結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2001−35424(T2001−35424/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4438559号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年7月30日に登録出願、「DEOATAK」の欧文字を標準文字とし、第1類「消臭機能を有する食品添加物(化学品に属するものに限る。),食品用消臭剤」、第3類「せっけん類,香料類,身体用消臭剤,身体用防臭剤,その他の化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用漂白剤,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」、第5類「おしめ用消臭剤,生理用品用消臭剤,家庭用品用消臭剤,防臭剤(身体用のものを除く。),その他の薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙,胸当てパッド」、第30類「消臭機能を有する食品添加物を含有する菓子,その他の菓子及びパン,コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」及び第31類「消臭機能を有する飼料用添加物(但し、医療用添加剤を除く。),消臭機能を有する飼料用添加物を含有する飼料,その他の飼料,あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,うるしの実,コプラ,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,釣り用餌,果実,野菜,糖料作物,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,生花の花輪,飼料用たんぱく」を指定商品として、平成12年12月8日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録第1929596号商標(以下「引用商標」という。)は、「アタック」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和59年2月1日に登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く。)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く。)香料類」を指定商品として、昭和62年1月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類,香料類,身体用消臭剤,身体用防臭剤,その他の化粧品,歯磨き」についての登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次ぎのように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第64号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標と引用商標の構成は前記のとおりであるから、本件商標は「デオアタック」の称呼を、引用商標は「アタック」の称呼を生じる。
しかしながら、本件商標からは「アタック」の称呼も生じる。
まず、本件商標を称呼してみると「デオ」と「アタック」とに音節が分れることが理解される。音節が分れるということは必ずしも全体として常に一連に称呼されるとは限らない。
そのうえ、本件商標の前半部「DEO」はデオドラント製品を想起させる「deodorant」の「DEO」であり、近年、デオドラント製品を意味する商品の商標名の接頭語として普通に使用されている。
ちなみに、「DEODOR(デオドール)」、「デオグリーン」、「デオサンド」、「デオドレス」、「デオフォルム・デオフット」、「デオフレッシュ」及び「デオナチュレ」がデオドラント製品の商標名としてごく普通に採用されている(甲第58号証ないし甲第64号証)。
これらは、いずれもデオドラント製品を想起させるための「DEO」又は「デオ」の使用である。
したがって、全体に一連に称呼されるものであっても「DEO」、「デオ」の自他商品識別標識としての機能は非常に薄い。
引用商標は需要者に広く知られていることは明白であり、広く知られている商標は、強い指標力を有するから、本件商標のように、「デオアタック」の称呼が生じることがあったとしても、需要者の間に広く知られた「アタック」の部分に着目して「アタック」のみの称呼をもって取引されることが少なくない。
以上のことから、本件商標は「アタック」の称呼も生じる。
したがって、本件商標から生ずる「アタック」の称呼と引用商標から生ずる「アタック」の称呼とは同一又は類似であるから、本件商標と引用商標とは称呼上類似の商標である。
また、本件商標に係る指定商品中、「せっけん類、香料類、身体用消臭剤、身体用防臭剤、その他の化粧品、歯磨き」と引用商標に係る指定商品とは、同一又は類似の商品である。
(1)引用商標の周知著名性について
商品「アタック」を販売してまもなくの頃の広告宣伝の広告業務にかけた金額の証明書に示されている昭和62年における8ヶ月ないし9ヶ月の間の広告業務についての金額は16億円を超えている(甲第3号証の1及び甲第4号証)。
昨年1年間の株式会社電通における広告への投入金額は36億円を超える(甲第3号証の2)。
広告宣伝は主としてテレビ、雑誌、新聞を媒体として行っている(甲第5号証ないし甲第44号証)。
そして、該商品は、多くのマスメディアによって賞賛を受けている(甲第45号証ないし甲第53号証)。
このようにして多くの宣伝媒体を通じて、引用商標に係る指定商品に使用する「アタック」は広く世人に知られるようになり、その指標力は極めて強力となった(甲第54号証ないし甲第56号証)。
このような状況を更に具体的に裏付けているのが、日経流通新聞平成9年9月6日付「97年ブランドパワーランキング」である。ブランドパワーの計算方法は、記載されているように知名度、知覚品質、連想、ロイヤルティ等を総合的に計算したものであって、「アタック」はすべての商品中でトップである(甲第57号証)。
