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Trademark Appeal Case

登録商標と使用態様の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30518号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2634277号商標(以下、「本件商標」という。)は、「インディアンモーターサイクル」の片仮名文字を横書きしてなり、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成3年11月5日に登録出願され、同6年3月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張及び答弁に対する弁駁

請求人は、「本件商標の登録を取り消す。」旨主張し、その理由を次の通り述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第145号証を提出している。

2−1 請求の理由

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上我が国において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていない。よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すべきものである。

2−2 答弁に対する弁駁

被請求人は、答弁書において本件商標の使用を証明するため証拠を提出したが、証明に係る使用は、本件商標の使用を構成するものではなく、提出された証拠は使用を証明するものではない。

(1) 本件商標は、「インディアンモーターサイクル」の一体不可分の称呼及び観念のみが生ずるものとして登録になったものであり、「インディアン」の称呼及び観念が生じ得る態様の標章は、本件商標と同一でなく同一性の範囲外であり、かかる態様での使用は本件商標の使用を構成しないものである。

よって、乙第7号証、同第9号証及び同第14号証の示す、筆記体「Indian」と筆記体「Motorcycle」、又は活字体「MOTORCYCLE」の上下2段での使用は本件商標の使用ではない。

このことは、かかる態様の使用を差し止める仮処分決定(甲第57号証)がされたことからも明白である。

(2) 商標法第50条第1項が規定するように、「登録商標の使用」というためには、「同一の称呼及び観念を生ずる」ものでなければならない。

(3) 筆記体の「Indian Motorcycle」中の「Indian」は、請求人の登録商標であり、請求人がライセンスする商品及び自ら製造、販売する商品に使用する著名な商標「インディアンロゴ」(甲第122号証)と同一又は酷似するものであり、したがって、筆記体の「Indian」は請求人の使用に係る周知商標であるとの観念を生ずる。

よって、被請求人が証明する筆記体「Indian Motorcycle」は、片仮名文字「インディアンモーターサイクル」と別個の観念を生ずるものであり、本件商標と同一性の範囲外にあって、被請求人の主張する筆記体「Indian Motorcycle」の使用は、本件商標の使用を構成しない。

(4) ローマ字「INDIAN MOTORCYCLE」は、「インディアンロゴ」(筆記体の「Indian」)の出所として著名な請求人の著名な商号の著名な略称のローマ字表記である「Indian Motorcycle」と紛らわしいものである。特に、商品について、筆記体「Indian Motorcycle」、「INDIAN MOTORCYCLE」が使用されており、尚更紛らわしいものである。

(5) 従前、片仮名文字の登録商標をローマ字で使用することは、登録商標の使用とは取扱われていなかった。今般の法改正により、かかる態様の使用も社会通念上同一と認められるものの例示とされたが、これは例示であり、一般論であり、かかる態様の使用であっても、出所について誤認、混同を生ずるおそれのある態様での使用は、社会通念上同一と認められるべきではない。

(6) 第25類(旧第17類)のように、片仮名「インディアン」を含む商標とローマ字「INDIAN」を含む商標が多数登録されている類においては、一連一体として片仮名文字で登録した「インディアンモーターサイクル」をローマ字「INDIAN MOTORCYCLE」で使用することは、登録商標の使用と認めるべきではない。また、ローマ字「INDIAN MOTORCYCLE」の使用は、筆記体「INDIAN MOTORCYCLE」の商品への使用と相俟って、出所について誤認、混同を生ずるおそれがあり、かかる態様の使用は本件商標と「社会通念上同一」と認めるべきではない。

(7) 加えて、登録商標の使用とは、商品への具体的な使用を意味し、単なるカタログや広告等への使用は、登録商標の使用を構成しない。

被請求人が具体的に商品に商標として使用している態様は、筆記体「Indian」/「MOTORCYCLE」(上下2段)及び筆記体「Indian Motorcycle」(横一列)であり、被請求人は、商品について、その主張に係るローマ字ゴシック体及びローマ字明朝体「INDIAN MOTORCYCLE」並びに片仮名文字「インディアンモーターサイクル」を使用していない。このことは、被請求人提出の証拠の示すところでもある。

