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Trademark Appeal Case

ダージリン証明商標の保護

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35519(T2001−35519/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3221237号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3221237号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、改正法(平成3年法律第65号)附則第5条第1項による使用に基づく特例の適用を主張して、平成4年9月30日に登録出願、第42類「茶・コーヒー・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同8年11月29日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第62号証を提出した。

1 請求の利益について

(1)請求人は、1953年インド紅茶法第4条(甲第2号証)の下にインドにおいて設立されたインド政府の機関であり、インド政府によって任命されたチェアマンにより指揮されている。

請求人の主要な役割は、インドの紅茶産業に関するインド政府の方針を実施することにある。

(2)請求人は、本件商標と同一構成よりなる登録第2153713号商標(昭和61年7月8日に登録出願、第29類「ダージリン産の紅茶および紅茶入り清涼飲料」を指定商品として、平成1年7月31日に設定登録されたものであり、以下「引用商標」という。)を我が国において所有している。

引用商標は、1983年からダージリン紅茶について使用され、1980年代半ばから現在に至るまで、日本の輸入業者又は販売業者により日本国内で販売されているダージリン紅茶について使用されている。

日本貿易振興会(JETRO)発行の「JETROーMarket Information」(甲第6号証)には、ダージリン紅茶は世界で最も有名で好まれている紅茶の1つである旨が記載されている。

請求人はインドで生産される全てのダージリン紅茶を保証及び証明するインドにおける唯一の政府機関であり、また、引用商標はインドから輸出される紅茶を保証及び証明するために使用されていることから、引用商標は日本及び世界中の紅茶の需要者の間で著名になっている。

日本はインドからダージリン紅茶を輸入する世界上位5ヶ国に入る。

引用商標は、1983年にインドで初めて使用され、1986年7月8日付けで日本国特許庁に出願された。また、引用商標はグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国(1987年4月16日)、アメリカ合衆国(1988年7月1日)、ベネルクス(1988年11月3日)及びカナダ(1989年3月15日)にも出願された(甲第10号証ないし同第13号証)。さらに、引用商標はドイツ連邦共和国、オーストリア共和国、スペイン、フランス共和国、ポルトガル共和国、イタリア共和国、スイス連邦及び前ユーゴスラビア連邦を指定して1988年3月11日に国際出願された(甲第14号証)。

(3)引用商標は、ダージリン証明商標保護計画の運営にとって重要なものである。

ダージリン証明商標保護計画は、引用商標の使用を希望する個人又は法人は請求人に強制ライセンスを申請することを要求している。同ライセンス計画の下で引用商標の使用を管理することにより、請求人はダージリンの名の下で供給される紅茶の品質及び真正を保証し、ダージリンの名の独占排他的な一般認識を促進し、市場におけるダージリン紅茶の模倣を防止することができる。

ライセンスの本質的な要件として,ライセンスを受ける者は各々のライセンス番号及び引用商標を商品の包装に顕著に表示しなければならない。ユニークで容易に認識できる当該商標が表示されているときはいつでも、その紅茶はライセンスを受けている者により生産されたことを証明する。引用商標は、ダージリン紅茶として販売される紅茶の真正を保証し、需要者・取引者の間でダージリンの名の即時認識を促進する。

(4)引用商標を使用し、また、その使用が請求人に認可されている日本の企業を以下に示す。

・キリンビバレッジ株式会社:同社は「ダージリンストレートティー」「ダージリンミルクティー」と称した2種類の紅茶を製造している。ともにダージリン紅茶を100%使用しており、請求人の推奨マークが付されている(甲第21号証)。

・有限会社ファイン:同社のウェブサイトには引用商標が掲載されており、引用商標は請求人が承認するダージリン紅茶を表示するマークであると同ウェブサイトで説明している。また、同社はダージリン紅茶の販売も行っていると述べている(甲第22号証)。

・印度紅茶販売株式会社:同社のオンラインショップのウェブサイトには、「FIRST FLUSH EXPRESS」と称した袋入りのグームティー茶園のダージリン紅茶に付されている引用商標が掲載されている。引用商標は請求人がピュアなダージリンに冠する認定マークであると同ウェブサイトで説明している。また、請求人が宛てた1988年2月15日付けの英文の推薦状を同ウェブサイトに掲載している(甲第23号証)。

(5)引用商標は世界的に著名な商標であり、特にアメリカ合衆国、フランス共和国、ロシア連邦、ドイツ連邦共和国、インド及び日本国において著名である。このことは、引用商標を表示してその表示は請求人に認可されていることを述べている数々のウェブサイト、販売促進のための展覧会での写真、種々の新聞・雑誌における広告、包装・製品カタログに付されている写真により裏付けられている(甲第24号証ないし同第47号証)。

したがって、請求人は本件商標の登録無効請求について利害関係を有する。

2 無効理由について

(1)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、請求人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。

本件商標が使用された場合、その役務の需要者は、本件商標が請求人の業務に係るもの又は請求人の許諾を受けた者の業務に係るものと認識する。

しかしながら、被請求人は、本件商標の登録出願に際して請求人の許可は受けておらず、請求人と何ら取引関係を有するものでもなく、また、請求人のライセンスプログラムの当事者でもない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第19号について

上述のとおり、請求人は引用商標の商標権者であり、引用商標は日本国内において周知・著名になっている。

被請求人が紅茶事業に従事しているのであれば、明らかに引用商標に接したことがあるといえる。

被請求人は、請求人の著名な引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の希釈化又はこれへのただ乗りを目的として、引用商標を悪用・乱用し、本件商標を登録したものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第7号について

上述のとおり、請求人はインド政府産業省により権限を授けられた唯一の機関であり、引用商標の商標権者である。

請求人は、被請求人に対して、本件商標の出願について許可を与えていない。

本件商標を登録すること及び請求人の同意なく商取引に従事することは、請求人を侮辱するものであり、また、請求人はインド政府の機関であることから、インド政府の名及び名誉をも侮辱するものである。

また、インドとその他の国との国際信義に反するおそれもある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(4)むすび

上述のように、本件商標は商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第7号に該当する。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、何ら答弁していない。

第4 当審の判断

請求人は、1953年インド紅茶法第4条(甲第2号証)の下にインドにおいて設立された、インドで生産される全てのダージリン紅茶を保証及び証明するインドにおける唯一の政府機関である事実を請求人提出に係る甲各号証によって認め得るものである。

そして、本件商標は、請求人がインドで生産される全てのダージリン紅茶を保証及び証明するために使用している商標(ダージリンティ100%の紅茶にだけ与えられる商標......甲第31号証及び同第54号証参照。)と同一の構成よりなるものである。

してみれば、インドで生産される全てのダージリン紅茶を保証及び証明するインドの政府機関が、その保証及び証明のために使用している商標を上記機関と何らの関係を有しないと認められる被請求人が出願登録し使用する行為は、その提供に係る紅茶があたかもインドの政府機関が保証したものであるかのように、需要者をして誤信させ、インド政府機関に対する需要者の信頼性を損なうものであって、公正な商取引の秩序を混乱させるものであり、ひいては国際信義に反し、公の秩序を害するものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第46条第1項第1号により無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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