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Trademark Appeal Case

著名商標と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35242(T2001−35242/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4332669号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年12月15日登録出願、商標の構成を後掲(1)に示すものとし、指定商品を第25類「履物,運動用特殊靴」として、同11年11月5日に設定の登録がされたものである。

2 請求人商標

請求人が本件商標の無効を述べる理由に引用する標章(以下「請求人商標」という。)は、後掲(2)に示すとおり、「OTTO」の欧文字(左から3字目の「T」を他の並列文字の水平位置より僅か上方にずらし、かつ、そのアーム左側セリフ部を同2字目の「T」のアーム右側に一部重ねるように表したもの。)とするものである。

3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1)本件商標の概要

本件商標の概要は、上記1のとおりである。

(2)無効事由

本件商標登録は、商標法第4条第1項第7号、同10号又は同15号に反して商標登録されたものであるから、無効とされるべきである。

請求人は、請求人に係る著名商標である請求人商標を引用する。請求人商標は、アルファベットで「OTTO」と連続して記載され、称呼を「オットー」という。

請求人商標は、1949年にドイツで設立された世界最大の通販企業グループである「オットー フェルザンド ゲー エム ベー ハー ウント コー社」(請求人会社)(甲第1号証)が権利を有し、請求人会社と日本の代表的総合商社である住友商事株式会社との合弁会社として1986年に我が国において設立された住商オットー株式会社をライセンシーとして(甲第2号証)、1987年2月に開始したカタログ販売業務に使用する商標である(甲第3号証)。

請求人商標は、運動靴、サンダル等の履物を始め、被服、バッグ、アクセサリー等、各種商品を通信販売する同社のカタログ、広告、商品のタブ、商品包装袋等に使用されており(甲第4号証ないし甲第6号証)、住商オットー社の業務は、かかるカタログ販売による通信販売業務がすべてであることから(甲第9号証)、同社の取扱商品および業務すべての商標である。

これに対し、本件商標は、履物及び運動用特殊靴を指定商品として登録されているが、請求人商標も前記の通りサンダル、運動靴等の履物の販売にも永年使用されており(甲第4号証及び甲第5号証)、両者の業務は共通する。

請求人のライセンシーである住商オットー株式会社は、顧客のニーズを的確に捉え、会社設立後から1996年にかけて着実に業績を伸ばし(甲第8号証)、その後も年間約350億円前後の売上高を示している(甲第9号証)。本件商標の査定がされた1999年における同社の年間売上高は約400億円、アパレル系通信販売業界における売上高ランキングは上位10位以内にランクインされ、現在に至るまで堅実な業績を収めており(甲第9号証)、現在登録顧客数は400万人を超える(甲第2号証)。

また、同社は、毎年8種類のカタログを発行しており、中でも最も著名な「FOR YOU」という名称のカタログは、年4回、1回約100万部発行され(甲第9号証)、各カタログの表紙及び裏表紙には、必ず請求人商標が記載されている(甲第4号証)。

さらに、同社の営業活動の一環として、大手日刊新聞紙にも永年に亘って請求人商標が記載された別刷広告を掲載しており(甲第5号証)、前記のカタログ作成や広告宣伝等に年間約120億円にも上る莫大な費用をかけることにより(甲第10号証)、請求人商標は、通信販売利用者のみならず、広く一般国民の認識するところとなっている。

かかる状況に照らせば、本件商標の出願がなされた平成10年12月15日及び現在に至るまで、請求人商標は通信販売業界のみならず、広く一般国民にも知られており、著名である。

本件商標の構成を見ると、本件商標は、アルファベットの文字列である「otto」と図形「♪」との組み合わせから成るが、「♪」は音符を単純に表示したにすぎないありふれた図形であり、特別に強い印象を与えるものではないのに比し、文字部分「otto」はローマ字に親しんでいる我が国国民にとって容易に覚えることができる綴りであるので、本件商標の文字部分「otto」が本件商標の要部である。従って、看者は本件商標中の「otto」に注目し、これを「オットー」ないし「オット」と読むものと認められるから、本件商標からは「オットー」ないし「オット」の称呼が生ずるものと認められる。

よって、本件商標と請求人商標とは、その称呼において共通しており、類似するものであり、出所の混同のおそれは著しく高い。

従って、周知商標たる請求人商標と類似する本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

また、前記の通り、著名な請求人商標と出所の混同のおそれのある本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

