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Trademark Appeal Case

機能表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35448(T2001−35448/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4436934号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4436934号商標(以下「本件商標」という。)は、「フリフリ背カン」の文字を横書きしてなり、平成11年11月30日に登録出願、第18類「かばん金具」を指定商品として、平成12年12月1日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人ら(以下「請求人」ともいう。)は、結論同旨の審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証(枝番を含む。)を提出している。

(1)請求の理由

(ア)本件商標は、本件商標の出願日以前から商品の機能・品質等表示として使用されてきた、いわゆる記述的商標であるにもかかわらず、誤って登録されたものである。

また、仮に本件商標が自他商品識別力を有するとした場合においても、本件商標は、請求人の一人である「株式会社セイバン」が本件商標の出願日以前から使用し、需要者の間に広く認識されていた商標と同一又は類似のものである。

よって、本件商標は商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第7号及び同第10号に該当し、商標法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。

(イ)請求人及び利害関係について

請求人「株式会社村瀬鞄行」「株式会社セイバン」「有限会社三栄鞄」「アジア鞄嚢株式会社」は、いずれもランドセルを製造・販売する企業であり、「ランドセル工業会」に属する企業である。

「ランドセル工業会」は、「社団法人日本かばん協会」内部の任意団体であり、「社団法人日本かばん協会」に属する企業のうち、ランドセルを製造・販売する企業が属する団体である(甲第2号証)。

そして、「フリフリ背カン」の文言は、本件商標の出願日(平成11年〈1999年〉11月30日)以前から、ランドセルに取り付けられる金具の機能(品質)を表示するために「ランドセル工業会」に属する多くの企業が使用してきたいわゆる記述的商標であり、被請求人自身も「ランドセル工業会」に属することからこの辺りの事情は承知していたものと推認される。

しかるに、被請求人は、「ランドセル工業会」は勿論、会に属する他の企業の承諾を得ることなく、単独で「フリフリ背カン」を出願し商標登録を受けたものであり、しかも、被請求人は本件商標の登録後、会に属する他の企業に「フリフリ背カン」の使用中止を促すような通知を送っている(甲第3号証及び甲第4号証)。

よって、これらの事情から判断すれば、商品の流通過程又は取引過程において取引者の誰もが使用する必要があり、また、一私人に独占させるべきでない「フリフリ背カン」の文言よりなる本件商標に対し、ランドセル工業会に属する各請求人が登録無効審判を請求することに関し利害関係を有していることは明らかである。

(ウ)商標法第3条第1項第3号について

本件商標「フリフリ背カン」の後部「背カン」は、従来は「背かん」(平仮名「かん」は旧字体の漢字で金偏に「丸」と書き表したもの。以下「かん(旧字)」と記す。)と表記されてきたものであり、「かん(旧字)(鐶)」はベルト等を通す輪状の金具の意である。

つまり、ランドセルの取引者にとって「背カン」とはランドセル本体と肩ベルトを繋ぐ輪状の金具以外のなにものでもなく、「フリフリ背カン(フリフリ背かん(旧字))」は、「左右自在にベルトの位置を調節できる背カン付き(のランドセル)」を表すものとして、業界において常用されてきた言葉である。

以下、甲第5号証〜甲第20号証に沿って「フリフリ背カン」が、商品の機能を説明するいわゆる記述的標章であることを証する。

(a)甲第5号証(株式会社三洋の1996年版カタログ)

「フリフリ背カン」の記載が「形状記憶加工」「ワンタッチロック」等の文言と同列に表記されている点からみても、該語がランドセル金具の機能(品質)説明の為の用語であることが理解される。

(b)甲第6号証(「千種杉の子会」の1998年版カタログ)

「背負う時、背カンが左右に動き最も肩に安定する位置に肩ベルトを自動調節。体格や冬の厚着等どんな時も無理なく背おえて負担がかかりません。」の文言は、「フリフリ背カン」の機能説明そのものである。

(c)甲第7号証(そごうのカタログ)

大手百貨店において販売される際にも、「フリフリ背カン」の語が「内バリチェック/背ヌキ加工」といった内装表示や加工方法と同列に表記されていることを示している。

(d)甲第8号証〜甲第10号証(クラリーノの1996〜1998版カタログ)

