結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35044(T2002−35044/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4496905号商標(以下「本件商標」という。)は、平成12年2月24日に登録出願され、「スクリック」の文字を標準文字で横書きしてなり、第16類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品及び第35類、同38類及び同41類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同13年8月10日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録の無効理由(商標法第4条第1項第11号)に引用する登録第327132号商標(以下「引用商標」という。)は、昭和14年3月11日に登録出願され、別掲に示すとおりの構成よりなり、第51類「文房具」を指定商品として、同15年2月22日に設定登録されたものであるが、その後、4回に亘り存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、第16類「文房具類(海綿・紙製下げ札・紙製シール・紙製しおり・紙製値札・紙製はり札・紙製文房具・紙製ラベル・革ふみばこ・黒板・昆虫採集用具・三角定規・定規・そろばん・短冊・地球儀・トレーシングクロス・水引を除く。)」に平成12年5月31日に指定商品の書換登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第18号証(枝番号を含む。)を提出した。 本件商標は、指定商品中、第16類「文房具類」について、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録を無効にすべきものである。
以下にその理由を述べる。
本件商標は、片仮名文字「スクリック」を横書きしてなり、平成12年2月14日に出願され、同13年8月10日に登録を受けたものであるが、請求人の使用に係る商標「Skrip」(以下「使用商標」という。甲第4号証等)との関係において、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
(イ)使用商標が、請求人の業務に係る商品「万年筆のインキ」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであることについて
請求人「シェーファー ペン コーポレーション」は、1913年に、創業者のウォルター.A.シェーファーが「W.A.シェーファー・ペン・カンパニー」を設立し、1920年に発売した「ライフタイムペン」の発売で筆記具業界での地位を不動のものとし、以後、社名を変更するが今日に至るまで万年筆等の筆記具関連商品の製造販売を行っている会社である。請求人の万年筆は、1951年の国連憲章調印式で吉田茂首相が調印式の署名に使用し、また、米国大統領リチャード・ニクソン、ロナルド・レーガン等に愛用されたことでも有名であり、「シェーファー」の名は、請求人の筆記具と請求人自身を示すものとして世界的な著名性を獲得している(甲第2号証及び同第3号証)。
一方、請求人は、会社設立後、万年筆のインキを質の悪い他社製品に頼らずに自ら開発すべく調査研究及び試行錯誤を重ねた末、1922年に完成させ、その商品を「Skrip」と命名し市場に参入した。このインキは、当時他社のどのインキよりも優れていたため大きな成功を収め、現在においても重要な請求人の取扱商品である(甲第4号証乃至同第6号証)。
そして、「Skrip」インキは、請求人の万年筆用に限られるものではないが、万年筆とインキ瓶がセットで販売されたり、専用カートリッジとして販売されることによって、「シェーファー」の万年筆が世界的に著名なものとなり広く愛用されるにつれて、その万年筆の消耗品として需要者に愛用されているものである。
我が国でも、「Skrip」インキは古くから親しまれており、近年では「株式会社セーラー万年筆」等によって取引され、継続して輸入されている(甲第7号証乃至同第11号証)。なお、輸入、販売量を示す資料は、近年のものについて、その一部を示したものである。
このような事情から、請求人は、世界各国で商標「Skrip」の出願、登録を行っており(甲第12号証)、その国の数は50カ国に上っている。 日本では、昭和15年(1940年)に設定登録を受けた商標が存在する(甲第13号証)。
上述のとおり、使用商標は、請求人の業務に係る商品「万年筆のインキ」を表示するものとして本件商標の出願時である平成12年2月24日以前より今日まで我が国の需要者の間に広く認識されていることは明白である。
(ロ)本件商標が、使用商標と類似するものであることについて
本件商標は、「スクリック」の片仮名文字を横書きしてなり、その構成から「スクリック」の称呼を生ずるものである。
使用商標は、「Skrip」の欧文字を横書きしてなるもので、「スクリップ」の称呼を生ずるものである。
