sokuhyo

Trademark Appeal Case

著名商標の不正登録

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35260(T2001−35260/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3325455号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3325455号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成7年3月16日に登録出願され、「Acupuncture」の欧文字を横書きしてなり、第18類「かばん類,袋物,傘」を指定商品として、同9年6月20日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第9号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第19号について

(ア)請求人と被請求人との関係について

被請求人は、請求人との間で、1995年3月頃、日本における輸入販売の代理店になるべく交渉を開始した。そして、甲第2号証の第11項に記載してあるように、被請求人は、請求人が創設した会社の日本における代理店であった。

(イ)請求人が使用する商標の著名性について

甲第4号証に示すとおり、請求人は、本件商標と同じ「ACUPUNCTURE」の文字からなる商標(以下、「引用商標」という。)を多数の国で権利化していることで、引用商標の著名性を証明する。

例えば、英国では第1587627号で、日本では第3369944号で、豪州では第785778号で、中国では第1411289号で、コミュニティトレードマークでは第00182577号で、香港では第12599/2000号で、インドネシアでは第389537号で、ノルウェーでは第199731号で、スイスでは第462533号で、米国では第2180587号で、チリでは第558927号で、ヴェトナムでは第34406号で登録されており、マレーシア(出願番号96/07940)、アルゼンチン(2205256)、ブラジル(821474537)、カナダ(1003094)、クロアチア(Z20000838A)、イスラエル(139153)、メキシコ(380600)、フィリピン(4−1999−04146)、シンガポール(3931/96)、南アフリカ(2000/010587)、韓国(2000−25209)、タイ(417135)等の国で商標登録出願中である。なお、甲第4号証の名義人は、多くは、バーブストーンリミテッドで商標登録出願されているが、これは請求人が創設した会社である。この点については、甲第2号証の第4項に記載されている。

甲第5号証では、引用商標がブランドとして著名であることを証明する。渋谷や原宿等にあるシューズバーは、世界の有名な靴の販売店であるが、引用商標がナイキやプーマ等と並んで掲載されており、このことは、引用商標が著名な靴であることを証明している。また、本件商標登録出願時から引用商標が有名であることを証明する手段として、英国における1992年8月号及び1993年7月号の刊行物のコピーを添付する(甲第6号証)。これらは、英国で発行されている「アイディー」というファッションや音楽の総合雑誌である。また、実際にこの商品の形をイメージしやすいように、カタログを添付する(甲第7号証)。

(ウ)不正の目的について

被請求人は、請求人との交渉時に、全てのAcupunctureに関する商標や意匠等の知的所有権がAcupunctureカンパニー(請求人が1994年に創設した会社)の独占権であることを確認していながら(甲第3号証)、黙って商標登録出願している。甲第3号証には、請求人と被請求人の署名が、コピーではあるが、明記されている。

なお、甲第3号証は、商標登録出願人ヤマトインターナショナル株式会社の出願に対して、平成8年11月7日に、被請求人が異議申立てをした際に、被請求人自らが提出した証拠をコピーしたものであるから、被請求人は、当該商標に関する権利が自己にないことを認識しているはずである。

以上により、本件商標登録は、商標法第4条1項19号に該当しており、無効となるものである。

(2)商標法第4条第1項第7号について

被請求人は、ノグチヒコ有限会社を経営しており、1995年から1997年まで、ACUPUNCTURE製品の日本における販売代理店であった。

この点を証明する証拠として、当時の取引書類を添付する(甲第8号証)。

被請求人は、請求人との代理店契約の交渉を開始した時に、請求人の許可なく、1995年3月16日に商標登録出願をした。商願平07−026307号は、請求人らの登録商標第3369944号を理由に拒絶された。しかし、同日付けで、商標登録出願された本件は、被請求人が第18類で商標登録出願していなかったので、登録された(甲第1号証参照)。

そこで、この事実を平成12年1月頃知ったので、無償で移転するよう代理人弁理士へ内容証明付郵便を送ったが、何の返事もない(甲第9号証)。このような不誠実な対応は、国際取引において、信頼を失うものである。

よって、本件商標登録は無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べている。

(1)商標法4条第1項第19号について

(ア)本件商標の出願は、平成7年3月16日であり、登録査定は、平成9年3月16日である。現商標法第4条第1項第19号は、平成9年4月1日より施行されており、本権利が当該条項に違反して登録されることはありえない。

(イ)著名性について

請求人らの提出した証拠によると、本件商標の出願日以前に係る証拠は、僅かに25類について英国で商標登録された証拠のみである。この状況ではとても著名商標とはいい難い。日本での状況も証拠として挙げているが、日本での商標権(登録第3369944号)は、平成6年12月1日の商標出願に基づくものであって、出願人はヤマトインターナショナル株式会社となっており、出願人との関係は不明瞭であるばかりか、未だ登録に至っていない時期に、本件商標は出願されており、しかも、この権利も指定商品は25類である。提出された各国の商標出願の状況から考慮して、請求人が25類以外の商品に関心を向け始めたのは、平成11年以降であるといえる。

