sokuhyo

Trademark Appeal Case

ワンポイント図形商標の類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2001−90676(T2001−90676/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4482121号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成12年7月31日に登録出願され、指定商品を第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,帽子,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」とし、平成13年6月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立て理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであり、同法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消されるべきものである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第32号証を提出している。

(1)引用商標

申立人が引用する登録第4327531号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成よりなり、平成10年11月25日に登録出願され、指定商品を第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」とし、平成11年10月22日に商標権として設定登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は、共に、ゴールデンレトリバー種と思われる犬の立位の図形を黒塗りに表わして成る点、尾を水平方向に向けている点等において両商標は構成の軌を一にしている。但し、子細に対比観察した場合には、a.本件商標の犬は右向きなのに対し、引用商標の犬は左向きであること、b.本件商標の犬は引用商標の犬よりも全体的に少し太身であること、c.本件商標の犬は歩行状態にあるのに対し、引用商標の犬は静止状態にあることの相違点を挙げることができるが、これらの相違は、両商標から受ける印象に決定的相違を与えるものではなく、そのような形態の大型犬のシルエットの図形として、また、そのような観念を惹起させるものとして、看者の記憶に強く印象づけられるものである。

そして、時と処を異にして離隔的に接する場合、必ずしも常に図形の細部まで性格に記憶されているとはいえないのが通常であり、両商標における上記構成上の差異は、両商標の構成全体から受ける共通した印象からすれば、微差の範囲にとどまるものというべきである。

加えて、本件商標の指定商品である「被服」等の取引分野においては、甲号証からも明らかなように、いわゆるワンポイントマークとして、商品に縫いつけたり、刺繍するなどして使用されることも多く、その場合においては、比較的小さく表示され、上記した細部における構成上の差異は一層、曖昧なものとなり、印象が希薄なものとなるといわなければならない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観及び観念において相紛わしい類似の商標といわなければならない。また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

(3)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、申立人が「DOG・DEPT」の文字商標と共に、平成4年のテストマーケッティングから使用を開始し、商品アイテムは現在では「カジュアルウエア全般、ベビー・子供服、靴下、下着、ホームウエア、バッグ、ベルト、手袋、タオル、ハンカチ、マフラー、ネクタイ、帽子、ステーショナリー、カサ、レインウエア、寝装具、犬のリード、首輪その他のペット用商品等」に及び、年間取引量も、平成5年には約5000万円であったものが、順調に伸び平成11年には約800000万円となってきている。

この事実を反映し、引用商標に関する商品カタログのボリュームも、1996年版(甲第3号証)が8頁、1997年上半期版(甲第4号証)が14頁、1997年下半期版(甲第5号証)が23頁、1998年上半期版(甲第6号証)が38頁、1998年下半期版(甲第7号証)が42頁、1999年上半期版(甲第8号証)が49頁、1999年下半期版(甲第9号証)が57頁、2000年上半期版(甲第10号証)が115頁、2000年下半期版(甲第11号証)が89頁、2001年上半期版(甲第12号証)が89頁と増大してきている。(但し、2000年分はミレニアムイヤーの特別版ということで増ページとなっている。)

そして、その間、宣伝広告も、日刊新聞、業界新聞、ファッション雑誌等を中心に継続的に行ってきており(甲第13号ないし甲第18号証)、雑誌の記事としても取り上げられ(甲第19号証)、話題になっていた。

その結果、引用商標は本件商標の出願時において、申立人の商標として周知となっていた。かかる状況の下、引用商標に酷似する本件商標が本件指定商品に使用された場合は、需要者はその商品が申立人の扱う商品シリーズの1つであると誤認することが必至であり、また、本件商標を付した商品が混在することにより、引用商標のグッドウィルが希釈され、需要者が不利益を蒙ると共に申立人の義務上(注、「業務上」の誤りと解される。)の信用が阻害されるおそれのあることは疑いのないところである。

