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Trademark Appeal Case

商標の酷似と商品類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35429(T2001−35429/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3197545号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3197545号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成4年6月16日に登録出願、第30類「オーストラリア産のマカダミアナッツ入りの菓子」を指定商品として、同8年9月30日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の登録につき無効であるとして引用する登録第2003083号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成より、昭和59年1月6日登録出願、第32類「オーストラリア産の食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」を指定商品として、同62年11月20日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出した。

1.商標法第4条第1項第15号について

(1)本件商標について

本件商標の構成は、縦長の矩形と、前記矩形の縦方向略中央を水平方向に延びる横長の矩形が交差し、前記横長の矩形の中は前記縦長の矩形の中より長く左右に若干突出し、これによって縦方向に3個の矩形が形成されている。そして上段の矩形の囲いの中に、上から「MACFARMS」、「OF AUSTRALIA」の各文字、「オーストラリア国の地形を表した図形」が配列されている。中段の矩形には「Macadamias」の文字が横書きされている。下段の矩形には遠景の山と雲、近景の樹木と右下方に矩形からはみ出た3個のマカダミアナッツの実の図形が描かれてなるものである。

(2)引用商標の構成は、縦長の矩形と、前記矩形の縦方向略中央を水平方向に延びる横長の矩形が交差し、前記横長の矩形の中は前記縦長の矩形の中より長く左右に若干突出し、これによって縦方向に3個の矩形が形成されている。そして、上段の矩形の囲いの中に、上から「MACFARMS」、「OF AUSTRALIA」の各文字、「オーストラリア国の地形を表した図形」が配列されている。中段の矩形は空白にされている。下段の矩形には遠景の山と雲、近景の樹木と右下方に矩形からはみ出た3個のマカダミアナッツの実の図形が描かれてなるものである。

(3)本件商標と引用商標の比較

本件商標と引用商標の前記の構成によれば、上段で文字部分の背景が引用商標では白地である点、引用商標の中段は空白である点、全体的に引用商標ではペン画的に陰影を線で表わすか、黒く塗りつぶしているのに対し、本件商標では写真的に表現している点で相違がみられるが、全体の構図は全く軌を一にするものであり、本件商標は引用商標を模写し、その上で細部に若干の変更を加えたにすぎず、換言すれば、本件商標は引用商標と実質的に同一といわざるをえない。

(4)指定商品の関係

本件商標は「マカダミアナッツ入りの菓子」を指定商品とするものであるが、引用商標の指定商品の果実はマカダミアナッツを含むものである。その実は食用とされ、高級なデザート用ナッツとして使用されるが、チョコレートの材料としても使用され、特にマカデミアナッツ・チョコレートはハワイの土産として日本の一般大衆の間でもよく知られ親しまれていることは、日常経験するところである。

例えば、インターネットのショッピングホームページを開けば「ハワイ帰りのお土産に」などの宣伝広告が容易に検索できる。また、マカダミアンナッツ入りチョコレート菓子は、日本国内の菓子メーカーによっても盛んに売られ、消費されている。したがって、本件での指定商品は、単なる材料と製品以上の密接な関係がある。

被請求人は、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否を問題にしているが、ナッツも菓子も一般消費者を最終需要者とするもので、マカダミアナッツに使用される商標と実質的に同一な本件商標を付されたマカダミアナッツ入りチョコレートなどに接した場合に、両者は同一の出所によるものと誤認する可能性を否定することはできない。

(5)上記(3)、(4)で述べたように、引用商標に酷似する本件商標がその指定商品に使用されるときは、マカダミアンナッツとマカダミアンナッツチョコレートとの密接な関係の故に、需要者は、いずれの商品も同一出所に係るものと誤認するおそれは極めて高いというべきである。その結果、商品出所の混同を生ずるおそれがあることは理の当然であり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するにもかかわらず登録を受けたものである。