請求人は、本件の出願以前の英国での広告をもとに本件商標が著名である旨主張しているが、本件商標の出願日以前の宣伝広告は、2件のみであって、この点からも本件商標の出願当時に著名であったとはいえない。しかも、提示された広告中に、18類「かばん」に関するものは皆無であるので、当該18類に関しての周知性も認められない。

(2)商標法第4条第1項第7号について

全く無名の商標について、しかも、本国での登録指定商品とは異なる(勿論使用商品とも異なる)商品について出願しても、国際信義に反することにはならない。

請求人は、本件商標を無償で譲渡するように要求する内容証明を被請求人に提示している。商標出願をして権利を獲得するまでには相当の費用が必要である点を考慮すると、「無償で譲れ」という主張こそ国際信義に反しているといえる。

ちなみに、被請求人は、商標権を取得するのに必要な程度の適正な価格であれば、請求人に譲渡してもかまわないと考えているが、「無償で譲れ」との主張には返事をしかねた経緯がある。

なお、平成13年8月3日付の内容証明にて、請求人に対して譲る意思のあることを通知した。

4 当審の判断

本件商標は、前記1のとおりの構成よりなるものであるところ、請求人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号にも該当する旨主張しているので、この点について判断する。

(1)請求人の提出に係る甲第2号証(請求人であるフィリップ デルモット ビュエノ デ メスクィータの宣誓書及びその訳文)には、要旨次の如く述べられている。

請求人は、1993年頃、ロンドンのソーホーにて、衣類及びアクセサリーを販売する店を開店、1994年に、Louisa Bryan及びNikos Nicholaouとの共同経営に参加、「ACUPUNCTURE」の名称の下、靴及び衣類の販売を開始した。我々の現在の商号は、Acupuncture Footwearである。1994年10月11日、商標「ACUPUNCTURE」について、国際分類第25類を指定してイギリス国商標出願を行い、第1587627号として登録された。1995年、請求人と上記2者は、Vervestone Limitedを設立した。1996年3月20日、請求人は、イギリス国登録商標第1587627号をVervestone Limitedに譲渡、その後、世界各国でVervestone Limitedによってなされた「ACUPUNCTURE」についての出願・登録は、Triple Juicy Limitedに譲渡された。Triple Juicy Limitedは、Vervestone Limitedと同じ取締役を擁している。

商標「ACUPUNCTURE」を付した製品は、英国及びその他の多くのヨーロッパ諸国、日本、米国、オーストラリア、南アフリカ、ブラジル及び香港を含む世界各国で販売されている。

ACUPUNCTURE製品、特に衣類の日本における1993年から1995年の総取引高は、約4万5千ドルである。ノグチブラザーズが、特に靴について、我々の販売代理店として活動していた1995年から1997年の総取引高は、約120万ドルである。

我々は、1994年、ヤマトインターナショナルと呼ばれる会社を日本の販売代理店及び使用権者とするつもりで話し合いをもったが、ヤマトと取引を行わないことを決定した。ヤマトが日本において商標「ACUPUNCTURE」の出願をしていたことを発見したためである。我々は、当該出願(公告番号平08ー102436号)に対して異議申立てを行った。その出願は、その後Vervestone Limitedに譲渡され、異議申立ては取り下げられた。当該商標は、登録番号第3369944号として登録された。異議申立ては、「ACUPUNCTURE」製品の日本における販売代理店であることに基づいて、ノグチカズヒコによってもなされた。

ノグチカズヒコ及びノグチタカヒロは兄弟であり、大阪に居住し、業務を行っており、彼らは、タカヒロ商会及びノグチヒコ有限会社と呼ばれる事業を営んでいた。彼らは、ACUPUNCTURE製品について、1995年から1997年の初めまで、日本における販売代理店であった。その間、ACUPUNCTURE商標の靴約4万足が彼らの販売のために送られた。

1995年3月29日付のAcupuncture Companyとノグチヒコ有限会社及びMarley of London Designs Ltd.との間の契約書には「ノグチヒコ及びMarleyは、ロゴ・ラベル・ブランド・商標又はデザインによって定められるAcupunctureの名称における全ての知的所有権がAcupuncture Companyの独占権であることに同意する。」と述べられている。ノグチカズヒコは、契約にむけて我々との交渉を開始した後、我々の許可なく、1995年3月16日に第25類における「ACUPUNCTURE」の登録出願(平成7年商標登録願第26307号)をした。当該出願は、第25類の我々の先登録第3369944号を理由として拒絶された。

Marley of London Designs Limitedは、かってACUPUNCTUREブランド製品に関わっていたVervestone Limitedのイギリス国の販売代理店として活動していた会社である。

