWAGEN」の文字を、同書、同大、等間隔で外観上まとまりよく一体的に表してなるものであるから、これよりは「フォルクスワーゲン」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。
ところで、申立人は、(a)引用商標中、前半部の「VOLKS」の語はドイツ語で「国民、大衆」等を意味する名詞「VOLK」の格変化(二格変化、〜の)したものであり、同じく、後半部を構成する「WAGEN」は、「自動車、車」を意味する名詞である(b)申立人の業務に係る自動車が「VOLKS」「WAGEN」とも略称されている(c)申立人は子会社を通じて「クレジットカードの利用者に代わってする支払い代金の精算,割賦購入のあっせん」を業務として行っているが、当該役務等との関係に於いて、引用商標中の「WAGEN」の部分は識別力がなく、識別力は「VOLKS」の部分にある、と述べている。
しかしながら、わが国におけるドイツ語の普及度を考慮した場合、取引者、需要者間に「VOLKS」及び「WAGEN」の語が申立人が主張するような意味を有する語として直ちに理解し得るものとは言い得ないものである。
また、申立人の自動車に係る商標も「VOLKSWAGEN」(フォルクスワーゲン)として需要者間に広く知られているものであって、申立人が提出した甲第4号証に「that’ all volks」の使用例があることをもって、該商標が「VOLKS」と略称されてこれが広く使用されているものとも認め難い。
そうとすれば、引用商標を「VOLKS」と「WAGEN」とに分離し、構成中の「VOLKS」の文字部分より「フォルクス」の称呼をも生ずるものとした上で、本件商標と引用商標とが称呼上類似するという、申立人の主張は理由がないものと言わざるを得ない。
また、本件商標と引用商標とは、外観上互いに区別し得る差異を有し、かつ、観念においても類似するものとは認められない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。
(2)結論
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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