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Trademark Appeal Case

不使用取消:使用態様と商品

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30818(T2001−30818/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2130380号商標の指定商品中「医療機械器具」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2130380号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和61年6月20日登録出願、第10類「測定機械器具、医療機械器具及びその他本類に属する商品」を指定商品として、平成元年4月28日設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出している。

1.本件商標は、その指定商品のうち「医療機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2.被請求人は、乙第1号証の裏表紙(最終ページ)の左下に、本件商標と同一(商標法第50条第1項にいう社会通念上の同一)の商標「SIS」が表示されている旨主張する。

しかしながら、被請求人の指摘する「SIS」の表示は、「総販売代理店」として表示されている「昭和情報機器株式会社/SHOWA INFORMATION SYSTEMS CO.,LTD.」の日本語表記及び英語表記からなる二段書きの会社名の左横に、同会社名と一体に表示されている標章であり、すぐその下に同社に係る連絡先(住所・電話番号等)が一緒に表示されていることからも明らかなように、被請求人の指摘する「SIS」の標章は、その使用態様から、社標・営業表示として表示されているものであると認められ、特定の商品に係る商品商標としての使用とは認められないものである。

よって、被請求人の提出する書類からは、本件商標が、本件審判に係る指定商品「医療機械器具」に使用されていることは何ら証明されていない。

なお、上述のように、被請求人の指摘する「SIS」の表示は社標・営業表示と認められるものであり、本来本件商標と同表示との同一性を云々する必要はないものであるが、念のため、同表示と本件商標は社会通念上同一とは認められないものであることを指摘する。すなわち、被請求人の指摘する表示の態様は、黒色の縁取りに白抜きで書されているが、本件商標は全て黒色で塗りつぶされて書されており、本件商標と同表示を比較した場合、看者に与える印象は著しく異なるものであり、到底、商標法第50条第1項にいう「社会通念上同一と認められる商標」とは認められないものである。

いずれにしても、標章の「使用」に関して、商標法第2条第3項第7号は「商品又は役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、又は頒布する行為」と規定しており、被請求人が提出する書類からは、乙第1号証に係るカタログが本件商標を付して展示され又は頒布されたことに関して何ら証明されていない。

3.被請求人は、被請求人が本件商標と社会通念上同一であると主張する上記表示に係る商品として、乙第1号証に紹介されている「自動再来受付システム」に言及し、同商品が「医療機械器具」に含まれる旨主張する。

まず、上述のように、被請求人が本件商標と社会通念上同一であると主張する上記表示は、被請求人が「医療機械器具」に含まれると主張する「自動再来システム」について使用されているものではないが、念のため、同商品に関して以下の点を指摘する。被請求人の指摘する上記商品は、以下に述べるように「医療機械器具」の範疇に属する商品とは認められない。

本件審判に係る商品「医療機械器具」は、昭和34年法の下における第10類の商品であり、同商品は、現行法の下では、「第10類 医療用機械器具」等に対応するものであるが(甲第2号証)、『商品及び役務区分解説〔改訂第3版〕』によると、現行第10類の「医療用機械器具」の範疇に属する商品のうち、例えば「病院用機械器具」は、「診察室又は手術室以外でも直接患者の処置に使用するものはこの概念に含まれる。」とある(甲第3号証)。

しかしながら、被請求人の指摘する上記商品は、まず、診察室又は手術室で使用されるものとは認められず、また、直接患者の処置に使用される商品とも認められない。同商品は、病院内での受付事務のために使用される商品であり、医療目的で医師等の医療の専門家によって使用される商品ではない。乙第1号証によると、被請求人の指摘する「自動再来受付システム」は、患者自らが受付操作できるものであり、その操作も簡単なものであると説明されている。よって、被請求人の指摘する商品は、「電子応用機械器具」に含まれる商品であるとしても、決して「医療機械器具」に含まれる商品とは認められない。

4.被請求人は、乙第4号証を提出し、「医療画像診断装置用画像デー夕転送用管理装置」が現行第10類の「医療用機械器具」に含まれるものとして登録されており、乙第1号証に示された「自動再来受付システム」も同様に「医療機械器具」に含まれる商品である旨主張する。

