結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35210号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4065152号商標(以下「本件商標」という。)は、「AMIZONE」の文字を横書きしてなり、平成5年6月24日に登録出願、第3類「シャンプー、頭髪用化粧品」を指定商品として、同9年10月3日に登録されたものである。
請求人が本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第1215638号商標(以下「引用A商標」という。)は、「AMAZONE」の欧文字と「アマゾーン」の片仮名文字とを二段に併記してなり、昭和48年10月12日に登録出願され、第4類「オーデコロン、スキンローション、ボディローション、クリーム、おしろい、セッティングローション、防臭化粧品、タルカムパウダー、バスソルト、バスオイル、その他の化粧品、香水入りせっけん、その他のせっけん類、その他本類に属する商品」を指定商品として、同51年8月26日登録、その後、同62年7月22日及び平成8年12月24日の2回に亘り商標権存続期間の更新登録がなされたものである。同じく、登録第2549870号商標(以下「引用B商標」という)は、別掲のとおり「AMAZONE」の欧文字と図形の組み合わせよりなり、平成元年10月6日に登録出願され、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同5年6月30日に登録されたものである 同じく、登録第2549871号商標(以下「引用C商標」という。)は、「アマゾン」の片仮名文字を横書きしてなり、平成元年11月6日に登録出願され、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同5年6月30日に登録されたものである。同じく、登録第2549872号商標(以下、引用D商標という。)は、「AMAZONE」の欧文字を横書きしてなり、平成2年2月23日に登録出願され、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき 化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、同5年6月30日に登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第9号証(枝番を含む)を提出している。
1.請求の理由
(1)外観、称呼の類否
(ア)引用A、B、D商標は「AMAZONE」の欧文字構成を有してなる商標であり、その文字は、「アマゾン、女戦士、勇ましい女性」を意味する言葉として日常生活の中に受け入れられている。また、視覚的に「AMAZONE」という文字構成(スペーリング)の英単語は馴染まれているが、スペーリング全体が明確に理解されるわけではないから漢字を認識するように、文字全体の外観が視覚的に目に入る。そして、その商標は語頭部の「AM・・」も語尾部の「・・ZONE」も完全に同一で、これら商標のスぺーリングが相違するのは第3番目の文字のみである。このような中間にあり、しかも7文字構成中の第3番目の文字は、スぺーリング上視覚的な印象は最も希薄な部分といえ、不確かに認識される部分で、「AMIZONE」のスぺーリングを一見した当業者・需要者がこれを1文字1文字明確に認識・把握しないまま、良く知られた言葉の「AMAZONE」であると誤認・誤解することは、極めて容易に想像し得る事態である。実際に、離隔的にこれらのスぺーリングからなる商標を観察して考えるならば、両者を外観上常にかつ容易に弁別できると判断することには無理があるから、欧文字のスペーリング構成上外観が、引用商標の構成と酷似し両者は外観上類似する。
(イ)本件商標「AMIZONE」は造語であり、「アミゾーン」と呼称され、一方、請求人の引用A、B、D商標からは「アマゾン」または「アマゾーン」の称呼を、また引用C商標よりは「アマゾン」の各称呼を生ずるものである。これらは最も重要な語頭音「ア」は同一であり、語尾部「ゾーン」の音構成も同一である。唯一の相違は、第3音「ミ(mi)」と「マ(ma)」であるが、これらは双方とも子音「m」を共通にする音で、母音の「i」と「a」も開口の度合いが違うものの、外に向かって発声される音として響きが類似する。しかも、この場合、それぞれに続く音が、強く響く濁音「ゾ(zo)」で、しかもこれは一旦唇をすぼめ舌を歯茎につけて息を詰めて発声される音である。よって、母音「i」と「a」の音としての差異は、例えば長音などで引き伸ばされて音程等の違いが強調される場合と全く異なり、直ぐに次の「zo」の発声の為に唇をすぼめて音韻が止められるので、音の差異が明確に認識される可能性が少ない。加えて、語頭音「ア(a)」は開口母音のみからなる明瞭な音であり、第3音の「ゾ(zo)」が強い濁音であることは上述の通りであるから、第2音の印象は音構成全体からしても弱くなっている。よって、全体としてみるならば、両者が相紛れてしまい、当業界でこれらが併存して使用されるときは、取引において混乱を生ずる高い蓋然性があるので、これらは称呼上類似である。
