結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第35419号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4196960号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおり「東京花王園」の文字を書してなり、平成9年2月3日登録出願、第31類「種子類」を指定商品として、同10年10月9日に登録されたものである。
請求人が本件商標の登録を無効とすべきものとする理由に引用する登録第3035547号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月28日に登録出願、第31類「あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,むぎ,もろこし,うるしの実,コプラ,麦芽 ,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭 ,種卵,飼料,釣り用餌,果実,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,生花の花輪,飼料用たんぱく」を指定商品として、同7年3月31日に登録されたものである。同じく、登録第3035548号商標(以下「引用B商標」という。)は、「花王」の漢字を横書きしてなり、平成4年9月28日に登録出願、第31類「あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,むぎ,もろこし,うるしの実,コプラ,麦芽,ホップ,未加工のコルク,やしの葉,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,飼料,釣り用餌,果実,野菜(「茶の葉」を除く。),茶の葉,糖料作物,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,生花の花輪,飼料用たんぱく」を指定商品として、同7年3月31日に登録されたものであり、現在いずれも有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第17号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
a)「花王」は、請求人の名称「花王株式会社」の著名な略称である。本件商標は、その商標登録出願前より請求人の名称の略称として著名であった「花王」の文字を含み、かつ、請求人の承諾を得ていないものである。請求人の略称「花王」は敢えて証拠を提出するまでもなく、テレビ、雑誌、新聞等のコマーシャルメッセージを通じて、その文字「花王」や称呼「カオー」が多くの世人に伝達され、世人に浸透している。
実際にテレビに写し出されるコマーシャルメッセージにおいて「花王」の文字や「カオー」の称呼を「花王株式会社」を指称すると理解しない者は皆無に等しい程である。このことは、以下の甲各号証によって裏付けられる。
イ)日経産業新聞1998年10月13日号朝刊及び1999年2月8日号朝刊に掲載された「企業ブランドスコアランキング」に請求人の企業ブランドがそれぞれ対象有力100社中第17位、対象有力254社中15位に位置していることが示されている(甲第11号証及び同第12号証)。
ロ)週刊ダイヤモンド1998年1月31日号に掲載された「企業イメージ調査139社ランキング」で4位。総合ランキング分析の項では、「前回(96年9月21日号掲載)1位は花王だった」と解説されている(甲第13号証)。
ハ)週刊ダイヤモンド1998年12月19日号に掲載された「世界で勝てる日本の会社大ランキング」において「花王」は16位に位置している(甲第14号証)。
b)本件商標「東京花王園」の構成を見ると、全体として「東京」の文字と「花王」の文字と「園」の文字との結合商標であると理解される。
そして、これらの文字のうち「東京」の文字は場所又は地域を表示する文字で、「園」は「動物園」であるとか「植物園」であるとか「農園」であるとかを表示するときに用いる慣用文字である。
したがって、本件商標が全体として一連に表記されていたとしてもその結合された文字それぞれが意味合いを有するから「花王」もまた「東京」や「園」とは別の意味合いをもって看取される。
すなわち、「花王」の文字は、上記した請求人の名称の略称と解される。
してみると、本件商標は、全体として請求人の名称の著名な略称を含む商標である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
a)本件商標は、上述のとおりであるから、本件商標からは「トウキョウカオーエン」の称呼を一応は生じる。
しかしながら、本件商標は、既述したように「東京」と「花王」と「園」とにより構成される結合商標であって、「東京」は場所・地域を表し、「園」は「動物園」「植物園」「農園」等を表示する場合の慣用文字である。
一方、「花王」の文字は、請求人の名称の著名な略称であり、同一性を有する「花王」の文字は、防護標章登録がされていたものであり、その欧文字「KAO」も防護標章登録されている(甲第5号証の1及び2)。そのため、「花王」及び「KAO」の文字は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。
したがって、世人は、「東京」の文字や「園」の文字を除外して非常に馴染みの深い「花王」の文字に注意を引かれ、引用A商標「kao」及び引用B商標「花王」を想起し、本件商標の要部を「花王」と理解する。
してみると、この要部「花王」から「カオー」の称呼を生ずるというを相当とする。
