結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−30009(T2001−30009/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第2240340号商標(以下「本件商標」という。)は、「ヒット」の文字を書してなり、昭和57年12月17日に登録出願、第11類「電気通信機械器具、民生用電気機械器具、電子応用機械器具」を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録、その後、平成12年7月4日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
(1)本件商標は、その指定商品中「電子応用機械器具」については、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条の規定によりその登録は取り消されるべきである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)通常使用権者について
被請求人は、「光通信株式会社」が本商標権の通常使用権者である旨主張しているが、その事実を証する証拠を何ら提出しておらず、「光通信株式会社」が通常使用権者である事実は証明されていない。
また、被請求人は、「光通信株式会社」が通常使用権者で、「光通信株式会社」が本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「電子応用機械器具」に使用していると主張しているが、乙第1ないし第4号証に示されているのは「株式会社光通信」であり、被請求人が通常使用権者と主張する「光通信株式会社」とは相違する。
(イ)本件商標と標章「HIT」との関係について
被請求人は、本件商標と標章「HIT」 は社会通念上同一の商標であると主張しているが、国語辞典及び英和辞典によれば、カタカナ表示されたものと、ローマ字表示されたものとは、必ずしも観念が一致しない。したがって、本件商標と標章「HIT」は、観念が同一でないので、社会通念上同一の商標であるということはできない。
(ウ)乙第1及び第2号証について
乙第1及び第2号証によっては、以下のとおり、通常使用権者が本件商標を使用しているとは認められない。
(a)乙第1号証によると、株式会社光通信が、特殊な書体で一連に表わされている「HIT SHOP」なる標章を、店舗名に使用し、営業を展開していることが見受けられるが、該標章は、「HIT」と「SHOP」に分離されるものではなく、一体不可分の関係にある。「HIT SHOP」の標章には、片仮名で「ヒットショップ」と振り仮名が付され、「ヒットショップ」のみが自然な称呼ということができるものであり、店舗名としても、「ヒット」という呼び名でなく「ヒットショップ」の呼び名が用いられており、一体不可分な標章ということができる。
よって、乙第1号証に示されている標章は、特殊な書体で一連に表示されている「HIT SHOP」、または、それと「ヒットショップ」が結合されてなるものであり、これらは、本件商標とは外観、観念、称呼において非類似で、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできないから、本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているということはできない。
加えて、その「HIT SHOP」又は「ヒットショップ」の標章は、株式会社光通信の単なる店舗の表示にすぎないものであり、そのほかに、指定商品「電子応用機械器具」に使用している事実は示されていない。
(b)乙第1及び第2号証によると、株式会社光通信が店舗名に、特殊な書体で一連に表わしてなる「HIT SHOP」なる標章を使用し、営業を展開しているが、店舗名として、「ヒット」という呼び名でなく「ヒットショップ」なる呼び名が用いられていることからも、「HITショップ」の標章は一体不可分な標章ということができる。
そうすると、乙第2号証に示されている標章は、一体不可分に「HITショップ」と表されたものであり、本件商標とは外観、観念、称呼においても非類似で、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできないから、本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているということはできない。
(c)被請求人は、乙第2号証に示されている「HITショップ」を商標の使用と主張しているが、それは、単なる問い合わせ先の一つとして「HITショップ」を示しているに過ぎず、商品の販売等に使用している事実を示すものではない。
また、料金コースについての記載は、株式会社光通信グループが、「テレビでインターネットを見ることができるようにする」という役務を提供することについての料金を表示したものである。
したがって、「テレビでインターネットを見ることができるようにする」という役務の提供であり、それに用いられる装置は、サービスを供するために使用されるものであって、商品であるということはできない。また、役務の提供に付随して販売されるのであれば、役務の提供に付随する商品であり、独立した商品ということはできない。
(エ)乙第3及び第4号証について
