結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−31135(T2000−31135/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3047845号商標(以下「本件商標」という。)は、「NICE CLAUP」(半文字分の間隔を含む。)の欧文字を横書きしてなり、平成4年7月20日に登録出願され、第9類「眼鏡」を指定商品として、平成7年5月31日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び弁駁を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証の1ないし甲第4号証(枝番を含む。)を提出した。
そして、前記平成6年に通知した後、本件商標の登録日以降3年以上にわたって被請求人は、本件商標を商品「眼鏡」について使用してないこと明らかである。
よって、商標法第50条の規定により、本件商標の登録の取消しを請求する。
(1)被請求人は、本件商標の登録出願当時、請求人の存在を全く知らなかった旨主張している。しかし、かかる主張は以下の理由により信用することができない。
(a)本件商標中の「CLAUP」は、創造語であり、これを「クラップ」の音を当てたのも請求人の創作である。請求人は、商品、店舗名称、商品タグに「NICE CLAUP/ナイスクラップ」と表示しているところ、本件商標の「NICE CLAUP」を「ナイスクラップ」と称呼するとすれば、請求人の存在を知らずしてあり得ないことである。
(b)被請求人は、本件商標が出願公告された後、請求人を訪れ、眼鏡の共同販売を打診してきている。その動機は、請求人の著名性に着目していたからに他ならない。そして眼鏡類について請求人が商標登録を得ていないことを知って商標登録をなし、共同販売をもちかけることであったことを如実に示すものといえる。
(c)請求人は、本件商標の出願前の平成4年1月期の決算に31億7800万円の売上げを上げ、平成5年1月期には56億2100万円の売上げを達成している。この当時、請求人は直営店舗を13店舗から20店舗に拡大、卸売先も約100店にのぼり、営業拡大の状況にあった。大阪地区においても、阪急、大丸、プランタン等の百貨店に直営店を出し、直営店、卸売先等は統一したブランドイメージとして「NICE CLAUP/ナイスクラップ」の表示をかかげ、雑誌にも多く取り上げられ、広告も大量に行いブランドの浸透を図っており、若者を中心に「NICE CLAUP/ナイスクラップ」の商標は周知性を獲得していたものである。
更に(2)の事実からも、被請求人が請求人の存在を知らなかったとの主張が信用できるものでないことは明らかである。
(2)平成6年秋頃、被請求人は請求人を訪れ眼鏡の共同販売を提案してきたが、請求人はその意思がない旨を伝え、明確に拒絶している。その後、1、2度被請求人より請求人の担当部長である杉山敏朗宛電話連絡がなされたことはあるが、杉山敏朗はいずれも共同販売の意思はないことを明確に伝え拒否しており、被請求人との間で共同販売をなす可能性があるかのごとき返事や暗示をなしたことはない(甲第4号証)。更に、甲第2号証(通知書)及び甲第3号証(回答書)を交換しており、これらから判断しても請求人が被請求人に対しあたかも共同販売をなす意思があるかのごとき返答をしていたと解することは考えられない。
(3)被請求人はサンプル商品を製造していたとするが、その製造年月日も不明であり信憑性に欠けるものであるばかりか、甲第2号証による警告に対する前記被請求人の回答書(甲第3号証)では「販売を考えていない」と明言している。サンプル商品を製造したのであれば、当然に共同販売を提案すべく請求人に提示し説得材料として使用するのが自然であり、ことさら今回の取消審判において始めて提出してきており、サンプル商品の製造自体に疑問があると言わざるを得ない。
(4)被請求人は、「請求人はもともとから3年間の不使用による本件取消審判請求を狙っていた」と主張しているが、本件商標の登録は、平成7年5月31日である。もし請求人が取消審判を意図していたとすれば、登録後3年経過後の平成10年6月1日以降直ちに審判を請求するのが自然である。しかしながら登録後5年も経過しており、また、被請求人も承知のように、件外の青山眼鏡株式会社との間の眼鏡販売の交渉上の必要性から生じたものであり、この被請求人の主張も邪推の域をでないものである。
(5)被請求人は本件商標を使用していなかったことには正当な理由があるものと主張しているが、請求人は、前述したように被請求人との共同販売の意思を全面否定しているものであり、被請求人が本件商標を使用していないことについての正当な理由にならないこと明らかである。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。と答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べ、乙第1号証ないし乙第3号証を提出している。
