Trademark Appeal Case
著名商標と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第8032号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん金具,がま口口金,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成8年5月31日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、イタリア国ローマ市在住の『Valentino Garavani』(オランダ国在の関連企業『バレンチノ グローブベスローテン フェンノートシャップ社』)が、商品『婦人・紳士物の衣料品』等に使用している著名な商標『Valentino』の文字を含むものであるから、これを出願人が指定商品に使用するときは、需要者は上記会社もしくは上記会社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」との理由をもって、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1.「VALENTINO」の著名性について
「VALENTINO GARAVANI」及び「VALENTINO」の文字よりなる標章は、「婦人服・紳士服」等に使用された結果、本願商標の登録出願日前より、我が国において取引者、需要者間に広く知られ著名に至っていたものであり、その著名性は現在においても継続されていることが下記の事実によって認められる。
(1)「世界の一流品大図鑑ライフカタログVOL.1」(昭和51年6月5日株式会社講談社発行)において、「ヴァレンティノ・ガラバーニ」が、「イタリアファッション界の旗手と呼ばれ、女性を最高に美しく見せるデザイナーとして高く評価されている。」こと、及びその経歴等を紹介する内容とともに「ブラウス、セーター、ネクタイ」の商品の写真が掲載されていること。
(2)「EUROPE一流ブランドの本(講談社MOOK第2巻)」(昭和52年12月1日株式会社講談社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」の所有する店舗の紹介と簡単な経歴が「婦人服」の商品と共に掲載されていること。
(3)「服飾辞典」(昭和54年3月5日第1刷文化出版局発行)の、ヴァレンチィーノ ガラヴァーニ[Valentino Garabani、1932〜]の項に、「イタリア北部の都市(ヴォゲラ)に生まれる。17才でリセオ(中学)を中退、パリに行く。スチリストになるため、パリのサンジカ(パリ高級衣装店組合の学校)で技術を身につける。1951年、ジャン・デッセ(オート・クチュール)のもとで5年間アシスタントとして仕事をする。その後2年間、ギ・ラローシュのアシスタントをし、1958年独立、ヴァレンティーノ・クチュールの名でローマに店を開いた。このころ、イタリアのモードは世外的に有名になりつつあった。彼の最初の仕事は、フィレンツェのピッティ宮殿でのコレクションである。このコレクンョンは、〈白だけの服〉という珍しい演出であったが、その美しさはジャーナリストの間で評判となり、「ニューズ・ウィーク」「ライフ」「タイム」「ウィメンズ・ウェア・デイリー」各誌紙で取材、モードのオスカー賞を獲得した。1967年、ヴァレンティーノの名は世界に知れわたった。1972年には紳士物も始め、その他アクセサリー、バッグ、宝石類、香水、化粧品、家具、布地、インテリアと、その仕事の幅はたいへん広いが、すべてヴァレンティーノ独特のセンスを保っているのはみごとである。ヴァレンティーノの洋服に対する考えは、まず個性が第一で、彼のコレクションからは、デテールでなくそのエスプリをくみ取ってもらうことに重きをおく。ローマの高級住宅地、アッピア・アンティカに母親とたくさんの犬と暮らしている。仕事でパリとローマを行き来するが、世界中を旅行するなど忙しい日々である。物をつくる人は誰でも波があって、いつも傑作が続くとはかぎらないが、ヴァレンティーノは現在、ローマのオート・クチュール界で最も好調なデザイナーといえる。以前から東洋風なエキゾティシズムが好きで、時によってトルコ風、アラブ風の特色がみられるが、最近はキモノのセクシーさを1950年代のハリウッドの雰囲気に表現、あやしく美しいヴァレンティーノの世界をつくり出している。」との紹介記事が掲載されていること。
(4)「朝日新聞」(昭和57年11月20日夕刊第3頁)において、世界の服をリードする3人のうちの1人として「バレンチノ」の紹介記事が掲載されていること。
(5)「男の一流品大図鑑’85年版」(昭和59年12月1日株式会社講談社発行)において、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の文字とともに、「スーツ、ブルゾン、シャツ、ネクタイ、ベルト及びバッグ」の商品が掲載されていること。
(6)雑誌「nonーno」1989年 No.23号(平成元年12月5日株式会社集英社発行)及び「marie claire」(1996年2月1日中央公論社発行)において、「ヴァレンティノ ガラバーニ」が単に「ヴァレンティノ」と略称され、商品「婦人服」等と共に掲載されていること。
(7)「英和商品名辞典」(1990年株式会社研究社発行)[Valentino Garavani]の項において、「イタリア RomaのデザイナーValentino Garavani(1932〜)のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など。Roma,Firenze,Milanoなどにあるその店の名称はValentino(vは小文字でかくこともある)。・・・ 」との記事及びデザイナーと しての紹介記事が掲載されていること。
(8)「世界の一流品大図鑑’93年版」(平成5年5月20日株式会社講談社発行)において、「VALENTINO」ブランドの香水が掲載されていること。
(9)「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(1997年11月21日株式会社岩波書店発行)の[ガラヴァーニ]の項において「ヴァレンティノ Garavani,Valentino通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933〜)服飾デザイナー・・・・」との紹介記事が掲載されていること。
同じく、[ヴァレンティノ Valentino]の項において、「ガラヴァーニ、ヴァレンティノ」を見よとの表示があること。
2.出所の混同を生ずるおそれについて
本願商標は、別掲に表示したとおり、「Michel Valentino」の欧文字、前記文字の読みと認められる「ミシェル バレンティーノ」の片仮名文字を二段に横書きして配し、さらにその上部中央に紋章を模した図形を配した構成よりなるところ、当該構成中の文字部分は、「Michel」「ミシェル」と「Valentino」「バレンティーノ」の各文字が分離して表示されているばかりでなく、両文字は、それぞれ結合された全体として特定の熟語や氏名を表すものとして一般の取引者・需要者によく知られているというような事情も認め得ないところである。
そして、前記1.のとおり、本願商標の登録出願時には、「VALENTINO」の文字よりなる標章(以下、「VALENTINO標章」という。)は、「バレンチノ」、「ヴァレンティノ」の称呼よりなる商標として、また、デザイナーである「VALENTINO GARAVANI」も「VALENTINO」(バレンチノ、ヴァレンティノ)と称呼されて婦人服、紳士服等について同人のデザインに係る商品に付される商標ないしは同人の略称として著名であったこと、「VALENTINO標章」が付される商品「婦人服、紳士服」等と本願商標の指定商品とは、共にファッション関連の商品を含んでいること等を併せ考慮すれば、本願商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、その構成中後半の「VALENTINO」の文字部分を捉え、著名な「VALENTINO標章」を連想、想起し、その商品が「VALENTINO GARAVANI」又は同人と何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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