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Trademark Appeal Case

商標使用の有無と範囲

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−30229(T2000−30229/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3147059号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3147059号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第38類「電子計算機端末による通信,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定役務として、平成4年7月20日登録出願、同8年4月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1.本件商標は、被請求人により、継続して過去3年以上日本国内において、その指定商品のいずれについても使用されていない。

2.被請求人による使用は、「ボイラの保守、点検及び維持管理」という役務を「電子計算機端末」を用いた方法によって提供しているにすぎず、第38類の「電子計算機端末による通信」は提供していない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

1.被請求人による本件商標の使用について

(1)被請求人は、ボイラの保守、点検及び維持管理に関し契約を結び、その契約に基いてボイラの保守、点検及び維持管理を「電子計算機端末による通信」により行っている。この「電子計算機端末による通信」におけるボイラの保守、点検及び維持管理を「オンラインメンテナンス」、あるいは「M−NETシステム」(いずれも被請求人の登録商標)と称して、役務を提供している。

(2)上記「オンラインメンテナンス」、あるいは「M−NETシステム」の保守、点検及び維持管理の内容を説明及び広告、宣伝をするため、リーフレット(乙第1号証ないし乙第4号証)を作成し、1995年10月以来、現在に至るまで継続して頒布している。

乙第1号証ないし乙第4号証には、本件商標が明確に表示されており、これを「電子計算機端末による通信」に使用していることは明白である。

2.リーフレットの作成について

(1)被請求人によるリーフレット、カタログ等の管理は、カタログコードにより管理されている。例えば、乙第1号証についていえば、印刷日を西暦をもって「95年9月」と表示し、その下に「06−014 5001 D」(「D」は円輪郭内に表記されている。)と、リーフレットの種別・管理番号、印刷部数、印刷会社の記号が付されており、このリーフレットは、大日本印刷株式会社四国事業部第二営業本部松山営業所で5000部印刷されたことを意味する。

以下、乙第2号証ないし乙第4号証まで、乙第1号証と同じ会社で印刷され、その部数は、いずれも4000部である。

このように、本件商標は、本件審判の請求以前において、少なくとも13000部が頒布されていた乙第1号証ないし乙第4号証により使用されている。

(2)乙第3号証は、その作成年月日が本件審判の請求の登録前3年以内のものである。

3.請求人は、被請求人による使用は、「ボイラの保守、点検及び維持管理」という役務を「電子計算機端末」を用いた方法によって提供しているにすぎず、第38類の「電子計算機端末による通信」は提供していない旨主張するので、「電子計算機端末による通信」についての使用の事実を立証する。

(1)乙第6号証及び乙第7号証は、乙第1号証ないし乙第4号証の裏面右側上部に記載された「このオンラインメンテナンスに加入するためにはZMP契約・ZM通信契約を結んで頂くことが必要です。」の「ZMP契約書」(乙第6号証)、「ZM通信契約書」(乙第7号証)である。

(2)乙第6号証(ZMP契約書)は、「遠隔監視システムによるメンテナンスサービス」としての役務提供の契約書として、現在まで継続して使用している契約書であり、ボイラ等の定期的な保守、点検及びボイラ等の性能維持管理を通信を介して実行する場合(すなわち、乙第1号証ないし乙第4号証に係る「ミウラの[M−NETシステム]。」に加入する場合)と通信を介さないで実行する場合の両方に適用する形式となっており、通信を介して実行する場合の料金(乙第6号証における「ZMP料金」)は、通信を介さないで実行する場合に比べて高い料金となっており、通信料金を加算した料金体系となっている。(なお、この料金体系は、トレードシークレットに属するものであるから、ここで開示することはできない。)

このように、料金体系が異なる点については、乙第6号証の「2.契約条件」の規定の項目として、「通信の有無」を特定する規定があることからも理解できる。

(3)乙第7号証(ZM通信契約書)は、「ミウラの[M−NETシステム]。」に加入する場合の契約書であり、1995年(平成7年)10月から使用している。

乙第7号証は、ボイラの定期的な保守、点検契約(「ZM契約」)のみを締結している顧客が、定期的な保守、点検契約に加えて、ボイラの性能維持管理を希望する場合に締結する契約であって、その料金は、契約書に明記してあるとおり、「ZM通信料金」の通信料金のみとなる(定期的な保守、点検料金は「ZM契約」により定められている。)。そして、乙第7号証には、独自の料金体系が設定されているが、この料金体系は、トレードシークレットに属するものであるから、ここで開示することはできない。また、実際に締結された契約書についても、被請求人のみならず、契約の相手方のトレードシークレットに属するものであるから、ここで開示することはできない。

4.以上のとおり、本件商標は、「電子計算機端末による通信」について、1995年10月以来、現在に至るまで継続して使用しているものである。

第4 当審の判断

1.被請求人は、本件商標をその指定役務中の「電子計算機端末による通信」について、本件審判の請求の登録前3年以内使用しているとして、乙第1号証ないし乙第7号証を提出しているので、以下検討する。

