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Trademark Appeal Case

「トマピー」の品質表示性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第10600号
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「トマピー」の片仮名文字を横書きしてなり、第31類「あわ、きび、ごま、そば、とうもろこし、ひえ、麦、もろこし、うるしの実、コプラ、麦芽、ホップ、未加工のコルク、やしの葉、食用魚介類(生きているものに限る。)、海草類、獣類、魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。)、蚕種、種繭、飼料、釣り用餌、果実、野菜、糖料作物、種子類、木、草、芝、ドライフラワー、苗、苗木、花、牧草、盆栽、生花の花輪、飼料用たんぱく」を指定商品として、平成9年2月28日に登録出願され、その後、指定商品については、同10年7月6日付け手続補正書により「パプリカ、ピーマン、とうがらし」に減縮補正されたものである。

2 原査定の理由

原査定は、「本願商標は、トマトとピーマンを交配した品種でそれぞれの特徴を持つ新しい商品として市場に出回り注目されている『トマピー』の文字を書してなり、これをその指定商品中『野菜』について使用しても該商品の品質を表示するにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」として、本願について拒絶すべき旨の査定をしたものである。

3 当審の判断

請求人(出願人)の提出した証拠資料などによれば、請求人会社の代表者である和地義隆は、同社でアルバイトをしていた女子学生がハンガリー留学から帰国した後現地でパラディチョン・パプリカが広く親しまれている事情を伝えたのを契機として、平成2年ころ、ハンガリーよりナス科トウガラシ属の一種である種子を取り寄せ、ハンガリーの低温乾燥地で栽培されている品種から我が国の高温多湿の気候の下での栽培に適応できるように品種改良を開始し、遅くとも平成7年ころまでには我が国の気候にも比較的強く、多収性で美味しい新種パプリカの開発に成功し、その後もさらに選抜を繰り返した。そして、平成8年12月19日に種苗法に基づき出願品種の属する農林水産植物の種類を「とうがらし(ピーマン)」、出願品種の名称を「トマピー」などとして品種登録出願(出願番号第9318号)をしたが、その後、出願品種の名称が出願品種の種苗に係る登録商標と同一であるときは品種登録を受けることができないため、名称変更命令により出願品種の名称を「カプチン」に補正し、平成11年2月1日に同出願は出願公表された。未だ、同出願は審査に継続中である。

ところで、請求人がパラディチョン・パプリカを品種改良し、その果実を新野菜として販売してきた経緯について、平成6年8月18日付け日経産業新聞には、「日本農研は最近ハンガリー原産の新種野菜の販売を本格的に始めた。『パラディチョン・パプリカ』と呼ぶ野菜で、外見は赤くトマトにそっくりだがピーマンの一種という。甘くてビタミンが豊富で、ハンガリーでは肉と一緒にいためたり、サラダに混ぜて生のまま食べる。数年前に個人的に輸入を始め、気候の異なる日本での栽培技術を開発した。国内に広めようと生産農家を募集したところ、単価の安いピーマン生産からの転換を希望する農家が多数集まった。・・・」との記載が(甲第1号証、意見書添付甲第9号証)、同年12月1日発行「月刊専門料理」12月号には、「昨年三月よりオランダ産の大型ピーマン『オランダ・パプリカ』の入荷が始まったことで赤ピーマンは一般にもずいぶんと身近な存在となった。・・・しかし、トマトそっくりの形の赤ピーマンとなると、ご存じない方は多いだろう。こちらは十七年ほど前から、ハンガリー産が冷凍で輸入されてきたが、近年、福島県矢吹町にて栽培が行われるようになった。今秋から・・・本格的に全国販売されている。その商品名は『パラディチョン・パプリカ』。・・・『パラディチョン・パプリカにもいろいろなピーマンの系統が混じっています。だからハンガリーから取り寄せた種で交配を重ねていくと、必ずしもこのような形にならず、さまざまな色や形の実が成るのです。いつも一定のきれいな形となるよう、種を選別して固定化するのに四年かかりました。』と、この赤ピーマンを導入し、苗を販売している『日本農研』の和地義隆社長は話す。・・・今年の出回り時期は十二月までで、・・・来年からは、これまで選別してきた種をもとにF1種を導入するため、周年栽培も可能になるという。・・・」との記載が(甲第2号証、意見書添付甲第8号証)、同7年8月12日付けTHE IBARAKI SHIMBUNには、「姿、形や大きさは真っ赤に熟れたトマトだが、素性はピーマン。ハンガリー原産の新顔野菜が『パラディチョン・パプリカ』という名前でデビューした。ひたちなか市の干し芋農家が全国に先駆け、今年から本格的な栽培に乗り出した野菜だ。」「パラディチョン・パプリカを開発したのは、ひたちなか市市毛、有機肥料の卸し会社『日本農研』(和地義隆社長)。・・・この新種の野菜は今年から、全国展開するファミリーレストランチェーン『ココス』に出荷されている。」との記載がされている(甲第3号証、意見書添付甲第5号証)ことが認められる。