乙第3及び第4号証によっては、以下のとおり、本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「電子応用機械器具」に使用しているということはできない。
(a)乙第3及び第4号証に示されている標章は、欧文字よりなる「HitPC」と片仮名よりなる「ヒットピーシー」が結合された標章であるが、常に「ヒットピーシー/HitPC」として一連に2段表記されていることから、「ヒットピーシー」と「HitPC」に分離されるものではなく、一体不可分の関係にある。また、「ヒットピーシー/HitPC」の標章中の「ヒットピーシー」は、「HitPC」の自然な称呼で、一体不可分な標章であり、ここから「HIT」のみを分離するのは不自然で合理的根拠がない。
そうすると、乙第3及び第4号証に示されている標章は、「ヒットピーシー/HitPC」と一連に2段表記してなり、本件商標とは外観、観念、称呼において非類似で、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできないから、本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているということはできない。
(b)乙第3号証に示されている標章「ヒットピーシー/HitPC」は、「株式会社バーテックスリンク」と「デルコンピュータ株式会社」が提供する「PC購入サービス」に使用されているにすぎない。また、「株式会社光通信」は、当該「PC購入サービス」の提供を媒介するにすぎない。どちらも、商品の販売ではなく、役務の提供に使用されるものである。
乙第3号証によると、「PC購入サービス」とは、「申込者が『HitPCご利用申込書』を提出し、PCを導入し、サービス提供者が『ご利用料金』を請求する」サービスである。
さらに、「ご利用料金」という記載があるが、これは、役務の提供に対する料金を表示したものである。
したがって、「PC購入サービス」という役務の提供であり、それに用いられる装置は、サービスを供するために使用されるものであり、商品ということはできない。また、その役務の提供に付随して販売されるのであれば、役務の提供に付随する商品であり、独立した商品ということはできない。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、その証拠方法として、乙第1ないし第4号証を提出した。
(1)本件商標の使用の事実を示す資料として、まず、カタログ「一人ひとりがオーナーです」(乙第1号証)を提出する。かかる資料は、通常使用権者である光通信株式会社が「ヒットショップ」なる店舗を展開している事実を示す資料であり、その記載内容からして、当該店舗において本件商標が使用されていること明らかである。ここで通常使用権者が使用している商標「HIT」は、片仮名の態様からなる本件商標と、文字の表示をローマ字に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標であり、本件商標とは社会通念上の同一商標である。
次に、通常使用権者が請求に係る指定商品「電子応用機械器具」について使用している事実を示すべく、カタログ「Web TV PLUSの世界へようこそ」(乙第2号証)を提出する。かかる資料は、テレビでインターネットを見るためのターミナル機器を「ヒットショップ」で販売していたことを示す。
当該ターミナル機器は、通常のテレビ受信機にインターネット上のホームページの画像を再生することができる機器であり、性質上、電子計算機と同等の機能を有していることから「電子応用機械器具」に含まれる。
また、乙第2号証のカタログは、通常使用権者が1999年4月に本件商標を使用していた事実を示す。
これらにより、本件商標が過去3年以内に「電子応用機械器具」に使用されていることは明らかである。
(2)さらに、本件商標の使用事実を裏付ける資料として、カタログ「HitPC」(乙第3号証)を提出する。当該カタログにより、通常使用権者が本件商標を「電子応用機械器具」に属する商品「パーソナルコンピューター(PC)」に使用していること明らかである。
また、通常使用権者が、2000年4月に上記商標を使用していた事実を示すべく、「月間ヒットビジネス 2000年4月プレ創刊号」(乙第4号証)を提出する。当該書面の記載から、2000年4月に商標「Hit」を使用していたこと明らかである。
(1)被請求人は、通常使用権者である「光通信株式会社」が本件商標の使用をしていると主張し、同人による本件商標の使用を証するものとして、乙第1ないし第4号証を提出しているところ、まず、乙各号証に示された商標の使用者をみるに、乙第1号証の4枚目には「株式会社光通信」との会社名の記載、乙第2号証の1枚目には「株式会社光通信グループ」との名称の記載、また、乙第3号証の4枚目には「株式会社光通信」との会社名の記載があるものの、この会社名は、被請求人主張の会社名とは異なるものである。なお、乙第4号証についても、1枚目の右下に「取材協力:光通信」の記載、3枚目の下方の「コラム」の欄に「・・・総合ネットワークサービスのひとつとして、光通信及び他のeパートナーの連携により・・・」の記載があるほか、3枚目の右上方に、問い合わせ・申し込み先として、乙第3号証と同じ電話番号、Emailのアドレス及びURLが記載されていることからすると、具体的会社名の記載はないとしても、少なくとも、乙第3号証に係る会社と同じ会社に関するものといえることから、結局、被請求人主張の会社名とは異なるといわざるを得ない。
