Trademark Appeal Case
著名商標の登録可否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2000−91095(T2000−91095/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4400365号商標(以下「本件商標」という。)は、平成11年9月17日に登録出願され、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、商品の区分第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年7月14日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の異議理由
(1)本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号同第19号に該当するものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号に基づき取り消しを免れないものである。
(2)「BEATLES」と申立人について
「BEATLES」なる語は造語で、英国リバープール」出身の「John Lennon(ジヨン・レノン)」、「PauI McCartney(ポール・マッカートニー)」、「George Harrison(ジョージ・ハリソン)」及び「Ringo Starr(リンゴ・スター)」の4人からなるイギリスのロックグループの名称であることは世界的に周知である。すなわち、この「BEATLES」というグループ名は、彼らが演奏する音楽がロック調の強いリズム感をもつものであるところから、「強いリズム感」を意味する英語「beat」と、昆虫の「かぶと虫」を意味する英語「beetle」をかけ合わせて「beatle」とし、4人編成のグループであるので、これを複数形として「BEATLES」にしたものであることは良く知られているところである。この造語は、のちに世界中の辞典類、わが国では英和辞典の殆どに掲載されるほどに、世界的に認知されることになる(甲第2号証、同第3号証、同第4号証、同第5号証、同第7号証)。
このロックグループは、1962年10月のレコードデビュー以来1970年に解散するまでに数多くのヒット曲を放ち、史上最高のロックグループとして世界的人気を得て、その影響は単にポピュラー音楽界のみにとどまらず、風俗、文化思想面にまで及ぼした事実は、甲第4号証「コンサイス外国人名辞典」のみなちず甲第5号証「新明解百科語辞典」、甲第18号証「高等学校教育におけるビ−トルズ」に掲載されている程に周知されているものであり、「20世紀を代表するグループ」と呼ばれるだけでなく、「人類の遺産」とまで形容されるほどの存在であって(甲第6号証ーp.6)、我が国においては定冠詞(the)を省き、単に「ビートルズ」と指称されているものである(以下単に「ビートルズ」という。)。
その8年に及ぶ活動の前半は、コンサ−ト活動を中心とするポップアイドルとしてのものである。1966年8月のコンサートを最後にライブ活動に終止符を打った後は、レコーディング・ア−ティストとしての活動が続く(甲第6号証ーp.6〜16)。
受賞した数々の賞、ヒットチャート入り等の商業的成功については甲第7号証(p.367〜369、371〜374)に詳しいが、1962年のレコードデビユー以来1966年までの売上高の概算は合計8千万ポンド(800億円)を下らない(甲第8号証)とされており、外貨獲得の功が評価され、1965年英国女王から勲章が贈られたことは良く知られている(甲第6号証ーp.12)。ライブ活動、レコーディング活動に続く「ビートルズ」の第三の活動は映像作品の制作である。「ビートルズ」自身が出演した映画である「ビートルズ」がやってくる「ヤァヤァヤア!」、「ヘルプ!4人はアイドル」、「マジカル・ミステリー・ツアー」及び「レット・イット・ビ−」の4作に加え、「ビートルズ」がアニメの主役として登場する「イエロー・サブマリン」がある。さらに、「ビートルズ」を伝える媒体はサウンドだけではなく、ライブコンサート、TV番組出演時のフィルム、記者会見やファンの熱狂を伝えるニュース映像を編集したビデオ及びLDも数多く存在し、現在も入手可能である(甲第6号証ーp.289〜311)。
日本における「ビートルズ」人気の具体的事実のー例としては、1966年(昭和41年)6月29日「ビートルズ」来日、6月30日から7月2日まで日本武道館において5万人の若者を動員してロックコンサートが開催され、日本中に大きな話題を巻き起こしたこと。1964年半ばには「ビートルズ」は完全に世界的な広がりを持つ社会現象」(甲第9号証ーp.15)となっており、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ各国、香港、オセアニア等の地域においては日本公演以前に既にコンサートが行われていただけに、日本のファンにとっては積年の念願であった来日及び日本公演はまさに騒動劇と言うべきものを巻き起こしたのであった(甲第8号証、甲9号証ーP.146〜147及び甲第10号証)。
