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Trademark Appeal Case

商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35075号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4197368号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年4月3日に登録出願、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,綱構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,建築設備の運転,電気通信機械器具(電話機・ラジオ受信器及びテレビジョン受信機を除く。)の修理又は保守,電話機の修理,ラジオ受信機又はテレビジョン受信機の修理,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守,電話機の消毒」を指定役務として、平成10年10月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の無効理由に引用する登録第4106079号商標(以下「引用1商標」という。)は、平成7年8月23日に登録出願、「T‐Net」の文字を横書きしてなり、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,綱構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,船舶の修理又は整備,船舶の建造,航空機の修理又は整備,自転車の修理,自動車の修理又は整備,鉄道車両の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備,映写機の修理又は保守,エレベーターの修理又は保守,火災報知器の修理又は保守,写具機械器具の修理又は保守,事務用機械器具の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守,電話機の修理,土木機械器具の修理又は保守,バーナーの修理または保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,ラジオ受信機又はテレビジョン受信機の修理,冷凍機械器具の修理又は保守,家具の修理,傘の修理,楽器の修理又は保守,金庫の修理又は保守,靴の修理,時計の修理又は保守,はさみ研ぎ及びほうちよう研ぎ,毛皮製品の手入れ又は修理,洗濯,被服の修理,被服のプレス,煙突の清掃,建築物の外壁の清掃,し尿処理槽の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,浴槽又は浴槽がまの清掃,電話機の消毒,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。),土木機械器具の貸与,床洗浄機の貸与,モップの貸与」を指定役務として、平成10年1月23日に設定登録されたものである。同じく、登録第4050308号商標(以下「引用2商標」という。)は、平成7年8月23日に登録出願、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,綱構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,船舶の修理又は整備,船舶の建造,航空機の修理又は整備,自転車の修理,自動車の修理又は整備,鉄道車両の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備,映写機の修理又は保守,エレベーターの修理又は保守,火災報知器の修理又は保守,写具機械器具の修理又は保守,事務用機械器具の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)の修理又は保守,電話機の修理,土木機械器具の修理又は保守,バーナーの修理または保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,ラジオ受信機又はテレビジョン受信機の修理,冷凍機械器具の修理又は保守,家具の修理,傘の修理,楽器の修理又は保守,金庫の修理又は保守,靴の修理,時計の修理又は保守,はさみ研ぎ及びほうちよう研ぎ,毛皮製品の手入れ又は修理,洗濯,被服の修理,被服のプレス,煙突の清掃,建築物の外壁の清掃,し尿処理槽の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,浴槽又は浴槽がまの清掃,電話機の消毒,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。),土木機械器具の貸与,床洗浄機の貸与,モップの貸与」を指定役務として、平成9年8月29日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

1 本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、「東京電話」と「TTNet」とを常に一体不可分のものとして取り扱われる理由は見出せないから、本件商標は「TTNet」の部分をもって取り扱われることもある。しかるに、「TTNet」は一連に一つの語として称呼されるものではなく、前半の「TT」の部分は「ティーティー」と逐語的に称呼され、一方、後半の「Net」の部分は「ネット」と一つの語として称呼されるものである。この称呼の面から、本件商標は必然的に「TT」と「Net」とに分離される。

そして、ローマ字1文字ないしは2文字からなる商標は役務の種別などを表すための記号・符号として取引上使用されることが多い。この取引の経験則からして、本件商標の「TT」は役務の種別などを表すための記号・符号と認識され、簡易迅速を尊ぶ取引の実情においては、世上良く知られた語からなる「Net」の部分のみを捉えて「ネット」と称呼される。

一方、各引用商標においても、「T」の文字は「Net」の文字と外観上分離される。ローマ字1文字からなる商標は役務の種別などを表すための記号・符号として認識される。現に、引用2商標と同一の構成に係る平成7年商標登録願第85522号に対して、「本願商標は役務の種別などを表すための記号・符号の一類型と認識される『T』の欧文字...」(甲第4号証)として、請求人と同じ見解を採っている。

したがって、各引用商標も「Net」の部分のみを捉えて「ネット」と称呼される。

以上のとおり、本件商標及び各引用商標は共に「ネット」と称呼され、両者は称呼上相紛らわしい類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、本件商標の登録は商標法第46条第1項の規定によって無効とされるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)外観上一体性に対する反論

取引の経験則上一体に記載された商標であっても、その構成の一部が自他役務識別力を欠く場合には迅速に行われる取引場裡においてはその自他役務識別力を欠く部分を除いた要部をもって称呼されることは頻繁に行われているものである。そして、たとえ、一体に記載された商標であっても、その一部が自他役務の識別力を欠いたものであれば、当該部分を除いた部分から称呼が生じるものである。

