sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標使用の立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−30592(T2000−30592/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第121525号の1商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第121525号の1商標(以下「本件商標」という)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、大正9年8月21日に登録出願、第1類「煎剤、水剤、浸剤、丸薬、膏薬、散薬、錠剤、煉薬、生薬」を指定商品として、大正9年10月18日に設定登録された登録第121525号の商標権の分割にかかるものであって、第1類「煎剤、水剤、丸薬、膏薬、散薬、錠薬、煉薬、生薬、但し、散薬を除く」を指定商品として、昭和5年11月12日にその分割の登録がなされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。

(1)請求理由

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

(ア)「広村明証氏への請求書」について

とらや薬局が広村明証宛に発行した形態をとる請求書(控)と認識できるが、これのみを以ってしては販売の事実を確認することはできず、また、仮に何らかの商品を販売した際に発行した請求書の控と仮定しても、販売された具体的商品は何であるのか、その商品との関係において本件商標が使用されているのかについては何ら立証されておらず、到底本件商標を指定商品について使用していたとは認められない。

(イ)「広村明証氏からの購入を証明する封書(宅急便の外包みと共に)」について

広村明証氏が、とらや薬局の弘法湯(順栄湯)を愛用している旨の近況報告に類する書状に過ぎず、本件商標が使用されていることを何ら裏付けるものでないことは極めて明白である。

(ウ)「篠田有子氏への請求書」について

とらや薬局が篠田有子宛に発行した形態をとる請求書(控)と認識できるが、発効日は平成12年8月7日で、本件審判請求の予告登録日(平成12年7月7日)以降の使用を立証しようとするものであり、この点において既に証拠能力を有しないものである。また、内容的にも上記広村明証宛の請求書と同様に到底本件商標を指定商品について使用していたこと立証するものとは認められない。

(エ)「商品に付いての問い合わせ」について

(a)篠田有子氏の問い合わせの日及びこれに対する回答書は、2000年8月24日で、予告登録日以降の事実関係に関する問題であり、やはり証拠能力を有しないものである。また内容的にも「弘法湯」に対する問い合わせないし要望であり、本件商標とは無関係である。

(b)商品陳列写真が一葉添付してあるが、本件指定商品を対象として本件商標を使用している事実を伺わせるものは皆無であり、やはり、使用の事実は立証されていない。

(オ)「医薬品製造業許可書の写し」について

当該写しは、被請求人の松永和子がとらや薬局の店舗名で医薬品を製造する許可を得ていることは認識し得るが、単にそれのみに止まり、本件商標の使用事実を何ら立証するものでない。

以上のとおり、被請求人の提出の証拠方法では、本件指定商品について本件商標を使用した事実を見出すことはできない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第13号証を提出した。(なお、被請求人は提出した証拠に乙号証の符合を付してないものであるが、以下、各証拠を次の順に乙第1号証ないし乙第13号証の符合を付して扱う。)

被請求人は、本件商標を審判請求の登録前継続して3年以内に使用した事実がある。使用の事実を示すものとして以下の証拠を提出する。

「広村明証氏への請求書控え(平成12年6月1日発行)」(乙第1号証)

「篠田有子氏への請求書控え(平成12年8月7日発行)」(乙第2号証)

「篠田有子氏からの商品説明書の送付依頼書」(乙第3号証)

「篠田有子氏への返答書」(乙第4号証)

「商品陳列の写真」(乙第5号証)

「広村明証氏からの購入を証明する封書(宅急便の外包みと共に)」(乙第6号証)

「広村明証氏への請求書(平成9年11月2日発行)」(乙第7号証)

「医薬品製造業許可書の写し」(乙第8号証)

「広村明証氏に送付した依頼書の写し及び同封した請求書の写し」(乙第9号証)

「広村明証氏から受け取った特許庁審判長宛の書簡」(乙第10号証)

「松永和子の特許庁審判長宛申し立て書」(乙第11号証)

「商品1箱」(乙第12号証)

「高野町町長の証明書」(乙第13号証)

4 当審の判断

(1)被請求人が本件商標の使用事実について提出した乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。

(ア)被請求人は、医薬品製造業の許可を受け、煎薬等の製造、販売を「とらや薬局」の店舗名称の下に行っていることが認められる(乙第8号証)。

(イ)平成9年11月2日付けとらや薬局発行の広村明証宛の請求書(乙第7号証)中の品名欄には、「弘煎」なる崩し書き文字が記載され、同じく同12年6月1日付けの請求書(乙第1号証)中の品名欄には、「(順)弘」なる文字が記載されているものと認められる。

