Trademark Appeal Case
「POLO」の周知性と類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第17808号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別紙に表示した構成のとおり「ASCOTPARKPOLOCLUB」の欧文字を横書きしてなり、平成5年6月28日に登録出願され、指定商品については平成7年4月3日付けの手続補正書により、第18類「原革,原皮,なめし皮,毛皮その他の皮革(革ひもを除く),折りかばん,肩掛けかばん,こうり,グラッドストン,書類入れかばん,スーツケース,手提げかばん,トランク,ハンドバッグ,ランドセル,ボストンバッグ,リュックサック,その他のかばん類,お守り入れ,カード入れ,買物袋(車付きのものを含む),がま口(貴金属製のものを除く),キーケース,財布(貴金属製のものを除く),信玄袋,パス入れ,名刺入れ,その他の袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金」に補正したものである。
2 原査定の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、その構成中にアメリカ合衆国ニューヨーク州所在の『ザ ポロ ローレンカンパニーリミテッドパートナーシップ』が、商品『ネクタイ、シャツ、ジャケット』等に使用して著名な商標『POLO』の文字を有してなるものであるから、これを出願人がその指定商品に使用するときは、需要者をしてあたかも該商品が前記会社又はその関連会社の生産・販売又は取扱に係る商品であるかの如く認識させ、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の理由により、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
請求人は日本国内及び海外の辞書、辞典を調査したところ、全て「POLO」は「スポーツ名」としか記載されておらず、アメリカのデザイナー「ラルフ・ローレン」事は一切記載されていない。同時に「POLO」は、イタリアの探検家「MARCO POLO(マルコ・ポーロ)」の「略称」「名前」として記載されているのが普通である。「POLO」はそもそもペルシャで始まりイギリスで発達した「スポーツ」に過ぎず、「スポーツ」として「POLO」を知らない日本人はいない程である。その為、「テニス」「ゴルフ」と同様に、「一般用語」として認められるべきである。
「POLO」又は「POLO RALPH LAUREN」が「ラルフ・ローレン」のものであるとしても、「POLO」との合成語の全ての商標が「ラルフ・ローレン」のものと決めつけるべきではない。
4 当審の判断
(1)「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標の周知性について
(株)講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
そして、(株)洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報(株)昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服・紳士用品については、(株)スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、(株)講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、(株)チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980,12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、(株)講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決(東京高裁平2(行ケ)183、平成3.7.11)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として、遅くとも本願の登録出願の時までに、既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)本願商標は、前記構成のとおり、「ASCOTPARKPOLOCLUB」の欧文字を横書してなるものであるところ、「ASCOT」「PARK」「POLO」「CLUB」の文字についてはそれぞれ既成の意味を有する語であり、これら4つの語を結合してなるものであることは明らかであって、「POLO」の文字部分が1つの語に吸収されて埋没しているものではなく、かつ、全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているものともいい難いものである。
そうすると、本願商標を、デザイナーが一般にその業務として取り扱い得るかばん類、袋物等を含むその指定商品に使用した場合には、前記実情から、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字に着目し、前記周知になっているラルフ・ローレンに係る「POLO」を想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
なお、請求人は、「POLO」は、国内及び外国の辞書、事典には「スポーツ名」としか記載されていない。同時に「POLO」は、イタリアの探検家「MARCOPOLO(マルコ・ポーロ)の略称、名前」として記載されているのが普通である。アメリカのデザイナー「ラルフ・ローレン」とは記載されていないから、本願商標は登録すべき旨主張し、さらに当庁における審査例を挙げて種々述べているが、かかる主張は前記認定判断に照らし失当であり、採用することができない。
(3)したがって、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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