しかしながら、「医療画像診断装置用画像データ転送用管理装置」は、少なくともその商品表示から、医療目的で医師等の医療の専門家によって使用されうる商品であると認められ、受付事務のために使用される商品である「自動再来受付システム」とは明らかにその内容及び範囲を異にする商品である。

なお、被請求人は、「カード発行機器関連製品のリリース」と題する書類の写しを、昭和情報株式会社の社内通達であるとして、乙第3号証を提出している。まず、乙第3号証に係る書類で「促販ツール」として言及されている「製品カタログ」が乙第1号証に係るカタログと対応するものかどうかは不明である。いずれにしても、同書類からは、それが昭和情報株式会社の社内通達であることは確認できず、また、同書類には、本件商標に関する表示は一切見受けられない。

よって、乙第3号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、「医療機械器具」について本件商標を使用していることを何ら証明するものではないことを指摘する。また、仮に乙第3号証に係る書類で言及されている「自動再診受付システム」が、乙第1号証に係るカタログで紹介されている「自動再来受付システム」に対応するものであるとしても、乙第3号証に係る書類において「自動再診受付システム」は、受付端末機とサーバーシステムから構成されると説明されており、このことからも、同商品は、「電子応用機械器具」に含まれる商品であるとしても、決して「医療機械器具」に含まれる商品とは認められないという上述の主張が裏づけられているものと思料する。

5.被請求人は、乙第2号証を提出し、乙第1号証に係る商品が、2001年3月6日に発注者である昭和情報機器株式会社に納品された旨主張する。

しかしながら、乙第1号証に係るカタログは「Cards Solutions カード発行システム総合カタログ」と称するものであり、その最終ページに「ホスピタルカードシステム」が紹介されているとしても、乙第2号証に係る品名「ホスピタルカードカタログ」からは、乙第2号証に係る納品書と乙第1号に係るカタログが対応しているものと認めることはできない。

よって、乙第1号証に係るカタログが2001年3月6日発行であるとする被請求人の主張は認められない。

6. 以上により、被請求人が提出している上記審判事件答弁書は、本件商標が、本件審判の請求の登録前三年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、その指定商品「医療機械器具」について使用されていることを立証していないものであることが明らかになったものと思料する。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出している。

1.本件商標は、審判請求に係る指定商品「医療機械器具」について、審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者により使用されている。以下にこの事実を立証する。

(1)乙第1号証は、本件商標の商標権者である昭和情報機器株式会社が2001年3月6日に3000部の印刷を完了し、取引先に配布した、「Cards Solutions カード発行システム総合カタログ」と称するカタログである。

また乙第2号証は、乙第1号証のカタログが、東京都品川区東五反田3−7−22所在の印刷会社プリント・ウェイブにより3000部印刷され、この3000部のカタログが2001年3月6日に発注者である昭和情報機器株式会社に納品されたことを証する納品書の写しである。

(2)乙第1号証の裏表紙(最終ページ)の左下には、本件商標と同一(商標法第50条第1項にいう社会通念上の同一)の商標「SIS」が表示されている。また、この商標に係る商品として、同ページの中央からやや下側に「自動再来受付システムの構成と接続」と称したものが示されている。

この商品は、病院で使用される患者の受付総合システムであって、同図に示されるように、制御サーバに接続された予約患者到着確認機、自動再来受付機、院内受付機及び受付状況表示器制御装置と、制御サーバが接続されたホストコンピュータと、カード発行機と、自動支払機とで構成される。特に同図に示されるように、ホストコンピュータは、再来患者を受け付けると、カルテ出庫指示を出す。つまり、この乙第1号証に示された商品「自動再来受付システム」は病院でのみ使用される商品であり、用途や需要者の範囲が医療機械器具と一致するので、商標法第6条の商品及び役務の区分でいうところの「医療機械器具」に含まれるものである。

(3)ちなみに、乙第3号証は、上述した自動再来受付システム関連の製品のリリースに関する社内通達であり、第1ページに記載のように販促ツールとして製品カタログを用いて平成12年4月10日に出荷開始されることが示されている。

