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Trademark Appeal Case

欧文字「'S」の称呼判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35365号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4101243号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4101243号商標(以下、「本件商標」という。)は、「リーズ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成7年2月17日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同10年1月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する、登録第1766803号商標(以下、「引用A商標」という。)は、「REESE'S」の欧文字を横書きしてなり、第30類「キャンデー、その他の菓子、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和56年10月9日登録出願、同60年5月30日に設定登録され、その後、平成7年9月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。同じく、登録第1766806号商標(以下、「引用B商標」という。)は、「REESE'S PIECES」の欧文字を横書きしてなり、第30類「キャンデー、その他の菓子、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和56年10月9日登録出願、同60年5月30日に設定登録され、その後、平成7年9月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。同じく、登録第1766805号商標(以下、「引用C商標」という。)は、「REESE'S PEANUT BUTTER CUPS」の欧文字を横書きしてなり、第30類「キャンデー、その他の菓子、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和56年10月9日登録出願、同60年5月30日に設定登録され、その後、平成7年9月28日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第6号証(枝番を含む)を提出している。

〈審判請求の理由〉

(1)本件商標は、その片仮名文字から、「リーズ」と称呼される。これに対し、引用A商標は、末尾の「'S」のような英語における名詞の所有格を表す部分は、簡易迅速を旨とする商取引の実際では称呼上省略して取引きされることも少なくないから、名詞の部分に当たり看者の注意を強く惹く「REESE」の部分より、英語の発音風に「リース」又は「リーズ」と称呼されることも少なくない。

(ア)この末尾の「'S」の省略は、食品関係においては、わが国でもよく知られた商標である「Kellogg's」が「ケロッグ」と、また、「Hershey's」が、通常、「ハーシーズ」よりは「ハーシー」と称呼されていることが多い事実及び請求人の製品のわが国での輸入業者が、その製品の商標である「REESE'S」を、片仮名文字で「リース」と表記していることからも明らかである。

(イ)また、引用B商標及び引用C商標の商標中の「REESE'S」の文字は、「'S」が所有格を表す語であって、「REESE」が主体(語幹)と目され、全体で「REESEのPIECES」、「REESEのPEANUT BUTTER CUPS」の如く認識され易いものであるから、商取引の実際では、「'S」が省略されることが少なくない。

(ウ)なお、「REESE」の欧文字が、「リーズ」と称呼される可能性が高いことは、わが国一般人がなれ親しんでいる多数の英語、例えば、「cheese」が「チーズ」、「Japanese」が「ジャパニーズ」、「please」が「ブリーズ」、「ease」が「イーズ」、「cause」が「コーズ」、「close」が「クローズ」、「rise」が「ライズ」、「pose」が「ポーズ」と発音されていることから、さらに、「リース」と称呼される可能性も高いことは、例えば、「license、sense、house、Pulse、nurse、course、case」等の語尾の「se」が「ス」と発音されていることからも明らかである。

(エ)してみれば、引用A商標は、上述したように、「リース」「リーズ」と称呼されるほか、末尾の所有格を表す符号の「'S」(ズ/ス)を含めた形で、「リースズ」「リーズス(ズ)」とも称呼されるものである。

(2)そこで、引用A商標の「リース」「リーズ」「リースズ」及び「リーズス(ズ)」の称呼と本件商標の称呼を比較すると、

(ア)先ず、引用A商標の「リーズ」の称呼は、本件商標の称呼と全く同一である。次に、「リース」の称呼とも、単に語尾において清音と濁音の差異があるだけにすぎず、両称呼は極めて紛らわしい(類似)ものである。さらに、「リーズス(ズ)」の称呼とも、単に語尾において、未音として常に明瞭に発音され聴取されるとは限らない「ス(ズ)」の有無という差異があるだけにすぎないから、この場合の両称呼も類似するものである。最後に、「リースズ」の称呼と比較した場合においても、中間音に弱音である「ス」の有無という差異があるだけで、しかも、迅速を尊ぶ取引界において、これが一連に称呼されるときは、「ス」の音が「ズ」の音に吸収・消音されるように発音・聴取される場合も決して少なくないと言えるから、両称呼は極めて類似すると言えるものである。

(イ)さらに、引用B商標及び引用C商標は、その構成中の「REESE'S」の部分が商標の要部と言えるから、引用A商標と同じように称呼が生じるものである。引用B商標及び引用C商標の要部が「REESE'S」の部分にあることは、各引用商標が、その登録時に、相互に連合商標として登録されたことからも明らかであって、本件商標は、引用B商標及び引用C商標にも称呼上類似する。

