結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35051(T2002−35051/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4515287号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成12年11月10日に登録出願され、第3類「化粧品」を指定商品として、平成13年10月19日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2313132号商標(以下「引用商標」という。)は、「MORE THAN」の欧文字と「モアザン」の片仮名文字とを2段に横書きしてなり、平成1年2月2日に登録出願され、第4類「せつけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、平成3年6月28日に設定登録されたものである。そして、その後、商標権の存続期間の更新登録が平成13年3月13日になされ、指定商品を第3類「せっけん類,歯みがき,化粧品,香料類,薫料」、第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする書換登録が平成14年1月9日になされているものである。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を概要次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、「JACquES」と「Moi SANT」を上下2段に横書きしてなる商標であるが、本件商標が引用商標に類似することは、商標権者が平成12年1月24日に請求した引用商標に係る審判請求書(商標登録第2313132号取消審判事件)(甲第5号証)に、「『MOISANT』を含む商標を出願すべく先登録を調査したところ、『MOISANT』に類似する登録商標を発見した。」と商標権者が述べている内容からも明らかである。
さらに、その称呼についてみると、本件商標は、その「Moi SANT」が「モアザン」の称呼を有していることは、本件公報に記載された参考情報である「称呼」の記載内容からも明かである。(甲第1号証)
一方、引用商標は、「MORE THAN」と「モアザン」を上下2段に横書きした商標であり、書かれた文字より「モアザン」の称呼が生ずるものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは「モアザン」の称呼を共通にするものであるから、本件商標をその指定商品について使用する場合には、商品の出所につき混同を生ずるおそれが充分にあるというべきである。
(2)結び
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効にすべきである。
(1)被請求人の主張及び証拠の認否
審決例(異議平10−92040号)、商標登録第2658399号と商標登録第3287098号、商標登録第3127728号と商標登録第4337541号の商標登録は認めるが、その余の主張は全て否認する。乙第1号証、乙第2号証は否認する。
(2)被請求人は、審決例(異議平10−92040号)、商標登録第2658399号と商標登録第3287098号、商標登録第3127728号と商標登録第4337541号の登録を以て本件商標と引用商標を非類似と主張しているが、否認する。
被請求人は、称呼が同一または類似とされるが非類似として登録されている商標として、異議平10−92040号にかかる商標である、「花神」と「花心」、また「壮源」と「草原」、並びに「街道」と「回童」を引用している。
しかし、これらの商標は我が国における需要者において、最も慣れ親しんでいる漢字のみにて構成されている。すなわち、その外観の認識、また、その漢字が有する観念を容易に認識または想像しうる文字のみにより構成されていることにより、称呼が同一であったとしても非類似とされたと解すのが相当である。
そうとすると、本件商標と引用商標は、称呼が同一であるとしても非類似とした被請求人の主張は根拠となり得ないものである。
(3)被請求人は、「MOISANT」・「モアザン」を商標構成中に含む商標として乙第1号証、乙第2号証を以て、引用商標と称呼が同一であるとしても、非類似として登録された商標があることを主張している。
しかし、乙第1号証については、引用商標に類似として、平成13年7月13日付商標登録異議申立(異議2001−90522)がなされており、現在審理中である。
(4)以上詳述したとおり、被請求人提出にかかる証拠によっては、本件商標が引用商標と非類似であるという根拠にはなり得ないと思料する。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を概要次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
(1)請求人は、本件商標を構成する「MoiSANT」の部分が、「モアザン」と称呼される引用商標と称呼が類似であり、本件商標をその指定商品について使用する場合には、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるという。
(2)本件商標は「JACquES」と「MoiSANT」と2段に並記して構成されているが、本件商標は、フランスの著名な美容家である「JACQUES MOISANT」氏のサインをそのまま2段に並記して構成されたもので、外観上極めて特異な書体により構成されている。確かに、下方の「MoiSANT」はフランス語読みでは「モアザン」と称呼される。
しかしながら、簡易、迅速を旨とする商取引、特に本件商標の指定商品である「化粧品」の流通過程においては、需要者は先ず、本件商標がその特異書体で表示されているため、一瞥しただけではその構成文字を直ちに判読できず、特異書体に目を奪われてしまって、全体の外観を特異書体として認識するものであって、下方の「MoiSANT」のみを抽出して、これを「モアザン」とのみ称呼する需要者はいないと考える。
仮に、「MoiSANT」のみを需要者が抽出したとしても、我が国では英語教育が盛んで、フランス語はほとんど通用しない状況では、「MoiSANT」をフランス語読みで、請求人の主張する「モアザン」と称呼するよりも、むしろ「モイザント」と英語読みで称呼すると解するのが極めて自然で、かつ経験則にも適うものであると確信する。