以上のことから、引用商標は世人に広く知られた著名商標である。
(2)出所の混同について
本件商標は、全体として「デオアタック」と称呼するものであったとしても、本件商標は一般の需要者や取引者に広く知られた引用商標と同一の称呼「アタック」を含み、かつ、前半部において、「デオドラント」製品であることを示唆する語を結合したものである。
請求人の使用している「アタック」商標は、本件商標に係る指定商品に使用し、著名となっているから、本件商標をその指定商品に使用すると一般の需要者、取引者は請求人の業務に係る商品を表示するものとして有名な「アタック」と同一の文字及び称呼部分に注意を引かれ、デオドラント製品との関係においてその商品の出所を請求人あるいはそれらと何等かの関係にあるものと誤認、混同するおそれがある。
著名な商標は、強い指標力を有するために本件商標のように商標の一構成部分であったとしてもそれ自身の持つ強い出所表示力で独自の出所表示の機能を果すためであり、一般需要者、取引者はすでに馴染み親しんでいる著名商標と同一の称呼部分が出所を表示していると誤認する。
してみると、本件商標は、その指定商品に使用すると請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するか又は同第15号に該当し、その登録は取り消されるべきものである。
商標法第4条第1項第15号について
請求人は、本件商標は「デオアタック」と一連の称呼を生ずるものであっても本件商標は、請求人の業務に係る商品と混同を生ずると主張しているのであるから、本件商標が「DEO」と「ATAK」に分離されるか否かの問題ではない。
本件商標「DEOATAK」が「DEO」と「ATAK」に分離されて、「ATAK」と略称されるという議論は商標法第4条第1項第11号に関するものである。
商標審査基準によれば「他人の著名商標と類似しないと認められる場合又は他人の著名商標と類似していて商品若しくは役務が互いに類似しないと認められる場合において、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれのあるときは原則として本号の規定に該当する。」とされている。
請求人の使用している「アタック」商標は、本件商標に係る指定商品に使用し、著名となっているから、本件商標をその指定商品に使用すると一般の需要者や取引者は請求人又はその関係者の業務に係る商品を表示するものとして理解する。
これらのことを本件商標と引用商標とについて見れば、本件商標は、周知著名な引用商標の称呼「アタック」を含むが故に、両商標が類似ではなくても指定商品を同じくするところから、本件商標の一構成である「アタック」の称呼は、需要者や取引者に強い指標力を与えるものである。たとえば、洗剤について本件商標を使用すれば、需要者や取引者は両商標の同一称呼「アタック」に注意が引かれるのはごく自然の理である。
まして、本件商標の前半部「DEO」は、「デオドラント製品」に普通に使用されていることは明らかであるから尚更である。
つぎに、被請求人は、「アタック」が含まれる商標であっても、全体として非類似、または誤認混同を生じないとされた審決、審理例(乙第28号証及び乙第29号証)を示しているが、乙第28号証は両商標の類否のみを判断して結論を導いたものであり、また、乙第29号証は類否のみの判断に係るものであって、いずれも本件審判事件の商標法第4条第1項第15号における判断の参考とはなり得ない。
してみると、本件商標が、その指定商品中、洗剤についてはもちろん、その他のせっけん類、香料類、身体用消臭剤、身体用防臭剤、その他の化粧品、歯磨きに使用すると出所の混同を生ずることは必至である。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第34号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、造語であり「DEOATAK」の文字を、同書、同大、同間隔に一体的にまとまりよく表してなるものであって、全体より生ずると認められる「デオアタック」の称呼も1音節で淀みなく一連に称呼し得るものである。
「DEO」は、「deodorant」の語頭から続く3文字と同じアルファベットの綴りであることは認めるが、「DEO」が「deodorant」の略称または略語として用いられている事実はない。
現代用語の基礎知識の最新外来語・カタカナ・略語辞典には 「DEO」、「デオ」のいずれも記載がないことから明らかである(乙第1号証)。
また「DEO」が、制臭・消臭を意味する接頭語として用いられている事実もない。さらに「DEO」はいかなる語の接頭語としても用いられている事実もない。英和辞典には「DEO」の項目はなく、接頭語としても記載されていない(乙第2号証)。
(2)請求人が甲第58号証ないし甲第64号証で示された各商標名は、いずれもデオドラント商品以外の商品をも含む指定商品について商標登録されている。
(3)現行第3類ないし旧第4類において、「DEO」または「デオ」の語は他の語と一体不可分に結合されるものであることを審査例をもって裏付ける(乙第10号証の1ないし乙第14号証の1)。
以上のように、「DEO」または「デオ」は本件指定商品との関係において、結合される他の語と一体となって、自他商品識別力が発揮されるものであって、「DEO」または「デオ」部分が他の語と分離するものではないことが、審査例から明らかであり、取引界においても「DEO」または「デオ」部分が他の語と分離するものではないことが明らかである。
(4)本件商標は「DEO」と「ATAK」とに分離されない一体に結合された商標であるから、「アタック」と略称されることはなく、「アタック」の称呼が生じることもない。
このことは「アタック」に係る過去の異議の審理例を見ても裏付けられる(乙第28号証及び乙第29号証)。
本件商標は「DEOATAK」の構成文字中「ATAK」の文字部分のみが独立した標識部分として認識されるものではない。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「デオアタック」の称呼のみを生じ、一体不可分の造語よりなるものと認識し把握されるものである。
