結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2000−31056(T2000−31056/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第3086589号商標(以下「本件商標」という。)は、商標の構成を後掲(1)に示すとおりの構成よりなり、指定商品を第22類「天幕,登山用又はキャンプ用テント」として、平成4年4月13日に登録出願、平成7年10月31日に商標権の設定の登録がされたものである。
なお、本商標権取消し審判請求の予告登録は、平成12年10月4日にされている。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法としてとして甲第1号証ないし甲第9号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品につき使用されていない。
なお、請求人は、平成12年8月28日、本件商標と同一の後掲(2)に示す商標及び指定商品につき商願2000−94242号として商標出願をして本件の審判請求の申立につき法的利益を有している。
(2)弁駁の理由
被請求人によって提出された乙各号証によっては、本件商標の使用は証明されていないから、本件商標登録は取り消されるべきである。
(ア)被請求人の登記簿謄本(甲第2号証の1)を見ると、「和光観光株式会社」は、平成10年1月16日付で「ワコートレーディング株式会社」と商号が変更され、本店所在地についても平成9年11月1日及び平成10年1月16日の2度にわたり移転されている。にもかかわらず、被請求人は答弁書において、自らの名称を「和光観光株式会社」とし、住所についても平成9年11月1日以前のものを記載しており、きわめて不自然である。
また、被請求人は、平成12年3月31日株主総会において解散決議をした(甲第2号証の2)。さらにいえば、甲第2号証の1に登記されている被請求人の本店所在地「東京都杉並区高円寺南4丁目30番1号」には、被請求人の営業所ないし事務所は一切存在しない。
(イ)乙第1号証は、平成10年11月発行のものではない。すなわち、請求人の商号は平成10年1月16日に「ワコートレーディング株式会社」に変更されているから、平成10年11月発行の本カタログ等に「和光観光株式会社」という商号が付されているはずはない。また、被請求人は平成9年11月1日及び平成10年1月16日の2度、本店所在地の変更を行っているが、本カタログ等記載の住所は、平成9年11月1日の移転以前の住所であり、平成10年11月発行のカタログでこの旧住所を表示するということもあり得ない。さらにいえば、本カタログ等に記載された被請求人の住所の郵便番号は5桁であり、平成10年2月2日から郵便番号が7桁に変わったことを考慮すると、本カタログは平成10年11月発行のものとは考えられない。さらに、被請求人の電話番号の市外局番は「0484」となっているが、埼玉県和光市の市外局番は平成4年7月19日以降は「048」と変更されており、それから 6年以上たった平成10年11月発行のカタログで古い市外局番が表示されるということもあり得ない。
また、単にカタログ等が存在したという事実のみでは、商標の使用は証明されない。
(ウ)乙第2号証においても乙第1号証の場合と同様、本件商標の使用は証明されていない。すなわち、乙第2号証も本件商標とは異なる商標が付されているものであるから、本件商標の使用を証明するものではない。
また、乙第2号証の封筒が平成10年11月から使用されているとすれば、商号「ワコートレーディング株式会社」でなければならず、「和光観光株式会社」の商号が表示されるはずはない。さらにいえば、乙第1号証のカタログ等においては電話番号の市外局番が変更前のものであるのに対し、乙第2号証の封筒においては、変更後の市外局番が印刷されている。被請求人の答弁によれば、同時期に同じ印刷会社で印刷され、発行されたとされる本カタログ等と封筒において、このような差異が生じることはあり得ない。
(エ)乙第3号証は、株式会社リサイクリングシステムズが販売したとされるテントの納品書の写し(以下「本納品書」という。)であるが、被請求人は「平成12年6月10日と同年8月7日に本件商標を付したテントを顧客に納品した販売実績がある」旨答弁している。
しかし、商標の使用に当たる取引書類の展示又は頒布は標章を付したものであることを要するから(商標法第2条3項7号)本納品書のように、何ら商標の付されていないものを使用しても商標の使用にはあたらない。
また、株式会社日本リサイクリングシステムズが被請求人から本件商標の通常使用権を許諾されたことを示す証拠はない。
しかも、本納品書の日付は、被請求人の解散決議(平成12年3月31日)より後の日付のものである。
さらに、上の納品書では、消費税率や消費税額の欄が不自然になんども訂正され、下の納品書では、文字の太さが日付、宛名、品名及び数量と、単価、金額、税率、合計等との間で突然変わっており、そのうえ「8月6日倉庫渡し分」の文字も別の字体で後から取ってつけたように書かれ、品名を一切特定できないことを含め、本納品書は、納入品の種類及び金額等を確認し、証明するものとしては不十分である。
また、本納品書が本当に実際の取引において使われたものであるかは非常に疑わしく、本件商標の指定商品について取引実績がある旨の被請求人の主張は、到底信じ難い。
(オ)ところで、本納品書の宛名の一つである御宿ゴルフ倶楽部と被請求人では、本社及び営業所ともに同一の場所に存在した会社であり、代表取締役も同一人の会社である(甲第2号証の3)。そして、株式会社日本リサイクリング、システムズの本店所在地は、被請求人の本店所在地と同一である(甲第2号証の4、ただし、現在存在しているのかは不明)。以上からすれば、これらの会社は、本納品書のようなものは後からいくらでも作成することが可能な関係にあったものと考えられる。したがって、本納品書の取引書類としての証拠能力は極めて低く、また、もう一つの納品書の宛名であるティーエム・エスも、その存在すら不明な会社であり、納品書の成立についても疑わしいといわざるを得ない。