よって、被請求人が証明するローマ字ゴシック体及びローマ字明朝体「INDIAN MOTORCYCLE」並びに片仮名文字「インディアンモーターサイクル」の使用は、本件商標の使用を構成しない。

(8) 被請求人は、乙第18号証及び同第25号証をもって、片仮名文字「インディアンモーターサイクル」の商品への使用の証拠とする。しかしながら、乙第18号証及び同第25号証の織ネームは、通常織ネームを付ける場所より下であり、かつ、大きさも大きすぎ、外観も見苦しい。事実、請求人の調査した限り、店頭で販売されている該当商品であるジャケットの織ネームに筆記体「Indian/Motorcycle」(上下2段)、「Indian Motorcycle」(横一列)が付されていた(乙第14号証、同第16号証及び同第17号証)が、片仮名文字「インディアンモーターサイクル」は一切付されていない。また、仮処分事件(甲第57号証及び同第77号証、弁駁書には「乙」とあるが「甲」の誤記)の審理において、被請求人は片仮名文字「インディアンモーターサイクル」を商品に使用していないことを自認した。

したがって、乙第18号証及び同第25号証の織ネームは、単に、不使用による登録取消しを免れるためのみに作り上げたものであり、本件商標の使用を証明するものでないと解すべきである。

(9) 同じことは、乙第20号証の下げ札にも該当する。したがって、乙第20号証も、本件商標の使用を証明するものと解すべきではない。

なお、乙第20号証において、片仮名文字「インディアンモーターサイクル」は、筆記体「Indian Motorcycle」と併用されており、仮に、かかる下げ札が実際に使用されているとしても、かかる態様での「インディアンモーターサイクル」の使用は、出所について誤認、混同を生ずるおそれのある態様での使用であり、本件商標の使用ではない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を下記の通り述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第48号証を提出している。

3−1 答弁の理由1

被請求人は本件審判の請求登録前3年以内に、自らが日本国内において本件商標をその指定商品に使用していたものであり、これらの使用事実は乙各号証によって証明されるところである。

(1)商標の使用者

東洋エンタープライズ株式会社(商標権者本人)

「乙第1号証乃至同第17号証、同第22号証及び同第26号証乃至同第29号証」

(2)使用に係る商品

▲1▼ジャンパー(ブルゾン)「乙第1号証乃至同第17号証」

▲2▼パンツ(ズボン) 「乙第1号証」

▲3▼ベスト(チョッキ) 「乙第1号証」

▲4▼ティ−シャツ 「乙第8号証」

▲5▼帽子 「乙第7号証、同第10号証及び同第12号証」

▲6▼プルオーバー 「乙第12号証」

▲7▼カット・ソー 「乙第11号証」

▲8▼ウインドブレーカー 「乙第18号証」

(3)使用標章の態様

▲1▼ローマ字ゴシック体

「乙第2号証、同第4号証、同第5号証、同第9号証、同第14号証乃至同第17号証、同第19号証乃至同第21号証及び同第24号証」

▲2▼ローマ字明朝体

「乙第3号証、同第6号証、同第12号証、同第21号証、同第及び同第22号証」

▲3▼ローマ字筆記体

「乙第1号証、同第5号証、同第6号証、同第10号証、同第17号証、同第19号証乃至同第21号証及び同第23号証」

▲4▼片仮名文字

「乙第4号証、同第5号証乃至同第9号証、同第11号証乃至同第18号証、同第20号証及び同第25号証」

上記態様での使用は、いずれも商標法第50条第1項括弧書きの規定により、本件商標の使用と認められるものである(乙第30号証)。

(4)商標の使用時期

平成7年6月乃至現在(証明した範囲での使用時期)

「乙各号証」

(5)商標の使用場所

商標権者の本店所在地・他

「乙各号証」

3−2 答弁の理由2

請求人は、被請求人の提出した証拠資料による本件商標の使用事実の一切を否定するものであるが、かかる請求人の主張は、商標法第50条の解釈はおろか、同法そのものの基本的解釈に誤りがある。

(1)商標の「同一」

登録商標と同一の商標であるか否かは、商標法第50条第1項括弧書の規定をまつまでもなく、物理的同一を意味するものではなく、相似形を含め微細な書体の相違は同一の概念に含まれるものである。