そして、平成9年3月21日付け全国農業新聞において「ハンガリー原産のパプリカの一種『トマピー』は、数年前から関東の一部地区で試作されていた。パプリカといえばベル型のジャンボピーマンを連想するが、これは真紅で、形状はトマトそっくり。その名も『パラディチョン(ハンガリー語でトマトの意味)・パプリカ』という。種子を日本に導入した日本農研(本社・茨城県ひたちなか市)が、多収と形状安定のために選抜を繰り返し、F1の作出まで育成し、『トマピー』と名付けた。四年前の試作段階で、レストランなど業務用需要で使ってもらったところ、従来のパプリカより糖度も高く、鮮紅色のためサラダなど生食いに向き加熱しても退色しないなど大きな評価を得た。系統選抜を繰り返し、昨年、F1種の作出に成功。茨城県内で二ヘクタールの実証ほ場栽培に移行し、地元レストランチェーン『ココス』の新食材として全店採用となった。『トマピー』は育成者の日本農研が契約元となり、産地に対しては契約栽培方式で全量買い上げ。需要側とは年間契約を結び、安定生産、安定販売のシステムを構築している。」との記載がされ(甲第6号証)、同月24日付け青果流通新聞にも同趣旨の内容の記載がされている(甲第7号証)ことが認められる。

これらの事実によれば、本願の出願日である平成9年2月28日以前には、請求人がパラディチョン・パプリカの品種を改良し、その果実を新野菜として販売していることを報道する記事が認められるが、これらの記事においてはもとより一般に「トマピー」の語が使用されている事実は認められず、「トマピー」の語が新聞紙上で使用されだしたのは本願の出願日後である平成9年3月21日付け全国農業新聞が初めてであり、しかもその記事は請求人に関するものである。

