結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2000−35343(T2000−35343/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4240672号商標(以下「本件商標」という。)は、平成8年12月27日に登録出願され、「ロースティ」の文字を横書きしてなり、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」を指定商品として、同11年2月12日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録無効の理由として、請求人がソーセージ等に使用している「LOSTE」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)を引用している。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標「ロースティ」は、外国語の片仮名表記であることを想起させるものであり、取引者、需要者が容易に想起するのは、「焼く」という意味の英語であり、「ローストビーフ」等の日本語化した英語の普及に伴い、我国において日常的に普通に用いられる英語の「ロースト(roast)」である。そして、「フルーツ」を「フルーティ」、「ジュース」を「ジューシィ」等の我国で普通に行われる形容詞化する法則に則って(英語を母国語とする国でこのような形容詞の作り方が行われるか否かは問題ではない。我国において何が行われており、我国においてどのように受け止められるかが問題であるからである)、「ロースト」を形容詞化し、「焼いた」又は「焼いたような風味の」という意味をもたせることとした言葉「ロースティ」よりなる商標であると容易に連想され理解されるものである。
したがって、本件商標からは、「焼いた」又は「焼いたような風味の」という観念を生ずるものであるから、本件商標は、その指定商品については、その調理方法(生産の方法)又は風味(品質)を示すにすぎない。
(2)商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号について
(ア)引用商標の周知性
フランス人「PIERRE LOSTE」は、1866年にLOSTE社を創立し、ドライソーセージの工業的製造を開始し、引用商標の下に、塩漬肉製品を主体とするハム、ソーセージ等の製造、販売を開始した。そして、1946年、オリダ社がLOSTE社を買収したが、1952年に請求人がLOSTE社をオリダ社から買収したものである。
「LOSTE」の製品は、高品質と優れた味により、フランスはもとより、ヨーロッパにおいて広く知られるに至った。高品質を誇る「LOSTE」のドライソーセージはこれまでに、ロゼットー等賞、品質と伝統の金の月桂樹賞、ヨーロペアン・工クセレンス(ヨーロッパ優秀)賞を受けた。「大統領のロゼット」は数ある「LOSTE」のドライソーセージの中でも、シラク大統領が1996年33回パリ国際農業見本市訪問の際に、さらにジュペ首相が1997年に試食し、賞賛したドライソーセージとして特筆すべき商品である。
「LOSTE」は、豚肉専門店、肉屋、仕出し屋、レストラン等業者向けの塩漬豚肉製品(ドライソーセージ、生ハム等)の製造、販売業者として、フランスNO.1の地位を堅持している。1998年の実績で、「LOSTE」製品の販売量は約5000トン、売上高は2億3700万フラン(1フランスフラン約20円)である。
「LOSTE」ブランドの製品は、フランス全土はもとより、ベルギー、ドイツ等のヨーロッパ全域へ輸出されている。ちなみに「LOSTE」商品は、フランス(登録番号第1711789号等 甲第8号証の1ないし6)、オーストリア(登録番号第685992号 甲第9号証)を含むその他のヨーロッパの国々及び南アフリカ、レバノンにおいて登録、出願中である。
我国においては、年来、海外駐在者や海外旅行者の増加に伴ない、フランス等滞在、旅行先で食したハムやソーセージ等を日本でも食したいという需要が高まっており、「LOSTE」ブランドのソーセージやハムに対する需要も高まっていた。そこで、請求人は、1996年初めより、千葉県市川市磯ヶ谷526番地に本店を有する株式会社夕力ヤマを通じて、「LOSTE」製品の日本への輸出、日本での販売を開始した。
株式会社夕力ヤマは、東京都墨田区菊川3丁目14番23号の同社東京支社にLOSTE事業部を置き、フランス人も従業員とし(甲第3号証)、日本において「LOSTE」製品を積極的に輸入、販売している。
そして、「LOSTE」の製品は、1998年にお台場でフジテレビが主催して「フランス年」の行事の一環として行われた「フランス物産展」にもフランスを代表するハム、ソーセージのブランドとして出品され、「LOSTE」の製品及び商標は、我国において、尚一層著名となった。
株式会社夕力ヤマは、「LOSTE」製品の日本における独占的輸入代理店として、「LOSTE」製品を一手に輸入販売しているが、2000年には、80トンから100トンの販売を予定している。株式会社夕力ヤマの「LOSTE」製品の主な販売先は、紀の国屋(本店東京青山)、その他有名食品専門店、百貨店、レストラン等であり、売上は順調に急速に拡大している(甲第1ないし7号証)。