したがって、被請求人提出の証拠(乙第4号証、同第5号証乃至同第9号証、同第11号証乃至同第18号証、同第20号証及び同第25号証)による片仮名文字「インディアンモーターサイクル」での使用は、本件商標と同一商標の使用であり、仮に証拠資料中に同一概念に含まれないような書体変更での使用があるにしても、当然に商標法第50条第1項括弧書きの規定によって、本件商標の使用と認められるものである。

(2)商標の同一性

イ)商標法第50条第1項括弧書きの解釈

商標法第50条第1項括弧書きは、同一とはいえないまでも商標保護の趣旨からして、同一商標と同等に取扱われるべき商標の変更使用の範囲を定めたもので、該規定はパリ条約第5条C(2)の規定と同旨であり、現行法において明文化される以前(そもそも、本件審判の適用法は現行法である。)より、該パリ条約の規定又は商標法の制度趣旨を根拠として、登録商標の使用として認められていたところである。

そして、当該括弧書きで定められている同一性ある商標の範囲は、具体的には、▲1▼書体のみの変更、▲2▼文字種の変更、▲3▼外観上同視図形であり、包括的抽象的には、社会通念上同一と認められる商標である。これら以外でも、社会通念上同一と認められるものは登録商標と同一の商標の使用と認めるというのが、商標法第50条第1項括弧書き規定の趣旨である。

ロ)文字種の変更が同一商標と認められるための条件

文字種の変更使用が登録商標の使用と認められる条件として、法文上「平仮名、片仮名及びローマ字の相互変更であること」及び規定の趣旨から「同一の称呼及び観念のみを生じる商標であること」が要求されている。

ハ)ローマ字表記での使用

請求人は、ローマ字(ゴシック体、明朝体又は筆記体)「INDIAN MOTORCYCLE」又は「Indian Motorcycle」の使用は、本件商標の使用とは認められない旨主張する。

しかしながら、本件商標は片仮名文字「インディアンモーターサイクル」からなり、これが英米語「Indian」と「Motorcycle」とを結合した日本語表記であることは、両語ともに我が国において広く認識され使用され、「インディアン/北米原住民」及び「モーターサイクル/自動二輪車」として、称呼/語義ともに既に日本語化している事実に照らせば容易に理解されるところである。

そして、被請求人が既に使用しているローマ字表記の「INDIAN MOTORCYCLE」又は「Indian Motorcycle」は、上記両語を一体不可分に結合した商標である。

してみると、本件商標もロ−マ字表記の商標も、ともに「インディアンモーターサイクル」の称呼のみが生じ、また仮に観念が生ずるとすれば、「インディアン(北米原住民)のモーターサイクル(自動二輪車)」の観念のみが生じるというべきである。

よって、ローマ字表記使用に関する被請求人提出の乙各号証の多くは、本件商標の使用事実を立証するものである。

(3)商標の「使用」について

請求人は、単なるカタログ又は広告等への使用は、登録商標の使用を構成しない旨主張する。

しかしながら、標章が商品との関係において使用されているのであれば、全く問題ではなく、商標法第2条第3項の「使用」の定義規定にあっても、▲1▼商品又はその包装に標章を付する行為(第1号)、▲2▼標章を付したものを譲渡する等の行為(第2号)、▲3▼商品に関する広告又は取引書類等に標章を付して展示し又は頒布する行為(第7号)の全てが標章の使用と認めており、標章が商品との関係において使用されていることが明らかな場合には商標の使用である。

したがって、商品に付されている表示媒体(下札、襟ネーム等)又は商品のカタログ、パンフレットに表示されている標章、さらに、新聞又は雑誌等による商品の宣伝広告で表記されている標章の全ては、商標の使用であって、被請求人提出の証拠資料は、直接的使用と間接的使用の双方を含み、そして、その全てが本件商標の使用の事実を証明するものであること明白である。