1996年度版・1997年度版(甲第8号証・甲第9号証)では「フリフリ背かん(旧字)」と表記されていたものが、1998年度版(甲第10号証)では「フリフリ背カン」と表記されており、両語が同意であることが理解される。

(e)甲第11号証・甲第12号証(サンリオランドセル1997・1998年版カタログ)

甲第5号証と同様、「凹型カット」「内装チェック柄」といった形状・内装表示と横並びで「フリフリ背カン」が記載されている。

(f)甲第13号証〜甲第16号証(株式会社富士 ランドセル1992〜1993年版各カタログ)

ランドセル一覧表の備考欄には明瞭に「フリフリ背カン付」「フリフリ背カン、上バカマ付」と表記されている。

これは該語が機種によって付加されたり、付加されなかったりする特定機能をもったランドセル金具の用語であることを示すものである。

(g)甲第17号証〜甲第20号証(雑誌の広告例)

各雑誌に掲載された請求人「株式会社セイバン」のランドセルの広告であり、「フリフリ背カン」がランドセル金具の機能(品質)表示として需要者にも知られていたことを示すものである。

以上、甲第5号証〜甲第20号証に照らし考察すれば、本件商標の出願日以前から、「フリフリ背カン」の語がランドセル金具(背カン)の機能、更にはその金具(背カン)が取り付けられたランドセルの機能(品質)を表示する、いわゆる記述的商標であることは明らかである。

よって、この語を一私人が独占することは、商品の流通・取引過程に混乱を生じさせる原因となり、競業秩序の維持という法目的にも反することは明らかである。

したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第7号に該当するものである。

(エ)請求人は上記主張の如く、本件商標「フリフリ背カン」は自他商品識別力を有しないと確信するものであるが、もし仮に「フリフリ背カン」に自他商品識別力が認められた場合においても、本件商標は無効理由を有すると確信している。

即ち、請求人「株式会社セイバン」は、ランドセルの製造・販売に関しては国内最大手企業であり、当該「フリフリ背カン(フリフリ背かん(旧字))」に関しては、昭和48年(1973年)以来、ランドセルのカタログ・タッグ等に継続して使用し続けてきたものである(甲第21号証)。

また、甲第17号証〜甲第20号証によっても明らかなとおり、各種の雑誌にも「フリフリ背カン(フリフリ背かん(旧字))」の文言と共にランドセルの広告を掲載してきている。

したがって、もし仮に「フリフリ背カン」に自他商品識別力が認められるとするならば、「フリフリ背カン」は「株式会社セイバン」のいわゆる未登録周知商標と解されるべきものであり、本件商標は「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」を出願・登録したものである。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。

(オ)上記各理由により、本件商標は商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第7号及び同第10号に該当するにもかかわらず、誤って登録されたものである。

よって、本件商標は商標法第46条第1項の無効理由を有するものである。

(2)答弁に対する弁駁

(ア)マルアールについて

甲第17号証〜甲第20号証の雑誌広告には確かに「マルアール」が付されているが、これは単に請求人の一人である株式会社セイバンの錯誤によるものである。

即ち、被請求人も主張しているとおり、株式会社セイバンは既に多数の登録商標を所有しているものであるが、管理ミスにより「フリフリ背カン」も自社で出願・登録済みと勘違いしていたものである。

もっとも、請求人の一人が錯誤により「マルアール」を付したことをもって甲第17号証〜甲第20号証が証明力に欠けるとするのは相当ではなく、「フリフリ背カン」の語が本件商標の出願日以前からランドセル金具又はその金具が取り付けられたランドセルの機能(品質)を表示する記述的商標として使用されていたことの証明としては問題ないと解される。

(イ)「メーカー」及び配布について

被請求人は、甲第5号証〜甲第20号証に記載されている製品の「メーカー」は全て異なるのか証明されておらず、甲第5号証〜甲第16号証は配布が行われたのか証明されていないと主張する。

しかし、甲第5号証〜甲第16号証のカタログは、卸売・小売の段階で各企業がメーカーとは無関係に作成するものであり、メーカー(即ち、ランドセルの仕入れ先)が何処であるかは、直接カタログの内容に影響するものではない。

また、甲第5号証〜甲第16号証のカタログは、取引者に配布されるいわゆる総合カタログではなく、ランドセルの購入を考えている需要者等を対象として、売り場などに自由に持ち帰れるように備え置かれる一般需要者向けのカタログであり、不特定多数の者がいつでも入手できる状態になっている。