被請求人は、甲第2号証(通知書)、甲第3号証(回答書)の存在について争うものではないが、以下に述べるような理由から本件登録の取消審判請求は認められない。
(1)被請求人は、本件商標の登録出願後、本件商標を眼鏡について使用をし販売しようと計画した際、請求人の存在を初めて知ったものである。
平成6年秋、被請求人は、請求人が女性用装身具の商品を販売していることもあり、請求人と共同で眼鏡を販売したいことを申し入れた事実は、甲第2号証(注、甲第3号証の誤記と理解される。)の文中の被請求人が請求人へ「接触をもちました」との記載から明らかである。
当時における請求人の担当者である経営企画室長杉山敏朗(乙第1号証)の言によると、請求人は現在のところ、眼鏡の販売までは考えていないこと、将来眼鏡の販売をする場合には、被請求人に「いの一番に」連絡するとのことであった。被請求人は、請求人と共同で眼鏡を販売することが得策であると考え、請求人が乗り出す時期まで待つことにしたものである。被請求人が送付した甲第3号証の回答書は、そのような被請求人の意向を記したものである。
(2)その後、被請求人は、本件に関し年に1ないし2回、請求人に対しその後の状況について確認をしてきたが、請求人からの回答は、従前どおりであった。
なお、被請求人は、サンプルの商品(乙第2号証)も製造し、いつでも販売へ移行できる態勢を作っていた。
(3)平成12年10月ころ、請求人の杉山敏朗から被請求人に対し、本件商標を譲渡してくれないかという打診があったが、被請求人は、何とか共同でやってくれないかという申し入れをしたところ、請求人から、請求人にも、選ぶ権利があるといったことを言われ、従前の回答と明確に異なることが判明した。
そこで、被請求人は請求人代理人の小川弁護士に接触をもったところ、本件取消審判が請求されていることを知った。
(4)被請求人は、請求人の言を信じ、本件商標を利用して共同で眼鏡の販売をすることができるものと考え、態勢を整えてきたところであるが、請求人は従前の言を翻したものである。請求人は以前から3年間の不使用による本件取消審判請求を狙っていたと考えられ、本件審判請求は、明らかに、被請求人の無知につけ込んでなされたものである(乙第3号証)。
以上の経緯からして、被請求人は本件商標を使用していなかったことには正当な理由があるものと考えられる。また、請求人の本件取消審判請求は、従前の被請求人に対する回答を翻すものであり、信義則に反すると言わなければならない(民法第1条2項)。したがって、請求人の本件取消審判請求は信義則に反し、認められないものである。
商標法第50条第1項に規定する商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明するか、又は、使用していないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取り消しを免れないこととなっている。
まず、本件審判請求に対し、被請求人は 本件商標を使用していないことについて正当な理由があると主張しているので、その点について判断する。
(1)被請求人株式会社ピスタコーポレーションの代表取締役小泉孝宏作成の本件商標に関わる経緯を説明する「報告書」(乙第3号証)の内容は要旨以下のとおりである。
(a)被請求人は、本件商標を利用して眼鏡を製造、販売しようとしたところ、請求人の存在を初めて知った。請求人は女性用装身具を販売していることから、被請求人は、請求人と共同で販売する方が、女性の消費者へたくさん販売できるのではないかと考えた。
(b)そこで、被請求人は、平成6年秋、当時、請求人の担当者である経営企画室長杉山敏朗と面会し、共同で眼鏡販売したい旨申し入れたところ、杉山敏朗の回答は、現在は服飾の本業が忙しいので眼鏡に手を出すことは考えていない。眼鏡に手を出す場合には被請求人へ「いの一番に」連絡するということであった。
(c)その後、請求人から甲第2号証の通知書が来たので、被請求人は、現在販売する気はないが、共同で販売したいという意向があることを回答した(甲第3号証)。
(d)その後も、被請求人は、年に1ないし2回、代表取締役小泉もしくは東京営業部長の島田から請求人へ連絡をとっていたが、被請求人からは眼鏡販売をする気はないと回答され、時期を待つこととした。
被請求人は、この間、サンプルを作るなどして、いつでも販売できる態勢をつくっていた。
(e)平成12年10月に、杉山敏朗から本件商標を売って欲しい旨の申し入れがあったが、被請求人は、再度、共同販売を申し入れをしたところ、杉山敏朗は、当方にも業者を選らぶ権利があるとして、もの別れに終わった。このとき既に、本件取消審判は請求されていた。
(2)請求人側窓口となった杉山敏朗(甲第4号証作成時の役職は、取締役管理部長である。)作成の報告書(甲第4号証)の内容は要旨以下のとおりである。
