Trademark Appeal Case
シェイプアップの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第6297号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「シェイプアップ」の片仮名文字を横書きしてなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝間着類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,襟巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,靴合せ釘,靴釘,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,乗馬靴」を指定商品として平成8年7月15日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、減量等により、体型や体調を整えることを観念させる『シェイプアップ』の文字を書してなるから、これをその指定商品中シェイプアップ用の下着や運動用特殊衣服に使用するときは、単に商品の品質、用途を表示させるにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は前記のとおり「シェイプアップ」の文字を書してなるところ、該文字(語)は「運動や減量などにより、体型や体調を整えること。」(「日本語になった外国語辞典」1991年4月30日 株式会社集英社発行)を意味するものとして親しまれた外来語であって、日常的に使用されているものである。
ところで、被服、靴等を取り扱う分野においては、素材や編み方、カッティング等に工夫を凝らし体形補正機能を特徴とする水着、下着等が「シェイプアップ水着、シェイプアップ下着」と称され、また、着用して体を動かすことでシェイプアップ効果を高めるとされる「ストッキング」等が販売されている実情は例えば以下の服飾辞典、日刊新聞各記事あるいは関連各社のインターネットホームページ情報等によりその一端を窺い知ることができる。
(1)「水着→シェイプ・アップ水着」の項
(「新・田中千代服飾辞典」1993年4月18日 同文書院発行)
たるみ気味の体形をすっきり見せるという、体形補正機能のある女性用水着のこと。伸縮性に富むパワーネットを、バスト、ウエスト、腹部、ヒップと補正したい場所に応じて特別にカッティングし、裏打ち二重仕立てになっている。......1984年ころから注目されだした。
(2)この夏・水着の傾向と対策 用語集(2)(http://isweb20.infoseek.co.jp/sports/kononatu/CHOSA/yougo2.htm)
■シェイプアップ水着(しぇいぷあっぷみずぎ/shape up swim suits) 裏地の一部あるいは全体にパワーネットを付けることでガードルの機能をも備えた水着。
(3)シャルレ、シェイアップ水着を発売。ラインを引き締める
(1993.04.23 流通サービス新聞)
シャルレは、体形補整を特徴とした婦人水着を発売した。......ファッション性重視の水着が中心になっている中、下着並みの「シェイプアップ効果」をうたって売り込む。ガードルやボディースーツなど、補整が目的の下着に用いるネットを生地の裏側に張った。これで肉の付きやすい胃から腹部にかけてのラインを引き締めるという。......
(4)リョーカ フィットネス向け水着強化、シェイプアップ機能も
(2000.11.17 繊研新聞)
水着メーカーのリョーカ(本社大阪)は......ガードル部のパワーネットの前後の着圧を変えるなどシェイプアップ機能を強化したり、......
(5)【インナーファッション】グンゼ/福助 巻き返し図るPS大手2社 (1997.12.11 繊研新聞)
......「バービーボディーをめざそう」をコンセプトに着圧とシェイプアップ機能を訴求し、交編とゾッキで出す。......
(6)安定婦人下着市場にクサビ。総合アパレル、アウター感覚で参入
(1997.06.20 流通サービス新聞)
......ナイガイ婦人下着事業部......得意分野である“編み”の技術を生かしたシェイプアップ機能のアンダーウエアを、......
(7)補正下着(http://harryt.caitsith.ne.jp/hosei.htm)
■ウエストと太ももを美しくシェイプアップしながらヒップアップ ロングガードル......
■サーポート効果とガードル機能を併せ持つストッキング ウエストからヒップにかけてのガードル機能は各部のパワー圧を微妙に変化させて腹部のシェイプアップ効果を高め、......
(8)アフェール ダムール
(http://www.paradise-mall.co.jp/amitie/underware2/)
ヒップアップストッキング 従来のシェイプアップストッキングにヒップアップ機能をプラス。
また、このほかにも「シェイプアップシューズ」、「シェイプアップスリッパ」等のシェイプアップ効果、機能をセールポイントとする商品が多数販売されている。
以上のことからすれば、本来「運動等により体形等を整えること」を意味する文字(語)である「シェイプアップ」は、被服あるいは痩身を目的とする商品等を取り扱う業界においては、着用することで得られる「引き締め、体形補整」等の効果、機能を表わすものとして「シェイプアップ効果、シェイプアップ機能」のように使用され、また、該効果、機能を有する水着、下着等が多数存在している実情をみれば、該「シェイプアップ」の文字(語)は当該商品の品質(機能、効果)を表すものと容易に理解されるとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標をその指定商品中「着用することにより体形が整う工夫がなされている商品」もしくは「着用して体を動かすことでシェイプアップに効果のある商品」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前記実情よりして、その商品の品質(機能、効果)、用途を表示したものとして理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであり、また、前記品質を備えた商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
してみれば、本願商標は商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ないから、これを理由に本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
なお、請求人は、身体の美しさやスマートさを暗示させる識別力のある商標が登録されており、これらは本願商標と変わるところはない旨述べ、登録例(甲第3号証ないし同第8号証)を挙げるとともに、本願商標を自他商品の識別標識として昭和59年以来使用している旨(甲第9号証ないし同第15号証)、並びに、請求人に係る登録商標「シェープアップ」(甲第16号証)と本願商標とは識別性について何ら変わるところはない旨述べて、本願商標の登録適格性を主張しているが、請求人の挙げた過去の登録事例はその商標の構成において本願商標とは事案を異にするものであり、また、出願に係る商標が自他商品の識別力を有するか否かの判断時期は査定又は審決時と解されるものであることからすれば、本願商標は、現今、その指定商品との関係においては商品の品質(機能、効果)を表すもので、自他商品の識別標識としての機能を有しないものであること前記のとおりであるから、請求人による使用の事実或いは登録例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切でなく、その主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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