その後、平成9年8月1日付け日本経済新聞には「茨城県協和町で、ピーマンの香りとトマトの甘みをあわせ持つ新野菜『トマピー』の出荷が始まった。専門商社のモンサンミッシェル(神奈川県横須賀市、米丸明社長)などが外国の野菜をもとに開発した野菜で、今回の出荷が国内では初。・・・トマピーはハンガリー原産の、『パラディチョン・パプリカ』というピーマンの一種を十年かけて日本人向けに改良した。鮮やかな赤色で、トマトのような形をしている。イチゴと同程度の糖度があるため甘みがあり、果肉があつく柔らかい。ビタミンA、B2、Cなどはトマトやレモンの数倍、がんなどを引き起こす活性酸素を減らす『カプサンチン』という物質も多く含み、機能性野菜としても優れている。サラダのほかいためものやてんぷら、菓子の材料などにも適している。栽培は全て契約制。・・・」との記載が、同年10月18日付け日経流通新聞には、「新種の野菜『トマピー』が売れている。・・・」との記載が、同10年1月12日付け日刊スポーツには、「トマトとピーマンをかけあわせた『トマピー』なる野菜が、人気を集めている。・・・ネーミングもかわいい『トマピー』はハンガリー産の大型ピーマンに、日本産トマトを自然交配させてできた新野菜。・・・」との記載が、同年2月2日付け日食外食レストラン新聞には、「(1)生産者名 モンサンミッシェル(株)・・・(7)特徴 形はピーマンだが、トマトのような真っ赤な色をし、甘くておいしい可愛い野菜。ビタミンCはレモン五個分、ビタミンA、B2はトマトやピーマンの五倍もある健康野菜だ(8)取引条件(宅配可・不可など) 直接本社に連絡し契約する(9)生産者のコメント 過去十年間、独自に外国産パプリカなどを自然交配させ、選抜を繰り返して現在のトマピーを完成した。・・・」との記載が、同月4日付け朝日新聞には、「『トマピー』などの名前で売り出されているのが、ナス科の植物、パラディチョン・パプリカを自然交配したもの。・・」との記載が、同日付け日本食料新聞には、「いま、野菜がおもしろい。品種改良によって、これまでにない新種の野菜の育成が行われており、それが一般スーパーに流通、話題になっている。その代表格なのが『トマピー』。ネーミングの通り、トマトとピーマンをかき合わせたような野菜。・・・」との記載がなされている外トマピーに関する多数の新聞報道などがされており、また、自由国民社発行の「現代用語の基礎知識」では、1999年版820頁に新野菜としてトマピーについて「ナス科の植物パラディチョン・パプリカを自然交配したもの。トマトのように赤くて丸く、ピーマンより甘味が強い。」との記載がされ、平成11年1月1日株式会社集英社発行「情報・知識imidas」では、1999年版685頁に新野菜としてトマピーについて「パラディチョン・パプリカの一種。トマトのように赤く丸形で甘味があり、ピーマンのような歯ざわり」との記載がされているが、いずれも1999年版以外の版においてはトマピーの記載を発見できない。

最近の報道などにおいて、平成13年10月1日付け日経産業新聞には日本農研の耐寒アシタバ開発の記事に関連して「日本農研の和地社長は新種パプリカ『トマピー』の開発で知られる。」との記載が、同14年6月11日日経流通新聞には「一見トマトのように見えるへん平形をした濃赤色のピーマン『トマピー』が数年前からスーパーや百貨店の店頭に並ぶようになった。トマピーは、ハンガリー原産の大型ピーマンの一種で、糖度が高く甘みがあって肉厚なのが特徴。・・・人気の高まりにつれ、商標を巡る争いも生じている。」との記載が、同年8月21日付け日本農業新聞には「『赤ピーマン』を村のシンボルにする事業を始めたのは、自治体への助成金の削減が予測される合併話が持ち上がってきた四年前。村特産の『からむし織り』を全国販売するため、一九九六年に公社は設立された。公社の結論は、『からむし』を全国発信していくためにもまず、農業を村のシンボルに立て直すことだった。そこに 『赤いピーマン』の話が舞い込む。『トマピー』だ。九九年度から『トマピー』に取り組むが、品種の権利をめぐる争いを目の当たりにし手を引く。赤色ピーマンに確信を持った公社は、ハンガリーから独自に種を取り寄せことを思いつく。昨年ハンガリー大使館を通し、国内で独占的に種を販売する権利を得る。『オリンダ』。ポルトガル語で『おー、素晴らしい』の意の商標登録を取った。」との記載が認められる。また、関東農政局千葉統計事務所のホームページ農林水産情報センター(平成14年2月6日照会)には一口メモとして「最近見かける野菜にトマピーがありますが、これはトマトかピーマンか。トマピーは大型ピーマン(パプリカ)の品種改良によりできたもので平成7年10月に誕生した新種の野菜です。ビタミンA・B2がトマトやピーマンの約5倍含有されていて、赤くて甘いトマピーはトマト嫌い、ピーマン嫌いのひともおいしく食べられるとのことです。」との掲載が、山口農林水産情報センターのホームページ平成12年8月発行「山口農林水産情報センターだより」第18号には「Q.トマピーについて教えてください。(農林水産省『消費者の部屋』相談月報から)A.トマピーはトマトとピーマンの雑種であると宣伝されましたが、これは誤りです。トマピーはハンガリアンパプリカと言われるやや扁平型のピーマンのひとつのタイプです。日本で見られるものの果実の色は濃赤色ですが、他のピーマンと同様に多様の色のものがあります。」との掲載が、九州農政局福岡統計事務所八女出張所のホームページ2001年6月発行「八女農林水産情報センターだより」No.10には「消費者の部屋から」として「Q.トマピーについて教えてください。(小5) A.1990年代に日本に導入された際、トマトとピーマンの雑種と誤解されましたが、これは誤りで、ハンガリアンパプリカと言われるやや扁平型のピーマンの品種です。この他、もう少し大型のものは色々な名称で呼ばれていましたが、最近ではジャンボピーマンに統一されています。(農林水産省総合食料局『消費者の部屋』相談週報より)」との掲載が認められる。

