結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2001−35341(T2001−35341/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4149161号商標(以下「本件商標」という。)は、平成8年8月23日に登録出願され、「水戸大神楽」の漢字を横書きしてなり、第41類「獅子舞・曲芸・横笛・太鼓及び三味線の教授,演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の上演,太神楽の上演,音楽の演奏」を指定役務として、平成10年5月22日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第31号証(枝番号を含む。)を提出した。
1.無効事由
本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効とされるべきものである。
2.請求の利益について
請求人は、平成11年11月30日付けで、商標「水戸大神楽宗家」を商標登録出願したが、本件商標に類似するとして、商標法第4条第1項第11号により、平成13年2月13日(起案日)付けで拒絶査定されたものである。したがって、請求人は、本件商標の登録を無効とするについて法的利害関係を有するものである。
3.無効原因
請求人である大高弘靖は、水戸の伝統芸能である「水戸大神楽」の正当な第18代の承継者であり、水戸の伝統芸能である水戸大神楽の宗家である。
「水戸大神楽」は、「水府神楽」、「御用神楽」、「旧水戸藩徳川家御用神楽」等ともいわれていて、水戸に存在する郷土芸能である。
請求人が水戸大神楽の正当な承継者であることを証明することができる証拠として以下の証拠方法の写しを提出する。
「民芸協/『水戸の民俗芸能』/五周年記念会報特別号/水戸民俗芸能団体協議会」(甲第1号証)、「『水戸の指定文化財』/水戸市教育委員会」(甲第2号証)、「民俗芸能81/第50回全国民俗芸能大会特集/錦正社発行」(甲第3号証)、「新いばらき/1999年(平成11年)5月14日(金)」(甲第4号証)、「郷土民俗芸能の集い 第23回(平成11年度)」(甲第5号証)等上記証拠のほか甲第6号証ないし甲第22号証を提出する。
これらの証拠から、請求人である大高弘靖が水戸大神楽の家元及び宗家であり、水戸大神楽宗家・十八代柳貴家正楽=請求人である大高弘靖が正当な継承者であり、同一人であることが確認できる。ここで「柳貴家正楽」は請求人である大高弘靖の芸名である。
なお、「柳貴家勝蔵」氏は本件商標の商標権者である有限会社ヤナギヤの代表取締役である大高宣靖氏と同一人であるが、「水戸大神楽」の正当な承継者ではない。
本来、伝統芸能を演じられるのは自然人のみであり、法的に人格があると擬制された法人が伝統芸能を演じることはできないものである。
しかして、自然人のみが伝統芸能を演じるとともに伝統芸能を普及させるために使用する必要があるものであるから、自然人に当該商標を与えるべきものである。すなわち、「水戸大神楽」なる本件商標を被請求人である有限会社ヤナギヤが取得することは妥当でない。
したがって、「旧水戸藩徳川家御用神楽家元」=「水戸大神楽」=「水府神楽」については、請求人である大高弘靖が水戸大神楽の家元・宗家であることは明らかであるから、当然に請求人に登録されるべきであり、請求人以外の者には登録を認めるべきではない。
4.被請求人の答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、答弁書提出と同時に提出した乙第1号証から乙第10号証の4(水戸大神楽の使用時期について)で下記のように答弁している。
すなわち、「(略)したがって、商標”水戸大神楽”は、柳貴家勝蔵(被請求人の代表者)のものとして平成3年1月25日当時には、既に需要者(氏子)及び大神楽関係者には広く知られるにいたり、更に広く一般の芸能に関心を持つ者にも知られるに至っていた。他方、被請求人の代表者である大高宣靖(柳貴家勝蔵)以外には、乙第5号証の1及び2の電話帳の記載から分かるように、他の誰も”水戸大神楽”を使用していない。