2.商標法第4条第1項第7号について

(1)請求人らと被請求人の関係

請求人の一人であるマックファームス オブ ハワイ インコーポレーテッド(以下「マックファームス」という。)は、世界最大のマカダミアンナッツ果樹園をハワイに所有するマカダミアンナッツの栽培、加工業者である。また、一方の請求人であるブルー ダイアモンド グロワーズはマックファームスを所有する親会社である。(以下、請求人両名を合わせていう場合は「請求人ら」という。)

マックファームスは、その製品を長年世界の多くの国に輸出、販売してきたが、本件商標の登録出願のあった1992年以前より、被請求人であるクロノス、プロダクツを日本を含む諸国での販売代理人として指名した。被請求人は、このような関係があったにもかかわらず、請求人らに無断で本件商標を登録した。

この事実を証明するため、請求人らはマックファームスの社長であるリチャード ヴィジェン氏の宣誓供述書(甲第5号証)を提出する。

さらに、被請求人が前記リチャード ヴィジェン氏に宛てた1995年6月29日付ファクス通信文(甲第6号証)があり、この中で1992年の売上、輸出額等が記載、報告されている。

(2)上記2.(1)で述べた取引上の関係があったにもかかわらず、被請求人が引用商標と実質的に同一といえる本件商標の登録出願をし、登録を受けた行為は、いわゆる悪意の出願によるものであり、公正な競争により商標使用者の業務上の信用を維持し、産業の発達に寄与しようとする商標法の目的に反するもので、同法による利益を受ける資格がないといわざるをえない。このような商標登録は、商標法第4条第1項7号の規定に該当するものである。

この点に関し、被請求人は、引用商標の商標権者の製品の販売業者であったことを認めている。したがって、被請求人は請求人らの使用する商標を知っていたと考えられる。

3.したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第7号に該当するにもかかわらず登録を受けたものであるから、その登録は同法第46条により無効とされるべきである。

第4 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人らの負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。

1.商標法第4条第1項第15号について

(1)請求人らは、本件商標の指定商品は甲第3号証の事実から「単なる材料と製品以上の密接な関係にある」というが、「果実としてのマカダミアナッツ」と「マカダミアナッツ入りの菓子」とに、「単なる材料と製品以上の密接な関係」があるのか、全く具体的な説明がされていない。本件商標の指定商品は、「オーストラリア産のマカダミアナッツ入りの菓子」であるのに対し、請求人らが指摘する引用商標の指定商品「果実」(マカダミアナツツ)は未加工のものであるから、これが直接菓子の材料として果実のまま使用されることはない。したがって、本件商標の指定商品は材料と製品の関係にもないといえる。

また、甲第3号証は、単に「マカダミアナッツ・チョコレート」や「ホームパック マカダミアナツツチョコ」や「ロッテ マカダミアバー」がマカダミアナッツを含んでいることを示すにすぎず、「果実」(マカダミアナッツ)に引用商標が如何に使用されているのかを示す証左は認められない。請求人らは、「引用商標に酷似する本件商標がその指定商品に使用されるときは云々」と述べているとおり、当然引用商標がその指定商品の「果実」である「マカダミアナッツ」に使用されている事実を明らかにし、取引の如何なる段階で本件商標の指定商品の「オーストラリア産のマカダミアナッツ入りの菓子」と出所の誤認を生ずるのかを説明すべきである。

したがって、甲第3号証は、商品の出所の混同を生ずるおそれがあることを立証することはできないものというべきである。

また、請求人らは、引用商標の著名性についても、これを立証する何らの証拠の提出もしていないものであるから引用商標が著名であることも認められない。

(2)本件商標の指定商品である「オーストラリア産のマカダミアナッツ入りの菓子」は第30類の加工した菓子の範疇に属するものであり、他方、引用商標の指定商品の「果実」である「マカダミアナッツ」は木の実(殻果類、堅果類)と称し、第32類の未加工品の「果実」に属するものである。

