Trademark Appeal Case
技術規格と商品名の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−6373(T2000−6373/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「MPEGPHONE」の欧文字を標準文字とし、願書記載の第9類に属する商品を指定商品として、平成10年9月16日に登録出願されたものである。
そして、指定商品については、原審において提出した同12年2月15日付手続補正書をもって、「電話機,通信機能を有する携帯情報端末機又はその他の電気通信機械器具」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶理由の要旨
原査定は、「本願商標は、マルチメディアのデジタル圧縮技術の圧縮規格(方式)を表す『MPEG』の欧文字に、電話機を認識させる『PHONE』の欧文字とを『MPEGPHONE』と書してなるにすぎないものであるから、これを本願の指定商品中『エムペグ方式を取り入れた携帯電話機』に使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」、「なお、『PHONE』の文字は、電話機等の語義を有し、商品の品質を表すものとして用いられていることは、幾つかの審決(昭和52−11793号,昭和53−978 号)に明らかであり、また、『MPEG』は、現在『MPEG−1〜MPEG−4』の種類があり、『MPEG−4』は移動体通信 に対応する規格のもであることが明らかある(『パソコン用語事典』最新98−99年版 技術評論社)。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記したとおり、「MPEGPHONE」の文字を横書きしてなるところ、その構成後半の「PHONE」の文字(語)は、「電話(機)」を意味する一般によく知られ、親しまれている英語であり、また、同構成中前半の「MPEG」の文字(語)は、「マルチメディアで用いられる動画のデータ量を圧縮する方式。」(「情報・知識imidas2001」株式会社集英社発行)を意味するものである。
そして、該「MPEG」の文字(語)は、マルチメディア関連のインターネットホームページ情報によれば、「Moving Picture Coding Experts Group」の略称であって、「MPEGで国際標準化を行っている動画像圧縮符号化方式そのものや、この符号化方式で圧縮されたデジタル・ビデオのファイル形式の1つを指す場合も, この略称が用いられる。...MPEGの規格は、『MPEG1』、『MPEG2』、『MPEG4』の3タイプに分かれる。MPEG1は、...主にCD−ROMなどの蓄積メディアを適用対象としている。MPEG2は...テレビ信号に用いられるインタレース信号を含めて、テレビ映像などHDTVを含む高品質の符号化映像を適用対象としている。また、MPEG4は、移動体通信、アナログ電話網での動画通信などを想定した...低速の動画符号化方式に適用されるものである。(http://host1.sde.co.jp/hyper-dictionary/ohbun/ohbun-m/mpeg.html)」との記載が見受けられる。
ところで、携帯電話或いは携帯情報端末機等において、動画圧縮方式である「MPEG」が利用され或いは利用すべく開発されていることは、例えば、以下の関連各社のインターネットホームページ情報によりその一端を窺い知ることができる。
(1)MPEG−4
(http://www.canon.co.jp/technology/software/mpeg4/content.html)
マルチメディアデータを圧縮伸張する新国際標準フォーマット
MPEGは、動画・音声データ圧縮の国際規格です。現在制定されいる規格は圧縮率・用途の違いにより3つあります。MPEG−1はVHSビデオなみの画質が確保されVideoCDなどに、MPEG−2はより高画質なDVD、ディジタルTVなどに利用されています。MPEG−4は従来の規格では対象外であったコンピュータグラフィックスや音声合成なども統合して伝送・蓄積が可能な規格であるところから、次世代のマルチメディア符号化のフォーマットとして期待されています。モバイルやインターネットで間もなく実用段階に入り、動画を電子メールに添付したり、ウェブサイトに貼りつけるなど新しい表現が実現できます。...近い将来には小型カメラ内蔵の携帯電話、PDAなどから動画の送受信が手軽にできるようになります。...
(2)ニュースリリース(http://www.matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn020529-2/jn020529-2.html)
MPEG−4マルチコーデックLSIを開発
【要 旨】松下電器産業(株)は、松下通信工業(株)と共同で、...等の携帯電話向けに、世界最小の消費電力...で動作するMPEG−4マルチコーデックLSIを開発...。
【効 果】本開発品は、MPEG−4規格に準拠した動画像の録画・再生・表示を、世界最小の消費電力...で実現することができます。これにより、携帯電話等において、TV電話や動画コンテンツの閲覧等の長時間化が実現できます。......