さらに別の例として、1968年9月28日には、「ビートルズ」主演の映画「マジカル・ミステリー・ツアー」が日本武道館にて上映、その入場券を求める応募が殺到する程に若者たちに圧倒的人気が存在していた事実は甲第8号証に掲載のとおりである。ロックグループとしての「ビートルズ」の活動は、その解散により1970年に幕を閉じ、ファンが夢見た再結成も実現することなく、解散後既に四半世紀以上が経過した訳だが、この時間の経過によってビートルズが過去の遺物になったかと言えば大間違いで、現在も脈々と「ビートルズ」を愛する人たちの中に生きていて(甲第11号証、同第12号証、同第13号証、同第14号証)、「ビートルズ」は未来永劫不滅なのである。すなわち、「ビートルズ」のメンバーは、グループとして共に演奏することはないとしても、「ビートルズ」の名声に基づいて、レコーディング及び世界的規模の商品化事業等が現在も行われているのである。
まず、1991年にはアルバムの再版再発売とCD化が始まり(甲第15号証ーp.191)、1995年11月21日には、グループ解散後25年ぶりの新CDアルバム「アンソロジー1」が発売され(日本発売は翌22日)(甲第16号証)、発売後1ヶ月で全世界で700万枚と爆発的に売れ(日本においてもオリコンの総合チャートで第3位、洋楽チャートでは第1位)(甲第6号証ーp.45)、同年12月31日には、NHKの紅白歌合戦の裏番組として、特別番組「ザ・ビートルズ・アンソロジー」がテレビ朝日系列の全国ネットで放映され、3.3%の視聴率を獲得(甲第17号証)、翌1996年3月には「アンソロジー2」、同年10月には「アンソロジー3」が相次いで発売され、それぞれ好評を博したことは記憶に新しい。「アンソロジー」の販売枚数は、遂に合計2000万枚を突破し、「ビートルズ」自身が持っていた年間最多販売記録を更新した(甲第6号証‐ pp.46〜49)。この、サウンド版CD「アンソロジー」3部作の発売を機に、映像版「アンソロジー」(ビデオ及びLD)が発売され、廃盤になっていた「ビートルズ」の映像作品も続々と再版再発売又はLD化されたこと(甲第6号証ーp.289〜311)、一方では、中学校や高等学校の教科書において、従来からの音楽、英語だけでなく社会科においても「ビートルズ」が取り上げられているものが少なくないという事実(甲第18号証)、「ビートルズ」あるいはそのメンバーに関するラジオ番組、テレビ番組が現在も数多く放送、放映されているという事実(甲第19号証、同第20号証、同第21号証)、又、甲第9号証「ビ−トルズ王国〈4人の歴史〉」(1993年1月6日改定文庫版発行)、甲第7号証「もっとビートルズ!」(1992年10月5日発行)、甲第10号証「ビートルズの軌跡」(1994年11月28日第4版発行)、甲第8号証「ビ−トルズ現役時代」(1989年7月1日改定1版発行)、甲第15号証「ビートルズ&アップル・マテリアル」(1992年10月20日発行)及び甲第6号証「ビートルズ」(1997年3月1日初版発行)等の書籍が現在も出版され、愛読されている事実、また、1997年には、英国の大英博物館の協力を得て「ビートルズ博覧会‘97」(甲第22号証)が石川県で開催された事実等によるも、「ビートルズ」が、ー方では歴史的存在として、他方では歴史を超えた今日的な存在として現在も生き続けていることは充分証左し得るものである。
(3)本件申立人である「アップル・コープス・リミテッド」は「ビートルズ」のメンバーにより1968年に設立された会社で、周知著名な芸名である「ビートルズ」に由来する商標の権利を世界各国において取得し、これを管理し、これに基づいて世界的規模の商品化事業を行っているものである。この商品化事業は、「Tシャツ、ジャケット、帽子、衣服類、キーリング、バッジ、時計、装身具、貯金箱、ポスター、カレンダー、壁掛け、ライター」等の商品について行われているが、さらに多岐にわたる商品について商品化を企画している。
甲第23号証は、松下電器産業株式会社が行っているインターネット上のショッピングモールで販売されている「ビートルズ」関連のライセンス商品カタログで、特に、登録商標「THE BEATLES」の下部及び右側に「THE BEATLES OFF1CIAL COLLECTION(ビートルズ正式コレクション)」の次に「Beatles product licensed by Apple Corps Limited(アップル・コープス・リミテッドによりライセンスされた「ビートルズ」商品)」及び「“Beatles”,”Apple’’,and the Apple logo are trademarks of Apple Corps Limited(”Beatles”,”Apple”及びりんごのマークはアップル・コーブス・リミテッドの商標です)」との記載事実。甲第24号証は、「ビートルズ」関連商品を販売している店舗の案内、甲第25号証は、カナダにおける「ビートルズ」関連商品の販売カタログである。
本件申立人は、前述したとおり、「ビートルズ」の作品に係る著作権及び名声に基づく商品化事業を全世界的規模で行うためこ、わが国においても甲第26号証及び甲第47号証に挙げる商標登録を所有するものである。
上記商標は、いずれも「ビートルズ」の芸名を欧文字で表したもので語頭文字「B」をやや大きく、中間の「T」の文字の縦の線の下部をやや下方に伸ばしてイラスト化して書してなる「BEATLES」の欧文字の上部中央に、該「BEATLES」の文字より、かなり小さく書してなる英語の定冠詞「THE」を配してなるものである。この商標は、前項で述べた著名な芸名「ビートルズ」を商品について使用するに際して商標として表わしたものであって「ザ・ビートルズ」および「ビートルズ」の称呼を生ずるものであることは、多言を要するまでもないところである。