請求人は、フランス語、英語はもとより、日本語でも、ホームページを開設しており(甲第1号証)、「LOSTE」製品が如何に日本において好評を博しているかを示すものである。
以上のとおり、請求人は、フランスを代表する高品質及び味のソーセージ、ハム等の製品の製造販売業者として、本件商標出願時から今日迄我国においても周知であり、引用商標は、請求人の製造販売にかかるフランスの著名なソーセージ、ハム等のブランドとして、我国においても、本件商標の出願時はもとより、今日も周知である。
(イ)本件商標と引用商標との類似性
請求人は、引用商標を、第29類「食肉(猟の対象となる鳥獣の食肉を含む。),魚,家きん,肉エキス,肉製品,ソーセージ,豚のもも肉,卵,ミルク,乳製品」等を指定商品として出願したが、該商標は本件商標「ロースティ」に類似するとして、平成12年3月9日に拒絶査定を受けた。
かかる査定を前提とすれば、本件商標は、引用商標と類似することになる。
(ウ)反公俗良俗性
被請求人は、請求人と同じく、ハム、ソーセージ等の食肉製品の製造、販売業者である。したがって、被請求人は、本件商標の出願時、請求人がフランスを代表する著名なソーセージ、ハム等の製造販売業者であり、引用商標が請求人の著名な商標であることを知っていた筈である。
被請求人は、本件商標の出願を、平成8年12月27日に行ったが、平成8年は、請求人が、株式会社夕力ヤマを通じて日本への本格的進出を開始した年である。即ち、被請求人は、本件商標を、請求人の著名な引用商標と類似することを知りながら、請求人に無断で出願し、登録したものであり、本件商標の使用は国際信義に反し、かつ、引用商標の周知性に只乗りせんとするものであり、公序良俗に反するものである。
よって、本件商標は、商標法4条1項7号に該当する。
(エ)不正の目的
また、かかる出願は、引用商標の著名性に便乗して、被請求人の食肉製品の売上を伸ばさんとしてなされたものであり、あるいは、請求人の製品の日本における輸入販売を阻害せんとしてなされたものであり、本件商標の使用は、正に不正の目的を持ってなされるものに外ならない。
よって、本件商標は、商標法4条1項19号にも該当する。
(オ)10号の該当性
本件商標は、請求人の商品であるハムやソーセージ等の食肉製品を示すものとして本件商標の出願時、既に周知であった引用商標と(審査官の判断によれば)類似するものであり、かつ、本件商標は、食肉製品等を指定商品とするものである。
よって、本件商標は、商標法4条1項10号にも該当する。
(3)答弁に対する弁駁
(ア)商標法第3条第1項第3号について
英語として正しいか誤りかということは、本件において問題ではない。本件において重要であるのは、一般的に「英語の単語」+「y」からなる語をその英語の単語の形容詞として認識しているということであり、本件商標の指定商品の需要者も「ロースティ」を「ロースト」の形容詞と認識するということなのである。
したがって、本件商標の需要者は、本件商標を英語「ロースト(roast)」の形容詞形と認識し、「焼いた」又は「焼いたような風味」の意味を有すると認識するのである。
してみれば、「焼いた」又は「焼いたような風味の」は、本件商標の指定商品中「食肉,食用魚介類,肉製品,加工水産物」について、調理方法(生産の方法)又は風味(品質)を示すものであり、被請求人の主張するように、指定商品の生産方法又は品質を間接的に表示する商標ではない。
このことは、「テイスティ(旧29類)」(昭和61年審判第23481号)、「両国屋のフルーティー(旧第30類)」(昭和58年審判第10323号)等の先例から明らかである。
そして、被請求人の掲げる先例は、本件商標の場合と事案を異にし、参考になるものではない。
(イ)商標法第4条第1項第7号等について
被請求人の主張は、請求人の主張を曲解するものであり、前提において既に誤りであり、理由がない。
即ち、請求人の主張は、本件商標はその使用が国際信義に反するものであるから、公序良俗に反する、また、本件商標は、引用商標の周知性に只乗りせんとするもの(即ち、商品の流通秩序を侵害するもの)であるから、公序良俗に反するというものである。なお、国際信義に反するとは、国際的商業道徳に惇るものも含むものであることはいうまでもない。
また、被請求人は引用商標の周知性を争うが、4条1項7号には、4条1項3号の適用はないし、47条の適用もないから、被請求人の主張は既にこの点において失当である。周知か否かは、商標について指定商品毎に個別具体的に判断すべきものであり、外国周知商標集などの書籍に登載されたか否かということにより決まるものではない。
引用商標が本件商標出願時以降、遅くとも、本件商標の登録査定時(平成10年11月9日)以降、周知であることは、既出の証拠及び請求人が既に明らかにしたところである。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号について
一般的な英語辞書によれば、英語「roast」の形容詞は、動詞、名詞と同じく「roast(ロースト)」であり、「ロースティ」と発音される英語(形容詞)は存在しないから、「ロースティ」は造語であるといえる。したがって、本件商標「ロースティ」は英語「roast(ロースト)」を直接的に表記するものでないことは明らかであり、その日本語の意味である「焼いた」又は「焼いたような風味の」を直観させるものではない。
