Trademark Appeal Case
POLO商標の混同類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第17412号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に表示したとおりの構成からなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(靴合わせくぎ、靴くぎ、靴の引き手、靴びょう、靴保護金具を除く),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(乗馬靴を除く),乗馬靴」を指定商品とし、平成6年8年24日に商標登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、登録異議の申立があった結果、「登録異議申立人は、同人が引用する商標(『POLO』『Polo』および『競技中のポロプレーヤーの図形』よりなる各商標)を、被服その他のファッション関連商品について永年使用し、該商標が同人の取り扱う商品を表すものとして、わが国においても、本願商標の出願時には取引者、需要者間に広く認識されるに至っていることが認められる。他方、本願商標の構成は別紙に表示する構成よりなるものであるところ、一見して、中央部円形内に大きく表された図形が人目を惹くが、該図形は、ポロ競技用のスティックをかざした馬上のプレーヤーが、明確に描かれており、これが登録異議申立人が引用する『競技中のポロプレーヤーの図形』とは、たとえ両者を仔細に比較した場合においては差異があるとしても、馬とポロスティックという組み合わせが、その着想を同じくする特徴あるものであるから、本願商標は、この図形の下方に表した欧文字中に、『POLO』の文字を含むこととも相まって、商標全体のイメージが、登録異議申立人の引用する商標を連想するほど相似たものというべきである。してみれば、ポロ競技用のスティックを持ったプレーヤーの図形を顕著に表した構成からなり、しかも『POLO』の文字をも含む本願商標を、その指定商品に使用した場合、取引者、需要者は、これより直ちに、上記のごとく著名な登録異議申立人あるいは同人と何らかの関連がある者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
(1)日本国内及び海外の辞書、事典を調査したところ、全て「POLO」は「スポーツ名」としか記載されておらず、「ラルフ・ローレン」のことは一切記載されていない。「POLO」はスポーツ名にすぎない。
世界中の人に以上の明確な共通認識があるのに、一部のブランド好きの人種の、一時的流行を恰も全国民的認識であるように錯覚するのは、一営業企業の宣伝活動に乗せられた結果である。
(2)「シャネル」は日本を代表する辞書類には必ず記載があり、又「名前」や「ブランド」自体が本人の努力の結果によって日本人に浸透している。
「POLO」は世界中の辞書類に「ラルフ・ローレン」との関係の記述はない。
然るに「POLO」をもって「ラルフ・ローレン」と結びつけ、また「POLO」との合成語の全ての商標が「ラルフ・ローレン」のものと決めつけることはできない。
(3)「POLO」の商標のみに独占的地位を与える事は国益に叶うとは思えず、不正競争防止法の観点からも問題がある。
4 当審の判断
(1)「POLO」の周知性について
(株)講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケッテング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出、服飾業界の名誉ある賞、「コテイ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞。1974年の映画「華麗なるギャツビー」の主演ロバート・レッドフオードの衣装デザインを担当、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界等において広く知られるようになり、そのデザインに係る商品には「POLO」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形からなる各商標(以下、一括して「引用商標」という。)が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/POLO」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」、前出「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月発行)、「世界の一流品大図鑑’80版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前出「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年6月発行「流行ブランド図鑑」に、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80版」、「ファッション・ブランド年鑑’80版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」に「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
他にこれを覆すに足りる証拠はない。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「Polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した東京高等裁判所の判決(平成2年(行ケ)183号、平成3年7月H日判決言渡)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くても昭和55年頃までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして引用商標が取引者、需用者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)本願商標は、別紙表示のとおりであって、円形図形下方に横書きしてなる「ELDORADO POLO CLUB」の文字部分も独立して出所表示の機能を果たすものである。
そして、その文字構成は、「南米の北部にあると信じられた黄金郷」の意味を表す「ELDORADO」、ポロ(競技)の意味を表す「POLO」及び「共通の趣味、職業などをもつ人々の社交団体」の意味の他「ゴルフ、ホッケー、ポロなどの球を打つ棒」(講談社[カラー版]日本語大辞典)等の意味を表す「CLUB」の各既成語よりなることは明らかであって、これらの語を組み合わせた構成全体としては特定の意味合いを看取させるものではなく、また特定の団体を表示するものとして広く知られているものともいえないから、このような構成にあっては、せいぜいポロ(競技)に関連した何かの事柄を表したものとして認識、理解されるに止まり、「POLO」を含むものとして印象に残るものである。
請求人は、本願商標が団体の名称を表したものであり、また、「POLO」は、スポーツ名にすぎず、ラルフ・ローレンの事は辞書に記載されていない旨主張しているが、語源や採択の意図が何であれ、それを商標として採択し、使用したときに需要者がどのように認識し印象づけられるかとの観点からみれば、本願商標、引用商標は、それぞれ前記したとおりであるから、その主張は、認められない。
なお、小学館「ランダムハウス英和大辞典」(1998年1月10日発行)、研究社「英和商品名辞典」(1990年発行)によれば、「Polo」の見出しの下に、ラルフ・ローレンに関する記載があることが認められる。
そうとすると、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは共にファッション関連商品といえるものであるから、本願商標をその指定商品に使用した場合には、前記実情からして、これに接する取引者、需要者は、その構成文字中のrPOLO」に注目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る「Polo」の標章を連想・想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
(3)以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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