b)本件商標の指定商品と、引用商標の指定商品とは、種子類を共通にする同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものであるから、誤って登録されたものというべきである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が引用A商標及び引用B商標に類似するものでないとしても、本件商標は請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標である。
請求人は、甲第6号証の定款の記載に徴して明かなように多種多様な広範囲の業務を営んでいる。
また、あらゆる宣伝網を通じて企業イメージ及び各種商品の広告宣伝を行っている。特にテレビ番組やラジオ番組においては、巨額を投じて請求人の名称「花王株式会社」の略称である「花王」の文字やその名称「カオー」を画面や音声を通じて世人に印象付け、「花王」の文字や「カオー」の称呼は、請求人を指称するものであると認識されるに至っている。
そして、企業イメージ等も極めて良好であり、そのため請求人の売上実績は業界のトップクラスである(甲第11号証ないし同第14号証)。
請求人の売上実績を財務報告により示すと、平成7年度には6740億円、平成8年度には6962億円、平成9年度には6738億円、平成10年度には6615億円である(甲第7号証ないし同第10号証)。
また、テレビやラジオの宣伝媒体が、常に「花王」の文字と「カオー」の称呼を世人一般に印象付け、その結果世人には請求人の多種多様そして広範囲な業務と相俟って「花王」の文字を付した商品は、その出所を請求人であると認識するに難くない状況を提供している。
さらに、請求人は、本件商標に係る指定商品との関係を有する展着剤をも製造している(甲第15号証及び同第16号証)。
このような背景のもとに、「花王」の文字を直ちに看取することができ、また「カオー」の称呼を含んでいる本件商標を付した商品が市場に出現したら、世人は当然ながら、「花王」の文字と「カオー」の称呼が脳裏に明瞭に刻み込まれているから、「花王」の文字の強い指標力によって、該商品は、請求人または請求人と関係のある植物園や農園を出所とするものであると認識する。
ちなみに、本件商標と同一の称呼を有する「TOKYO KAO EN」は、甲第17号証として提出する「登録異議の申立てについての決定謄本」に示されているように、請求人が提起した登録異議申立により、「商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない」とされている。これと同様に、本件商標もまた、その指定商品に使用する他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標であること自明である。
してみると、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものであるから、誤って登録されたものというべきである。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号の規定に該当し、同法第46条の規定に基づいて、その登録は無効とされるべきものである。
被請求人は、何ら答弁をしていない。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり「東京花王園」の漢字よりなるところ、該文字は同じ書体、同じ大きさ、等間隔でまとまりよく一体的に表されているばかりでなく、全体をもって称呼しても「トウキョウカオーエン」とよどみなく一連に称呼し得るものであり、かつ、被請求人の名称の略称を表したものと看取させるものである。
他方、引用A商標は、別掲のとおり図案化した「Kao」の文字を書してなるものであり、また、引用B商標は、「花王」の漢字を書して文字からなるものであるから、引用A、B商標よりは、いずれも「カオー」の称呼を生ずるものというのが相当である。
そこで、本件商標より生ずる「トウキョウカオーエン」の称呼と引用A、B商標より生ずる「カオー」の称呼とを比較するに、両称呼は、その構成音数が著しく相違するものであるから、称呼上明らかに聴別し得るものである。
さらに、両商標は、上記のとおりの構成よりなるものであるから、外観上相紛れるおそれはなく、また、本件商標は、被請求人の名称の略称と認められるものであるから、引用A、B商標とは、観念上比較することができない。
そうとすると、本件商標と引用A、B商標とは、その外観・称呼及び観念のいずれの点よりみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用A、B商標が、請求人の業務に係る商品「石けん類、化粧品、洗剤、化学品」等を表示するものとして著名であるとしても、本件商標と引用A、B商標とは、上記(1)のとおり、商標が相違し、かつ、本件商標は、被請求人の名称の略称でもあることから、これをその指定商品に使用しても、その商品が請求人又は同人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、上記(1)(2)で述べる如く「東京花王園」の漢字を、同書、同大、等間隔に一連に書してなり、全体として被請求人の名称の略称を表したものと看取させるものである。
してみれば、本件商標は、全体として、被請求人の略称と認められるものであるから、請求人の著名な略称を含むものということはできない。
なお、請求人が引用する異議事件と本件商標とは事案を異にするものである。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第8号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。