前記のように、重要なことは、”水戸大神楽”の語は、前記職札の記載を除いて、古くから存在していたわけではなく、初めて被請求人の代表者である大高宣靖によって使用が開始され、かつ平成2〜3年当時までには周知になっていたものである。」旨答弁している。
しかしながら、被請求人の上記の主張は根拠のない主張であることは、請求人が弁駁書で提出した甲第22号証の証拠により、明白である。
(イ)甲第22号証である「昭和45年11月2日(月曜日)の午後12時20分から午後12時44分に放送されたひるのプレゼントのNHK TV放送台本」中には、「水戸大神楽」及び「柳貴家正楽」、「水戸大神楽」との記載が存在し国営放送局であるNHKが全国に放送している。
(ロ)甲第22号証の1で、1984年(昭和59年)7月10日発行の請求人及び被請求人の共著として現存する「水戸藩御用 水戸の大神楽」中には、既に、「水戸大神楽」の名称が使用されていた事実が記載されている。
(ハ)甲第22号証の2である「芸団協1984.8 140号 1984.8月10日発行」には、「水戸大神楽」との記載が存在する。
(ニ)甲第22号証の3である「新春初大売り出し MITO ISEJIN SHPPINGNEWS I984年1月20日(月)」中には、「水戸大神楽」との印刷がされていて、「水戸大神楽」の語が使用されている。
また、被請求人の上記の主張が根拠のない主張であることは、請求人が提出した甲第23号証〜甲第23号証の3の証拠によっても明白である。
このように、「水戸大神楽」の語は、昭和45年11月2日(月)から使用されていることは明らかであり、被請求人が主張する「被請求人の代表者である大高宣靖が本件商標と同一の商標である”水戸大神楽”を遅くとも昭和62年10月30日から指定役務と同一の役務について使用を開始し」は、事実とは異なる主張であり信用することはできないものである。
(2)被請求人の柳貴家正楽の襲名について
被請求人は、答弁書において「平成3年(1991年)1月25日当時、請求人である大高弘靖はまだ柳貴家正楽を襲名しておらず、柳貴家菊蔵を名乗っていたものである。」とし、請求人の襲名について疑念を抱いている。
被請求人の上記答弁は、以下の理由により全くの誤認であり誤解である。
例えば、甲第24号証の「1988年(昭和63年)3月16日(水) 新いばらきタイムス」の記事内容には、「菊蔵改め 水戸大神楽第18代家元3代目柳貴家正楽を襲名」と大きく記載されている。記事内容では、第十七代家元第2代の柳貴家正楽(先代柳貴家正楽)も襲名させたことを紹介しているものである。
(3)被請求人が提出した乙第1号証ないし同第10号証の4までの証拠について
被請求人が答弁書に添付した乙第1号証から乙第10号証の4の証拠によれば、「水戸大神楽」を使用しているとの事実は認められる。
しかし、被請求人は、これらの使用により「水戸大神楽」は周知となっていると主張するが、これらの証拠のみで周知となったとの証明とはなり得ないものである。
すなわち、「水戸大神楽」が周知であると主張するためには、下記の事項(商標審査基準にも記載されている)について証明することが必要である。
商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、例えば、次のような事実を総合勘案して判断されるものである。
a 実際に使用している商標及び商品
b 使用開始時期
c 使用期間
d 使用地域
e 生産、証明又は譲渡の数量
f 広告宣伝の方法、回数及び内容
(4)以上の理由により被請求人が有する「水戸大神楽」の本件商標は、水戸大神楽の正当な承継者である請求人に登録されるべきであるにも拘わらず、正当な承継者でない被請求人に登録を認めたことは、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、その登録を無効とすべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁(第2答弁を含む。)し、その理由を要旨次のように述べ、乙第1号証ないし乙第30号証(枝番号を含む。)を提出した。