(a)請求人は、1982年(昭和57年)より「株式会社ナイスクラップ」の商号のもと既製服製品、装身具の製造販売及び輸出入を中心として営業を行い、英語表記商号は「NICE CLAUP CO.,LTD」であり、その文字中の「CLAUP」は造語である。
(b)請求人は、平成4年1月期(平成3年2月〜平成4年1月)では直営店13店舗、売上高31億7800万円、平成5年1月期では直営店20店舗、売上高56億2100万円であり、また卸売先は100店舗である。
請求人は、直営店を始め卸売先には統一して「NICE CLAUP,ナイスクラップ」と表示しており、他社の衣料品と差別化をはかってきた。
(c)平成6年秋頃、被請求人との面談により、本件商標の登録(注、当時は出願公告中)の事実、及び、被請求人と請求人の共同で眼鏡を販売したいとの話があったが、請求人としてはその意思はないとして明確に断った。
(d)請求人は、平成12年に総合服飾雑貨の販売を図る方針により、被請求人の未使用となっている本件商標を取得すべく当該商標権の譲渡・移転の打診をすると共に、取消審判の請求をしていることを被請求人に伝えた。
(3)請求人の代理人高橋隆二が被請求人に宛てた平成6年11月8日付通知書(甲第2号証)によると、仮に、被請求人が請求人の周知・著名な商品表示である「NICE CLAUP」と同表示若しくは類似の表示を、商標登録を得た後であっても、眼鏡に使用し販売することになれば不正競争防止法第2条第1項第1号、同第2号に違反することとなる旨警告している。
(4)甲第2号証の通知に対する被請求人の代理人福田健次が請求人の代理人高橋隆二に宛てた平成7年3月16日付回答書(甲第3号証)によると、被請求人は、商標「NICE CLAUP」を使用して眼鏡の販売をしていないし、販売することを考えていないこと、また、被請求人は、以前に、その商標を使用した眼鏡の販売について請求人と接触をもったが、これは、共同して該商標を使用して眼鏡の販売ができないか意向を確かめたにすぎないこと、被請求人は、現在も請求人と共同で眼鏡販売の希望を持っており、眼鏡の共同販売の意向があれば、連絡をしてほしい旨の回答をしている。
被請求人は、本件商標が出願公告された後の平成6年秋頃、既製服製品、装身具等を製造販売している請求人に対し、請求人と共同して「眼鏡」について本件商標を使用して製造販売しようと提案したところ、請求人からは共同販売に同意する回答が得られなかったが、被請求人は、請求人と共同で眼鏡を販売することが得策であると考え、請求人が乗り出す時期まで本件商標の使用を待つことにしたものである。
平成6年11月、被請求人は、請求人から不正競争防止法に基づき本件商標を使用しないように警告する通知書を受け取り、これに対し、被請求人は、本件商標を「眼鏡」について使用をしていないので、不正競争防止法違反の問題は生じていない旨回答すると共に、被請求人は、請求人と共同で「眼鏡」の販売を希望する意向を有しているので、その意向があれば、請求人に連絡をしてほしい旨伝えている。その後、被請求人は請求人と接触はあったが、請求人は、独自の営業方針により本件商標に係る商標権取得のため被請求人に権利移転を求める打診をしたが不成立となり、平成12年9月26日に本件審判請求に及んだものである。
してみれば、本件商標を使用しないことについて自己の責めに帰すことのできない理由があるものとはいえない。
したがって、本件商標の使用をしなかったことについて正当な理由があったものということはできない。
また、被請求人は、本件請求に係る指定商品のいずれにおいても、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが使用していることについて立証していないものである。
また、不使用取消審判請求は、登録商標を使用しようとする誠実な意思を有していない者に対するものである旨主張するが、本来、商標法上の保護は、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的なものであるから、一定期間(3年)以上登録商標を使用しない場合には、保護すべき信用が発生していないか、あるいは発生した信用が消滅してその保護の対象がなくなると考えられ、他方、不使用商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し、かつ、その存在により権利者以外の商標使用希望者の商標採択の余地を狭めることとなることから、不使用の登録商標については、何人も取消審判を請求することができることとしているものと解されるので、この点についての被請求人の主張は採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
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