(3)MYCOM PC WEB
(http://pcweb.pc.mycom.co.jp/news/2001/07/23/15.html)
「MOVE」登場により、携帯電話でMPEG−4動画再生、デジタルビデオ機能搭載へ(2001/7/23)
米ARMは、ワイアレス通信機器を対象に、現行の2倍の速度でMPEG−4準拠のデジタルビデオ/デジタルオーディオのデータをエンコード/デコード可能にする新技術「MOVE」の提供を開始した。...
(4)9ミリワットで動作するMPEG−4映像圧縮伸長回路を開発
(http://pr.fujitsu.com/jp/news/2002/02/8.html)
株式会社富士通研究所と富士通株式会社は、わずか9ミリワットで動作可能な低電力MPEG−4映像圧縮伸長回路を開発。今回開発した回路をシステムLSIに組み込めば、MPEG−4を利用する携帯電話、PDA(携帯情報端末)、デジタルカメラなどのモバイル機器や地上波デジタル放送受信機などで、MPEG−4映像の圧縮伸長処理を低電力で行うことが可能。富士通では、本圧縮伸長回路を搭載したモバイル端末向けマルチメディアLSIを開発し、2002年内をめどに製品化する予定。...
(5)HITACHI:News Release:2/5
(http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/2002/0205b/)
次世代携帯電話向け低電力アプリケーションプロセッサ技術を開発
......本技術を、ビデオメールやテレビ電話などに必要なMPEG−4の符号化ソフトウェアに適用した結果、70MHz, 140mW という専用ハードウエア並みの低電力で実行することを確認しました。...
(6)成果のトピックス
(http://www.labs.nec.co.jp/Topics/data/r020404/)
幅広い圧縮率に対応した高性能MPEG−4オーディオ圧縮ソフトウェアを開発(2002年5月新聞掲載)
NECはこのたび、幅広い圧縮率に対応し、インターネットストリーミング配信などの用途に適した高性能MPEG−4オーディオ圧縮ソフトウェアを開発。このソフトウェアは、MP3などの既存の圧縮方式を上回る圧縮率を実現するもので、携帯電話からブロードバンド通信に渡る様々な用途で求められる多様なオーディオコンテンツの作成を容易にする。......
(7)CEATEC JAPAN 2001レポート
(http://www.kumikomi.net/article/report/2001/26ceatec/01.html)
...... ●CCDカメラ搭載のMPEG−4携帯電話
三洋電機は、11万画素のCCDカメラを2個搭載した携帯電話を展示した。動画像データはMPEG−4方式で圧縮する。......
(8)ドコモとIBM、MPEG−7使った携帯電話動画配信技術を開発
(http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/0,,6073,00.html)
NTTドコモと日本IBMは、共同開発した携帯電話向けの動画配信関連技術を発表した。......動画のダイジェスト化技術では、今秋の規格化に向けて現在策定中の動画データ規格「MPEG−7」が用いられる。MPEG−7はこれまでのMPEGシリーズと異なり、動画の圧縮形式ではなく、動画の属性を記述するためのメタデータの規格。...
(9)「NBA2001リアルタイムレポート」
(http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20010425/nab03.htm)
KDDIがau用のMPEG−4オーサリングソフトを世界初出品
会場:Las Vegas Convention Center Sands Expo Center ......
以上によれば、昨今、様々な通信ネットワークが広がっていく中で、インターネットや移動体通信等を利用した映像サービスが期待を集め、特に、映像通信を行う際に利用される映像データを圧縮する技術として、ISO/IECのマルチメディア符号化規格であるMPEG−4が注目され、さらには、動画の属性を記述するためのメタデータの規格であるMPEG−7についても注目を集めているものであることが認められる。
そして、松下電器産業株式会社、富士通株式会社、三洋電機株式会社、NTTドコモをはじめとする多数の会社が、MPEGを利用した携帯電話、携帯情報端末機或いはオーディオ圧縮ソフトウェア等の開発にあたっていることが窺える。
そうとすると、本願商標をその指定商品中、例えば「携帯電話機等の電話機」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記の如く「MPEG方式により圧縮された映像データが利用できる電話機」であること、すなわち、該商品の品質、機能を表示したものとして理解するに止まり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであり、かつ、前記以外の「電話機」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
してみれば、本願商標を商標法第3条第1項第3号および同法第4条第1項第16号に該当するとした上記拒絶理由は妥当なものであって、本願商標はこの理由をもって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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