さらに、取引界の実情を考慮すれば、この種のカタログが当該年(例えば甲第5号証は1996年)以後に売り場などに置かれることはない。

よって、甲第5号証〜甲第16号証のカタログは、一般需要者が自由に持ち帰れる状態で売り場などに備え置かれたときに、当該カタログに記載された年度或いはそれ以前に配布されたものと解するのが相当である。

(ウ)記述的商標とする主張と、周知商標とする主張について

被請求人は、請求人の主張は一貫性を有さず、記述的商標とする主張と周知商標とする主張は相容れないもので、双方を主張することはできないものと主張する。

しかし、請求書を子細に読めば明らかなとおり、請求人は「フリフリ背カン」は、あくまで記述的商標であり、取引者の誰もが使用する必要のある、一私人に独占させるべき言葉ではないと確信している。

即ち請求人は、本件商標は商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第7号に該当し、登録を無効とされるべき商標であると確信しているものである。

しかし、もし仮に「フリフリ背カン」が自他商品識別力を有する言葉であると判断されることがあるならば、被請求人が出願する以前から、未登録ではあっても業界において継続して使用されてきた商標を、被請求人に独占させるのは不合理ではないかと主張したのである。

請求人は、上記主張に矛盾はないと確信している。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)並びに資料1を提出している。

(1)答弁の理由

(ア)請求人適格について

請求人は、本件審判の請求人が、いずれもランドセルを製造・販売する企業であるから、本件審判を請求する利害関係を有していると主張している。

しかし、請求人の内、有限会社三栄鞄は、すでに被請求人に対して、配布したパンフレット(3000部)の在庫を廃棄し、今後は決して使用しない旨の回答をしている。また、当該請求人は、同パンフレットは、平成13年6月8日の中日本鞄工業組合の主催で開催した見本市用に作成したものであるとし、これ以外に「フリフリ背カン」の商標を使用していないと主張している(乙第1号証)。したがって、請求人において、その後何らかの、事情の変更があったことが説明されない限り、請求人適格を否定しないまでも、本審判請求の主張は誠意あるものと認めることはできない。そして、同社が請求人であることは、先の乙第1号証で確約した約束を一方的に反故することになり、請求人の各主張に大きな不信感を持たせることになるものである。

具体的には、甲第2号証に関してランドセル工業会が社団法人日本鞄協会内の任意団体であることを説明した上で、当該ランドセル工業会に属する多くの企業が「フリフリ背カン」を使用していたと、何の根拠もなしに一方的に決めつけ、そのことは被請求人も承知しているものと無茶な主張を行っている。ちなみに、請求人の内、有限会社三栄鞄は平成13年に使用を初めて予定してこれを中断したことは乙第1号証より明らかであり、株式会社セイバンを除く請求人が当該商標を使用したとの主張も証明も全く行われていない。

加えて、被請求人が「当該ランドセル工業会」に承諾を得ることが義務付けられるような心証を形成する記載を、「しかるに、被請求人は、『ランドセル工業会』は勿論、会に属する他の企業の承諾を得ることなく、単独で『フリフリ背カン』を出願し、商標登録を受けたものであり、しかも、...」と記載しているが、当該ランドセル工業会に属する多くの企業が「フリフリ背カン」を使用していた事実はないし、商標権取得に同会の承諾が必要との規約も提示されていないし、そのような規約の存在自体を被請求人は知らないので、これらの主張自体、無論、認められるものでなく、大きな不信感を抱かされるものである。

(イ)商標法第3条第1項第3号該当について

請求人は、本件商標「フリフリ背カン」は、「左右自在にベルトの位置を調整できる背環」を意味するものとして、業界において常用されてきた言葉であると主張している。

しかし、請求人は、上記主張とは別に、当該商標は請求人の一人の登録商標ないしは未登録周知商標であるとも主張しており、主張に一貫性を有していない。

すなわち、請求人が提出した、甲第17号証〜甲第20号証には「フリフリ背カン」の各表示の右下に登録商標であることを示す「マルアール」の表示(Registered Trademarkの慣用略号)を行っている。同各号証の広告主である請求人の一人、株式会社セイバンは、本件商標とは直接の関係はないが、登録商標権を62件も所有しており(乙第2号証)、「マルアール」の表示が単なるデザイン的なものでないことは充分承知のことと思われる。