(3)これに対して、引用商標は「MORE THAN」と「モアザン」を2段に並記して構成されており、その称呼が「モアザン」であることは認める。そして、前記したように英語教育の盛んな我が国においては、「MORE THAN」は英語教育の初期の段階で教科書に出てくる英語であって、「〜以上の」という観念を生ずることは周知のことである。
(4)一方、判例も「商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき、出所の混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、従って、右三点のうち一において類似するものでも、他の二点において著しく相違するか、その他取引実情によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない」(最高裁昭和39年(行ツ)第110号、昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号339頁)としている。
そして、本件商標中の「MoiSANT」と引用商標では、称呼が仮に同一または類似であったとしても、両者は外観が著しく相違し、また観念においても本件商標が人の氏名という観念を生ずるか、あるいは何等観念を生じないと解せられるところ、引用商標は前記したように「〜以上の」という観念を生ずるので、両者はその観念をも全く異にするものである。
(5)さらに,本件商標の指定商品である「化粧品」についての取引の実情(需要者の商品購入の実情)をみると、需要者は、商標の有する品質保証機能の面から商標をとらえて商品選択をしており、本件商標が前記のように外観および観念、特に外観が著しく異なり、特異な書体で構成されているので、その特異書体全体が需要者の脳裏に強力に刻まれて記憶されるものであると解せられるところ、需要者が時と所を異にして、本件商標と引用商標を付した「化粧品」に遭遇したとしても、需要者はその「化粧品」の出所につき誤認混同をきたすおそれは全くないものというべきである。したがって、本件商標は前記最高裁の判示がそのまま適用され、引用商標と類似しないことは明らかである。
(6)そして、前記被請求人の主張は、過去における審決例および審査例からも認められるべきものであると考える。
審決例としては、本件商標と同一の化粧品関係を指定商品とする「花神」(登録商標第434444号)と「花心」(登録商標第4164615号)が非類似とされた例(異議平10−92040号 審決公報第4894号83頁)がある。すなわち、審決は次のように述べている。
本件商標「花心」と引用商標「花神」の構成は、それぞれ前記及び別紙に示す通りのものであるから、両商標は外観または観念において紛れ得るとすべき事情は見出し難い。そして、たとえ両商標が「カシン」の称呼を共通にする場合があるとしても、前記の差異が顕著である点に加え、この種商品の取引分野における取引者、需要者の一般的な注意力その他取引の実情を総合勘案するに、商品の出所を混同する程度に紛れ得るものとは認め難く、結局本件商標と引用商標とは類似のものということはできない、とされており、
また、食品関係を指定商品とする「壮源」(登録商標第2658399号)と「草原」(登録商標第3287098号)は、いずれも「ソーゲン」と称呼されるが、両者とも非類似として登録されている。
さらに、食品関係を指定商品とする「街道」(登録商標第3127728号)と「回童」(登録商標第4337541号)は、いずれも「カイドー」と称呼されるが、両者とも非類似として登録されている。
(7)しかも、「MOISANT」、「モアザン」を商標構成中に含む商標が、本件商標の外に2件登録されている。すなわち、登録商標第4465959号(乙第1号証)及び登録商標第4485170号(乙第2号証)である。これら各商標は、いずれもその商標構成中の一部において、引用商標と称呼が同一または類似であるとしても、外観、観念が引用商標とは著しく異なるとして登録されたものであり、前記最高裁の判示をそのまま踏襲したものであって、被請求人の前記主張を補強するものである。
(8)さらに、請求人は、被請求人が過去において、前記登録商標第4465959号の出願時に、引用商標につき取消審判を請求した際の理由を引用して、被請求人が「MOISANT」と引用商標とが類似していることを認めているというが、被請求人は前記取消審判請求書において、単に称呼がフランス語読みすれば、引用商標に類似すると記述しただけで、前記登録商標第4465959号の外観および観念までもが、引用商標に類似するとは認めていない。この点でも、請求人の主張は理由がないというべきである。
(9)以上述べたように、本件商標は引用商標と非類似であって、商標法第4条第1項第11号に該当せず、登録要件を具備しており、その登録を無効とされるべき理由は全くない。
本件商標は、別掲に示すとおりの構成よりなるところ、その構成文字は、書体に統一性が認められ、また、外観上まとまりよく一体的に表されており、かつ、この文字全体より生ずると認められる「ジャックモアザン」の称呼も格別冗長なものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうしてみると、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分のものとして、取引者、需要者に認識、把握されるものと判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、これより「ジャックモアザン」の称呼のみを生ずるものといわざるを得ない。
他方、引用商標は、その構成文字に相応して、「モアザン」と称呼されるものと認められる。
そして、本件商標の「ジャックモアザン」の称呼と引用商標の「モアザン」の称呼とを比較すると、語頭における「ジャック」の音の有無という構成音の差異があるから、明らかに聴別し得るものである。
また、本件商標と引用商標は、その外観及び観念において紛らわしいところがあるともいえない。
そうすると、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念のいずれからしても非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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