よって、本件商標は、各引用商標と称呼において類似するので、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)また、英語において、引用商標中の「REESE'S」のような表示は、その基本語が、「'S」の前の「REESE」にあることが明らかである。すなわち、英語において、ある語に「'S」を付加することは、その基本語を何ら変更するものではなく、単に、単語の形を「...の」という所有格に変更するにすぎないものである。係る所有格表示は、商品との関係で言えば、「誰の商品?」の質問の答えとなるものであり、係る表示の(商標としての)要部が、本件の場合では、上述した基本語に当たる「REESE」の部分にあることが明らかである。

(5)なお、請求人は、本件審判請求と同じ理由で、商標登録異議申立を行ったが、引用商標の「REESE'S」の文字は、「'S」の部分を省略することなく「リーゼズ」と称呼されるものというのが相当であるから、引用商標は、本件商標に類似しないとの判断が下され、本件商標の登録を維持するとの決定が出された。前記判断は、請求人が上述した理由により妥当でなく、また、過去の各審決で下されてきた判断に明らかに反するもので、不当なものと言わざるをえない。

(7)以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するので、その登録は商標法第46条の規定により無効にされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、「本審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。

〈答弁の理由〉

(1)商標の末尾に表示された「'S」を、簡易迅速を旨とする商取引上、省略して発音されることが一般原則ではないことは、乙第1号証の審決により明らかである。しかも、甲第4号証の商標は、食品関係の著名な法人であるケロッグ社及びハーシーズ社の法人名に「'S」を末尾に付したものであって、その略称として発音を省略する原則を、我が国で周知著名な法人又は個人として認識されているとは思われない「REESE」の末尾に表示された「'S」の称呼には適応できない。

(2)また、請求人は、我が国での輸入業者が片仮名文字で「リース」と表記していることを証拠に提出するが、被請求人の業務に係る商品に付された登録商標「リーズ」と混同を生じることを黙認しているわけで不正な行為であるから証拠として認められない。

(3)したがって、他に称呼を分断するほど冗長な長さでもないから、本件商標は、末尾に表示された「'S」を含めて称呼されるものであり、一般的に知られた英単語ではない「REESE'S」は、母音を強調する日本語の発音原則からすると「リーゼス」という称呼が発生する。

万が一、末尾に表示された「'S」を省略するとした場合であっても、一般的に知られた英単語ではない「REESE」は、母音を強調する日本語の発音原則からすると子音を末尾にするのではなく「リーゼ」という称呼が発生する。

(4)以上のように、本件商標の「リーズ」と各引用商標の要部における称呼「リーゼス」又は「リーゼ」とを比較しても類似ではなく、外観及び観念においても類似ではないから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

4 当審の判断

(1)本件商標は、「リーズ」の片仮名文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「リーズ」の称呼を生ずること明らかである。

これに対し、引用A商標は、「REESE'S」の欧文字を横書きしてなるところ、この構成文字からみて、被請求人が述べ主張する「リーゼズ」または「リーゼ」の称呼が生ずることを必ずしも否定するものでないが、該文字は特定の語義を有する外国語を表したものと認められない造語であって、これに接する取引者・需要者は、一般世人に親しまれている英語の読み方に倣って称呼するというのが自然であり、例えば、「reef」(砂州、礁)が「リーフ」、「reel」(釣り糸の巻き取り器)が「リール」と発音され、また、「cheese」(チーズ)が「チーズ」、「noise」(騒音)が「ノイズ」、「japanese」(日本人〔語〕の)が「ジャパニーズ」等と発音されている用例に倣えぱ、引用A商標の構成文字中の「REESE」の文字部分は「リーズ」と読まれる場合が多いというのが相当である。

(2)また、引用A商標の構成語尾に位置する「'S」の部分は、英語における所有格を表す符号として一般世人に認識・理解されているものであり、これが商品に付される標識として他の語に繋げて用いられる場合、請求人提出にかかる英和商品名辞典(甲第4号証)に掲載の「Hershey's ハーシー(ズ)」、「Kellogg's ケロッグ」の用例の如くに省略される場合が少なくないところである。

(3)そうとすれば、「REESE'S」の文字よりなる引用A商標は、構成語尾に位置する「'S」の部分が省略され、語幹というべき「REESE」の文字部分をもって商取引に資されること決して少なくないといわざるを得ないから、これに相応して単に「リーズ」の称呼をも生ずるとしなければならない。

(4)してみれば、本件商標と引用A商標とは、それぞれより生ずる「リーズ」の称呼を同じくする類似の商標であり、かつ、その指定商品も同一のものである。

したがって、本件商標と引用B商標及び引用C商標との類否を判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する

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