結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2000−90141(T2000−90141/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4327594号商標(以下「本件商標」という。)は、別記(1)に示すとおりの構成よりなり、1997年11月24日ドイツ連邦共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成10年5月25日登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,美術品の展示,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供」を指定役務として、平成11年10月22日に設定登録されたものであるが、その後、本件商標の指定役務中「スポーツの教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,運動施設の提供」については、商標権が放棄され、その旨の登録が平成12年12月14日にされたものである。
(1)引用商標「CARRERA」の著名性
商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、1948年に光学機器メーカーとして設立され、1954年に世界で初めてスキーゴーグルを発表した。引用商標「CARRERA」は、1956年以来今日に至るまで永年にわたり使用されてきた。
申立人の取り扱う商品は、スキー用ゴーグル、インラインスケート用ゴーグル、ロードサイクリング用ゴーグル等のスポーツ用ゴーグル、通常のサングラスを出発点として次第にその業務範囲を拡大し、時計、タウンウエア、デイパック等のスポーツ用かばん、帽子、スウィムウエア等のストリートアイテム、かばん、ベルト、キーホルダー、財布からゴルフクラブに及ぶに至り、それぞれに引用商標「CARRERA」が使用されている。
その結果、引用商標「CARRERA」は、申立人の業務に係る商品及びその営業を表示するものとして世界的に著名となった。
(2)商標法第4条第1項第15号に該当する理由
引用商標「CARRERA」は、「スポーツ用ゴーグル、サングラス」を中心として我が国において広く知られており、引用商標と同じく「CARRERA」の文字を含む本件商標が、その指定商品に使用されると取引者・需要者間に出所の混同を生じることは必至である。特に本件商標がその指定役務中「スポーツの教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,運動施設の提供」に使用された場合、需要者は、申立人または申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所につき混同を生ずるおそれが明らかにある。
(3)商標法第4条第1項第11号に該当する理由
平成7年商標登録願第72153号に係る「CARRERA」の文字を横書きしてなり、平成7年7月14日に登録出願、第28類「運動用具」を指定商品とする商標(以下「引用B商標」という。商標登録第4371728号として登録された。)は、本件商標と同一の「カレラ」の称呼を生じる類似の商標であり、本件商標の指定役務中の「スポーツの教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,運動施設の提供」と引用B商標の指定商品「運動用具」は類似する。
(4)商標法第4条第1項第19号に該当する理由
商標権者は、申立人が第41類に商標「CARRERA」を登録していないことを奇貨として商標登録出願をした。もし本件商標の登録が取消されずに維持されるとすれば、申立人が、永年多大な努力を払って築きあげてきた、商標「CARRERA」に化体した業務上の信用へのただ乗り行為を許すことになり、商標法の精神に反するものといわざるを得ない
(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
本件商標は、「Carrera」の文字を横書きしてなり、昭和44年2月8日に登録出願、第23類「時計、眼鏡、これらの部品及び附属品」を指定商品として、昭和47年4月10日に設定登録された登録第958053号商標、引用B商標及び別記(2)に示すとおりの構成よりなる商標(以下「使用商標」という。)と類似するばかりでなく、申立人は上記登録商標及び使用商標を長年に亘って「スキー用ゴーグル、サングラス」等について使用してきた結果、本件商標の登録出願時には申立人の上記業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識され、著名になっていたものと認められるものである。
してみれば、上記引用各登録商標及び使用商標と類似すると認められる本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人の各登録商標及び使用商標を想起し、該役務が申立人又は申立人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は、取り消されるべきである。
上記3の取消理由に対して、商標権者は、次のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第22号証を提出した。
商標権者は、取消理由には納得し難く、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当せず登録を維持することができると信じ以下にその理由を述べる。
(1)取消理由中、『申立人は上記登録商標及び使用商標を長年に亘って「スキー用ゴーグル、サングラス」等について使用してきた』との事実認定をしているが、申立人の提出した証拠のみではこの事実を証明することはできない。また、使用してきた『結果、本件商標の登録出願時には申立人の上記業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識され、著名になっていたものと認められるものである。』との判断にも根拠がない。
登録商標又は引用商標の「著名性」に用いられた申立人の証拠には、客観的に商標の使用期間、使用地域、使用量を示す書証が皆無である。よって、申立人の商標「CARRERA」等の著名性は、認められない。
(2)続いて、『してみれば、上記引用各登録商標及び使用商標と類似すると認められる本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人の各登録商標及び使用商標を想起し、該役務が申立人又は申立人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれがるものといわざるを得ない。』と認定している。
しかし、この認定は、上述したとおり申立人の登録商標又は使用商標が申立人の業務に係る商品「スキー用ゴーグル、サングラス」等を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識され、著名になっていたものとの誤った事実認識を前提とする判断であり、事実認定の基礎を欠くものであるので誤っている。
また、たとえ申立人の登録商標等が「スキー用ゴーグル、サングラス」の取引者、需要者の間に広く認識され、著名となっていたとしても、業務主体を彼此混同することはない。理由は、以下のとおりである。
申立人の登録商標及び使用商標の著名性は、申立人の主張を最大限善解してもスキー用ゴーグル、サングラスの取引者又は需要者の間でのみ獲得されているに過ぎない。そして、それ以外の分野においては、引用商標が知られているという事実は認められない。申立人の甲第4号証及び甲第12号証によって示唆されている事実は、あくまで申立人がスキー用ゴーグル、サングラスを世界的規模で行っていることのみだからである。