両者は、いずれも4音の構成音よりなるもので、「スクリッ」の称呼を共通にし、語尾に位置する「ク」と「プ」の音のみを異にする。共通する「スクリッ」の部分は、称呼の識別上、最も重要な要素を占める語頭音を含み構成音4音中の前3音を占めるものである。さらに、異なる「ク」と「プ」の音は、母音「u」を共通にする無声の破裂音であって、しかも、その直前に促音「ッ」を伴って強調される強音「リ」の音が存在するため、称呼識別上印象の弱い語尾音がさらに聴取し難くなるものである。
従って、全体として一連に称呼すれば、該差異音は、称呼全体に及ぼす影響が極めて小さく、聴者をして互いに聴別し難いもので、その音調、音感が近似し、相紛らわしいものである。
また、両商標は、いずれも特定の観念を生じない造語であるため、観念とともに記憶され正確に称呼される事情になく、言い間違い、聞き間違いが生ずる可能性が高いものである。
以上のとおり、本件商標は、称呼上、使用商標と類似するものである。
(ハ)上記(イ)及び(ロ)で述べたとおり、本件商標は、請求人の業務に係る商品「万年筆のインキ」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている使用商標と類似するものであって、該「万年筆のインキ」と同一又は類似する指定商品、第16類「文房具類」について使用するものであるから商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
両商標より生ずる称呼は、本件商標が「スクリック」であり、引用商標が、「SKRIP」、「Skrip」及び横書きする場合は右から左へ書くことが一般的であった出願当時の事情から「スクリップ」を右書きした「プッリクス」の三段の文字構成より「スクリップ」の称呼を生ずるものである。
そこで、両称呼を比較すれば、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当することについて述べたとおり、両称呼は、相紛らわしいものである。
かかる判断は、下記の対比される商標が類似とされた審決例(甲第14号証ないし同第18号証)においても明らかに示されている。
したがって、両商標は称呼上類似とされるべきであり、指定商品についても、本件商標の指定商品中、第16類「文房具類」は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず登録されたものである。
被請求人は、本件審判請求に関し、何ら答弁していない。
本件商標と引用商標との類否についた判断するに、本件商標は、「スクリック」の片仮名文字を左横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「スクリック」の称呼を生ずる造語を表してなるものと認められる。
これに対し、引用商標は、別掲に示すとおり左横書きしてなる「SKRIP」の欧文字を上段に書し、中段に左横書きしてなる「Skrip」の欧文字を表し、下段に「SKRIP」、「Skrip」の欧文字の表音「スクリップ」を右横書きしたと認められる「プッリクス」の片仮名文字を配してなる三段の文字構成よりなるものであるから、これら三段に表された「SKRIP」及び「Skrip」の欧文字とその表音と認められる「プッリクス」の片仮名文字に相応して「スクリップ」の称呼を生ずる造語を表してなるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「スクリック」の称呼と引用商標より生ずる「スクリップ」の称呼とを比較すると、両称呼は、いずれも4音の構成音よりなり、そのうち称呼の識別上、最も重要な要素を占める語頭音を含む「スクリッ」の3音の称呼を同じくするものであって、僅かに語尾において「ク」と「プ」の音のみを異にするものである。
しかして、相違する「ク」と「プ」の音にしても、共に母音「u」を共通にする無声の破裂音であって、しかも、その直前に促音「ッ」を伴って強く発音される「リ」の音が存在するため、語尾に位置するこれら差異音は一層、聴別し難くなるというのが相当である。
そうとすれば、両称呼を一連に称呼するときは、両商標がいずれも特定の観念を生じない造語であることとも相まって、該差異音が称呼全体に及ぼす影響は極めて小さく、聴者をして、その音調、音感が極めて近似したものとなり、互いに相紛れるおそれがあるものといわなければならない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観や観念を離れて、例えば、電話など口頭による取引が普通に行われている取引社会の実情からすると、称呼が類似する類似の商標といわざるを得ない。
また、本件商標の第16類に属する「文房具類」と引用商標の指定商品は、同一又は類似のものと認められる。
したがって、本件商標は、他の無効理由について論及するまでもなく、その指定商品中の「文房具類」については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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