請求人の挙げている事例は、全て現存する英語(名詞)の形容詞であり、「ロースト」の形容詞は「ロースト」として現に存在する本件について なぜ「ロースト」が「ロースティ」となるのか、理解に苦しむところである。 仮に、請求人が主張するように、本件商標「ロースティ」から「焼いた」又は「焼いたような風味の」という意味を暗示させるとしたとしても、「指定商品の生産方法又は品質を間接的に表示する商標は本号に該当しないもの」であり(特許庁商標課編 社団法人発明協会発行の「商標審査基準」より)、この商標審査基準に照らしても、請求人の上記主張は全く理由のないものであるといえる。食品の各類において、「ロースティ」が登録されていることからも明らかである(乙第1号証ないし同第4号証)。
よって、本件商標は、自他商品の識別力又は出所表示機能といった商標の本質的機能を発揮し得るものであり、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
周知性に只乗りせんとする商標に対して、公序良俗を害するおそれがあるものとして商標法第4条第1項第7号の規定が適用されるのか疑問であるが、仮に適用されるものとしても、本件商標の出願日時点において、引用商標がソーセージ、ハム等のブランドとして周知であったという証拠は何ら開示されていない。
なぜならば、請求人が提出した甲第1号証ないし甲第7号証はいずれも、そのほとんどが請求人の商品を紹介したものにすぎないし、しかもこれら甲各号証は本件商標の出願後に発行されたもの、又は、発行日が不明なものである。
また、甲第8号証の1ないし6はフランス国における商標登録証明書とその更新登録証明書であり、甲第9号証はオーストリア国における商標の登録証明書にすぎず、いずれも、引用商標が日本国においては勿論のこと、外国(フランス国、オーストリア国)における周知性を立証する証拠とは無関係なものである。
また、「外国周知商標集(フランス編)」(乙第5号証)及び「日本有名商標集」(乙第6号証)のいずれにも、引用商標は掲載されていない。
なお、「LOSTE」のドライソーセージは3つの賞を受けたこと等を挙げているが、賞を受けたことと周知性とは直接結びつくものではない。同業者が開催する博覧会等に出品した商品が総理大臣賞などを受賞する場合があるが、ごく限られた地域でしか販売されていない商品(俗にいう隠れた名品)である場合も多々あり、総理大臣賞を受賞したことと、その商品に付された商標が周知であることとは何ら関連性が認められないものである。
したがって、本件商標の出願時において、引用商標が周知であったという事実は認められず、また、引用商標を被請求人が知っていたという事実もないものであるから、本件商標は他人の著名商標に只乗りするものではない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものでもない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
上述の通り、引用商標が本件商標の出願時に日本国内において周知であったとする事実は認められないから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
商標法第4条第1項第19号は、平成8年の商標法改正で採用された規定であって、平成9年4月1日から施行されたものである(商標法附則平成八年法律第六八号抄)。
よって、その施行日前の平成8年12月27日に出願した本件商標について、商標法第4条第1項第19号の適用を論ずる余地はない。
(1)本件商標の識別力について
本件商標は、前記のとおり、「ロースティ」の文字を書してなるところ、英和辞書、仏和辞書、外来語辞典等によるも、「ロースティ」と発音される語に相応する外国語は見当たらない。
そうとすれば、「ロースティ」の語は、特定の意味合いを認識させることのない造語とみるのが相当であるから、これをその指定商品について使用しても、商品の品質を表すものということはできない。
この点について、請求人は、例を挙げて、一般的に、英語の単語に「y」を付した語は、その単語の形容詞として認識されていることから、本件商標の指定商品の需要者も「ロースティ」を英語「roast(ロースト)」の形容詞と認識してしまう旨主張している。
しかしながら、請求人の挙げている事例は、いずれも成語として存在する英語(名詞)の形容詞の例であり、英語として正しいか否かの問題ではないとしても、英語の「roast」については、動詞、名詞、形容詞とも同形の語であり、このことは、一般的な英和辞書においても、基本的な語の一つとして取り上げられており、又、「roastbeef(ローストビーフ)」等の例でも知られていることからみれば、「roast(ロースト)」の語の形容詞は、「ロースティ」となるのではなく、「roast(ロースト)」の語形のままであることは、日常一般にも理解・認識されているものとみるのが相当である。そして、「ロースティ」の語が「焼いた」又は「焼いたような風味の」という意味合いをもって使用されていたとする証拠も何ら提出されていない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものということはできない。
(2)本件商標と引用商標との関係について