Vervestone Limited及びTriple Juicy Limitedは、世界中における「ACUPUNCTURE」商標の正当な所有者である。

(2)また、甲第4号証(登録・出願状況を示すリスト)によれば、請求人らは、引用商標を英国、米国、中国、豪州、スイスをはじめ多数の国において登録を受けており、又、商標登録出願中であること、甲第5号証(インターネットのホームページ)によれば、渋谷や原宿等にある靴の販売店であるシューズバー(Shose BAR)のホームページには、引用商標が付された靴が世界の有名な靴であるナイキやプーマ等の靴と並んで掲載されていること、甲第6号証(英国の雑誌「i−D」1992年8月号及び1993年7月号)には「Acupunctureは、夏用のとびきりファンキーな新しい街着一式です。・・デニムのジャケット、ジーンズ、帽子、ロゴ入りT−シャツの品揃え。・・デニム製の財布と茶色、白、赤でまとめたツーピースの革製腕バンドもあり。・・」との記載がされていること、甲第7号証(商品カタログ)によれば、「acupuncture」あるいは「ACUPUNCTURE」の文字からなる商標が靴に使用されている状態が示されていること、甲第8号証(インボイス)によれば、1995年6月27日付でマーレイ オブ ロンドン デザイン LTDからノグチヒコLTD宛てに、靴66ケースが送られていたことを認めることができる。

更に、甲第3号証(同意書)は、前出甲第2号証中にも言及されているとおり、1995年3月29日付のアキュパンクチュアーカンパニーとマーレイ オブ ロンドン デザイン LTD(Vervestone Limitedのイギリス国の販売代理店として活動していた会社)及び野口彦有限会社の3社間の同意書であるが、この同意書には、「野口彦及びマーレイは、ロゴ、ラベル、ブランド、トレードマークやデザインに明示されているようなアキュパンクチュアーの名のあるすべての知的所有権などがアキュパンクチュアーカンパニーが独占所有することに同意する。」と記載されており、アキュパンクチュアーカンパニーの欄には請求人の署名がなされており、又、野口彦有限会社の欄には被請求人の署名がなされていることを認めることができる。そして、この甲第3号証は、請求人の宣誓書(甲第2号証)によれば、ヤマトインターナショナル株式会社の「acupuncture」に係る商標登録出願に対して、被請求人が平成8年11月7日に登録異議の申立てをした際に、被請求人自らが提出した証拠をコピーしたものである。

(3)被請求人は、上記甲各号証の成立及びその事実関係について、引用商標の著名性及び引用商標の「かばん」等についての使用を否定する外は何ら反論していない。

そこで、上記甲各号証を総合してみると、請求人らは、本件商標の出願前から、引用商標を「靴及び衣類」等の商品について使用し、相当数の諸外国において販売していたことが認められ、我が国においても、1993年から1995年における衣類の総取引高は約4万5千ドル、ノグチブラザーズが、特に靴について販売代理店として活動していた1995年から1997年における総取引高は、約120万ドルに達していたことが推認される。また、請求人らは、引用商標を請求人らの本国である英国において、本件商標の出願前である1994年10月11日に出願しており(効力の発生日でもある)、その後、米国をはじめ多数の国において商標登録を受け、あるいは商標登録出願中であることを認めることができる。

そして、甲第3号証(同意書)によれば、被請求人は、1995年3月29日付で、請求人らとフットウェアーについての日本市場における独占販売契約を結んでおり、「Acupuncture」の名のある全ての知的所有権がアキュパンクチュアーカンパニーが独占所有するものであることに同意していたことが認められる。

(4)しかして、本件商標は、引用商標と同一綴りの欧文字からなるものであり、「Acupuncture」の語は「針療治、鍼術」の意味を有する成語ではあるが、一般に馴染みのある英語ではなく、上記のような状況に照らしてみれば、偶然に一致したものとは認め難いところである。また、その指定商品についても、本件商標の指定商品は、請求人らの業務に係る「靴、衣類」等と同一の商品を指定商品とするものではないが、トータルファッションの関連からみれば、互いに密接な関係を有する商品といえるものである。

加えて、被請求人は、本件商標の出願と同時に、本件商標と同一の構成からなる商標を請求人らの業務に係る商品と同一の商品である第25類「被服,履物,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く)」を指定商品として出願(平成7年商標登録願第26307号)している事実がある(該出願は、請求人らの所有に係る登録第3369944号商標の存在を理由として拒絶されている)。

そうとすれば、本件商標の出願前には、被請求人と請求人らとの間で代理店契約が成立していなかったとしても、被請求人は、請求人らとの代理店交渉の過程で知り得た情報をもとに、本件商標が請求人らの業務に係る商標と同一の構成からなる商標であることを承知のうえ、請求人らに無断で、請求人らの業務に係る商品と関連を有する商品を指定商品として、本件商標の商標登録出願をし、その登録を受けたものといわざるを得ない。

してみれば、被請求人のかかる行為によって登録された本件商標は、国際商道徳に反するものであって、公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、国際信義に反し、公の秩序を害するものといわなければならない。

(5)むすび

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものと判断するのが相当であるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。