(3)次に、本件商標を指定役務に使用した場合、該商品があたかも申立人若しくは申立人と何らかの関係を有する者の製造・販売に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるかの点について検討する。
申立人の登録商標及び使用商標の使用に係る「スキー用ゴーグル、サングラス」の製造・販売と本件商標の指定役務「スポーツの教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,運動施設の提供」等の提供を同一の事業者が行うことは一般的にない。「スキー用ゴーグル」等の製造は、「スキー関連機器の製造メーカー」がこれを行い、また、「スキー用ゴーグル」等の販売は、小売業者の手により行われるのが通常である。これに対して、「スポーツの教授」は「スポーツジム」、「フィットネスクラブ」等が、「ゴルフ」等の「興行の企画・運営又は開催」は「社団法人日本ゴルフトーナメント振興協会」等が、「運動施設の提供」は地方自治体等がこれを行っている。
また、申立人の登録商標の商品「スキー用ゴーグル」等と本件商標の指定役務「スポーツの教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催」等の「用途」は、相違している。「スキー用ゴーグル」は、スキーをする人の視界の確保、防寒等のために用いられる。これに対して、「スポーツの教授」は、スポーツを安全、高度に、楽しく行うために技量の向上を目的として行われる。このように両者の「用途」が全く異なることは明らかである。
さらに、申立人の商標の使用に係る商品は、ほとんど全てが「スポーツ店」において販売される。これに対し、本件商標の使用に係る役務は、「体育館、スキー場、ゴルフ場等」の運動競技施設で提供されるものである。
このように申立人の商標の使用に係る商品と本件商標の指定役務とは、「事業者」が相違し、「用途」が不一致で、「販売場所」と「提供場所」も異なることから本件指定役務の需要者をして申立人と組織的・経済的に何らの関係があると判断することはあり得ない。
(4)更に、申立人の引例商標及び使用商標を構成する文字「CARRERA」は、スペイン語で「走ること、競争」等を意味する単語であり、申立人の創造に係る「造語標章」ではない(乙第13号証)。したがって、本件商標の採択は申立人の登録商標等を瓢窃して行われたものではない。また、単語であるがために容易に採択され使用、出願されているので、申立人の「周知化」、「著名化」は大変に困難である。そして別紙に添付したとおり申立人の引例登録商標等と本件商標との関係よりも混同の蓋然性が高いと考えられる幾多の商標が登録されている事実からも、申立人の登録商標が著名化していないことが立証される(乙第14号証ないし乙第22号証)。
上述のとおりであるので取消理由『してみれば、上記引用各登録商標及び使用商標と類似すると認められる本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、申立人の各登録商標及び使用商標を想起し、該役務が申立人又は申立人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その役務の出所について混同を生ずるおそれがるものといわざるを得ない。』との認定は誤りである。
そして、これに続く『したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は取り消されるべきである。』との結論部も正しいものではない。
本件商標は、別記(1)に示すとおり黒塗り長方形内に「Carrera」の文字を白抜きで表してなるものである。
ところで、甲第4号証、甲第7号証その2及び甲第9号証その2によれば、前記甲各号証中において、「カレラ社」また「カレラ」の表記で紹介されている会社(以下「カレラ社」という。)は、1954年に世界で初めてスキー用ゴーグルを開発した同一の会社であって、カレラ社が取り扱うスキー用ゴーグルは、世界的に知られるスキーの名選手達により使用された事実が認められる。また、前記甲各号証によれば、カレラ社は、上記3中にいう「使用商標」(これと社会通念上同一視できる「CARRERA」の「C」の文字部分の下部に2本の切り込みがない商標を含む。)をスキー用ゴーグルに使用したばかりでなく、後には、サングラス、パーカー、帽子(キャップ)、トレーナー、ショーツ、バッグ、スウィムウエア等の商品にも使用し、これらの商品が我が国においても販売された結果、使用商標は、本件商標が1997年11月24日ドイツ連邦共和国において商標登録出願された時またその登録査定時に、カレラ社の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者特にスキー等のスポーツを愛好する者の間において既に広く認識され、著名になっていたものと認められる。
この点について、商標権者は、申立人の証拠には客観的に商標の使用期間、使用地域、使用量を示す書証が皆無であり、申立人の商標「CARRERA」等の著名性は認められない旨主張するが、前記甲各号証を総合すれば、上記のとおり、カレラ社の使用商標の著名性を認定できるものである。
なお、商標権者は、甲第7号証その2にある「カレラ社」と申立人が同一人であることを示す証拠はない旨主張するが、そうであるとしても、商標権者は、カレラ社が商標権者本人であることを主張立証するものでなく、カレラ社と商標権者が別人であることは明らかと認められる。
また、本件商標は、使用商標と同一綴りの欧文字を白抜きで表してなり、使用商標とは極めて紛らわしい類似する商標といえる。
してみれば、本件商標をその指定役務中「スポーツの教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,運動施設の提供」について使用した場合、これに接する需要者は、カレラ社の上記使用商標を想起し、その役務がカレラ社又はカレラ社と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあり、本件商標を、その指定役務中上記以外の役務について使用した場合は、これらの役務がスポーツと関係が薄いことから、その役務の出所について混同を生ずるおそれのないものと判断するのが相当である。
次に、申立人は、上記2(3)のように主張し、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとしているが、引用B商標の指定商品は、「運動用具」であるところ、運動用具の製造者、販売者と本件商標の指定役務の提供者が共通することが多いとはいえず、また、運動用具の販売場所において本件商標の指定役務が提供されるのが通常であるとも認め難いから、引用B商標の指定商品と本件商標中の指定役務が類似する旨の申立人の主張は採用できない。
さらに、「carrera」は、スペイン語で「走ること、競走、レース」等を意味する単語であり造語ではないことからすると、商標権者が不正の目的をもって本件商標を採択使用するものとまでは断定できないから、この点の申立人の主張は、採用できない。
したがって、本件商標の指定役務中「スポーツの教授,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,運動施設の提供」についての登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものであり、その余の指定役務については、同法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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