本件商標と引用商標との類否について判断するに、本件商標は、前記のとおりの構成からなるものであるから、その構成文字に相応して「ロースティ」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、前記のとおり、「LOSTE」の文字からなるものであるところ、甲号各証によれば、請求人は我が国において「ロステ」の片仮名表記をもって使用している。そして、「LOSTE」の語は、特定の意味合いを認識させる成語とは認められない語であるから、英語風あるいはローマ字風の読みに従えば、「ロステ」の称呼も不自然なものとはいえず、引用商標からは「ロステ」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。
そこで、本件商標から生ずる「ロースティ」の称呼と引用商標から生ずる「ロステ」の称呼とを比較するに、両者は4音対3音と構成音数を異にするばかりでなく、「ロースティ」は、語頭音である「ロー」の部分にアクセントが置かれ、以後、尻下がりに比較的弱く発音されるのに対して、「ロステ」は、一音一音明瞭に、かつ、平板に発音されるものであるから、両商標は、短い音構成であることとも相俟って、これを一連に称呼するも、その語調、語感を異にし、互いに聞き誤るおそれはないものというべきである。
また、両商標は、前記のとおりの構成からなるものであるから、外観においては、明らかな差異を有するものであり、いずれも造語と認められるものであるから、観念においては比較すべくもない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しない商標である。
次に、請求人は、「LOSTE」ブランドの製品は、本件商標の商標登録出願時までには、フランスはもとよりヨーロッパをはじめ我が国においても広く知られていた旨主張して甲第1号証ないし同第9号証を提出している。
しかしながら、請求人の提出に係る証拠をみるに、甲第1号証は、請求人の「LOSTE」ブランド商品についての日本語ホームページであり、甲第2号証は、請求人の代理店である株式会社タカヤマ作成の「LOSTE」ブランド商品のカタログであり、甲第3号証は、株式会社タカヤマの「LOSTE」事業担当部長及びフランス人担当者の名刺であり、甲第4号証は、株式会社タカヤマの卸販売に係る「LOSTE」ブランドの小売用商品の写真であり、甲第5号証は、株式会社タカヤマ作成の卸販売に係る「LOSTE」ブランド商品の小売店の販売コーナーに置く商品紹介のラベルの写真であり、甲第6号証は、請求人作成の「LOSTE」ブランド商品のポスターであり、甲第7号証は、請求人作成の「LOSTE」ブランド商品のカタ口グ(仏語)であり、甲第8号証の1ないし6は、請求人のフランスにおける「LOSTE」商標(登録番号第1711789号)の登録証明書及び更新登録証明書であり、甲第9号証は、オーストリアにおける「LOSTE」商標(登録番号第685992号)の登録証明書である。
これらの甲号各証によれば、請求人がフランスをはじめとするヨーロッパ及び我が国において、「LOSTE」ブランドの商品を製造、販売していた事実は認められるとしても、これらの証拠のみをもってしては、何時の時点であるかを問わず、引用商標が取引者・需要者間において広く知られていたものと認めるに十分なものということはできない。
(3)商標法第4条第1項第7号及び同第10号について
本件商標と引用商標とは、上記のとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない別異の商標であるばかりでなく、請求人の提出に係る証拠をもってしては、本件商標の商標登録出願時においても、その査定時においても、引用商標が請求人の業務に係る「ソーセージ」等の商品を表示する商標として取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないから、被請求人が本件商標を出願・登録し、これを使用することが引用商標の周知性に只乗りするものとは認められず、また、国際信義に反し、公序良俗に反するものということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものということはできない。
また、同様の理由から、本件商標は、同第10号に違反して登録されたものということもできない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
法律改正がなされた場合、その改正の効果は、同法律体系全般に及ぶのが原則であり、例外は、同法律の附則や経過措置によって明文を以て規定された個々の条文の場合に限られるものであるところ、平成8年法律第86号の附則・経過措置規定のいずれにも商標法第4条第1項第19号について、例外的取扱いは規定されていないから、平成8年法律第86号が施行された平成9年4月1日前に登録された商標登録の無効審判についても、商標法第4条第1項第19号の適用自体は可能なものと解される。
しかしながら、本件商標と引用商標との関係は、上記のとおりに判断されるものであるから、本件商標は、不正の目的をもって使用されるものとはいい難く、又、これを認めるに足る証拠も見当たらない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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