Trademark Appeal Case
脂肪酸バランスの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第19960号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「脂肪酸バランス」の文字を標準文字で書してなり、第29類「食用油脂」を指定商品として、平成10年8月18日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、バランスよく脂肪酸が配分されている商品であることを認識させる『脂肪酸バランス』の文字を表してなるから、これを本願指定商品に使用するときは、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「脂肪酸コントロール」の文字を書してなるところ、前半部分の「脂肪酸」の文字は、「炭素原子が鎖状に結合したモノカルボン酸の総称。酢酸・パルミチン酸・ステアリン酸・オレイン酸などの類。高位のものはグリセリン‐エステルとして脂肪を構成、またアルコール‐エステルすなわち蝋として存在する。低位のものも遊離酸・塩・エステルとして広く生物界に分布。生体内で、トリカルボン酸回路で酸化されエネルギー源とされる。」(広辞苑第五版:株式会社岩波書店)の意味を有し、一般的には油脂を構成する主成分と理解されている。
そして、脂肪酸は、その構造によって飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に分類され、これらの脂肪酸をバランス良く摂取することが大切であるとされている。
ところで、植物油等には、リノール酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸が多く含まれていて、これらがコレステロール、中性脂肪の増減等に関連していることが知られているところであるが、近年の健康ブームから、健康食品として肥満の予防、生活習慣病の予防につながる機能性を持った商品が食用油脂においても開発、販売されているところである。
また、後半部分の「バランス」の文字は、「つりあい、均衡」(広辞苑第五版:株式会社岩波書店)等の意味を有するものとして日常親しまれているものであり、厚生省等の食生活指針によれば、「脂肪」摂取の「バランス」について「脂肪のとりすぎをやめ、動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとりましょう。」とされている。
さらに、「脂肪酸バランス」の文字は、新聞記事によれば「・・酸化を防ぐビタミンEやコレステロールを減らしやすい成分を含んだり、
脂肪酸バランスを考えた商品
もあります。これらは特別な手法や、いろいろな植物油を配合して作られています。」(【おいしい栄養学】植物性油脂 偏らず、油脂のバランスが大切 2001.5.15産経新聞東京朝刊)、「・・今年3月からは、コレステロールを低下させる作用が注目されている紅麹のエキスを加えた・・を新発売、健康オイルの三つの要素、
脂肪酸バランス
、コレステロール低下、ローカロリーの内の二つを揃えた。」(健康オイル特集:メーカー動向=ホーネンコーポレーション 2001.7.27日本食糧新聞)、「・・健康オイルには、体脂肪にならない『ローカロリー』、
脂肪酸バランスに配慮
した『バランス』、ビタミンを配合した『ビタミンE入り』、コレステロールを引き下げる「コレステロール」の各種類がある。」(健康オイル、01年度見通し35%増へ、コレステロール低減型が急伸2002.3.15化学工業日報)等と記載されている。
してみれば、食品との関係において「脂肪酸バランス」の文字の全体からは、例えば「脂肪酸の成分をバランスよく配合した商品」等の意味合いを容易に認識するものというのが相当である。
そうとすると、本願商標をその指定商品に使用した場合、上記実情からして、これに接する取引者、需要者は、その商品が「脂肪酸の成分をバランスよく配合した食用油脂」であると認識し、商品の品質を表示したものと理解するにとどまるものであるから、本願商標は、結局、商品の品質を表示したものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当であって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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