そして、本件商標と引用商標とは、その外観及び観念において類似するものでもない。
(1)「アタック」商標の周知性について
「アタック」がバイオ洗浄成分を配合した洗剤に使用されており、その商品との関係で周知である点については認否を保留する。
(2)出所混同性について
本件商標は「DEOATAK」として一体不可分の商標である。本件商標中の「DEO」部分は、「ATAK」と分離しなければならない理由はなく、デオドラント商品の意味合いを有する語でもないので、「ATAK」と略称されることもない。
さらに、「アタック」商標が「洗剤」において周知著名商標であるとしても、他に混同を生ずるとすべき特別の事情はない。
したがって、本件商標をその指定商品中、請求に係る商品に使用する場合、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではない。
商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、引用商標である片仮名文字の「アタック」を一部に有する結合商標ではない。片仮名文字の「アタック」が周知・著名商標であるとしても、本件商標が片仮名文字の「アタック」を一部に有する商標でないことは明らかである。
請求人は、著名商標との関連で審査基準を引用しているが、それらは引用商標の「称呼」を一部に有する商標についての審査基準ではない。
次に、引用商標は、既成語からなるものである。広辞苑(第5版)によると、「アタック(attack)」は「攻めること。攻撃。襲撃。登山で、登りにくい山岳へ挑戦すること。・・・」と記載されており、我が国で広く親しまれ日常使用される語である。
このように引用商標は、既成語であって、創造された造語商標ではなく、その語と同じ発音が含まれているだけでは、出所混同を生じるおそれが具体的に存在するものとはいえない。
本件商標は「DEO」部分と「ATAK」部分とに分離する理由はなく、「DEOATAK」と一体に結合した商標であって、僅か6音構成で「デオアタック」と一連に淀みなく一気に発音されるものである。
したがって、聴者は「アタック」部分を「デオ」と分離して強く印象づけられることはなく、「デオアタック」としてのみ聴取するものであって、「アタック」商標とは称呼上の混同を生ずる虞れがない。
また、第3類の商標登録例を見ると「サンアタック/SUNATAC」(旧4類)、「アタックメイト/ATTACKMATE」(旧4類)、「パインアタック/PINEATTACK」(旧4類)、「ヒューモアタック/Humoattack」(3類)及び「アタックリン/あたっくりん」(3類)の登録例がある(乙第30号証ないし乙第34号証)。
このように、引用商標と同じ「アタック」の文字を一部に有する上記の登録商標は、本件商標の指定商品に係る取引界において、出所の混同を生じることなく、使用されている事実は被請求人の主張を裏付けるものである。
本件商標は、「DEOATAK」の文字を一連一体不可分にまとまりよく表示してなるものであって、全体として特定の意味を有しない造語よりなるものと認められる。
この点において、請求人は、本件商標の前半部「DEO」の文字部分はデオドラント製品を想起させる「deodorant」の「DEO」であり、近年、デオドラント製品を意味する商品の商標名の接頭語として普通に使用されている。したがって、全体に一連に称呼されるものであっても「DEO」、「デオ」の自他商品識別標識としての機能は非常に薄い、旨主張している。 しかしながら、前半部に位置する「DEO」の文字が「deodorant」の略称又は略語として普通に使用されている事実は見あたらないばかりでなく、後半部に位置する「ATAK」の文字も特定の意味を有する語ではないことからすれば、本件商標は「DEO」と「ATAK」の文字部分に分離観察してみなければならない特段の理由はなく、前記したとおり、全体として特定の意味を有しない造語よりなるものと認識、理解されるものというのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、「DEOATAK」の文字に相応し「デオアタック」の称呼のみを生ずるものであり、その称呼も淀みなく一連に称呼し得るものである。
他方、引用商標は、「アタック」の文字に相応し「アタック」の称呼を生ずること明らかである。
そうして、本件商標より生ずる「デオアタック」の称呼と引用商標より生ずる「アタック」の称呼とは、語頭部において「デオ」の音の有無の差異を有するものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するとしても、互いに聴別し得るものである。また、本件商標は、前記したとおり造語よりなるものであるから、観念においては比較することができないし、その外観においても区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標といわざるを得ない。
請求人が「アタック」の文字よりなる商標の周知著名を立証する証拠として提出された各甲号証に徴すれば、「アタック」は、請求人が商品「洗剤」に使用した結果、広く知られ周知著名であることが認められる。
しかして、本件商標は、「DEO」の文字部分と「ATAK」の文字部分とに分離観察してみなければならない特段の理由がないことは、前記、1で判断したとおりである。
また、「アタック」が商品「洗剤」について使用され周知著名に至っているとしても、本件商標は、「アタック」の文字を一部に有するものではなく、本件商標より生ずる全体の称呼の一部に「アタック」を有するものであり、「デオアタック」の全体の称呼より、「アタック」が強く印象づけられることはないものというのが相当である。
してみれば、本件商標と「アタック」商標とは、別異の商標と認識、理解されるものであり、本件商標から請求人の著名商標「アタック」を想起、連想するものということはできない。
そうとすれば、本件商標を請求に係る指定商品に使用しても、これに接する需要者、取引者はその商品が請求人の業務に係るものであるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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