4 当審の判断

(1) 被請求人が提出した乙各号証を検討するに、同第4号証は、平成8年12月2日発行の雑誌「モノ・マガジン」第15巻26号であるところ、商品「ジャンパー」について片仮名文字「インディアンモーターサイクル」の商標が、同第5号証は、平成9年10月16日発行の雑誌「モノ・マガジン」第16巻第19号であるところ、商品「ジャンパー」についてローマ字「INDIAN MOTORCYCLE LEATHER LINE−UP」及びローマ字筆記体「INDIAN MOTORCYCLE」(請求人が2−2(3)において主張する「筆記体のもの」とは異なる。以下乙第17号証において同じ。)の商標が、同第6号証は、平成10年1月16日発行の雑誌「モノ・マガジン」第17巻第1号であるところ、商品「ジャンパー」についてローマ字「INDIAN MOTORCYCLE」及び片仮名文字「インディアンモーターサイクル」の商標が、同第8号証は、1996年3月25日発行の雑誌「ポパイ」第21巻第5号であるところ、商品「ティーシャツ」について片仮名文字「インディアンモーターサイクルT」の商標が、同第9号証は、平成8年9月1日発行の雑誌「ブーン」1996年9月号であるところ、商品「ジャンパー」についてローマ字「INDIAN MOTORCYCLE LEATHER LINE−UP」の商標が、同第11号証は、1995年7月10日発行雑誌「FINEBOYS」1995年7月号であるところ、商品「ジャンパー」について片仮名文字「インディアンモーターサイクル」の商標が、同第13号証は、1995年10月10日発行雑誌「FINEBOYS」1995年10月号であるところ、商品「ジャンパー」について片仮名文字「インディアン・モーターサイクル」の商標が、同第14号証は、1996年9月10日発行雑誌「FINEBOYS」1996年9月号であるところ、商品「ジャンパー」についてローマ字「INDIAN MOTORCYCLE LEATHER LINE−UP」の商標が、同第15号証は、1997年11月1日発行雑誌「ゲットオン」12巻1号、同第16号証は、1997年12月1日発行雑誌「ゲットオン」2巻2号であるところ、いずれにも商品「ジャンパー」についてローマ字「INDIAN MOTORCYCLE LEATHER LINE−UP」の商標が、同第17号証は、1997年11月6日発行雑誌「ファインマックス」1997年11月号であるところ、商品「ジャンパー」についてローマ字「INDIAN MOTORCYCLE LEATHER LINE−UP」及びローマ字筆記体「INDIAN MOTORCYCLE」の商標がそれぞれ、前示各商品に関する広告に使用されていることが認められ、前掲各商標中、片仮名文字「インディアンモーターサイクルT」の商標又はローマ字「INDIAN MOTORCYCLE LEATHER LINE−UP」の商標は、本件商標又はその使用と認められる商標と要部において同一のものである。

また、乙第18号証は、商品「ウィンドブレーカー」現物の平成9年4月16日付け写真とみられるところ、その織りネームに片仮名文字「インディアンモーターサイクル」の商標が付されていることが認められる。

しかして、これらの使用は、いずれも本件審判請求の登録前3年以内であって、被請求人により、指定商品についての本件商標の使用と認められるものである。

(2) これに対して、請求人は、ローマ字「INDIAN MOTORCYCLE」の商標は本件商標と社会通念上同一とは認めるべきではない旨及び広告への使用は商標の使用を構成しない旨主張する。

しかしながら、被請求人は、前示認定のとおり指定商品について、片仮名文字「インディアンモーターサイクル」の商標を使用しいるのみならず、ローマ字及びその筆記体「INDIAN MOTORCYCLE」の商標は本件商標とは称呼及び観念を同一にするものであるから、本件商標の使用と認められるものである(商標法第50条第1項括弧書き参照)。

そして、指定商品に関する広告についての使用は登録商標の使用と認められるところである(商標法第2条第1項第7号参照。)

また、請求人は、乙第18号に関し、織りネームの位置、大きさ及び自らの調査との関係で、同号証は作為的な証明資料である旨主張するが、これらの主張のみをもって同第18号証が不自然のものとみるのは相当でない。

(3) なお、請求人は、本件審判の審理対象以外について主張するところがあるが、本件審判については、以上の認定、判断で足りるものであるから、前示した以外の主張については判断しない。

4 結論

以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用できないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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