さらに、請求人商標の著名性は、請求人及びその合弁会社が永年に亘り、多額の宣伝広告費をかけて獲得した賜物であり、その著名性及びそれに伴う信用は、請求人らにとって営業上欠くことのできない重要な財産であるから、かかる請求人商標の著名性にただ乗りしようとの意図が認められる本件商標は、公序良俗を害するおそれのある商標である。

従って、本件商標は、商標法第4条第1項第7号にも該当する。

4 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求に対し、何ら答弁していない。

5 当審の判断

請求人は、本件商標は請求人に係る周知・著名な商標(請求人商標)と紛らわしく、また、その著名性にただ乗りするものであるとして、本件商標の商標法第4条第1項第7号、同第10号又は同第15号該当違反を主張している。因みに、請求人商標は、後掲(1)並びに上記2に示すとおり「OTTO」の文字を表してなるものであって、請求人はこれが「オットー」と称呼されている旨述べている。

そこで、請求人商標の周知・著名性について請求人提出の各証拠(甲各号証)を検討するに、以下のとおり、それら甲号証によっては、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において請求人商標が履物類の商品分野において取引者・需要者間において広く認識せられるに至ったものとはいい難く、その周知・著名性は客観的に明らかでないから、これを根拠に本件商標の無効を述べる請求人の主張は採用することができない。

(1)甲第1号証ないし甲第3号証は、請求人会社又はその関連会社に係る会社概要等を示す印刷物とみられるところ、それら記載によれば、いわゆる通信販売を業とする請求人会社は、我が国において1986年(昭和61年)に合弁会社「住商オットー株式会社」(以下「関連会社」という。)を設立し、以降、現在に至るまでの間、いわゆるカタログ販売による各種商品の取り扱い・販売を行っていること、平成8年以降の年間売上高は350億円前後に達すること、当該印刷物の制作者を示す箇所には、関連会社の会社名称並びにその英文表記(「Otto−Sumisho Inc.」)又はその略称(「住商オットー」)等の表示と共に請求人商標が表示されていること等の点が認められる一方、本件商標の指定商品とする履物類の分野において請求人会社又は関連会社の取り扱いに係る商品(履物類)が具体的にどの時期にどの位の数量のものがどの地域範囲において流通し、販売されていたものであるのか、或いは、請求人商標が履物類の需要者に対してどのように認識され、また、どの程度認識されていたものかという事情も全く窺うことができないから、それら甲号証をもって請求人商標の周知・著名性は客観的に明らかでない。

(2)甲第4号証は、関連会社に係る1988年(昭和63年)から2001年(平成13年)にかけて概ね各年とも2ないし4回発行された関連会社に係るカタログ誌の都合31冊分の表紙及び裏表紙(写し)とみられ、それら表紙及び裏表紙の所定箇所には、一様に関連会社の会社名称及びその略称(「住商オットー」又は「OTTO−SUMISHO」)と共に請求人商標の表示(左右両側を青色に中程を桃色に色分けした矩形内に白抜きで表したもの)が認められる。そして、カタログ誌は、その大半が「FOR YOU」(フォーユー)なる名称(タイトル)に係るもの(ほかに、「APART」(アパルト)及び「TOGETHER」(トゥギャザー)なる名称のカタログ誌も各一冊分含まれている。)と認められる。

しかしながら、それらカタログ誌に提示された品目をみる限り、主として婦人向けの各種衣料品(ジャケット、セーター、Tシャツ、パンツ、ブラウス、スカート、カーディガン、シヨーツ、ベスト、コート、ブルゾン、下着類等)であって、本件商標の指定商品とする履物類に関しては、僅かに2001年春夏号と1988年春夏号に散見し得る程度であるから、これら甲号証によっては、請求人会社又は関連会社の取り扱いに係る商品(履物類)が具体的にどの時期にどの位の数量のものがどの地域範囲において取り扱われ、販売されたものかという点は不明というほかはなく、また、請求人商標に対する需要者一般の認識の程度を計ることができないから、請求人商標の履物類の商品分野における周知・著名性は明らかでない。