これらの事実によれば、平成9年7月に品種改良された大型ピーマン(パプリカ)が新種の野菜としてスーパーや百貨店での販売が開始されたため、それ以降該種子、苗及びその稔実を指称するものとして「トマピー」の語が多数使用されていることが認められる。しかしながら、「トマピー」の語が新聞紙上に使用された当初、請求人は、既に出願品種の名称を「トマピー」として品種登録出願をしていたのであり、その後同名称を「カプチン」に補正しているが、その補正をしなければならなかったのは本願商標を登録出願していたことによるものと推認される。その事実を第三者が簡単に知りうる状況になく、新品種の野菜を取り引きする関係者にとっては、その野菜を指称する語が必要であることから、トマピーの語を使用するに至ったものと推認される。そのため、トマピーが何を意味するかについては、請求人がハンガリー原産のパラディチョン・パプリカの一種の突然変異種を選抜して改良した新品種としているのに対し、請求人以外の者が使用するトマピーの語については、トマトとピーマンを交配したもの、パラディチョン・パプリカを自然交配したもの、大型ピーマン(パプリカ)の品種改良によりできたものをいうなど必ずしも定着しているとまではいえない。トマピーについては商標登録を巡る争いや品種登録を巡る争いがある。これらに加え、請求人は、そのホームページの会社案内において、「トマピー」を請求人の商標とした旨掲載し、また「トマピーのご注意情報」として「弊社は、『トマピー』なる造語商標を使用して、新種パプリカの種苗を販売している会社で御座居ます。」「トマピーは日本農研の商標です。」などとの掲載をしていること、平成10年5月29日付け(株)小学館サライ宛て書簡において、同社出版の98年5月21日号サライ7頁においてトマピーに関する記事について次の点が誤りであるので抗議するとし、その文中において「トマピー」を請求人の商標とした旨を明記していること(甲第22号証)、新種パプリカ(品種登録出願名称カプチン)の苗の販売に際し使用した広告においてもトマピーは日本農研の商標である旨を明記している(意見書添付甲第11号証)など、「トマピー」の普通名称化防止及び出所表示機能の希釈化防止に努めていることが認められる。

以上の事実を総合すれば、「トマピー」の語は、現在、本願指定商品を取り扱う業界において野菜の品種名称又は野菜の品質を意味するものとして理解され認識されているとまではいえないというのが相当である。「トマピー」の語が新聞紙上などで多数使用されている事実が認められるが、この事実は、上述したとおり認定することの妨げとなるものではない。

そうとすれば、本願商標は、特定の意味合いを有しない造語によりなるものであって、指定商品に使用しても、商品の出所識別力を有するものであり、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもないというべきである。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は取り消すべきものである。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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