なお、申立人は、引用商標に関連するものとして引用商標以外にも多くの登録を有し(甲第20号証ないし甲第28号証)、更に海外においても登録を有している(甲第29号証ないし甲第32号証)。この他に、タイ国商標登録第KOR55093号、中国商標登録第961475号、台湾商標登録第723978号、インドネシア商標登録第368912号の登録を有し、更にシンガポール、マレーシア、フィリピンにも出願中である。

したがって、本件商標が本件指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。

よって、本件商標登録は商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。

3 当審の判断

(1)本件商標及び引用商標は、別掲(1)及び(2)に示すとおりの構成よりなるところ、両商標は、いずれも全体が黒く塗り潰されたシルエット状に描かれた犬の図形であるが、これが直ちに同じ犬又は同じ種類の犬を描いているものとはいい難いものである。本件商標は、全体を右方向を向き、前足と後足の一方の足は、いずれもやや前方向に向け、その前足をくの字状に曲げ足先が地から離れた状態となっていること、他方の前足及び後足はいずれもやや後方に向け、頭部をやや下向きにした姿勢に表されていること、また、胴も比較的太く描かれていることから、全体として、太身の歩行途中の犬の印象を看取し得るものといえる。これに対し、引用商標は、全体を左方向を向き、頭を上げ、前足と後足をそれぞれ揃え地につけてた姿勢で表され、胴体もややくびれたスリムな姿に描かれていることから、頭を上げ前方を静観している静的姿勢であり、比較的簡素でスリムな安定感のある印象を看取し得るものといえる。

そうしてみると、両商標は、いずれも全体が黒く塗り潰されたシルエット状の犬を表しているとしても、前記のとおり異なった印象をそれぞれ看取され得ることから、これらの商標を時と所を異にして観察したとしても外観上相紛れるおそれはないものとみるのが相当である。また、両商標からは特定した称呼又は観念を生じるものとはいえないので、対比することできない。

なお、申立人は、本件商標の指定商品である「被服」等の取引分野においては、いわゆるワンポイントマークとして使用されることも多く、その場合においては、比較的小さく表示され、細部における構成上の差異は一層、曖昧となり、印象が希薄なものとなるので、本件商標と引用商標とは相紛らわしい類似の商標といわなければならない旨主張しているが、商品に登録商標を付す場合、通常、その商品の性質、形状などを考慮し商標を小さく表示する場合があるとしても、その商標の構成態様上の特徴、その特徴から看取され得る印象まで変わることはあり得ない。両商標におけるそれぞれの構成態様上の特徴及び看者に与える印象は前記認定のとおりであり、仮に、これらの商標をワンポイントマークとして使用することがあるとしても、外観上相紛らわしいものとはいえないので、この申立人の主張は採用できない。

してみれば、両商標は、外観、称呼、観念のいずれの点においても類似するとはいい得ないので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとして登録されたとはいえない。

(2)次に、本件商標が申立人の業務に係る商品と出所について混同を生じさせるおそれがあるか否かについて検討するに、本件商標と引用商標とは、前項(1)で認定したとおり、それぞれの構成態様上の特徴の相違により看取される商標の印象が異なり相紛れるおそれのない別異の商標である。

また、引用商標の使用状態を表す商品カタログ、新聞・雑誌における広告である甲第3号証ないし同第19号証によると、二重線による楕円輪郭内に「DOG・DEPT」の欧文字を表し、その欧文字の上段で楕円輪郭線と交差するように引用商標と同様の犬の図形を配してなる商標が表されている。また、帽子、バッグ等には比較的大きく表されている「DOG・DEPT」の欧文字と犬の図形の引用商標を組み合わせて使用されており、犬の図形からなる引用商標は、いずれも、「DOG・DEPT」の欧文字と組み合わされて使用され、申立人の取り扱う商品を「ドッグデポト」と称されていることが認められる。

しかして、両商標におけるそれぞれの構成態様上の特徴の相違、それにより看取される商標の印象の違い、及び、前記甲号各証における引用商標の使用状況からして、本件商標をその指定商品について他人が使用するとしても、取引者・需要者をして、引用商標を想起させ、その引用商標の使用者である申立人と何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生じさせるおそれはないものとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとして登録されたということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するものとして登録されたものではないので、同法第43条の3第4項により、この登録を維持する。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。