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Trademark Appeal Case

機能・品質表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成9年審判第18058号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別紙に表示したとおりの構成よりなり、第11類「加熱器、調理台、流し台、家庭用電熱用品類」を指定商品として、平成6年7月6日に登録出願されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、『本願商標は、「赤外線」の略称として一般に使用されている「遠赤」の文字と、それより大きく「丸型の釜」の意味合いを認識させる「まる釜」の文字を右側に配して「遠赤まる釜」と表示してなるものであるが、これを本願指定商品中「釜を有する商品」、例えば「加熱器、電気炊飯器」等に使用したときは、需要者は全体としてその商品が「遠赤外線を使用した丸型の釜を有したもの」であることを認識するにとどまるものと認められるから、このようなものは、単に商品の機能、構造、品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。』旨認定して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

本願商標は、その構成別紙に表示したとおり、「遠赤まる釜」(「遠赤」の文字は「まる釜」の文字に比較して小さく書してなる。)の文字を表現したものといえる程度の態様で表したものと認められる。

ところで、本願指定商品に含まれている「電気炊飯器」の各社のカタログをみるに、例えば、「National/Panasonicセールスマン専用カタログ’92冬号(1992年11月1日現在松下電器産業株式会社発行)」の「電子ジャー炊飯器」の253頁には「特長機能用語一覧」の中、「底・側面・ふたヒーターで加熱する包み炊きに加え、底ヒーター・内ぶた・内鍋の内側に、遠赤外線を発する表面処理をしています」との解説のもとに「全面遠赤炊飯」の項目の記載、同カタログ254頁には「『全面遠赤炊飯』で炊き上げ」との記載と同時に炊飯器の写真の上部に、図形とともに「遠赤」の文字を大きく白抜き文字で表した上下に「全面」の文字と「炊飯」の文字とを配した部分の記載、「’96春夏号サンヨー商品カタログ(1996年2月1日現在三洋電機株式会社発行)」の「ジャー炊飯器」の89頁には「チタンコート5層丸釜」、同90頁には「ダブルフッ素遠赤内鍋」との記載、「’96夏号シャープ総合カタログセールスマン専用(1996年4月現在シャープ株式会社発行)」の「ジャー炊飯器」の88頁には、炊飯器の写真の上部に、「遠赤」の文字及び「遠赤2.0mm厚釜」との記載が認められる。

また、一般の日刊新聞掲載記事をみるに、「1991年8月2日、付日経産業新聞」の13頁には、「炊飯ジャー=象印マホービン(新製品)」の見出しのもと「....〈特色〉同社としては初めて遠赤外線ヒーターとニューロ・ファジーを採用した。遠赤釜(かま)は炊きむらを少なくし、...」との記載、「1992年2月27日付日刊工業新聞」の27頁には、「シャープ、ファジィ制御のジャー炊飯器発売。遠赤セラミックス厚釜を採用」との見出しのもと「シャープ(電06・621・1221)は、遠赤セラミックス厚釜(かま)を採用、....」との記載、「1993年9月11日付日経流通新聞」の7頁には、「炊飯器−楽に火加減を制御、電磁加熱、炊きむら少なく(売れ筋)」との見出しのもと「....IH式全盛のなか、シャープは九月上旬、“平成のかまど”シリーズ二種を売り出した。このうち上位機種の『KS−XE18』(一・八リットル、三万円)は消費電力千三百ワットの高火力。内なべを球状にして加熱面積を従来の二倍に広げ、『IH式に近い効果が期待できる』」との記載、「1994年8月19日付日経産業新聞」の9頁には、「東芝、IH炊飯ジャー3機種−釜改良、炊きムラ抑える。」との見出しのもと「東芝は鍛造製法により内釜(がま)の厚さや形状を大幅に改良して、炊きムラを抑えたIH(電磁加熱)ジャー炊飯器の新製品三機種を九月一日から順次売り出す。....内釜の底部は五ミリと従来の二・五倍、傾斜部の角度も六十度と丸みを帯びた形状になっている。」との記載が認められる。

以上のことよりすれば、電気炊飯器において、本願商標の構成中「遠赤」の文字は「遠赤外線」の略として使用され、内鍋等に遠赤外線を発する表面処理を施した商品であることを表示したものと理解させるものであって、また、同構成中「まる釜」の文字は、電気炊飯器を取り扱う各社が炊きムラを少なくするために釜の改良を行っており、特に内釜の底を丸みを帯びた形状(球状)にし、加熱面積を広げたものが販売されていることが認められ、「丸釜」の文字が使用されている事実よりすれば、該文字は、内釜の形状を表示したものといわざるを得ない。

そうとすれば、本願商標を構成する「遠赤まる釜」の文字からは、「遠赤外線を発する表面処理を施したもの及び丸みを帯びた形状(球状)の内釜」であることを容易に認識するというのが相当であるから、かかる本願商標を指定商品中「電気炊飯器」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、上記の事実よりして、該商品の品質(機能、構造、形状)を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわなければならない。また、これを前記機能、構造、形状を有しない商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。

なお、請求人は、莫大な費用を投入して「まる釜」の商標を新聞、雑誌、TVCMのメディアを通じ宣伝広告した結果、「まる釜」の商標は、平成6年9月頃には需要者の間において広く認識されるに至った旨主張し、証拠として甲第6号証ないし同第19号証を提出している。しかしながら、同証拠によっては、本願に係る指定商品の全部について証明されていないばかりでなく、本願商標中の「まる釜」の文字のみについての証明であって、かつ、その文字の態様も異にしているものであり、「遠赤まる釜」の文字それ自体が単独に当該商品の出所を示す識別標識として機能しているとの点を客観的に証明していないものであるから、請求人の主張は採用できない。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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