したがって、本件商標は引用各商標と外観上及び称呼上類似し、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)周知著名性について、
請求人であるコンブトワール・ヌーボー・ド・ラ・ノベルフュメリーは、世界的に著名なファッション総合メーカーであるフランスのエルメス・アンテルナシオナル(所謂エルメス社である。以下「エルメス社」という。)の子会社で、香水部門を専門に開発・製造する者であり、エルメス社の名の下に製造・販売される香水を管理しこれらについて、世界中に権利を保有し、その名称及び商標の管理と保護に全力を挙げている。そのエルメス社の香水「AMAZONE」は1974年に発表されたエルメス社の代表的香水の1つで我が国においても発表直後から輸入され、活動的な若い女性向きの香水として製造され、大人気を博したものであり、この同じ香りを有する「せっけん、タルカムパウダー、ローション」などの化粧品のシリーズがあり、その商標の著名性については、以下の書証を挙げる。
(ア)甲第5号証 (株)講談社発行「世界の一流ブランド/エルメス大図鑑」昭和57年4月(第二刷)表紙・裏表紙奥付・第52頁及び第112頁(写)エルメス社に関する一冊の図鑑が編集されていることから、同社ブランドの著名性を示されている。昭和57年発行のこの図鑑に「AMAZONE」の香水とそのシリーズ商品が、明瞭に示されている。また、第112頁には「エルメス香水物語」と称して、香水開発の歴史やいかにこれが人気となったか「AMAZONE」の発表の経緯などについて詳述されている。
(イ)甲第6号証 (株)講談社発行「世界の一流品大図鑑1985年度版」昭和60年5月発行、表紙・裏表紙・第273頁(写)アマゾンが一流品として紹介されている。
(ウ)甲第7号証 (株)講談社発行「世界の一流品大図鑑1992年度版」平成4年5月発行 表紙・裏表紙・第299頁(写)、甲第5ないし同第7号証は、総て本件商標の出願日(平成5年6月24日)以前に作成・発行されたものである。
以上の立証によって、「AMAZONE」がエルメス社の著名な香水(及びその周辺化粧品)の商標として広く知られた著名な商標であり、先に分析した如く、本件「AMIZONE」は「AMAZONE」と外観上及び称呼上類似し、通常人の注意力からすると、外観・称呼において極めて紛らわしい。しかも、本件商標の指定商品は「シャンプー、頭髪用化粧品」であるが、これら商品に香料の要素が多々含まれることは周知の事実であり、本件商標のような著名な香水等の商標と近似する商標が使用されれば、その使用される商品にその香りが加味されていると誤解・誤認を生ずる可能性は否定できないものであるから、同一の業界において請求人の商品と類似する商品「シャンプー、頭髪用化粧品」に本件商標が使用されるときは、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号に該当する。
エルメス社の「AMAZONE」として知られる請求人の商標の著名性を考慮するならば、万が一本件商標がその指定商品に使用された場合、この商標が付された商品は、エルメスの「AMAZONE」と間違い、公衆に誤認・混同され、更に結果として著名性が希釈化される可能性も極めて高いものである。
(4)以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号若しくは同第15号に該当し、同法第46条第1項の規定によりその登録は無効となるべきものである。
2.被請求人の答弁に対する弁駁