そうすると「オーストラリア産のマカダミアナッツ入りの菓子」と「果実」に属する「マカダミアナッツ」とはその特質からみて、製造者を異にし、前者は専ら菓子店舗で販売されるのに対し、後者は主としてナッツ問屋又はその専門販売店において取り扱われるのが通常であり、その販売場所を異にするものである。このようなわけで、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは製法はもとより、その生産者、販売場所等の取引系統を著しく異にするものである。

したがって、被請求人が本件商標をその指定商品について使用しても需要者をして該商品が請求人らの取扱いに係る商品であるかの如く誤認し、商品の出所について混同を生ぜしめるおそれはないものである。

2.商標法第4条第1項第7号について

(1)被請求人は、請求人のうちのマックファームスの製品の販売業者であった。

(2)被請求人は、マックファームスに対して善意の者であった。

(3)マックファームスは、被請求人の業務に興味を示し、被請求人の業務を買取る意向を示したので、2者間で何回も交渉を重ねた経緯があるが、信書の秘密に係るのでこれに係る証拠は提示しない。

(4)甲第4号証には、本件商標及び引用商標の使用についてはなんら記載されていない。

(5)甲第5号証は、請求人らはマックファームスの製品が引用商標により販売されたマカダミアナッツを含んでいたと主張するのみで、この主張を立証するに足る証拠は提示されていない。

(6)甲第6号証は、マックファームスと被請求人との間の秘密の通信であり、信書の秘密に係り、本件の証拠として提示するのは違法と考えられる。

また、甲第6号証は、マックファームスが被請求人が業務を買取る交渉の中で示されたものであるので、信書の秘密に係り本件に証拠として提示するのは違法と考えられる。

(7)被請求人は、請求人らに対して悪意はなく、自らの商標権を守りたいだけである。

しかも、被請求人が本件商標を引用商標と同一又は類似の商品に出願したのであれば悪意といえようが、被請求人は、請求人らの商品とは非類似の第30類の指定商品「菓子」に出願したのであるから、何ら悪意のある行為とはいえないものである。

(8)以上のとおりであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないものである。

第5 当審の判断

1.本件商標と引用商標について

(1)商標の類否について

本件商標及び引用商標は、それぞれ別掲(1)、(2)のとおりの構成よりなるものであるところ、縦長長方形の中央やや下に、該縦長長方形を二分するように横長長方形を交差させて配置してなる点、二分された縦長長方形の上部には、「MACFARMS」、「of AUSTRALIA」の各文字が上下二段に書され、該文字の下にはオーストラリア国の図形が、交差している横長長方形内にはみ出すように描かれている点、二分された縦長長方形の下部には、山と植物などを描いた風景画が描かれ、該下部長方形の右下には、木の実と思しき図形が描かれている点において共通するものであり、これら共通点は、両商標の要部を形成しているものといえる。

してみると、本件商標と引用商標とは、これを時と所を異にして離隔的に観察した場合に、相紛れるおそれがある外観上類似するものといわなければならない。

また、両商標は、いずれもその構成中の「MACFARMS」、「of AUSTRALIA」の文字部分から、「マックファームスオブオーストラリア」の称呼、若しくは「MACFARMS」の文字部分から「マックファームス」の称呼を生ずるものである。

してみると、本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において類似する商標というべきである。

(2)両商標の指定商品について

本件商標の指定商品は、「オーストラリア産のマカダミアナッツ入りの菓子」であるのに対し、引用商標の指定商品は、「オーストラリア産の食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」であるから、これらの商品は、生産者、取引系統、販売場所等を異にする場合が多い非類似の商品というのが相当である。

2.商標法第4条第1項第15号について

請求人らは、本件商標と引用商標とは、商標において類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品である「オーストラリア産のマカダミアナッツ入りの菓子」と引用商標の指定商品中の「マカダミアナッツ(果実)」とは、製品と原材料との関係にあるから、本件商標をその指定商品について使用するときは、引用商標が使用される指定商品、特に「マカダミアナッツ(果実)」との間に、出所の混同を生ずるおそれがある旨主張する。

