Trademark Appeal Case
著名商標POLOの混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第18530号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
理由
1 本願商標
本願商標は、「ELDORADO POLO CLUB」の欧文字を横書きしてなり、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品(カフスボタンを除く),カフスボタン,宝玉及びその模造品,宝玉の原石,時計,時計の部品及び附属品,記念カップ,記念たて」を指定商品として、平成6年8月15日に登録出願されたものであるが、指定商品については、平成7年3月1日付の手続補正書で「貴金属製きせる・きせる筒・たばこ入れ・たばこケース・たばこホルダー・灰皿・パイプ・その他の貴金属製喫煙用具,イヤリング,カフスボタン,貴金属製き章,貴金属製バックル,貴金属製バッジ,貴金属製ボンネットピン,ネクタイ止め,ネクタイピン,ネックレス,ブレスレット,ペンダント,宝石ブローチ,メダル,指輪,ロケット,その他の身飾品,時計,時計の部品及び附属品」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、登録異議申立ての結果、「本願商標は、その構成中に、登録異議申立人が商品『紳士服、ネクタイ、眼鏡』等に使用し、需要者間に極めて広く認識されている『POLO』の文字を有してなるものであるから、これをその指定商品について使用するときは、該商品が申立人、もしくは申立人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかの如く、取引者、需要者をして商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定して、その出願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)株式会社講談社(昭和53年7月20日)発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング(昭和58年9月28日)発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」の記載によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、かばんなどのデザインをはじめ、紳士物全般に拡大し、1971年には婦人服の分野にも進出した。1970年と1973年に服飾業界で最も名誉とされる「コティ賞」を受賞し、1974年に、映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことからアメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。この頃から、その名前は我が国の服飾業界においても広く知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各標章が使用され、これらは「ポロ」の略称で呼ばれるようになった。
(2)株式会社洋品界(昭和55年4月15日)発行「月刊『アパレルファッション店』別冊、1980年版『海外ファッション・ブランド総覧』」、株式会社アパレルファッション発行(昭和57年1月10日)発行「月刊アパレルファッション2月号別冊海外ファッション・ブランド総覧」の「ポロ/POLO」の項、及び昭和63年10月29日付日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、販売をしたことが認められる。
(3)また、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士用品については、前出「男の一流品大図鑑」、「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」をはじめ、株式会社講談社(昭和55年1月20日)発行「男の一流品大図鑑’81」、同社(昭和55年11月15日)発行「世界の一流品大図鑑’80年版」、同社(昭和56年6月20日)発行「世界の一流品大図鑑’81年版」、株式会社チャネラー(昭和53年9月20日)発行「別冊チャネラーファッション・ブランド年鑑’80年版」、株式会社講談社(昭和60年5月25日)発行「FASHION SHOPPING BIBLE’85流行ブランド図鑑」などの書籍において、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題のもとに紹介されていることが認めらる。
(4)「Polo」標章に関し、判決においても、「我が国において、遅くとも本件商標の登録出願がされた昭和59年までには既に、引用標章(Polo)がラルフ・ローレンのデザインに係る被服等及び眼鏡製品を表す標章であるとの認識が広く需要者及び取引関係者の間に確立していたものということができる。」旨認定しているところである。(平成2年(行ヶ)第183号 東京高等裁判所 平成3年7月11日判決言渡)
(5)さらに、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される標章を模倣した、偽物ブランド商品が市場に出回っている事実も少なくない。例えば、1989年5月19日付朝日新聞には、「昨年二月ごろから、米国の『ザ・ローレン・カンパニー』社の...『Polo』の商標と、乗馬の人がポロ競技をしているマークをつけたポロシャツを...売っていた疑い。」なる記事が掲載された。また、1992年9月23日付読売新聞(東京版、朝刊)、1993年10月13日付読売新聞(大阪版、朝刊)、1999年9月9日付日本経済新聞等にも同様の記事が掲載され、昭和63年には既に、我が国において「Polo」の文字、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形などを使用した偽物ブランド商品が出回っていた事実が認められ、その後も同様な事例が跡を絶たないことを窺わせるものである。
(6)上記(1)ないし(5)で認定した事実を総合すれば、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される標章は、「Polo」の文字とともに、「by Ralph Lauren」の文字及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形」などの各標章であると認められるところ、我が国においては、これらに標章を総称して単に「Polo」、「ポロ」と略称していたということができ、「Polo」(ポロ)の標章は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服及び眼鏡製品について使用される標章として、遅くとも本願商標の登録出願前には既に、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その認識の度合いは現在においても継続しているというのが相当である。
(7)本願商標は、前記構成よりなるものであるところ、その構成中に、前記(6)で認定したラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、婦人服等の被服及び眼鏡製品について使用され、我が国においても広く取引者、需要者に認識されている標章と同一綴り文字よりなる「POLO」の文字を有しているものである。
また、本願の指定商品は、極めてファッション性の強いアクセサリー的要素を持つものであり、被服、バッグ、靴、あるいは眼鏡等と、統一されたブランド名のもとで、同一のファッションメーカーより製造、販売される場合が少なくないことは、取引の実際に照らし明らかである。
上記事情よりすれば、本願商標をその指定商品について使用した場合は、これに接する取引者、需要者は、「POLO」の文字部分に強く印象付けられ、該商品がラルフ・ローレン、もしくはその関連会社の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
(8)請求人(出願人)は、本願商標は、米国に実在する「ポロクラブ」の名称であり、また、「POLO」は、スポーツの名称にすぎないものであるから、本願商標をその指定商品について使用しても、該商品がラルフ・ローレン、もしくはその関連会社の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはなく、本願商標は登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標が米国において実在するポロクラブの名称であるとしても、我が国においては、ポロ競技自体が馴染まれていない競技であり、まして米国におけるポロクラブの名称なるものは、一般には知られていないというのが相当である。そして、前記したように、「Polo」(ポロ)の標章は、本願商標の出願前には既に、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服及び眼鏡製品について使用される標章として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、その偽物商品が市場に多数出回っている事実があることを考慮すれば、本願商標をその指定商品について使用した場合は、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品、ないしはその関連会社の取扱いに係る商品との間に、出所の混同を生じさせるおそれがないと断ずることはできない。
また、請求人は、その他種々主張するが、前記認定に照らしていずれも採用することができない。
(9)したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。