(4) 商標法第4条第1項第11号について
前述したように、本件商標は、上部に欧文字筆記体で「Dougie Millngs&Son」を左横書きし、その下部に普通の欧文字書体で「(ORIGINAL BEATLES TAILOR)Ltd」を左横書きし、黒く塗りつぶした長方形内に白抜きで表してなり、その長方形の下方に、上部に「Dougie Millings&Son」下部に「(ORIGINAL BEATLES TAILOR)Ltd」と欧文字活字体で書して構成してなるものであって、長方形内の白抜き文字及び同長方形の下部に配置されている文字は、筆記体、白抜きの相違はあるものの実質的には殆ど同一のもので、本件商標権者の商号であることは明らかである。これをさらに分析して考察するに、上部の「Dougie Millings&Son」は商標権者の商号の一部であって、「ダギーミリングスアンドサン」と称呼されるものであるが、下部の「(ORIGINAL BEATLES TAILOR)Ltd」 は、「オリジナルビートルズテーラーリミテッド」と称呼され前記商号を加えて説明するものであり、特に、カッコ内の文字「ORIGINAL BEATLES TAILOR」について、これは「オリジナルビートルズテーラー」と称呼されるものであるが、その意味するところは「最初のビートルズのテーラー」ということであって、すなわち、「本件商標権者の会社は、ビートルズのメンバーが着ていた洋服を最初に仕立てたお店」なのであるということ本件商標の看者に認識させようと意図しているものである。このように見ると、この文中の「BEATLES」なる語は本件商標にあって、非常に重要な意味を持つものであり、中枢ともいうべきものである。したがって、本件商標は、前項で述べた本件申立人所有に係る商標登録の中、登録第2233979号商標(甲第30号証及び甲第31号証)、第2603891号商標(甲第38号証及び甲第39号証)、第2603892号商標(甲第40号証及び甲第41号証)及び第2712798号商標(甲第46号証及び甲第47号証)と同一又は類似であって、それらの商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(5)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件申立人は、さきに述べたように、「ビートルズ」の作品に係る著作権及び名声に基づく商品化を世界的規模で行うために「ビートルズ」のメンバーにより、設立された会社で、これにより、「THE BEATLES」「BEATLES」なる商標は、各種商品について世界的規模で使用されており、「THE BEATLES」「BEATLES」「ビートルズ」と言えば、本件申立人又はライセンシーによって販売されている「ビートルズ」の名声に基づく商標を付した商品を指称するものとして、世界各国において需要者間において広く認識されているものである(甲第23号証、甲第24号証、甲第25号証)。
したがって、本件商標は、「BEATLES」の文字を包含するものであるから、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一又はこれに極めて類似するものであって、その指定商品又は類似の商品について使用をするものであり、かつ、本件異議申立人又はそのライセンシーに係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するものといつべきである。
3 当審の取り消し理由(要旨)
申立人提出の証拠によれば、申立人は英国のロックグループとして著名な「BEATLES(ビートルズ)」のメンバーにより設立され 「ビートルズ」に由来する商標、別掲(2)に表示したとおりの商標(以下「引用商標」という。)の権利を各国で取得し、「レコード、Tシャツ、ジャケット、帽子、衣服類、キーリング、バッジ、時計、装身具、貯金箱、ポスター、カレンダー、壁掛け、ライター」等の商品について、世界的規模で商品化事業を行っている企業と認められる。
ところで、「BEATLES(ビートルズ)」は、わが国においても、英国のロックグループとして著名であり、その名前に由来する「BEATLES(ビートルズ)」の商標が付された「レコード、Tシャツ、ジャケット、バッジ、ポスター、カレンダー」等が、上記「BEATLES(ビートルズ)」の関係者によって販売されているところである。
そうとすれば、その構成中に「BEATLES」の文字を有する本件商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有するもの、若しくは何らかのライセンシーを得ている者の商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
当審では、平成13年5月9日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記3.の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標登録はこの取消理由によって取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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