(1)被請求人は「AMAZONE」が、外観において、本件商標「AMIZONE」と類似であると述べたことに疑義を述べているが、「AMAZONE」という言葉が我が国で既に認知されており、その認知度を見ても「AMAZONE」と「AMIZONE」は外観上混同を引き起こす程の外観構成が酷似するから、一般人の通常の注意度を基準とすれば間違われる可能性が高い。また、被請求人は、請求人が称呼の類似性と外観上の類似性を混同していると述べているが、請求人は、この点においては明確に区分して理論構成しており、称呼の類否判断と外観の類否判断を混同してはいない。この主張を裏付けるものとして、平成5年審判第20345号審決(甲第8号証)を提出する。この事例は商標「FUTURO」が引用商標「FUTURA」(図形その他の文言を含んで構成)」と類似すると判断された審判事件であるが、その判断理由中に商標「FUTURO」は引用商標の「FUTURA」の部分と外観において類似した印象を与えるもので、時と所を異にして両者に接する時は、両者は外観上類似すると認めるのが相当であると述べられている。また請求人は、平成6年審判第1863号審決(甲第9号証)を提出する。当該事例は商標「TOYAMYCIN/トヤマイシン(二段併記)」が引用商標「TOYOMYCIN/トヨマイシン」と類似する。その理由は、看者に強い印象を与える語頭部分の文字を同じくし、わずかに中間における1文字のみを異にするに過ぎないものであるから、両者は外観においても互いに共通の要素を有するものというべきであると述べられている。
(2)被請求人の主張は、すべて本件商標が自然にかつ当然に「アミゾーネ」とのみ呼称されるという論を根拠としているけれども、本件商標に接した当業者・需要者がごく自然にこれを特別の意味のない造語と認識し、「アミゾーン」と呼称することは大いにあり得るから、本件商標は称呼上も引用商標と類似する。
また、被請求人の提出する本件商標の使用に係る乙第1号証ないし同第6号証からみると、まずプライスリスト上では、「アミゾーネ」なる表記はあっても、本件商標は表示されていないし、また、実績確認表なる書証と併せても、提出されたカタログ、パンフレット上では上記欧文字と片仮名文字が併用されているが、これは何時から、どれぐらい我が国の当業者・需要者の目にふれるよう、製作・配布・使用されてきたのか、使用にかかる客観的証拠はない。
そして、被請求人は、長年かような態様で使用される「AMIZONE」に親しんだ需要者は「アミゾーネ」が称呼であると認識するのが必定であるとの主張は、本件商標「AMIZONE」が既に我が国で十二分に使用されており、少なくも当業者・需要者の間に本件商標を一見すれば「アミゾーネ」なる称呼が発生するという高い蓋然性があるが、事実を、客観的に証明するものではないと考える。そして又、被請求人はその指定商品に使用されるのは本件商標が一般消費者でなく、美容院に限定して使用されるとのことであるが、商標権はそのように使用を限定した状態に対して与えられるものではないことと、現在の使用の状態がどうあろうとも、本件商標の将来の使用の状況・状態が確定されるものではないし、本件商標を使用することによって出所の混同が起こり得べき可能性がある。
また、請求人は引用各商標の著名性は客観的な書証により十分に証明されているが、必要であるならば具体的な説明・証明を提出する用意がある。
以上のように、被請求人の答弁は理由がないものであり、引用商標は、十分な著名性を確立した商標であり、本件商標と引用各商標の文字部分は外観及び称呼においてこれと近しく、相互に混同されるおそれがあるから、商標法第4条第1項第10号若しくは11号に該当しない場合であっても、商標法第4条第1項第15号には該当するものである。
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として、第1号証ないし同第7号証を提出している。
1.商標法第4条第1項第11号について
(1)請求人は、本件商標と引用A,B、D商標が外観において類似すると主張するが、審決例及び判決例に裏付けされていない。このような中間部の文字部分であって、しかも7文字構成中の第3番目の文字は、スぺーリング上視覚的な印象は最も希薄な部分といえ、不確かに認識される部分は、称呼類否における一般的な判断基準を外観類否の基準にすり替えているから、請求人の独自の主張である。
(2)称呼に関して、請求人は、本件商標は、添付した書証から明らかなように昭和59年の発売以来一貫して「アミゾーネ」の片仮名文字を使用し続けている(乙第1号証ないし同第6号証)。このような態様で使用し続けている場合には、本件商標「AMIZONE」からは「アミゾーネ」の称呼のみが生じ、「アミゾーン」の称呼は発生することはないから、「アミゾーン」の称呼が生じることを前提に引用商標の称呼との対比をおこなっている請求人の主張は失当である。本件商標の「アミゾーネ」と引用各商標の称呼「アマゾン」は、4音中第3音が相違し、混同の可能性は皆無であり、また「アミゾーネ」と「アマゾーン」は4音中2音が相違するためこれも混同の可能性はないから、本件商標と引用各商標は、称呼の点でも類似しない(乙第7号証)。