(ウ)「広村明証氏からの購入を証明する封書(平成13年1月14日受付宅急便の外包みと共に)」(乙第6号証)は、広村明証氏宅では、高野山・とらや薬局の弘法湯(順栄湯)を父母の代から常備薬とし、幼少頃から飲んでいること、また、該薬は10年程前に弘法湯と名称が変わったことが記載されている。

(エ)「広村明証氏から受け取った特許庁審判長宛の書簡(平成13年7月14日)」(乙第10号証)は、広村明証氏がとらや薬局から弘法湯(順栄湯)を購入していることは既に述べたこと、前記平成9年11月2日付け請求書に記載されている「順」は順栄湯の、「弘」は弘法湯を略されたものであること、「弘煎」とは弘法湯が煎薬であるため「煎」の字が加わったこと、ここで使われている略字「弘」は弘法湯であることは、被請求人と互いによく承知している旨が記載されている。

(オ)「松永和子の特許庁審判長宛申し立て書(平成13年7月16日)」(乙第11号証)は、とらや薬局では順栄湯という名称の婦人薬の煎薬を製造、販売していること、約10年前に商品名を「弘法湯」に変えたこと、請求書などには「弘法湯」のことを略して「弘」と記すことがあり、他に「弘」に合致する商品がないことが記載されている。

(カ)「商品陳列の写真」(乙第5号証)は、パッケージされた商品群が陳列されている。そして、その陳列商品中「弘法湯」なる文字が付されたパッケージ商品をみることができる。

(キ)「高野町町長の証明書」(乙第13号証)は、高野町町長西田正広名で、とらや薬局では、第121525号の1商標を使用した煎薬・弘法湯を平成13年12月21日確認したところ、店において販売していたことを証明することが記載されている。

(ク)「篠田有子氏への請求書控え(平成12年8月7日発行)」(乙第2号証)、「篠田有子氏からの商品説明書の送付依頼書」(乙第3号証)、「篠田有子氏への返答書」(乙第4号証)については、本件審判請求の予告登録後のものであると認められる。よって、本件商標の使用の事実を示す証拠としては採用できない。

(2)以上を総合すると、被請求人は、商品の取引書類である広村明証宛請求書(乙第1号証及び乙第7号証)の品名欄の記載から「弘煎」「(順)弘」なる商品名の商品を顧客に販売したことが窺える。そして、前記請求書の品名欄の「弘煎」「(順)弘」の文字、及び請求人、広村明証が述べる「弘法湯」なる商品について、指定商品との関係から「煎」が煎薬を想起させ、また「湯」が煎薬、薬湯を意味し(広辞苑第四版)、また、取引書類には簡易迅速性から商品名を略記して表示することがしばしばあることから、「弘煎」「(順)弘」が「弘法湯」なる薬湯としていられる煎薬の標章の商品であって、すなわち、「商品陳列の写真」(乙第5号証)表示されている「弘法湯」なる文字が付されたパッケージ商品との繋がり関係をみることができ、被請求人は、本件審判請求登録前に同商品を顧客に販売したことが一応、推認できる。

ところで、本件商標は、前記のとおり外枠図形、中央の図形、「弘法」、「紀州高野山唯一」「製剤所窪田吉一」等の他の文字よりなる構成であるところ、陳列棚の商品中、パッケージに付された「弘法湯」なる文字について前記のとおり「湯」が薬湯であって煎薬を表示しているものと理解されるところから、自他商品の識別力を果たす部分が「弘法」の文字にあるとしてみても、結局のところ、本件商標の「弘法」以外の他の構成要素である図形部分及び文字の標章は確認できず、当該「弘法湯」のみの表示は、本件商標とは明らかに社会通念上、相違するものである。

このことに関して、審判長は、「本件商標が商品に使用されていることについて、提出された商品陳列写真では商品の包装の全体像、また商標が明確ではないから、商品見本等を提出して下さい」旨の審尋書を発したところ、被請求人は商標が付された商品を提出した。

しかしながら、提出された商品は、煎薬であるが、それに付された商標は登録第2628243号商標に係るものであって、本件商標とは別異のものと認められる。そして、その後、本件商標が付された証拠の提出はない。

そうすると、本件審判の請求に対し、被請求人は、前記のとおり本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用しているとは認められないといわざるを得ない。

(3)むすび

したがって、本件商標は、その登録を商標法第50条の規定により取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。