以上のとおり、「TTNet」が外観上一体のものであることは、「ティーティーネット」とのみ称呼される根拠とはなり得ない。

(2)「Net」の識別性に対する反論

本件商標の指定役務は各種工事、機械の保守及び修理等であって、「ネットワーク」が関係する通信ではない。したがって、本件商標の指定役務の関係では「Net」は自他役務識別力が弱いものとはなり得ない。

(3)称呼上一体性に対する反論

「TTNet」の前半部分の称呼は逐語的に「ティーティー」と称呼されるのに対して、後半部分は「ネット」と一つの語として称呼される。このように、本件商標は前半部分と後半部分とでは称呼方法が異なる。そのため、需要者は本件商標を一連に称呼することは困難なものとなる。逐語的に称呼される部分と一つの語として称呼される部分とからなる商標はそれぞれの部分に分離されるものである。

(4)「TTNet」の略称に対する反論

被請求人は、「TTNet」が被請求人の略称として著名であることの証拠方法として被請求人の会社案内を提出するに過ぎない。会社案内のみでは著名性を立証できないことは明らかである。したがって、「TTNet」は著名ではない。

さらに、被請求人は電話及びデータ通信の役務を提供しているのであって、本件商標の指定役務を全く提供していない。すなわち、その業務内容からして、本件商標の指定役務の分野では著名なものとはなり得ない。

以上のとおり、「TTNet」は本件商標の指定役務の分野では被請求人の略称として著名なものとはなっていない。したがって、著名性故の一体性の主張は認められない。

第4 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第494号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標登録無効審判を請求するためには、その請求につき法律上の利害関係を要するものである。しかしながら、請求人は本件審判の利益について主張・立証するところがない。よって、本件審判請求は法律上の利害関係を有しない者の請求である。

2 本件商標中の「TTNet」は分離されない。本件商標は外観上一体不可分である。

本件商標のローマ字部分は、一連一体に「TTNet」と表してなるものであり、その外観態様において一体不可分の商標として認識されるのが自然である。この「TTNet」は、被請求人の会社名である「東京通信ネットワーク」のローマ字表記の略記であるが、第1文字から第3文字までを大文字で表し、第4文字及び第5文字の「et」を小文字で表してロゴデザインとしてのまとまりを表現しているものである。

3 「TTNet」は、その構成文字全体において識別標識として機能している。

請求人は、「Net」の部分のみを捉えて「ネット」と称呼される場合もあると主張するが、もともと「NET」は、例えば「(仕事等の)網状組織」を意味する「ネットワーク」に通じるものがあるので(乙第1号証)、この類の役務との関係でも、それ単独では識別標識としては機能しにくいものである。したがって、本件商標中の「TTNet」は、外観上の一体性もあって、その構成文字全体で識別機能を果たしているものである。実際にも本件商標中の「TTNet」はその構成文字に相応した一連の称呼である「ティーティーネット」としか称呼されていない。

この点は、引用1商標も同じであって、「T‐Net」の構成文字に相応して「ティーネット」とのみ称呼されるものであり、これが単に「ネット」と略称されない。また、引用2商標も「T Net」の構成文字に相応して「ティーネット」とのみ称呼されるものであることは同様である。

なお、請求人の提出した甲第4号証の出願は、第42類の出願であって、その拒絶の理由も「T‐Net」全体として識別力がない旨の認定にもとづくものであるから、請求人の主張の根拠にはなり得ない。

4 「ティーティーネット」の称呼は一体不可分である。

本件商標中の「TTNet」の構成文字に相応する一連の称呼「ティーティーネット」は冗長ではなく、称呼としてまとまりもよいので「ネット」と略称されるべき理由はない。

5 「TTNet」は「東京通信ネットワーク株式会社」の略称として「ティーティーネット」の称呼で広く知られている。

被請求人である東京通信ネットワーク株式会社は、1986年に設立されたもので、設立当初から専用回線による電話及びデータ通信を提供し、地域系新電電のリーダー的企業として知られてきた会社である。そして、会社設立以来、「TTNet」を「東京通信ネットワーク株式会社」の略称として「ティーティーネット」の称呼で使用してきている(乙第2号証)。

