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Trademark Appeal Case

周知図形商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35323(T2000−35323/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3370807号商標(以下「本件商標」という。)は、別記(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成5年11月30日登録出願、第42類「空缶・空瓶の収集及び処分その他の一般廃棄物の収集及び処分,産業廃棄物の収集及び処分」を指定役務として平成10年11月20日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第10号証を提出している。

本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第15号に該当するから、同法第46条第1項の規定により、登録を無効とすべきである。

1 商標法第4条第1項第7号の理由

請求人は、ドイツ国ケルン市に主たる営業所を有し、557の出資会社を擁する共同出資企業体として1990年9月28日に設立され、アルミニウム、ガラス、プラスチック、紙、段ボール、ブリキ製品等のりサイクルをその主たる業務とし、企業体のシンボルとして使用する別記(2)に表示したとおりの構成よりなるマーク(以下「引用商標」という。)は、リサイクルを標榜するものとして今やグローバルに著名な存在となっている。

このため、請求人は、シンボルマークである引用商標をグローバルにかつ可及的に多くの商品と役務について保護する必要があることから、日本国を含む多数の国に、かつ多数の商品と役務を指定して商標登録出願を行い、既に多くの登録を受けている。

また、台湾において、地元企業が商品「紙類」について引用商標の商標登録を受けたことに対して、請求人が登録無効審判請求を行ったところ、請求人の引用商標は提出された資料から世界的に周知なものと認定することができ、したがって、登録は無効であるとの審決がされた事実も存在する。

さらにまた、請求人の業務に対する関心が多数の日本企業から寄せられている。

本件商標の構成は、文字と図形との組み合わせからなるが、「私たちは、リサイクルを推進します」の文字は、単なる日常言語の使用にすぎず、商標の主要な構成要素とはなり得ないものである。したがって、本件商標の主要部は図形の部分といえるが、この図形部分についてみると、湾曲させた2つの矢帯を互いに対向して円形に絡み合わせたものとなっており、本件商標と引用商標とは、主要部である湾曲させた2つの矢帯を互いに対向して円形に絡み合わせる図形構成において合致し、外観上極めて類似するものである。しかも、商標の使用対象役務は第42類「空缶・空瓶の収集及び処分その他の一般廃棄物の収集及び処分,産業廃棄物の収集及び処分」というリサイクルに関するサービスとなっている。とりわけ、引用商標が市場において周知著名な存在となっている場合、一見して紛らわしい商標は類似性を強く印象づける。

つまり、本件商標は、引用商標と事実上同一視される程の近似関係にあり、その指定役務もリサイクルに関するものであるから世界的に著名な商標と類似する商標の登録は商標法の秩序を破壊することになり、したがって商標法第4条第1項第7号の規定に該当する。

2 商標法第4条第1項第10号の理由

先に述べたとおり、引用商標は、多くの商標登録例を含めて、リサイクルに関連する商品及び役務につき日本国及び世界各国において周知であり、外国において周知の商標は、日本においてもよく知られているとみて差し支えないから、本件商標は請求人の使用に係る周知商標に類似し、商標法第4条第1項第10号にも該当する。

3 商標法第4条第1項第15号の理由

本件商標は、その指定役務との関係において、先の1で述べたとおり請求人の周知著名商標に類似することにより、請求人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがある商標ということになり、したがって、商標法第4条第1項第15号の規定に該当する。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求に対して何ら答弁するところがない。

第4 当審の判断

1 本件商標は、別記(1)に示すとおりの構成からなるところ、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標を指定商品について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものでなく、さらに、他の法律によってその使用が禁止されているものとすべき事実は認められない。

また、後記のとおり、本件商標と引用商標とは、別異の商標と認識されるものであるから、引用商標との関係を考慮しても、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれはないといわなければならない。

2 本件商標は、別記(1)に示したとおり、文字と図形よりなるものであって、図形部分のみでも独立して自他商品の識別標識となり得るといえるものである。そして、図形部分は、2本の矢印を円状に組み合わせた図形よりなるものであって、左部から下方部を構成する白抜きの矢印と、右部から上方部を構成する黒塗りの矢印の両矢柄部を、鋭利な末端部になるよう円弧を描いて徐々に細く表した図形である。

これに対し、引用商標は、別記(2)に示したとおり、円の上部から右部に至る黒塗りの矢印と、下方部から左部に至る白抜きの矢印を組み合わせて、円内いっぱいに2本の矢印を表した構図よりなる円図形である。

これら両図形を対比すると、本件商標の図形は、矢柄部によって構成された円から鏃部の一部が左右に突出した円弧状の2本の矢印よりなると認識されるのに対し、引用商標の図形は、黒塗りの矢印を除いた部分が白塗りの矢印となる陰陽の関係で表された2本の矢印よりなる円図形と認識されるものである。また、矢印の矢柄部が、本件商標のそれは末端部に向かって円弧を描いて細くなっているのに対し、引用商標のそれは他方の鏃によって矢柄の一部が鏃の形に変形されており、矢柄部において顕著な差異を有するものである。

以上に加え、近時、リサイクルに関連する商品又は役務であることを端的に表す図形として、矢印を組み合わせた種々の図形が用いられている実情も見受けられるところである。

そうすると、両図形の上記差異をもってすれば、両図形が看者に与える印象は自ずと異なったものとなり、離隔的に観察しても見誤るおそれはないものといわざるを得ないから、本件商標は、引用商標と称呼、観念においてはもとより、外観においても類似するものではないと判断するのが相当である。

3 そして、請求人の提出に係る証拠では、引用商標を付した商品又は役務に関するわが国における使用実績、広告、宣伝実績、販売実績などが明らかでないから、引用商標は、本件商標の登録出願の時に、わが国において、取引者、需要者の間に広く認識されていたとまでは認め難いものである。

してみれば、本件商標をその指定役務について使用した場合、これから直ちに引用商標を連想、想起させるものとは判断し得ないから、本件商標は、請求人又は同人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれはないといわなければならない。

4 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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