(4)また、乙第4号証は、指定商品を「医療画像診断装置用画像データ転送管理装置、その他の医療用機械器具」とする登録商標であり、この登録例では医療画像診断装置に用いられる画像データの管理装置は医療用機械器具に含まれるものとされている。

(5)したがって、乙第1号証に示された自動再来受付システムも、この乙第4号証の登録例と同様、医療機械器具に含まれる商品である。なお、今回提出した乙第1号証ないし第4号証によって本件商標の使用が確認できると確信するが、仮に使用の事実が上記各乙号証でも不充分であるときは、口頭審理にて細部を立証する用意があることを付言する。

以上のことから、本件商標は、請求に係る指定商品「医療機械器具」について、審判請求登録前である2001年3月6日から日本国内において使用されており、商標法第50条第1項の規定には該当しない。

2.弁駁書に対する答弁

(1)商標的使用態様について

請求人は、「SISの表示は、社標・営業表示として表示されているものであって、特定の商品に係る商品商標としての使用ではない」旨主張する。

しかしながら、乙第1号証の裏表紙の左下に表示された「SIS」は、いわゆるハウスマークであり、現実的に自動再来受付システムなる商品を識別するために使用されているので、請求人が主張する営業表示であると同時に商品商標でもある。

すなわち、乙第1号証にはカード発行システムに関する複数種の商品が掲載されているが、同裏表紙の左下の「SIS」マークは、これら被請求人の業務に係る商品を他人の業務に係る商品から識別するために使用されているものであり、これを見た取引者・需要者は当該商品の出所或いは品質を確認するための手がかりとして同裏表紙の左下の「SIS」マークを認識することは明らかである。

請求人が主張するように商標「SIS」が営業主体を表示する機能を発揮していたとしても、そのことを理由に当該商標が商品商標ではないと断言することは何ら合理的理由がない。

したがって、乙第1号証の裏表紙の左下に表示された「SIS」は自動再来受付システムを識別するための商標として機能しており、特定商品に係る商品商標としての使用に該当する。

(2)「登録商標と乙第1号証の商標とは社会通念上の同一性がない」旨主張する。

しかしながら、商標法第50条の登録商標には、その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められる、いわゆる色違い類似商標が含まれ(商標法第70条第1項)、本件商標と乙第1号証に表示された商標はまさにこの色違い類似商標に該当する。また、第50条第1項にいう同一性とは、同項カッコ書きに規定されたとおり「外観において同視される図形からなる商標」を含むものであり、乙第1号証に表示された商標はこの「外観において同視される図形からなる商標」にも該当する。

したがって、登録商標と乙第1号証の商標とは社会通念上同一の商標である。

(3)「乙第1号証に紹介されている自動再来受付システムは医療機械器具の範疇に属する商品ではない」旨主張する。そして、「商品及び役務区分解説(改訂第3版)」を甲第3号証として挙げ、乙第1号証に紹介された自動再来受付システムは、診察室又は手術室で使用されるものとは認められず、また直接患者の処置に使用される商品とも認められないと主張する。

しかしながら、乙第5号証に示されるように、「医療用機械器具には、医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する」と説明されている。乙第1号証に紹介された自動再来受付システムは、カルテ出庫指示とか、予約患者到着確認機とかいった表現があるように、専ら病院で使用される機械器具であることに疑う余地はない。ちなみに、「カルテ」とは「診療簿、病症録」のことを意味し、「患者」とは「病気にかかったり、けがをしたりして、医師の治療を受ける人」を意味する(広辞苑参照)ことから、病院以外で使用されるものではない。

以上のことから、乙第1号証に紹介された自動再来受付システムは、商標法第6条の商品及び役務の区分でいうところの「医療機械器具」に属するものである。

(4)「乙第1号証に係るカタログが2001年3月6日発行であることは認められない」旨主張する。

しかしながら、本件被請求人は新たに乙第6号証として、平成13年4月に乙第1号証に係るカタログを受領したことを証する書面を提出する。この乙第6号証は、被請求人が2001年3月6日に印刷会社から受領した乙第1号証に係るカタログ「Card Solutions カード発行システム総合カタログ」を、取引先である東京都中野区南台5丁目27−32の株式会社日本テクナートに頒布したことを証明するものであり、これにより乙第1号証が2001年4月に頒布されたことは明らかである。