(1)答弁の理由及び乙第1号証ないし乙第4号証によれば、被請求人は、「ボイラ」及びその周辺機械器具の保守、点検及び維持管理を自己の業務とするものと認められるところ、本件審判の請求の登録前3年以内に印刷され、被請求人に納品されたと認められる乙第3号証(リーフレット)の表面には、「ミウラの[M−NETシステム]。」として、「24時間オンラインメンテナンス」、「全国100ネットワークに80台以上の通信専用パソコンを設置。リアルタイムなオンラインとより迅速なメンテナンスを可能にしています。」、「水処理機器にもオンライン搭載。/・・・M−NETシステム(ボイラ室全体をオンラインメンテナンス)は、ボイラ用水の変化や劣化を未然に察知し、トラブルや、ボイラ設備の破損を防ぐことができます。」、「スチームシステムのすべてを管理。/蒸気、温水、熱媒ボイラ、各種水処理機器をオンラインで結ぶことにより、トータルなメンテナンスを実現しました。」などの記載が認められる。

また、同裏面には、「ミウラのオンラインメンテナンス」として、「異常対応体制/異常通信を受けて、異常のデータ分析や、個別通信でデータを調査します。・・・」、「転送システム」、「月報通信フロー/月間の蒸発量と燃料使用量、効率等の診断データを毎月送付します。・・・」、「通信レポートの構成/・・・着火回数や高燃焼時間等の経歴データ・・・等のメンテナンス管理データ、最近発生した予知警報を表す異常予知5項目です。・・・・これらのデータは、パソコンの計算機能と通信の機能があって初めて可能なことで、M−NETシステムの特徴と言えます。」などの記載が認められる。

(2)上記(1)で認定した事実よりすると、被請求人の「ボイラ」及びその周辺機械器具の保守、点検及び維持管理のシステムは、顧客と被請求人との間で、該役務を提供することについての契約を締結すると、顧客のボイラ及びその周辺機械器具(ボイラ室)に設置されたコンピューターの端末機から送られてくる各種データや異常データ等を、該端末機と直結している被請求人が管理する中央演算処理装置やメンテナンス拠点等の通信機器で受信し、顧客のボイラやその周辺機械器具に異常等があった場合は、いち早く対処するという、電子計算機端末による通信を利用したものと認めることができる。

(3)ところで、電気通信事業法(昭和60年4月1日施行)第2条第1項第3号によれば、「電気通信役務」とは、「電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供することをいう。」と規定され、また、同第4項には、「電気通信事業」は、「電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業をいう。」と規定されている。

また、商標法でいう役務とは、他人のためにする労務又は便益であって、独立して商取引の目的たり得るものと解するのを相当とする。

これを、被請求人が本件商標を使用しているという、電子計算機端末による通信を利用したボイラ及びその周辺機械器具の保守、点検及び維持管理のシステムについてみるに、被請求人は、顧客との間に締結された契約により、電子計算機端末によるデータの通信を利用して自己の業務である「ボイラ等の保守、点検及び維持管理」を行っているものと認められるものの、被請求人は自ら、被請求人と顧客との間の通信を媒介しているものとは到底認められるものではなく、また、電気通信設備を他人の通信の用に供しているものとも認められない。そして、被請求人は、電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供している事業者ということも、提出された証拠から窺うことはできない。

さらに、被請求人は、その業務である「ボイラの保守、点検及び維持管理」を行うに当たり、第三者が媒介した電子計算機端末による通信を単に利用したにすぎないものであって、被請求人が行う電子計算機端末による通信は、それ自体独立して商取引の目的たり得るものと解することはできず、「ボイラの保守、点検及び維持管理」に付随した役務というべきものである。

この点に関し、被請求人は、ZMP契約書(乙第6号証)、「ZM通信契約書」(乙第7号証)を提出し、ZMP契約においては、通信を介して行うボイラの保守、点検、管理等の料金は、通信を介さないで行うそれより、通信料金が加算されているから高い料金体系となっている。また、ZM通信契約書においては、「ZM通信料金」の通信料金のみで、定期的な保守、点検料金は「ZM契約」により定められている旨主張する。

しかしながら、上記被請求人の主張は、通信を媒介した第三者に支払う通信料金のことを考えれば、通信を介して行うボイラの保守、点検、管理等の料金が通信を介さないで行うそれより高いことや、定期的な保守、点検契約に加えて、通信によるボイラの性能維持管理をのちに締結する場合は通信料金のみを支払うことは、当然のことといえるのであり、これをもって被請求人が行っているボイラ及びその周辺機械器具の保守、点検及び維持管理に利用している電子計算機端末による通信が独立して商取引の目的たり得るものと解することはできない。

付言すれば、オンラインメンテナンスに加入するための契約であるZMP契約書(乙第6号証)の「契約条項」の第1条(契約の定義)には、「ZMP契約書とは、国内において乙が甲に対して、表記の『ZMPの契約範囲』に実線で示された標準仕様の乙の純正機器の適切な操作方法を指導するとともに・・・機器の保守を行い、不具合が生じた場合は、正常な状態へ復帰させることをいいます。」と定められ、「表記の『ZMPの契約範囲』」によれば、「通信機器 MK−3」は契約範囲外の物と記載されていることからも、被請求人が業として、「電子計算機端末による通信」を行っていないことが窺えるものである。

そして、他に前記認定を覆すに足りる証拠は見出せない。

(4)したがって、被請求人の行う電子計算機端末によるデータの通信は、それ自体独立して商取引の対象となるものではないから、上記付随的役務をもって、第38類に属する「電子計算機端末による通信」を行っているものということはできない。

2.以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定役務のいずれについても使用していたと認めることはできない。また、被請求人は、使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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