(カ)乙第4号証については、乙第1号証及び乙第2号証と同様に、乙第4号証の在庫品には本件商標とは異なる商標が用いられており、本件商標の使用とはいえない。
また、乙第4号証(1)(2)の写真には、撮影者の氏名、撮影年月日等の記載がなく、本写真から判ることは、単に過去のある時点で、いずれかの場所に請求人製品が存在したということにすぎない。したがって、本写真が平成13年1月17日(これは、被請求人の解散決議の日から10ヶ月近く経過した日である。)に撮影されたことは証明されず、その時点で在庫が存在したという事実も証明されないのであるから、乙第4号証には、証拠としての価値はないものといわざるを得ない。
(キ)そもそも、乙第1号証、乙第2号証及び乙第4号証の乙各号証に付されている後掲(3)に示す商標は、被請求人の有する本件商標ではなく、請求人が米国において有する請求人商標であって、本件商標と全く同一のものが2重の円の上に重ねて描かれ、その2つの円周の間のうち、「E−ZUP」の文字の上側部分に 「World’s Fastest Shelters」の文字、下側に「ORIGINAL SHADE」の文字を配して、全体に30度程度左に傾いて右上がりになっている商標である。したがって、本件商標と請求人商標はその要部において同一であるものの、円及び欧文字が描かれ、角度も左に傾いて右上がりになっているため、全体の印象としては、本件商標と全く異なるものとなっているから、本件商標と請求人の有する商標とは社会通念上同一とはいえない。
さらに、前記のように被請求人が提出した乙各号証の商標は、請求人商標そのものである。商標は自他商品の識別をその本質的機能とするものであるから、万一仮に、被請求人が、請求人商標の付された請求人製品を契約に基づいて請求人から購入し、契約終了後その在庫を販売したとしても、それはあくまで請求人商標の使用であって、自他商品の識別のために自己(被請求人)の商標を使用しているとは言えない。
(ク)以上ように、被請求人によって提出された乙各号証によっては、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたことは証明されていないから、本件商標の登録は取り消されるべきである。
本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。
(1)答弁の理由
本件商標は、指定商品「天幕(テント)」について本件審判の請求前から被請求人により使用されているので、商標法第50条第1項に規定する要件を満たすものではないから、その使用の事実を次に立証する。
(ア)被請求人は、東京都新宿区三栄町19大久保ビル3階に所在していた印刷所「ヴルームカンパニー」に印刷させ、少なくとも本件審判の請求日である平成12年9月6日より以前の平成10年11月に発行した製品カタログ(乙第1号証)に本件商標を付した「テント」を掲載している。
(イ)被請求人は、東京都新宿区三栄町19大久保ビル3階に所在していた印刷所「ヴルームカンパニー」に印刷させ、少なくとも本件審判の請求日である平成12年9月6日より以前の平成10年11月から使用している社名入り封筒(乙第2号証)に本件商標を付した「テント」の広告写真を印刷して宣伝している。
(ウ)被請求人により許諾された通常使用権者である株式会社日本リサイクリングシステムズは、少なくとも本件審判の請求日である平成12年9月6日より以前の平成12年6月10日と同年8月7日とに本件商標を付したテントを顧客に納品した販売実績がある(乙第3号証)。
(エ)被請求人は、少なくとも本件審判の請求日である平成12年9月6日より以前から本件商標を付した多数のテントを商品在庫として保有しており、乙第4号証は、平成13年1月17日時点(撮影日)における在庫状況を示す写真である。
(オ)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に指定商品「天幕(テント)」に使用され、商標法第50条第1項に規定する要件を満たすものではないと考える。
被請求人は、請求人の弁駁に対し、何等答弁するところがない。
被請求人は、本件商標をその指定商品中の「天幕(テント)」について、本件取消審判の請求前3年以内に使用していた旨述べ、その使用の事実を立証するものとして乙第1号証ないし乙第4号証を提出している。
これに対し、請求人は、乙第1号証、乙第2号証及び乙第4号証には、本件商標とは異なる商標が用いられており、本件商標の使用とはいえない。また、乙各号証からは、本件指定商品についての取引実績があるとの被請求人の主張は信じ難い旨述べている。
そこで、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第4号証によって、本件商標をその指定商品について本件審判請求の予告登録前3年以内に使用していることを立証し得たものであるかについて判断する。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について被請求人は、東京都新宿区在の印刷所に印刷させたものであって、乙第1号証は「テント」の製品カタログとして平成10年11月に発行し、乙第2号証は社名入り封筒に「テント」の広告写真を印刷して平成10年11月から使用している旨述べている。
