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Trademark Appeal Case

「さわやか」の品質表示性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35511(T2001−35511/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4499677号商標(以下「本件商標」という。)は、「さわやか」の文字と「爽」の文字とを二段に横書きしてなり、平成12年6月13日に登録出願、第32類「ビール,ビールの風味の麦芽発泡酒」及び第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として、平成13年8月17日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし同第9号証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標は、その指定商品について商品の「味覚」及び商品に対する「感覚」を表現する言葉として、日常多く使用されている品質表示用語であり、この語を極めて普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるため、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第46条第1項第1号によってその登録を無効にされるべきである。

(1)請求人は、被請求人と同業関係にあり、指定商品に係る商品の製造・販売を行っており、ラベル商標等に表示する品質表示用語の使用の都合上、同用語の使用を必要とする場面が多く存するため、本件商標の存続につき十分な利害関係を有するものである。

(2)「さわやか」なる語は、甲第2号証の1に示すとおり「すがすがしい」「気分のはればれとする」という意味合いで、指定商品について「喉ごし」や「飲み心地」等の「感覚」を表現する言葉であり、また、「はっきりした」「さっぱりした」という意味合いで「味覚」を表現する言葉であって、一般的にも「さわやかなビール」「さわやかなワイン」等とも使用される言葉である。

(3)これは例えば「ビール」に関し、甲第3号証の如く、「淡白で爽やか(クリアー)な味」、「爽やかな香りをもっている」、「香りも味もさわやかというわけで」の如く、一般の書籍においても指定商品に関連し、「味覚」を始めとする品質を表示する用語として使用しているところである。

もっとも、「さわやか」という「味覚」は、「はっきりした」「さっぱりした」「クリアーな」の如く、抽象的な表現でしか伝達できないものであるが、「味覚」を表現する用語自体日常会話にも極めて少なく、「まろやか」とか「こくのある」等の如く、他人に対して明確に詳細な説明ができ得ないものが多い。

(4)また、甲第4号証の1から8の如く、業界においてもインターネットの各ホームページにおいて、「口当たりが良く、爽やかな後味の」、「後口のさっぱりした爽やかな甘み」(キリンビール)、「フルーティな香りと爽やかな酸味」(アサヒビール)、「アッサリトシ夕味わいの爽やかな甘口」(メルシャン)、「爽やかな果実香」(キッコーマン)、「爽やかなホワイトグレープ味」(宝酒造)、「爽やかなウイスキー」、「爽やか果実シリーズ」(キリンシーグラム)、「生き生きとした酸味と爽やかな甘み」(サッポロビール)

指定商品の「味覚」を中心に各社が現実に使用しているところである。

甲第4号証の9及び10は、被請求人自身の使用例であり、「酸味のある爽やかな甘さ」、「スパイシーな爽やかさ」(サントリー)に至っては、「さわやか」が「品質表示用語」であることを自ら示しているところである。

(5)甲第5号証は、「飲食品分野」の審査において「さわやか」がどのように取り扱われていたかを示すものである。

「味覚」「感覚」を表現する言葉として飲食品一般に使用されていることは、この拒絶例からも当然理解できるところであり、同様な「食感」「味覚」につき、本件商標の指定商品分野のみ、特定の業者にのみ「さわやか」なる用語を独占使用させることは、極めて不自然と考えられる。

したがって、上記理由から、本件商標の指定商品分野にあっても、「さわやか」(爽やか)なる用語は、自他商品の識別力がないものと断言せざるを得ない。

(6)次に、下段に書された「爽」について考察するに、該漢字は、甲第2号証の2に示した如く「ソウ」と読まれ「さわやか」「すがすがしさ」の意味合いを有する語である。

この漢字「爽」に「やか」の送り仮名を付した場合「サワヤカ」と読みうる言葉となるのが通常であるが、本審判請求は、商品取引における「商標」においてはどのように読まれるかを争うものであり、国語の解釈を論ずるものではない。

そこにおいて、「漢字1文字」よりなる「商標」が一般的にどのように取り扱われているかを検討する。

(7)甲第6から9号証は、「漢字1文字」を中心的構成要素とした登録商標である

商標は、再度の購入のため記憶に止めてもらうことを意図し採択するものであり、「記憶しやすく」「親しみのある」「潤いのある」名称を採択するのが自然である。そこにおいて商標採択者は、インパクトのある「漢字1文字」を用いたものの、振り仮名を付しその「読み」を特定したと考えるのが妥当であり、かつ、需要者もその「読み」を不自然としない環境が、特に「商標」については存在していると考えるべきである。

確かに、「漢字1文字」であっても、「音読み」で取引市場において流通させる「商標」も存在していることは否定するものではないが、厳密な国語の解釈と異なり、特に、併記された「読み」が、その漢字との関連において妥当と考えられる範囲においては、採択者がその読みを単に特定したものと考えるのが自然であり、その漢字から「送り仮名」なしでも自然の「訓読み」が生ずるものである。

(8)なお、現在、本書面の作成にあたり使用している漢字変換機能(マイクロソフト社「ワード」)において「さわやか」を入力したところ、「爽」単独の漢字がそのまま変換し得るようになっていた。

このことに鑑みても、上記「商標」の事例に限らず「爽」を「サワヤカ」と称呼する環境が一般社会にも存在し、通用していることを物語る証拠となるものである。

(9)被請求人は、甲第9号証に示す登録第2642369号商標「爽」を所有している。

甲第9号証に表れた「称呼欄」には、「ソー」と共に「サワヤカ」の称呼が記載されており、上記「商標」における「漢字1文字」の各種取り扱いからも不自然ではない「サワヤカ」の称呼が生じ得るものであることが明確である。