したがって、現在では、「TTNet」といえば「東京通信ネットワーク株式会社」の通称として広く知られるに至っている。

そして、被請求人会社は、平成10年1月1日より、従来の専用回線による通信サービスだけでなく、関東地方をエリヤとする一般向けの市内・市外電話サービスを開始することを決定し、この新しい電話サービスの名称兼サービスマークとして本件商標を採択し、大々的な宣伝・広告を行なってきた。

この宣伝・広告においては「東京電話」とともに「TTNet」を表示してきており、現在では「TTNet」(ティーティーネット)の「東京電話」として周知・著名となっているものである。このように、「TTNet 」はその取り引きの実態においても「ティーティーネット」としか称呼されていないし、単に「ネット」とは称呼されるはずもない。

6 本件商標と引用商標の比較

(1)外観の比較

本件商標は漢字の「東京電話」とローマ字「TTNet」よりなるものである。これに対して、引用1商標は「T−Net」の構成文字よりなり、引用2商標は「T Net」の構成文字と点線の図形を組み合わせたものである。

したがって、本件商標と各引用商標は、その外観において相紛れるおそれはない。

(2)称呼の比較

本件商標中の「TTNet」は「ティーティーネット」とのみ称呼されるものである。

これに対して、各引用商標は「ティーネット」とのみ称呼されるものである。したがって、本件商標の称呼と各引用商標の称呼とは、その音の構成が顕著に相違するから称呼において類似しないことは明白である。

(3)観念の比較

「TTNet」は、被請求人である「東京通信ネットワーク株式会社」を意味する以外に観念を生じない。一方、各引用商標は格別の観念を生じない。したがって、本件商標と引用商標とは観念においても類似しない。

(4)類否の結論

本件商標と各引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれも類似しないものであるから、指定役務の類否を論ずるまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

第5 当審の判断

1 本件審判請求につき、法律上の利害関係を有しない者による請求であると被請求人は主張する。しかしながら、本件請求人は、本件商標が自己の所有に係る商標に抵触すると思量するものであって、本件商標の登録の有無により商標の所有者・使用者としての地位に影響を受け得る者というべきであるから、本件審判を請求するについて法律上の利益を有すると認められる。

2 本案に入り審理するに、本件商標は、別掲に表示したとおり、「東京電話」の文字と「TTNet」の文字よりなるところ、両文字部分を常に一体のものとして見なければならない特段の理由はないばかりでなく、漢字と英文字からなるものであって、その構成文字を異にするものであるから、「TTNet」の文字部分は独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。

そこで、「TTNet」の文字部分より生ずる称呼ついて検討するに、「TTNet」の文字は、一連一体にまとまりよく書されているものであって、これを、殊更、分離観察してみなければならない特段の理由も見あたらない。

この点において、請求人は、「ローマ字1文字ないしは2文字は、役務の種別などを表すための記号・符号として取引上使用されることが多い。この取引の経験則からして、本件商標の『TT』は役務の種別などを表すための記号・符号と認識され、簡易迅速を尊ぶ取引の実情においては、世上良く知られた語からなる『Net』の部分のみを捉えて『ネット』と称呼される。」と主張している。しかしながら、本件商標を構成する「TTNet」の文字部分は、前記したとおりであって、かかる構成において、前半部の「TT」の文字部分が、役務の種別などを表すための記号・符号と認識、理解されるものとは言い難いものである。

さらに、被請求人の提出した各乙号証をみると、被請求人は、情報通信企業であって、通信に関する役務について被請求人(東京通信ネットワーク株式会社)の略称として「TTNet」の文字を使用し、広く知られていることが窺える。

してみると、本件商標の構成及び前記した被請求人の使用の事実よりすれば、本件商標を構成する、「TTNet」の文字部分より生ずる称呼は「ティーティーネット」のみであるというのが相当である。

他方、引用1商標は「T‐Net」及び引用2商標は「T Net」の構成よりなるものであるから、両商標は、その構成文字に相応し「ティーネット」の称呼を生ずるものである。

そこで、本件商標より生ずる「ティーティーネット」の称呼と各引用商標より生ずる「ティーネット」の称呼とを比較するに、両称呼は前半部において、前者が「ティー」の音の繰り返しであるのに対し、後者が単に「ティー」のみという差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するとしても、その語調、語感が相違し、互いに区別し得るものというのが相当である。

また、本件商標と各引用商標の構成は、前記したとおりであるから、外観上互いに区別し得る差異を有するものであり、かつ、各引用商標は特定の観念を有するものとは認められないから、観念において比較することはできない。

そうとすれば、本件商標は、その称呼、外観及び観念のいずれの点からみても、各引用商標と非類似の商標といわざるを得ない。

したがつて、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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