そして、この点に関しては、請求人も前記2(2)(ア)のとおり弁駁しているところ、当審において、被請求人に該弁駁書を送付して、所定の期間内に答弁するように求めたにもかかわらず、被請求人は、該弁駁に対し何ら答弁するところがなかった。しかも、いずれの名称の会社についても、本件商標について通常使用権を許諾した旨を証する証拠の提出はない。
そうすると、仮に、乙各号証が、本件商標を取消請求に係る指定商品に使用していることを証するものであったとしても、それを本件商標の通常使用権者による使用と認めることはできない。
(2)次に、乙各号証における商標及びその商品についての使用状況をみるに、乙第1号証は、「ヒットショップ(HIT SHOP)」なる店舗に係るカタログの写しと認められるところ、同カタログ中の「HIT SHOP」(二段書きのものを含む。)や「ヒットショップ」の文字は、「SHOP(ショップ)」の文字が「店、商店、小売店」を意味する語として親しまれていることからすると、「HIT SHOP」及び「ヒットショップ」の各文字の全体をもって店名として認識されるとみるのが相当であるから、これをもって、本件商標「ヒット」が自他商品を識別する標識として表示されているということはできない。
また、同カタログ中には、「・・・ほとんどの携帯・PHSを取り扱っていますので・・・」、「HIT SHOPの舞台となるのは、情報・通信業界です。この業界で携帯電話・PHSを主力商品として扱っており・・・」の記載、さらには、携帯電話・PHSの商品を並べた店舗の写真や「携帯電話・PHS」の文字を表した看板を掲げた店舗の写真が掲載されていることからすると、このカタログは、商品である携帯電話やPHSの広告・宣伝ということはできるが、本件の取消請求に係る指定商品である「電子応用機械器具」の広告・宣伝であることを窺わせる表示は見出すことができない。
したがって、同カタログ中に、「HIT SHOP」や「ヒットショップ」の文字のほかに、「HIT」の文字と図形をあしらったと思しき看板を掲げた店舗の写真が掲載されており、仮に、該「HIT」の文字が本件商標と社会通念上同一ということができるとしても、この証拠をもって、本件商標を取消請求に係る指定商品に使用していたということはできない。
(3)乙第2号証には、他の注意書きに混じって、「ご加入条件、料金請求の詳細についてはHITショップでお確かめください。」の注意書きがあり、「HITショップ」の文字が含まれているが、かかる態様の下では、それは自他商品・役務の識別標識としての「商標」として使用されているとはいい難いものである。しかも、「HITショップ」の文字は、「ショップ」の文字が「店、商店、小売店」を意味する語として親しまれていることからすると、「HITショップ」の文字全体をもって店名として認識されるとみるのが相当であるから、これをもって本件商標を表示したということはできない。
また、乙第2号証には、このほかに「HIT−mail TV」等の他の商標も表示されているが、これらをもって、本件商標を表示したということもできない。
加えて、「29」と頁が表示された部分の「HIT−mail TVの料金コース」との覧の表示に徴すれば、このカタログ中に示されている端末機器類は、テレビでインターネットを利用するための役務の提供に使用するものとみるのが相当であって、それ自体独立した取引の対象となるような商標法上の商品とみることはできないものである。
そうすると、この証拠をもって、本件商標を取消請求に係る指定商品の「電子応用機械器具」に使用していたということはできない。
(4)乙第3号証はパソコンに関するカタログの写しと、また、乙第4号証はパソコン等に関する雑誌の広告の写しと認められるところ、そこには、それぞれ「HitPC」の欧文字に「ヒットピーシー」の仮名文字が小さく添えられた商標が表示されているが、該商標は、欧文字の読みと認められる「ヒットピーシー」の仮名文字を添えて、まとまりよく一体的に表示されており、たとえ、その構成中の一部に、本件商標を構成する欧文字と同じ綴りの文字が含まれているとしても、これをもって、本件商標を表示したものということはできない。
また、乙第3及び第4号証には、このほかに「HitParts」の欧文字に「ヒットパーツ」の仮名文字が添えられた商標など、その他の商標も表示されているが、これらをもって、本件商標を表示したということもできない。
そうすると、乙第3及び第4号証がパソコンに関するもので、これらが取消請求に係る指定商品である「電子応用機械器具」の範疇に属する商品であるとしても、この証拠をもって、本件商標を取消請求に係る指定商品に使用していたということはできない。
(5)以上のとおり、被請求人提出の乙各号証によっては、本件審判請求の登録前3年以内に、通常使用権者が「電子応用機械器具」について本件商標の使用をしたとは認めることができない。
そして、他に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標の使用をしたと認めるに足る証拠の提出もない。
してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったのであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、「電子応用機械器具」について、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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