しかして、請求人の提出に係る被請求人(商標権者)の閉鎖登記簿謄本(甲第2号証の1)によれば、被請求人「和光観光株式会社」は、平成10年1月16日付で「ワコートレーディング株式会社」と商号が変更され、本店所在地についても平成9年11月1日及び平成10年1月16日の2度にわたり移転されていることを認め得るものである。
してみると、当該「テント」の製品カタログ(乙第1号証)及び社名入り封筒(乙第2号証)には、「和光観光株式会社」及び「埼玉県和光市南1−27−75」の表示がされているものであって、当該登記簿謄本の登記事項に照らしてみれば、商号の変更から10ヶ月程経過した平成10年11月に発行ないしは使用に供されていたものとは俄に認め難く、さらに、被請求人の電話番号の市外局番は「0484」となっているが、埼玉県和光市の市外局番は平成4年7月19日以降は「048」と変更されており、それから 6年以上たった平成10年11月発行のカタログで古い市外局番が表示されるということもあり得ないと指摘する請求人の主張をも参酌すれば、
乙第1号証及び乙第2号証は、たとい、本件商標と社会通念上同一性を有する商標をその指定商品「天幕(テント)」について使用するものとしても、本件審判請求の予告登録(平成12年10月4日)前3年以内に使用されていたとの点は不明というほかなく、商標権者(被請求人)によって、その期間内に当該製品カタログを発行し頒布されていたということはできず、また、広告写真を印刷した社名入り封筒によっても使用していたと認め得ることはできない。
(2)乙第3号証は、被請求人により許諾された通常使用権者であるとする「株式会社日本リサイクリングシステムズ」の作成に係る平成12年6月10日及び平成12年8月7日付の納品書(控)であって、平成12年6月10日付の納品書(控)には、その品名欄に「イージーUP 10×10(赤)」、平成12年8月7日付の納品書(控)には、同じく「イージーアップテント8×8、10×10、10×15、10×20」の記載が認められるところである。
しかしながら、通常使用権者とする「株式会社日本リサイクリングシステムズ」の使用をもって、本件商標の登録の取り消しを免れるものであるとするならば、通常使用権者が自らその請求に係る商品のいずれかについての本件商標の使用をしていることを被請求人が証明しなければならないところ、通常使用権者による商標の使用の事実を裏付けるに足りる資料(たとえば、通常使用権者による新聞、雑誌への掲載及び製品カタログの頒布での広告、宣伝の事実等)の提出はなく、被請求人が述べる顧客に納品した販売実績のであるとの上記各納品書(控)では、その使用を客観的に把握できないといわなければならない。
なお、請求人の提出に係る被請求人(商標権者)の閉鎖登記簿謄本(甲第2号証の1)、平成10年1月16日付で「ワコートレーディング株式会社」と商号を変更し「東京都杉並区高円寺南4丁目30番1号」に本店を移転したところの登記簿謄本(甲第2号証の2)、本件商標の通常使用権者とする「株式会社日本リサイクリングシステムズ」の登記簿謄本(甲第2号証の4:なお、登記簿上の商号は「日本リサイクリング」と「システムズ」とを「、」を介して登記されている。)及び平成12年8月7日付の納品書(控)における宛先会社である「御宿ゴルフクラブ」の登記簿謄本(甲第2号証の3)の各登記簿の役員に関する事項欄によれば、「加藤茂」、「小熊浩」「坪井康則」及び「中村邦英」の各氏が各会社間において役員をそれぞれ兼任していること、及び各会社の登記上の所在地から、上記各会社の密接な関連性を推認し得るものである。そうすると、本納品書(控)にある「株式会社日本リサイクリングシステムズ」は、通常使用権者として本件商標の使用を許諾され得る者であるとみて差し支えないものといえる。
また、乙第3号証として提出の平成12年8月7日付の納品書(控)の納品先「御宿ゴルフクラブ」も、これまた被請求人と密接な関係にある関連会社であって、この納品書(控)に示された商品「イージーアップテント8×8、10×10、10×15、10×20」等が、被請求人との間において直接引き渡しをせずに、一般市場における取引者、需要者を対象にした商取引の如く、乙第3号証の平成12年6月10日付の納品書(控)における納品先「ティーエム・エム(上原)」と同様の顧客として納品した販売実績であるとの点は疑問なしとはしない。
(4)乙第4号証について被請求人は、平成12年9月6日以前から本件商標を付した多数のテントを商品在庫として保有しており、平成13年1月17日時点(撮影日)における在庫状況を示す写真であると述べているが、撮影年月日は、本件審判請求の予告登録日以降とするものであり、製品の所有者、撮影(管理)場所及び撮影者等の客観的事項が明らかにされたとしても、当該写真は撮影時点での商品「天幕(テント)」についての在庫実績を示すに止まり、平成12年9月6日以前から保有しているとする点については、なんら明らかにされていないから、上記(1)と同様に当該写真をもってしても、本件審判請求の予告登録(平成12年10月4日)前3年以内に使用されていたと認め得ることはできない。
(5)以上のとおり、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第4号証のみによっては、商標権者又は通常使用権者によって、本件審判の取消請求に係る指定商品についての使用は証明されない。その他前記認定を覆すに足りる証拠はないから、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていたものといえず、また、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があるものとも認められないから、結局、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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