したがって、上段の「さわやか」の振り仮名と同一の称呼、同一の観念を有するものであり、また、被請求人が漢字1文字の「爽」につき、「サワヤカ」の称呼を特定したと見るべきである。

本件商標は、「さわやか/爽」の構成よりなるも、上段の「さわやか」の平仮名はもとより、下段の「爽」の漢字も同様に、各種飲食品を始め指定商品の品質・味覚を表現する用語として使用されているものであって、明らかに自他商品の識別力を有しない商標といわざるを得ない。

(10)さらに、登録第2642369号商標の登録当時、いかなる解釈が行われたものか判然とはしないが、少なくとも本件商標は、商標法第47条の適用を受け得るものではなく、同登録と切り離して現時点で自他商品識別力を独自に判断されるべきものである。

3 被請求人の主張

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)飲食品の分野において、「さわやか/爽」(旧旧第38類)、「さわやか」(旧第30類)、「爽」(旧第31類)、「爽/さわやか」(旧第31類)、「さわやか」(旧第32類)、「さわやかドリンク」、「さわやかCレモン」(第32類)、「そう/爽」(第30類)の現存する登録例がある(乙第1号証の1ないし8)。

また、消滅しているが、「ソウ/爽」(旧第28類)、「さわやか」(旧第32類)が登録されていた(乙第2号証の1及び2)。

さらに、「爽やかレモンウオーター」(第32類)、「さわやか/爽」(第30類)、「爽/さわやか」(第30類)、「大山高原さわやかヨーグルト」(第29類)、「爽/さわやか」(第29及び30類)の出願が商標法第4条第1項第11号の規定で拒絶されている(乙第3号証の1ないし5)。これらは最近の事例である。これらの事例が物語るのは、飲食品一般について「さわやか」、或いは「爽」という文字が必ずしも味覚や感覚を表現する商品の品質を示す言葉として使用されているものではない、ということである。

(2)次に、請求人主張に関して答弁を行う。そこで挙げられた使用の事例はすべて「爽やかな」或いは「爽やかさ」という形容詞としての表現態様である。なお、キリンシーグラムの「爽やか果実」は「果実酒」などを指定して登録された登録商標である。「さわやか」と「果実」に分離されないで「さわやか」が「果実」を修飾し、「果実酒」については全体として自他商品を識別することができる商標である。同様な構成の商標として「飲料用野菜ジュース」等についての「さわやかな野菜」、「加工食品」についての「さわやかファイバー」、「加工野菜・果実」についての「さわやか信州」や「菓子,パン」についての「すだちさわやか」がある。

本件商標の指定商品の味覚や内容を表す言葉として「さわやか」或いは「爽」それ自体が商品のラベル上に使用されている事例はない。請求人が挙げた多くの例は「さわやかな(さ)」と「味」,「甘味」、「香」或いは商品名などの言葉と一緒に用いられており、「さわやか」或いは「爽」それ自体が単独で使用されているものは見当たらない。「味」,「甘み」、「香」或いは商品名など言葉を前後に用いて味覚表現として使用されている。したがって、「さわやか」或いは「爽」それ自体をもっては本件指定商品の品質を直接的・具体的に認識させるものではない。同旨の審決があるので添付する。

5 当審の判断

本件商標は、前記のとおり「さわやか」及び「爽」の両文字よりなるものであるところ、「さわやか[爽やか]」の語は、「すがすがしく快いさま、気分のはればれしいさま、はっきりしているさま、分明、あざやかなさま」を(甲第2号証の1)、「そう[爽]」の語は、「あきらか、夜が明けて明るいさま、さわやかなさま、すがすがしいさま」(甲第2号証の2)をそれぞれ意味する語であることが認められる。

ところで、請求人が一般書籍において「味覚」を始めとする品質を表示する用語として使用されているとして提出した甲第3号証(枝番を含む。以下同じ)、及び、業界においても「味覚」を中心に各社が使用しているとして提出した甲第4号証をみるに、「さわやか(爽やか)」の文字を含む使用例として、「淡白で爽やか(クリアー)な味」(甲第3号証の1)、「爽やかな香りをもっている」(甲第3号証の2)、「香りも味もさわやかというわけで」(甲第3号証の3)、「口当たりが良く、爽やかな後味の」、「後口のさっぱりした爽やかな甘み」(甲第4号証の1)、「フルーティな香りと爽やかな酸味」(甲第4号証の2)、「あっさりとした味わいの爽やかな甘口」(甲第4号証の3)、「スパイシーな爽やかさ」(甲第4号証の10)のように使用されている実情が認められる。しかしながら、これらの事例にみられるように、いずれも文章中に使用されているものであって、しかも、「さわやかな(爽やかな)」又は「爽やかさ」の文字で他の語と使用されているものであり、「さわやか」或いは「爽」の文字が単独で使用されているものは見出せない。

他に「さわやか」及び「爽」の文字が、飲食料品についてその品質等を表示するものとして普通に使用されているという事実を示す証拠はない。

そして、「さわやか[爽やか]」及び「そう[爽]」の両語の有する前記の意味からすると、本件商標が「さわやか」及び「爽」の両文字が二段書きで表されていて、「さわやか」の文字が「爽」の文字の読みを特定したとも解し得る場合のあることを考慮しても、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者、需要者はこれから「すがすがしく快い、気分のはればれしい」程度の意味を看取するにとどまり、その指定商品の品質等を表すような具体的な意味、内容を認識することはないものと判断するのが相当である。

してみれば、本件商標は、その指定商品について、その品質等を表示するものではなく、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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