請求人が本件無効審判を請求するについて、法的利害関係を有し、請求の利益を有することは認める。しかしながら、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとの請求人の主張は認められない。
1.無効原因について
請求人の大高弘靖が「水戸大神楽」の正当な第18代の承継者であり、水戸の伝統芸能である「水戸大神楽の宗家」である旨の主張は認めない。
(1)「水戸大神楽」の語は、江戸時代の宮内貞の職札(免許水戸大神楽)に現れた一例を除いては、古くから存在していたわけではない。旧水戸藩内の大神楽はそれぞれ栗林神楽、足黒神楽、野口神楽のように伝承地域名等を冠した名称で呼ばれていたもので、旧水戸藩内の神楽という意味では「水戸の大神楽」という呼び方はあり得た訳であるが、「水戸大神楽」は使われていなかった。これは、請求人も、甲第21号証の(5)説明書のコメント中で指摘しているところである。また、請求人は更に上記説明書のコメント中で「水戸大神楽」の名称は平成3年茨城県の無形民俗文化財に指定されたときから一般的名称=公称となった旨述べている。
(2)請求人は、「水戸大神楽」に関して、被請求人の代表者がこれを使用して周知にしている事実を知りながら、それまでは用いていなかった「水戸大神楽」の名称を、先代の柳貴家正楽社中について茨城県無形民俗文化財の指定を受けるべく申請を行う際に、先代の意思に反してまでも、その名称として用い、その指定を受けることにより、これを被請求人の代表者が使用して周知にした権利に優先する公称の如くに主張し、時に被請求人の「水戸大神楽」の指定役務についての使用を排除しようとするものであり、このような請求人の行為によって、「水戸大神楽」を前記指定役務についての使用することに関して、請求人が、被請求人に優先する正当な法的立場を獲得することはあり得ない。
(3)前記、無形民俗文化財の指定に関しても、その指定は、双方の父親である大高四郎の社中である柳貴家正楽社中が受けたものであり、実際には、請求人も、被請求人の代表者も、相互に先代の柳貴家正楽社中に属する同一立場のメンバーであるにも拘わらず、その後に、請求人が柳貴家正楽を襲名し、かつ指定を受けている父大高四郎と同一住所を住所とする事を奇貨として、あたかも自分の社中が指定を受けたかの如くに振る舞い、しかも、既述のように、その指定の方が、後からなされたものであるにも拘わらず、被請求人等の使用を排除しようとするものであり、請求人に、「水戸大神楽」の指定役務についての使用に関する正当な権利は何ら発生するものではない。
(4)また、請求人は、水戸大神楽の宗家・家元である旨、繰り返して主張するが、請求人自身も甲第21号証の(5)説明書のコメント中で認めているように、その行う大神楽は、前記、無形民俗文化財に指定されてから、その申請名に従って初めて「水戸大神楽」と称するようになったものであり、それまでは「水府神楽」又は「柳貴家神楽」等と呼ばれていたものである。したがって、たとえ、請求人が宗家・家元であるとしても(宗家・家元が大神楽の世界で歴史的に存在したことに疑問があり、更に、水戸藩徳川家御用神楽の承継者をもってそう云うとしても)、その行う大神楽に対する「水戸大神楽」との命名は、被請求人の代表者がこれを使用して周知にした後に行ったものであり、先に述べたように、申請人である大高四郎の意に反して、かつ被請求人の代表者が周知にしたことを知った上で、「水戸大神楽」の名称で無形民俗文化財の指定の申請を行い、その指定を受けると、この指定の持つ権威を利用してこの名称を自分のものにしようとしたと思わざるを得ないものであり、その指定の申請における命名が不正競争の意思を持ってなされたと判断せざるを得ないものであって、請求人が「水戸大神楽」に対する正当な権利を獲得することなど絶対にあり得ない事である。
