Trademark Appeal Case
役務の質表示による識別力欠如
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第1933号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「金鍋」及び「きんなべ」の文字を二段に書してなり、第42類「飲食物の提供,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供」を指定役務として、平成9年2月26日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶理由の要旨
原査定は、「本願商標は、金製の鍋を意味し、そして、『・・・創業百三十年の料理旅館『金鍋』がある。その名の通り、金の鍋(なべ)を使ったすき焼きを出していたが、・・・(94.2.7 日経新聞本紙地方面/大阪夕刊アーバンNOW)や『宇都宮市の料亭『金鍋』の店主、・・・893.4.7 朝日新聞朝刊栃木版)』等新聞記事にあるように実際に使用されている『金鍋』の文字を普通に用いられる方法で表してなるものであるあるから、これを本願指定役務に使用しても、単に役務の提供の質及び内容を表すにすぎず自他役務の識別力を有しない」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、その構成前記したとおり、「金鍋」及び「きんなべ」の文字を二段に併記してなるところ、請求人提出に係る甲第3号証(広辞苑)によれば、「金鍋」の語は、「かな・なべ」の読みを当て「【鉄鍋・金鍋】鉄などの金属製のなべ」の記載を認め得るとしても、本願商標にあっては前記のとおり、「金鍋」の文字に加え、その読みを特定したと理解させる下段の「きんなべ」の仮名文字とを組み合わせてなるものであるから、請求人主張の如く「金鍋」の語から直ちに「かななべ」の読みが出るとは俄にいい難く、むしろ、甲第2号証(広辞苑)に掲載の「金時計(きんどけい)」、「金歯(きんば)」の如く、本願商標の「金鍋」に関しても、物品名「鍋」に「金」の文字を冠してなるものであるから、結局、「きんなべ」の読みと、その物品が金で作られたものであること、すなわち「金製の鍋」の意味合いを認識させるというのが自然である。
(2)ところで、本願の指定役務である「飲食物の提供」にかかる業務において、厳選された高級食材を用い、これを低価格で提供すること、あるいは、高級食器類を使用するなどして店のイメージをアピールし、顧客の獲得手段とすることは、通常の商いにおいて散見されるところである。例えば、通常、すき焼きなどのなべ料理といえば、鋳物で作った鍋や土鍋を用いて提供されることが多いところ、以下のとおり、「金鍋」を使用して料理が提供されている事実がある。
(ア)料亭関係のインターネットホームページ情報によれば、例えば、東大阪市東豊浦町1−20、「金鍋 太平」では、「ここのすき焼きは金の鍋で焼くんです。」との記載が、
(イ)金なべ明陽軒(大阪市中央区宗右衛門4−5)を紹介したホームページでは、店長さんからのメッセージとして、「創業明治35年の歴史をもつ『金なべ明陽軒』。その名のとおり、当店では本金の鍋で伝統の味をご賞味いただけます。」との記載及びおすすめメニューに、「金鍋 肉すき 4,500円」との記載が、
(ウ)また、85年2月21日付け日経新聞朝刊30頁には、「東京・神田のすき焼き店。一週間前から金製の鍋(なべ)を使った『金しゃぶ』『金すき』を始めた。十八金、二キロのしゃぶ鍋が・・・」の記事が、
(エ)89年12月20日付け西日本新聞朝刊19頁には、「お大尽遊び『忠臣蔵』にぎやか・討ち入りの日に北九州で」の見出しの下、「・・・同料亭に伝わる黄金のすき焼きなべで酒を回し飲みするドンチャン騒ぎ。」の記事が、
(オ)94年2月7日付け日経新聞地方面/大阪夕刊アーバンNOWには、「京都・東山の紙鍋−弱火でコトコト、ゆっくり楽しむ(食ルポ)」の見出しで、「・・・きんなべ(TEL075/531/4188)では、ほかに金鍋のすき焼きや懐石料理もある。要予約。」の記事が掲載されている。
(3)そうすると、本願商標をその指定役務「飲食物の提供」に使用した場合、前記の実情より、これに接する取引者・需要者は、「金(きん)製の鍋を用いた飲食物の提供」であることを表示したものとして理解するに止まり、自他役務を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、「金鍋料亭」の名をもって明治28年の創業以来104年、北九州において営業努力をかさね、今や当地において「金鍋」の名は周知なものになっている旨主張しているが、請求人が限られた地域において、「金鍋(金製の鍋)」を用いて飲食物の提供をしていることは認め得るとしても、本願商標が「金製の鍋」の意味合いを越えて、請求人固有の商標、或いは営業標識としての周知性を有するものになっているとは俄に認め難く、かつ、請求人もその事実を立証する証拠を何ら提出していないから、該主張は採用することができない。
また、請求人は、平成12年1月21日付け上申書において、本願商標と同一文字からなる「金鍋」と図形との結合商標の登録例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張するが、本願商標は自他商品の識別機能を有しないこと前記のとおりであり、請求人の挙げた登録例とは構成態様が相違するものであるから、該登録例と本願商標とを同列に論ずることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。