なお、乙第1号証ないし同第6号証によって本件商標の使用事実が確認できると確信するが、仮に使用の事実が上記各乙号証でも不充分であるときは、口頭審理にて細部を立証する用意があることを付言する。

(5)以上のことから、本件商標は、請求に係る指定商品「医療機械器具」について、審判請求登録前である2001年4月から日本国内において使用されており、商標法第50条第1項の規定には該当しない。

第4 当審の判断

1.乙第1号証ないし同第3号証及び同第6号証から、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証は、「Cards Solutions カード発行システム総合カタログ」と題する被請求人の販売に係る機器の商品カタログであり、被請求人の名称、住所が記載され、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が明示されていること及び被請求人が本件商標の使用に係る商品と主張する「自動再来受付機」(以下「使用商品」という。)が写真とともに掲載されていることが認められる。

(2)乙第2号証によれば、印刷会社より、「ホスピタルカードカタログ」が、2001年3月6日に被請求人に納品されたことが認められる。

(3)乙第3号証によれば、使用商品を平成12年4月10日に出荷開始したことを、2000年4月25日に社内通達したことが認められる。

(4)乙第6号証によれば、株式会社日本テクナートが、前記(1)の商品カタログを平成13年4月に受領したことを証明した、平成14年7月16日付の同社取締役部長による証明書であることが認められる。

2.前記1で認定した事実によれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を日本国内において本件審判請求の登録(平成13年8月15日)前3年以内に使用していたと認め得るところである。

請求人は、社標、営業表示として認められるものであり、商品出所の責任所在を示すためのものではないから、社会通念上の使用ではない旨主張している。

しかしながら、乙第1号証に示されている「SIS」の文字部分が本件商標と若干態様が異なるとしても、該「SIS」の文字は、その変更が登録された差異の形態における商標の識別性に影響を与えず、かつ、商標の同一性を損なわないものであるから、当該登録商標と社会通念上同一の商標の使用であると解すべきである。また、商品カタログの当該箇所に表示されているとしても、これをもって、該表示が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとすることはできないし、該商品カタログは被請求人の作成に係るものであり、そこに使用商品を含めて紹介、解説してなる仕様説明書と認められ、該商品カタログに基づき取引が行われた状況を十分窺わせるものであるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。

3.被請求人は使用商品「自動再来受付機」は医療機械器具の範疇に属する商品であると主張するのに対し、請求人は電子応用機械器具の範疇に属する商品であると主張しているので、この点につき判断する。

被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、使用商品に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることが認められることは前記したとおりである。

しかしながら、以下の理由により、使用商品は医療機械器具の範疇に属する商品と認めることはできない。

特許庁編「商品区分解説」(平成8年12月25日改訂第3版 社団法人発明協会発行)の第10類の「医療機械器具」(71頁)によれば、「医院又は病院で専ら使用される機械器具がこの概念に属する。」旨の記載が認められ、また、同商品区分解説の「<(4)病院用機械器具>」(72頁)には、「診察室又は手術室以外でも直接患者の処置に使用するものはこの概念に含まれる。」との記載が認められる。

一方、使用商品は、乙第1号証によれば、「患者さんがご自分で受付操作出来ます。」「診察時間の予約や医師の指定を行うことができます。」と、乙第3号証の「4.自動再診察受付システム」の項に「病院向け自動再診察受付システムです。受付端末機とサーバーシステムで構成されます。」と、「自動再診察受付機」の項に「東京・・・・当社独自の受付機です。」との記載が認められ、使用商品は、病院における受付事務手続を機械を利用して行うものとみられるものであって、前記商品区分解説の「病院用機械器具」とは、その用途を異にするものであり、医療機械器具の範疇に属する商品というよりは、むしろ事務用機械器具の範疇に属する商品というべきである。

4.してみれば、被請求人は、請求に係る「医療機械器具」について、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用している事実を証明したものということはできない。また、使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていないものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、請求に係る指定商品中「医療機械器具」についてその登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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