そして、マルアールの記号を付して、登録商標であると主張するならば、無論、当該商標に自他商品の識別力を自ら認めたものであるのに他ならず、そのような事実があるにもかかわらず、本件審判請求では識別力なしと主張することは、禁反言の原則から断じて認容できるものでなく、不誠意な主張であるとする誹りを免れ得ないものである。

また、甲第5号証〜甲第20号証で、「フリフリ背カン」が商品の機能を説明するいわゆる記述的標章であることを証明するとしているが、この点に関しては、請求の理由の説明に混乱があるようである。すなわち、甲第5号証〜甲第20号証は、「左右自在にベルトの位置を調整できる背環を意味するものとして、業界において常用されてきた言葉である。」と記載されているように、「フリフリ背カン」が業界において常用されたことを証明するのか、あるいは、当該標章自体が記述的と主張するのかが必ずしも明確には判別できない。

そして、この甲第5号証〜甲第20号証は、請求人は発行者を特定し、あたかもその発行者が商品をそれぞれ製造したかのように主張しているように思えるが、はたして、発行者が請求人の主張どおりの者であるのか疑問である。具体的には、請求人が「そごう」又は「クラリーノ」のカタログと称するものは、百貨店のそごうが発行したのか、株式会社クラレが発行したカタログなのか定かではない。審判請求の理由の説明では、甲各号証の内多くのものは、その発行者の特定はできていない。

さらには、同各号証に記載されている製品の製造者すなわち「メーカー」は、全て異なる者であるのかは証明されていないし、甲第5号証〜甲第16号証は、その配布が行われたのかも証明できていないものであること明白で、甲第5号証〜甲第16号証は、不知であると答弁するしかない。

すると、甲第5号証〜甲第16号証では、「フリフリ背カン」が業界において常用されたとすることは挙証できていないことになる。

なお、請求人は、業界の複数人が「フリフリ背カン」を使用しているから、標章自体が記述的と主張しているとも思えるが、複数人がたまたま使用したとしても、標章自体が記述的と断定することはできない。標章自体が記述的なものであるという主張は、請求書の複数箇所で主張されているが、その理由は、前記複数人が使用しているからとするだけで、「フリフリ背カン」標章の、どの表現がどのように商品の性状を普通に示しているのかについては、一切言及されていない。

次に、請求書によると、甲第17号証〜甲第20号証は、雑誌であることから、「ランドセル金具の機能(品質)を表示するものとして需要者にも知られていた」と主張している。確かに、雑誌であることから、その発行の事実と発行日とは容易に推定できるものであるが、このことは、反面、甲第5号証〜甲第16号証が証明力に疑問があることとなるものである。そして、この甲第17号証〜甲第20号証で「フリフリ背カン」が機能(品質)表示として需要者に知られたと主張することは、前記したように、禁反言の原則からして到底認められるものではなく、同各号証からは、需要者又は取扱業者も、逆にマルアールの記載からして、請求人所有の登録商標であると認めたであろうとするのが通常の判断であると確信する。

(ウ)商標法第4条第1項第7号該当について

次に、「よって、この語を一私人が独占することは、商品の流通・取引過程に混乱を生じさせる原因となり、競業秩序の維持という法目的にも反することは明らかである。」と主張し、当該商標登録が公序良俗に反してなされたと主張するが、この主張は全く受け入れられないものである。

請求人(特に、株式会社セイバン)は、当該商標を自ら登録商標として所有しているもの、または、正当な商標登録の権利者からその使用の許諾を受けたものと誤認し、マルアールの表示で権利主張しておいて、被請求人の商標権が確立したからといって、我が国の法制度の先願主義を否定するため、敢えて、商標法第4条第1項第7号を持ち出したものであろうと思われ、請求人の主張の方が、法目的に反することは明らかである。

(エ)商標法第4条第1項第10号該当について

次に、請求人は、当該商標は請求人の一人、株式会社セイバンの未登録周知商標であるとも主張している。この主張は、次の二点でこれを認めることはできない。

第一の理由は、記述的商標とする主張と、周知商標とする主張とは、相容れない。両主張は、「フリフリ背カン」が、識別力を有しないとする主張と、識別力を有するとする主張とを同時に行っているもので、明らかに矛盾した主張である。