(3)甲第5号証は、関連会社の事業又はその取り扱いに係る各商品に関して平成2年から同13年にかけて断続的に発行された一般新聞の広告特集とする都合15回分(讀賣8回、朝日・毎日各2回、日経・東京・産経各1回)の記事写しであって、当該カタログ販売に関する事業広告と併せ前記カタログ誌(甲第4号証)と同様、それら広告記事の隅部に小さく関連会社の会社名称又はその略称と共に請求人商標の表示が認められる。

しかしながら、当該掲載に係る各商品をみるに、前記カタログ誌と同様、婦人向けの衣料品が主であって、本件商標の指定商品とする履物類に関しては、僅かに平成13年4月10日付及び同3年8月20日付の記事中に散見し得る程度であるから、これら甲号証によっては、請求人会社又は関連会社の取り扱いに係る商品(履物類)が具体的にどの時期にどの位の数量のものがどの地域範囲において取り扱われ、販売されたものかという点は不明というほかはなく、また、請求人商標が履物類の需要者に対してどのように認識され、また、どの程度認識されていたものかという事情も全く窺うことができない。したがって、それら甲号証をもって請求人商標の履物類の商品分野における周知・著名性は依然明らかでない。

(4)甲第9号証は、いわゆる通販事業に関する印刷物と認められる宏文出版株式会社発行に係る通信販売年鑑の1993年版ないし2001年版の抜粋記事写しであって(ただし、1996年版の添付はない。)、当該各年毎の関連会社に係る事業概要ないしは業界売上高ランキング(この間の関連会社の売上高は10数位から20数位の間を推移している。)等の記載が認められる。

しかしながら、それら記事中に紹介されている事業者別主力商品の記載にみられる如く、関連会社の主力商品は特に最近に至って「衣料品」に傾斜していることが顕著であって、本件商標の登録出願時を含む登録査定時においてもその傾向に特に変化はなく、また、当該事業概要の解説中にも履物類に関する記述は皆無であるから、これら甲号証によっては、請求人商標が履物類の需要者に対してどのように認識され、また、どの程度認識されていたものかという事情は全く不明というべく、請求人商標の履物類の商品分野における周知・著名性は客観的に明らかでない。

(5)前記のほか提出された甲第6号証ないし甲第8号証及び甲第10号証は、関連会社に係る最近の年次別決算公告(官報公告)及び損益計算書の推移を示すもの、その他、趣旨不明の印刷物であって、請求人商標の履物類における使用実績ないしは需要者の認識の程度を何ら推し量ることはできないから、それらをもって請求人商標の周知・著名性を判断することはできない 以上の(1)ないし(5)に示すとおり、請求人提出の甲各号証をもってしては、請求人商標が履物類の商品分野において取引者・需要者間にどの程度認識されたものであるのかの事情を全く窺うことができないから、その周知・著名性は客観的に明らかでない。

そうすると、請求人商標の周知・著名性を前提に本件商標の商標法第4条第1項第10号及び同法第4条第1項第15号該当違反を述べる請求人の主張は妥当でなく、その理由をもって本件商標の登録を無効とすることはできない。

ところで、本件商標は、その構成後掲(1)に示すとおり、黒く塗りつぶした正方形内中央部一杯に音楽(楽譜)符号の一である八分音符の形象を大きく白抜きに表し、同符号(図)の右下部に小さく「otto」の欧文字を、さらに、その下部に一本の緩やかな曲線をいずれも白抜きに表してなるものである。そして、該構成は、一定の空間内に符号図形と欧文字とが密接に結合・表出された一種独創的に表現された固有の商標というべきであって、何ら特定の事物・事柄等を想起させる余地はないものといわなければならない。

してみれば、本件商標は、構成自体において公序良俗に反するとする理由はなく、また、請求人商標の履物類の商品分野における周知・著名性は是認し得ないこと前記認定のとおりであるから、本件商標をその指定商品について使用したとしても、これに接する需要者が直ちに請求人又は関連会社に係る業務ないしは請求人商標等を想起するものとはいい難く、また、その著名性に便乗し或いは業務上の信用を阻害する意図をもって使用するものということもできないから、結局、これらを理由に本件商標の商標法第4条第1項第7号該当違反を述べる請求人の主張は妥当でなく、その理由をもって本件商標の登録を無効とすることはできない。

(結語)以上のとおり、本件商標の登録は、前記法条の規定のいずれにも違反してされたものということはできないから、その登録は、商標法第46条第1項により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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