(5)ここで最も問題となるのは、請求人が「水戸大神楽」を「旧水戸藩徳川家御用神楽」の別名の如くに扱い、請求人がその宗家・家元であると主張することである。既述のように、「水戸大神楽」は、申請人の意思に反して、かつ被請求人の代表者の周知商標であることを無視して、茨城県の無形民俗文化財の指定を受けるために申請した際に初めて用いた名称であるから、このような主張が成り立つ余地は全くない。
他方、既述のように、本家の足黒神楽は消滅してしまったが、野口神楽の方は代々継承され、乙第12号証の継承書に示すように、野口神楽12代目宗家の田辺己代吉から、被請求人の代表者である大高宣靖(柳貴家勝蔵)が正式に承継しており、それ故、逆に被請求人の代表者である大高宣靖の方が「旧水戸藩徳川家御用神楽」の承継者を名乗る資格があるというべきであり、「旧水戸藩徳川家御用神楽」を「水戸大神楽」と同視するなら、かえって柳貴家正楽(第18代、請求人大高弘靖)ではなく柳貴家勝蔵(大高宣靖)にその資格があるというべき事となる。
2.請求人の弁駁に対する第2答弁
(1)請求人は、自らを「水戸大神楽」の正当な18代の承継者であり、水戸の伝統芸能である水戸大神楽の宗家であると主張し、それ故、そのような立場ではない被請求人のために登録された本件商標「水戸大神楽」は、商標法第4条第1項第7号により無効とされるべきであると主張する。
しかし、「水戸藩徳川家御用神楽」が歴史的に見て「水戸大神楽」であった事実はない。したがって、たとえ、請求人が水戸藩徳川家御用神楽を承継したとしても、それをもって当然に請求人が「水戸大神楽」の家元であるということにはならない。
(2)また、たとえ「水戸藩徳川家御用神楽」が「水戸大神楽」であったとしても、請求人は、「水戸藩徳川家御用神楽」を正当に承継していない。
第二代柳貴家正楽がこれを承継したという鴨川嘉之助はその親方宮内数大夫から破門されたのが事実であり「水戸藩徳川家御用神楽」を承継したとは考えられない。
もし鴨川嘉之助が「水戸藩徳川家御用神楽」を承継していたとしても同師が亡くなる前の頃には、同師と第二代柳貴家正楽とは仲違いしていた事実があり、「水戸藩徳川家御用神楽」を第二代柳貴家正楽が承継しうる関係にはなかった。他方で、「水戸藩徳川家御用神楽」に関する権利が誰にも譲渡されず、鴨川嘉之助の実子の鴨川勝夫氏に譲り渡されたことが乙第19号証によって証明されてもいる。したがって、第二代柳貴家正楽が承継していないものを第三代に譲り渡すことができないのは当然である。
(3)そして「水戸藩徳川家御用神楽」に関する全権利は、乙第20号証で示されるように、平成13年10月9日に鴨川勝夫氏から被請求人の代表者である大高宣靖に譲り渡されるに至り、それ故、現在では、この権利は大高宣靖のものである。「水戸藩徳川家御用神楽」と「水戸大神楽」とが同じものであるとすると、「水戸大神楽」に関する権利は明らかに大高宣靖のものであり、請求人には何らの権利がないことは明らかである。
被請求人の代表者である大高宣靖は、更に「水戸藩徳川家御用神楽」の小道具の方も正当に承継しており、「水戸大神楽」に関する権利は、全ての面で被請求人側にあり、請求人にはいかなる権利も存在しない。乙第12号証として示した継承書の信憑性は、更に乙第26号証によって補強した。
また「水戸大神楽」は、被請求人の代表者である大高宣靖が独立する際に、第二代柳貴家正楽からその単独での使用を承認されたものであり、これは弟子と親方との契約である。第二代柳貴家正楽は「水府神楽」を使用し、大高宣靖の「水戸大神楽」と区別する趣旨であったと考える。現在でも第二代柳貴家正楽宅の看板(請求人も同居しているため同じである)は「水府神楽」となっており、その趣旨はそれだけでも明らかである。
(4)無形民俗文化財の指定によって「水戸大神楽」は「水戸藩徳川家御用神楽」と同視されることとなったため、被請求人側にこそ「水戸大神楽」の商標登録を受ける資格があると云うべきである。すなわち、前記したように、「水戸大神楽」の大道具・小道具のいずれについても被請求人の代表者である大高宣靖がその正当な承継者であるからである。なお大道具・小道具の名称については、既述のように、第二代柳貴家正楽の創作に係るものであるが、「水戸藩徳川家御用神楽」に二つの系統が生じていたことは間違いがなく、その両方の各々をその名称をもって表現することとしたと理解されたい。
