結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2001−31071(T2001−31071/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第876930号商標(以下「本件商標」という。)は、「VIP」の欧文字を横書きしてなり、昭和43年4月16日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同45年10月22日に設定登録されたものであるが、その後、指定商品中の「電球類および照明器具」についての登録は、平成13年2月21日付けの審決により取り消され、その抹消の登録が同13年5月16日になされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1.本件商標の商標権者は、日本国内において、本件商標を継続して3年以上「電気通信機械器具」について使用していない。また、商標登録原簿上は、本件商標に専用使用権あるいは通常使用権が設定、許諾されている事実も見当たらない(甲第1号証)。
2.答弁に対する弁駁
(1)商標法第50条第1項は、継続して3年以上日本国内において商標権者が各指定商品についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる旨規定する。
そして、本項の審判の請求があった場合、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れない(商標法第50条第2項)。
被請求人は、本件商標は本件審判の請求日の4ヶ月前から、被請求人が「電気通信機械器具」に関連する商品に使用を計画しているものであるから、商標法第50条第1項の規定に該当するものではなく、請求人の請求には理由がない旨主張する。
しかしながら、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品についての使用を証明しておらず、また、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標の使用をしていることも証明していない。
(2)被請求人は、「パワー半導体の小型・高放熱パッケージ」(以下「使用予定商品」という。)に本件商標を使用する予定であり、該使用予定商品は半導体関連のものであると主張し、その上で、「半導体」と本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」とは、「電気通信機械器具に組み込まれる部品」という関係にあること、及び、「商品及び役務の区分に基づく類似商品・役務審査基準(改訂第8版/特許庁商標課編)」(以下「類似商品・役務審査基準」という。)の中でも、「電気通信機械器具」と「半導体」は類似すると明記されている旨主張する。
しかしながら、被請求人が本件商標の使用を予定している商品は、本件審判請求に係る指定商品「電気通信機械器具」と同一のものではなく、被請求人の主張には理由がない。
確かに、「類似商品・役務審査基準」においては、「電気通信機械器具」は「半導体素子」と類似する旨が備考により付されている。しかし、同審査基準によれば、いわゆる「備考類似」は、「類似と推定する」の意味であり、「電気通信機械器具」と同一のものではないことは明らかである。
しかるに、上記のとおり、本項の審判の請求があった場合、被請求人は、その請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを証明しない限り、商標権者は、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないのであり、その指定商品に「類似する」商品についての主張及び立証は本件審判の請求を理由なしとする根拠とはなり得ない。すなわち、商標権のうち禁止権に係る部分つまり類似部分の使用は、権利としての使用ではなく事実上の使用であるから、本条の意図する登録商標の使用義務を履行しているとはいい難く、その部分の使用を以て不使用取消を免れることはできない(「工業所有権法逐条解説」(第16版/特許庁編))。
(3)被請求人は、「現在(審判事件答弁書の提出時)前記商品のネーミングとして本件商標を採用することを計画している」としているが、このことは、本件審判請求の登録前3年以内には、本件商標を実際には使用していなかったことを自認するものと受け取ることができる。少なくとも、被請求人の提出に係る答弁書においては、被請求人がなすべき、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標の使用をしている旨の主張及び立証が全くなされておらず、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標の使用をしていないことは明らかである。
なお、被請求人は、その指定商品についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない(商標法第50条第2項但書)。被請求人の主張する本件商標の使用計画が、ここにいう「正当な理由」に該当するものではないことも明らかである。
3.以上より、本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1.被請求人は、「パワー半導体の小型・高放熱パッケージ」(使用予定商品;乙第1号証)の開発を実施しており、現在前記商品のネーミングとして本件商標を採用することを計画している。
2.使用予定商品は半導体関連のものであるが、「半導体」と「電気通信機械器具」とは、「電気通信機械器具に組み込まれる部品」という関係にあること、さらに「類似商品・役務審査基準」の中でも、「電気通信機械器具」と「半導体」は類似すると明記されている。したがって、本審理においても前述の類似関係の要素を加えて判断されるべきである。
3.使用予定商品の発売は、現在のところ平成14年(2002年)4月ころを予定しており、被請求人は、これに向けて、平成13年(2001年)4月には既に使用予定商品の開発スケジュールを立て、この時点で、商標を「VIP」にするという前提で話を進めており(乙第2号証)、その後、本件商標の採用検討を開始した証拠として、社内連絡のeメールのコピー(乙第3号証)を提出する。
被請求人は、平成13年(2001年)年5月31日の段階で、既に本件商標の採用について本格的な検討を開始しており、証拠資料からも明らかなとおり、この時期は本件審判の請求日(平成13年9月28日)から4ヶ月も早いことが明らかである。
被請求人は、本件審判の請求日以前に請求人から本件商標の譲渡の申入れを受けた事実もなく、請求人の審判請求の意思を知るはずもなく、したがって、請求人の意思とは無関係に本件商標の使用について計画を進めてきたことは明らかである。
4.上記1.ないし3.の理由により、本件商標は、その指定商品中の「電気通信機械器具」についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものではない。
1.使用予定商品について
被請求人は、半導体関連の商品である「パワー半導体の小型・高放熱パッケージ」(使用予定商品)について本件商標を採用することを計画している旨主張し、さらに、「半導体」と「電気通信機械器具」とは、「電気通信機械器具に組み込まれる部品」という関係にあり、また、「類似商品・役務審査基準」の中でも、「電気通信機械器具」と「半導体」は類似する商品とされている旨主張する。
使用予定商品が「半導体」の範疇に属する商品であることについては、被請求人自ら主張するものであるところ、「半導体」は、電気通信機械器具の部品として組み込まれる場合があることは認められるとしても、電気通信機械器具の部品のみならず、電子応用機械器具の部品、あるいは乙第1号証の記載にあるように、「家電機器の電源部に使うスイッチング素子」として使用される場合もあり、極めて広範囲の分野で使用される商品であって、電気通信機械器具の部品にのみに限定されるものではない。
また、「半導体」と「電気通信機械器具」とは、「類似商品・役務審査基準」上類似する商品と推定されていることは認め得るところではあるが、本件審判における請求に係る商品は「電気通信機械器具」であり、たとえ、「半導体」と「電気通信機械器具」とが「類似商品・役務審査基準」上類似する商品と推定されているとしても、この類似の範囲は、他人が本件商標と同一又は類似の商標を使用することを排除する禁止権の範囲であり、商標法第50条における請求に係る指定商品について登録商標を使用する範囲とは異なるものと解されるから、「類似商品・役務審査基準」上、「電気通信機械器具」と類似する商品と推定される「半導体」の使用予定をもって、請求に係る指定商品についての使用予定ということはできない。
したがって、被請求人は、本件請求に係る「電気通信機械器具」の範疇には属しない「半導体」について、本件商標の使用を予定しているものであって、上記被請求人の主張は採用することができない。
2.使用の事実について
被請求人は、使用予定商品の開発を実施しており、その発売は、平成14年(2002年)4月ころを予定しており、同13年(2001年)4月には既に使用予定商品の開発スケジュールを立て、同13年5月31日の段階で、本件商標の採用について本格的な検討を開始している旨主張し、乙第2号証及び乙第3号証を提出している。
しかしながら、該使用予定商品は、前記1.のとおり、本件請求に係る「電気通信機械器具」の範疇には属しない商品であり、被請求人は、本件審判の請求の登録日(平成13年10月24日)前3年以内に、本件商標を請求に係る指定商品「電気通信機械器具」について、日本国内において使用した事実を何ら証明していない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
3.以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「電気通信機械器具」についての登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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