したがって、本件商標が引用各商標と類似するという主張は根拠がない。
2.商標法第4条第1項第10号について
請求人の主張は、本件商標と引用各商標が、「外観上及び称呼上類似する。少なくとも、通常人の注意力を基礎とするならば、外観・称呼において極めてまぎらわしいと言わざるを得ない。」との前提にたっているが、両者は、類似しない。したがって、引用各商標の周知性を述べるまでもなく本件商標は、構成要件に該当しないから、本件商標が「商標法第4条第1項第10号に該当する」との主張も失当である。
3.商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用各商標とは、明らかに非類似のものであり、また、「AMAZONE」の著名性の立証も不十分であるから、両商標が同一又は類似の商品に使用されたとしても出所の混同の生じる余地はない。したがって「商標法第4条第1項第15号に該当する」との主張もあたらない。
なお、本件商標は、その商品の販売先を「美容院」に限定しているから、この商品の需要者は一般の消費者とは相違する。これに対し、引用各商標に係る需要者層は一般の消費者である。したがって、本件商標と引用各商標に関する需要者層は一致しないから、商品の混同は事実上あり得ない。
(1)まず、本件商標と引用D商標の類否について判断するに、本件商標は、上記のとおり「AMIZONE」の文字よりなるところ、該文字をわが国で最も親しまれている英語風に称呼した場合、例えば、「友好・平和的」を意味する英語「
AMI
CABLE」が「
アミ
カブル」、「アミノ酸」を意味する「
AMI
NO ACID」が、「
アミ
ノアシド」、また、「地域」を意味する「ZONE」が「ゾーン」と発音されている例に徴すれば、本件商標の「AMIZONE」の文字よりは「アミゾーン」の称呼をも生ずるものと判断するのが相当である。したがって、本件商標からは「アミゾーン」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
一方、引用D商標は、「AMAZONE」の文字よりなるところ、アマゾン川で有名な「
AMA
ZON」が「
アマ
ゾン」、「地域」を意味する「
ZONE
」が「ゾーン」と発音されている例に徴すれば「AMAZONE」の文字よりなる引用D商標よりは「アマゾーン」の称呼をも生ずるものというのが相当である。
そこで、本件商標から生ずる「アミゾーン」の称呼と、引用D商標から生ずる「アマゾーン」の称呼とを比較すると、両者は長音を含む5音中の4音を同じくし、異なるのは第2音における「ミ」と「マ」の差異である。そして、該差異音「ミ」と「マ」の音にしても五十音図の同行音に属する近似音であることから、両称呼をそれぞれを一連に称呼した場合には、全体の語感語調が近似し、これらを互いに聞き誤るおそれが少なくない。したがって、本件商標と引用D商標とは、称呼上類似する商標と認められるものである。
(2)さらにまた、本件商標と引用D商標とは、7文字中の6文字の綴字を共通にし、第3番目の文字において「I」と「A」と相違するにすぎないものであるから外観上も相紛らわしい類似の商標と認められる。
してみれば、本件商標と引用D商標とは、観念において相違する点があるとしても、称呼及び外観において互いに紛らわしい類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品と引用D商標の指定商品とは同一又は類似のものである。
(3)そうとすれば、本件商標は引用A、B、C商標との類否について検討するまでもなく、引用D商標とは商標において類似し、かつ、その指定商品も同一又は類似のものであるから、結局、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわなければならない。
(4)したがって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号により、その登録を無効とすべきである。
なお、本件商標は「AMIZONE」であって、被請求人が使用していると主張している「アミゾーネ」ではないから、需要者がこれを「アミゾーネ」とのみ称呼するとは認め難い。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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