3.以上のように、被請求人は、いかなる観点からも本件商標の登録を受ける資格を有しており、その登録が公序良俗に反することなどあり得ない。
したがって、「水戸大神楽」に関して、請求人は何ら正当な権利を有するものでなく、単に不正競争の意思を持ってその使用を開始した事実があるに過ぎない。それ故、本件商標「水戸大神楽」は、請求人との関係で何ら公序良俗に反する事情が存するという事はあり得ないものであるから、答弁の趣旨通りの審決を求める。
本件商標は、「水戸大神楽」の文字よりなるところ、請求人の提出に係る証拠を総合すれば、水戸の大神楽(「太神楽」ともいう。)は、伊勢、江戸とともに日本の3太神楽に数えられており、獅子舞によって悪霊を祓い、合わせて曲芸を演じる伝統的な水戸(市)の民俗芸能の一つであることが認められる。そして、請求人 大高弘靖氏(芸名18代「柳貴家正楽」)及び被請求人 有限会社ヤナギヤの代表者 大高宣靖氏(芸名「柳貴家勝蔵」)は、共に、昭和45年に水戸市教育委員会より無形文化財「水戸のししまい」の指定を受けた大高四郎氏(芸名、17代「柳貴家正楽」、現「柳貴家寿翁」)を父(師匠)とする大神楽師であり、文献「水戸の指定文化財」(甲第2号証)によれば、「水戸大神楽」の表題のもと、「神楽の語源は神座の・・・(略)・・・芸能である。現在は、柳貴家正楽社中(17代・18代)と、同社中から分かれた柳貴家勝蔵社中とが、伝統芸能を継承し、その発展に努めている。」と記述されている。
ところで、商標法第4条第1項第7号に規定する公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標には、その構成自体がきょう激、卑わいな文字、図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合が含まれ、さらに、その使用が不正な意図をもってされ、国際信義又は公正な取引秩序に反する場合もこれに当たると解されるところである。
これを本件についてみると、請求人が公序良俗違反として主張する理由は、要するに、請求人は、水戸大神楽の宗家及び家元(第十八代)の正当な継承者であり、被請求人は、正当な継承者ではないから、「水戸大神楽」の商標は請求人以外に登録されるべきではなく、本件商標の登録を受けた行為が、商品又は役務に関する取引上の秩序に反するというものであり、公正な取引秩序に反することをいう趣旨であるとしても、その実質は、前記において主張する正当な継承者ではないから、登録されるべきものではないことをいうものにほかならない。
しかしながら、同法第4条第1項第7号に規定する公序良俗を害するおそれがある商標とは、上記のとおり、商標の構成自体がきょう激、卑わいな文字、図形である場合及び商標の使用が反社会的なものをいうのであって、前述のとおり、被請求人の代表者は、水戸の伝統的な民俗芸能(大神楽)を継承し、その発展に努める立場にある者の一人であり、被請求人の本件商標の使用が、単に私的な事情にすぎない正当な継承者であるかどうかによって不正であるものとはいえないものであり、他に本件商標が同法第4条第1項第7号に規定する公序良俗を害するおそれがある商標に当たることを根拠付ける格別の事情を認めるに足りる証拠はないから、本件商標の同法第4条第1項第7号該当性をいう請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本件商標は、同法第4条第1項第7号に違反して登録されたものということはできないから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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