第二の理由として、僅か、雑誌に4回広告を記載したから周知となったとする主張を認めることは到底できない。まして、前記、第一の理由の例外として、識別力が使用によって生じたと主張するのなら、なおさらで、「フリフリ背カン」と言ったら、請求人の製品であると誤認する事実の証明もなしに、この主張を認めることはできない。

(オ)結論

以上の理由から、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第7号及び同第10号に違反するものではない。

(2)弁駁に対する答弁

(ア)先ず、マルアールを付したのは「錯誤」、「勘違い」と弁駁しているが、禁反言の原則が「錯誤」や「勘違い」で回避できるのなら、この原則は全く無視されてしまうもので、弁駁になっているとは思えない。一方では自分の登録商標と主張し、他方では品質を表示する記述的商標と主張する矛盾は、今回の弁駁書によっても、未だ疎明されていない。

また、弁駁書には、(「フリフリ背カン」も自社で出願・登録済みと勘違いしていたものである。)と、マルアールの表記が登録商標である旨の表記であることを認めており、(請求人の少なくも一人は)「フリフリ背カン」に自他商品の識別力があるものと認めていたことは争いのないことである。

(イ)次に、カタログ等の製造配布に関してであるが、誰が、何時、どれだけ制作して、どれだけ配布したのかが不明であるとの答弁に対して、少なくも誰が甲各号証を製造発行したかを明らかにしていない。すなわち、甲各号証の一部の刊行物を除いては発行者も特定されていないので、証拠能力がないと主張したのに、弁駁書にはその点に関する弁明がない。

請求人は、甲第5号証〜甲第20号証によって、当該商標が商標法第3条第1項第3号に該当することを証明したいようであるが、それならば、甲第5号証〜甲第16号証の発行者、発行部数が明示・証明されなければ、これら全てのカタログが、僅か一社(一人)で発行されたものであるかも知れず、無効審判の証拠としては無意味となるものである。

(ウ)次に、記述的商標とする主張と、周知商標とする主張とが矛盾するか否かであるが、「請求人は、『フリフリ背カン』はあくまでも記述的商標で...」として、先の請求書での周知商標との主張(商標法第4条第1項第10号に該当する旨の主張)は取り消したものと解釈される。してみると、請求書の証拠について、不特定多数の者が、当該商標を使用していたことを証明する必要性が必須となると思われ、甲各号証のカタログの製造者、発行者が誰であるかが大きな問題となると思うが、この点の証明はなされていない。

「フリフリ背カン」の表記より、直ちに何を想定(連想)するかは、千差万別で、商品の品質、性状等を普通に用いられる方法で表したものではないことは明らかである。「左右自在にベルトの位置を調節できる背カン付きの(ランドセル)」という機能を普通に用いられる方法で表すとしたら、まさに、このとおりに「左右自在にベルトの位置を調節できる背カン付きの(ランドセル)」と表現するか、「左右調節可能背環付き」とされるもので、「フリフリ」から直ちに「左右調節可能」をイメージすることは相当に無理のある主張である。「フリ」から「振り」が連想でき、「振り振り」と同じ言葉を重ねることで「振り」が強調される。ここまでは、連想が可能であるが、「振り」から「ベルト」しかもランドセルの背負帯が連想できるとする理論的根拠はなく、まして、このランドセルの背負帯がその位置を左右自在に調節可能なものであるとする「左右自在」「調節可能」を連想することは全くできないもので、請求人の主張は根拠がない。

4 当審の判断

(1)利害関係

本件審理に関し、当事者間に利害関係の有無について争いがあるので、先ず、この点について判断するに、請求人被請求人両当事者は、「社団法人日本かばん協会」の会員であってランドセルの製造、販売を業とする者で作る任意団体「ランドセル工業会」に属し、その事業内容において競業関係にある者と認められる。そして、請求人は、本件商標が自己の業務に係る商品と関連するその指定商品についていわゆる記述的商標にあたることを理由の一にして、その登録の無効を主張するものである。

そうであれば、請求人は、自らの業務を行う上で、商品の機能、品質等の特性を表す際に、本件商標を使用する必要性が生じないとはいえず、本件商標登録の有効無効は請求人の業務の遂行に直接影響を及ぼす関係にあるものと認められる。