しかしながら、請求人らは、上記主張をするのみで、引用商標が「マカダミアナッツ(果実)」について使用され、本件商標の登録出願前より、わが国の取引者、需要者の間に広く認識されているという証拠は何ら提出していない。(甲第4号証には、「世界最大のマカダミアナッツ果樹園であるハワイ島のマックファームスの果樹園・・」なる記述が認められるが、これをもって引用商標の著名性を立証することができないのは明らかである。)

してみると、本件商標と引用商標とが、前記1.で認定したとおり、類似する商標であるとしても、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、生産者、取引系統、販売場所等において共通性を有しない商品であるから、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、例えば、「マカダミアナッツ(果実)」について、わが国において著名性を獲得しているといった特別の事情が存在しない限り、本件商標を使用した「オーストラリア産のマカダミアナッツ入りの菓子」に接した取引者、需要者が、請求人ら若しくはこれと何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であると想起し、商品の出所について混同するというようなことは、極めて少ないといわなければならない。

したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして、引用商標が使用される「マカダミアナッツ(果実)」との間に、出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ず、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

3.商標法第4条第1項第7号について

(1)請求の理由並びに甲第5号証及び甲第6号証によれば、被請求人は、少なくとも1992年から1995年にかけて、マック ファームスの取扱いに係る商品「マカダミアナッツ」の日本における販売業者であったことが認められる。

してみると、被請求人は、少なくともマック ファームスの取扱いに係る商品「マカダミアナッツ」に使用される引用商標の存在について熟知していた者ということができ、引用商標が第30類(平成3年政令299号による改正前の商標法施行令別表による)について登録されていないことを奇貨として、引用商標と類似する本件商標を、請求人らの承諾を得ないで無断で登録出願し、登録を受けたものと推認せざるを得ず、このような被請求人の行為に基づいて登録された本件商標は、公正な取引秩序を害するものであって、公序良俗に反するものであることは明らかである。

(2)被請求人は、上記(1)に関し、請求人のうちのマック ファームスの製品の販売業者であったのであり、マック ファームスに対して善意の者であった旨主張する。

しかしながら、請求人らは、親会社と子会社の関係にあるものであり、被請求人は、マック ファームスの製品の販売業者であったのであれば、請求人の一方であるブルー ダイヤモンド グロワーズとも商取引上の利害関係を生ずることになる。また、被請求人の善意の者であった旨の主張は、いかなる意味での善意であるのか明らかではないが、少なくとも、被請求人が本件商標を登録出願することについて、マック ファームスの承諾があったと認めるに足りる証拠は存在しないのみならず、本件商標に対し、マック ファームスを含む請求人らからその登録について無効審判が請求されている事実からしても、被請求人が本件商標を登録出願するにつき、請求人らに無断でしたものと容易に推認することができ、このような被請求人の行為は、前記したとおり、公正な取引秩序を害するものであって、公序良俗に反するものであるから、マック ファームスに対して善意の者であったとの被請求人の主張は認めることはできない。

さらに、被請求人は、甲第6号証は、被請求人とマック ファームスとの間における秘密の通信であり、本件の証拠として提示するのは違法である旨主張する。

しかしながら、甲第5号証及び甲第6号証は、被請求人とマック ファームスとの間に、請求人らの取扱いに係る商品「マカダミアナッツ」の日本における販売契約があったことを推認させる書類といえるものであり、これらの書類により、被請求人が1992年以前から引用商標の存在を知っていた事実が窺えるのであり、進んで、本件無効審判において、本件商標の登録出願が請求人らの承諾を得ずになされたことを裏付ける証拠ともなり得るものであるから、本件事件に関する限りにおいては一概に違法とまでいうことはできない。

したがって、商標法第4条第1項第7号に関する被請求人の主張はいずれも理由がない。

4.以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とする。

よって、結論のとおり審決する。

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