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Trademark Appeal Case

称呼類似と著名商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35268(T2000−35268/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2711724商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、昭和59年7月27日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く。)布製身回品(他の類に属するものを除く。)寝具類(寝台を除く。)」を指定商品として、平成7年12月26日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する登録商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1059991号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2に示すとおりの構成よりなり、昭和45年11月12日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和49年3月25日に設定登録され、その後、昭和59年6月20日及び平成6年8月30日の二回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証(枝番を含む。)を提出している。

本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号の規定に背反して登録されたものである。したがって、本件商標は、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効にすべきである。

(1)本件商標は、おどけて舌を出している女の子の図形の下部に、デザイン化された部分と、白地に黒で明瞭に看取される「Lee」の文字部分とを配した構成よりなる。上記デザイン化された部分は、一見して何が記載されているのかよく分からない状況である。その部分は実は「HELLO!」という文字がデザイン化されたものであるとの説明を受けた後よくよく見てみれば、確かにそのように読めなくもない、という程度のものであり、そのような予備知識のない者が見れば、何が記載されているのかよく分からないものである。したがって、本件商標に接する需要者は、一瞥して何か判読し難い上記デザイン化された部分ではなく、鮮明な「Lee」の文字部分に注目して、単に「リー」と称呼することが多いものとするのが相当である。

引用商標は、「Lee」の文字を図案化して記した構成よりなるものであり、「リー」の称呼を生ずる。

したがって、本件商標と引用商標とは、「リー」の称呼を同一にする類似の商標である。また、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と抵触していることは明らかである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に背反して登録されたものである。

(2)請求人は、主力商品ジーンズ(ジーパン)を軸として、ティーシャツ、ジャケット、シャツ及び帽子等の製造・販売を主たる業務とする米国法人である(甲第3号証及び甲第4号証)。

引用商標を付した請求人の製造に係る前記商品は、昭和45年以来わが国に広範に輸入・販売されてきた。更に、引用商標を付した前記商品は、昭和47年以来請求人のライセンスのもとに、輸入品と並行して日本国内で製造・販売されてきた(甲第3号証ないし甲第24号証)。その結果、引用商標は請求人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の出願の日前から現在に至るまで、わが国の需要者及び取引者の間で広く認識されるに至っている。

例えば、請求外の矢野経済研究所が昭和53年に日本全国のジーンズ取扱店のうち有力100店を抽出して行った市場調査では、引用商標の知名度はトップのビッグジョンと同じ指数を示して注目されている。また、同じく東京・横浜に勤務・通学する15歳以上の消費者600名を対象とした調査では、引用商標の知名度は数あるジーンズのブランド中5位で、68.3%の回答者が知っており、所有率も25%に達して5位にランクされ、その著しい躍進が特筆されている(甲第25号証の3)。このように、引用商標は、請求人の商品がわが国に上陸してから10年も経ないうちに、需要者の間に広く認識されるに至ったのである。

更に、異議決定において、引用商標が取引者及び需要者の間に広く認識されていると認定されている(甲第26号証ないし甲第28号証)。その後も、引用商標は、「リーバイス」及び「ラングラー」と並び称される米国製ジーンズの三大ブランドの一つとして、益々その著名性を高めてきたのである(甲第24号証の6)。

(3) 本件商標が、引用商標を構成する「Lee」の文字をその構成に含み、引用商標と「リー」の称呼を同一にする類似の商標であることは明らかである。したがって、如上の取引の実際に鑑みて、本件商標は、ジーンズ及びその類似商品については商標法第4条第1項第10号の規定に背反して登録されたものである。

更に、本件商標の他の指定商品は、ジーンズ及びその類似商品としばしば同一の店舗において販売されることが顕著な商品であり、用途においても密接な関係を有する。したがって、本件商標をジーンズ及びその類似商品以外の指定商品について使用する場合には、引用商標の著名性に鑑みて、請求人の業務に係る商品又は請求人と何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものである。よって、本件商標はジーンズ及びその類似商品以外の指定商品については、商標法第4条第1項第15号の規定に背反して登録されたものである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)本件商標を一瞥して明瞭に看取されるのは、舌を出した女の子の図形であり、需要者は、図形下部に黒塗りと斜線の2通りで示されている部分から、「Lee」を認識することはない。したがって、「リー」という称呼も出てこない。

(2)「リー」とは中国人のありふれた名前であることは公知の事実であり、また、本件商標及び引用商標の属する昭和34年法における17類において登録されている商標をみると、「Lee/リー」を含む商標は多数併存している(乙第1号証の1ないし8)。したがって、「Lee/リー」の識別力はないと判断できる。

(3)また、米国においても、「Lee」を含む商標は併存している(乙第2号証)

5 当審の判断

(1)本件商標は、別掲1に示すとおり、目を細め、舌を出しておどけた表情をした少女の図形を描き、胴部に相当する部分及び頭髪部に黒塗りされ又は多くの斜線が記入された欧文字が配されているものである。そして、該欧文字は全体としていかなる文字を表したものであるか俄かには判読し難いものであり、これを強いて判読すると「HELLO! Lee」の文字を表したものということができる。しかしながら、該欧文字は、上記の如き特徴をもった少女の図形の一部を構成するように該図形内にまとまりよく配されているものであり、その構成及び配置からすると、必ずしも2語よりなるものとも断じ得ない極めて一体性の強い構成よりなるとみるのが自然である。

そうすると、該欧文字は、全体をもって一体不可分の構成よりなるものというべきであるから、本件商標に接する取引者、需要者は、これを前述の如く全体として「HELLO! Lee」と捉え、「ハローリー」の称呼及び「もしもし、リー」の観念をもって取引に当たる場合のあることは否定し得ないとしても、それ以外の場合は、該欧文字部分は本件商標の全体構成に埋没したものとして、即ち、独特の表情を有し個性的に表現された少女の図形における外形的特徴を形づくるものとして認識し把握されるとみるのが相当である。

以上よりすると、本件商標より生ずる称呼は、欧文字部分の全体に相応した「ハローリー」の一連の称呼のみというべきであり、殊更、これより単に「リー」の称呼を生ずるというべき合理的理由はなく、また、その証拠も見出せない。

他方、引用商標は「Lee」の構成文字に相応して「リー」の称呼を生ずること明らかであるから、本件商標は、引用商標と外観、観念においてはもとより、「ハローリー」と「リー」の称呼においても何ら紛れるおそれはなく、したがって、本件商標は引用商標と類似するものではないと判断するのが相当である。

(2)請求人の提出に係る証拠によれば、昭和53年に日本全国におけるジーンズ取扱店のうち有力100店を抽出して行った市場調査で、引用商標の知名度はトップクラスにランクされる(甲第25号証)など、引用商標は、本件商標の登録出願の時には、ジーンズに使用する商標として取引者、需要者の間に広く認識され著名であったものと認められる。

しかしながら、前述のとおり、本件商標は、固有の表情を有する少女の外形的特徴をもって取引に資されるものであって、引用商標とは明白な差異を有しており、誤認、混同を生ずる事由は見出し得ないものというべきであるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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