したがって、請求人は、本件商標の存在によって、不利益を被るといわなければならないから、本件審判を請求するにつき、法律上の利益を有するものというべきである。

(2)本件商標の無効理由の当否

次に、本案に入って、請求人が主張する本件商標の無効理由の当否について判断する。

本件商標は、前記のとおり「フリフリ背カン」の文字を書してなるものである。

しかして、請求人の提出に係る証拠についてみるに、甲第5号証(ランドセルの1996年版カタログ)には、「フリフリ背カン」の文字が「仕様」の欄に「背凹型」「ロング紐」「形状記憶加工」「ワンタッチロック」等の文字と同列に、甲第6号証(ランドセルの1998年版カタログ)には、「フリフリ背カン」について「背負う時、背カンが左右に動き最も肩に安定する位置に肩ベルトを自動調節。体格や冬の厚着等どんな時も無理なく背おえて負担がかかりません。」と、甲第7号証(ランドセルのカタログ)(1998年10月発行)には、「フリフリ背カン」の文字が「内バリチェック/背ヌキ加工」の文字と同列に、甲第10号証(ランドセルの1998版カタログ)には、「『フリフリ背カン』で調節自由。『フリフリ背カン』機能付き!!」と、甲第11号証及び甲第12号証(ランドセルの1997・1998年版各カタログ)には、「フリフリ背カン」の文字が「形状記憶加工」「ワンタッチロック」「内装チェック柄」「凹型カット」等の文字と同列に、甲第15号証及び甲第16号証(ランドセルの1995ないし1997年版各カタログ)には、ランドセル一覧表の備考欄に「フリフリ背カン」「フリフリ背カン、上バカマ付」と、甲第17号証ないし甲第20号証(雑誌の広告例)には、「フリフリ背カン」についてその図と共に「ランドセルがもっとも安定する位置に肩ベルトを自動調節。高学年になられても、冬に厚着されても、無理なく背おえて負担がかかりません。」と、それぞれ記載されている事実が認められる。

そうとすると、請求人の提出に係る甲第5号証ないし甲第20号証を総合勘案すれば、ランドセルの製造、販売という比較的狭い業界において、株式会社三洋、社会福祉法人千種杉の子会、株式会社そごう、株式会社サンリオ及び株式会社富士の各カタログ並びに株式会社セイバンの雑誌広告等により、「フリフリ背カン」の文字(語)は、ランドセル本体と肩ベルトを繋ぐ輪状の金具であって、「左右自在に肩ベルトの位置を調節できる型式(種類)のランドセル金具(背カン)」を指すものとして、更には、ランドセルにその金具(背カン)が取り付けられており、肩ベルトが自動調節できるものであるとの機能(品質)を表すものとして普通に使用されている事実が認められる。

被請求人は、甲第5号証ないし甲第20号証について、その発行者の特定はできていないこと及び甲第5号証ないし甲第16号証について、その配布が行われたのかも証明できていないとして、本件商標「フリフリ背カン」が業界において常用された事実は立証されていない旨主張する。

確かに、被請求人指摘の甲号証の中には、発行者が明らかでないもの(甲第8号証ないし甲第10号証)も存するが、多くはその表紙、裏表紙、奥付等の記載事項から発行者の特定は可能であって、具体的には上記各会社の発行に係るものであることが認められるのであり、更にいえば、もとより発行者が明らかでないものについても、その一事をとりあげて立証の全趣旨を否定することはできないというべきである。また、甲第5号証ないし甲第16号証のカタログも当該年及びその前年に配布されたであろうことはこの種商品(入学準備用品)のカタログの性格上十分認め得るところである。そして、これらのカタログや雑誌広告からは、「フリフリ背カン」の文字について、製造業者、販売業者を問わず、当該金具に等しく使用され、その使用の態様も上記認定のとおりに判断し得るのであって、これが特定人の商標として一般に認識されているというような特別の事情でもあればともかく、そのような事情があるとは認められない以上、この点に関する被請求人の主張は採用の限りでない。

してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、その商品の種類、品質を表示するというべきであって、自他商品の識別標識としての機能を有するとはいえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第10号に該当するか否かについて検討するまでもなく、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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