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Trademark Appeal Case

商標使用の識別力判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第30451号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2312333号商標(以下「本件商標」という。)は、「PHP」の欧文字を横書きしてなり、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、昭和63年3月15日登録出願、平成3年6月28日に設定登録され、その後、同13年7月10日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標は、その指定商品中『電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)及びこれらに類似する商品』の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、本件商標の商標登録原簿の写し及び本件商標の商標公報を提出した。

1 請求人の調査では、被請求人は、取消しを求めた商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)及びこれらに類似する商品」について、過去3年以上にわたって、わが国において本件商標を使用していないことが判明した。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)平成12年2月2日付で提出された本審判事件における答弁書に対し、以下の通り弁駁する。

被請求人は、本件商標を指定商品中「ビデオCDプレイヤー」に使用している旨主張するが、以下に説明するように、上記答弁書によってその事実は立証されていない。

答弁書中で「商標の使用の事実を示す書類」として提出された各写真を見ると、「まず身につけよう仕事の基本」というタイトルの社員研修教材用と思われるコンパクトディスク(ビデオCD)、ビデオCDプレイヤー及びこれらを入れる外箱(ダンボール箱)が写されている。これらを詳細に見ると、外箱(ダンボール箱)及びビデオCDの箱に本件商標が表されているが、ビデオCDプレイヤーの箱には本件商標が表されていない。

このビデオCDプレイヤーの箱には、松下電器産業株式会社の著名商標「Panasonic」が大きく表され、また、ややデザインした字体でアルファベット「EDEL」という商標が表されており、このような使用態様を見ると、本件ビデオCDプレイヤーは松下電器産業の製造に係る商品名「EDEL」というCDプレイヤーであると自然に認識できる。

また、このような使用態様からすると、上記写真はこのビデオCDプレイヤーの箱のすべての面を詳細に写していないので不明であるが、松下電器産業が製造及び販売元とされ、被請求人が本件商標の使用者であると説明する株式会社PHP研究所(以下「PHP研究所」という。)の名称は一切表されていないものと推認できる。もしそうでないのなら、被請求人はこのCDプレイヤーの箱、製品本体若しくは説明書に記載されている製造及び販売元を明らかにすべきである。

一方、乙第1号証によれば、本件商標の使用者であるPHP研究所はPHPグループの中で出版(Publishing)を担当する会社である。

以上を総合して勘案すれば、PHP研究所が販売するのは「まず身につけよう仕事の基本」というタイトルの社員研修教材用と思われるコンパクトディスク(ビデオCD)であって、これを再生するために「Panasonic」ブランドのビデオCDプレイヤーも一緒に販売しているにすぎないものと考えられる。そしてこのビデオCDプレイヤーは「PHP」ブランドではなく「Panasonic」ブランドのままで販売されているのである。しかも、被請求人は本件ビデオCDプレイヤーを外箱(ダンボール箱)とともに写真に写しているが、本件ビデオCDプレイヤーが販売される際にこのような外箱に入れられて販売されたという事実を立証する証拠は提出していない。つまり、被請求人は上記答弁書によってPHP研究所がビデオCDプレイヤーを販売した事実は立証しているが、本件商標をビデオCDプレイヤーに使用した事実は何ら立証していない。

説明するまでもなく、商標の本質は自他商品識別力であり、商標の使用とは自他商品識別力を発揮させるような態様での使用をいうのである。

しかし、上記のような商標の使用態様を見る限り、社員研修教材用と思われるコンパクトディスク(ビデオCD)との関係においては本件商標が自他商品識別力を発揮するような態様で使用されているとしも、ビデオCDプレイヤーについて本件商標が自他商品識別力を発揮するような態様で使用されているとは到底認められない。むしろ、ビデオCDプレイヤーについては著名商標「Panasonic」及び商標「EDEL」が自他商品識別力を発揮しているものと認められる。すなわち、本件商標は、教材用と思われるコンパクトディスク(ビデオCD)について使用されているのであって、ビデオCDプレイヤーについては使用されていないと考えるのが相当である。

(2)平成13年4月12日付で提出された本審判事件における第二答弁書に対し、以下の通り弁駁する。

被請求人は、第二答弁書の理由中に添付した写真及び乙第4号証により、「ビデオCDプレイヤー」の包装用ダンボール箱(包装)に本件商標を使用したことを立証する旨主張している。

しかし、上記写真は、通常使用権者の社員が撮影したものにすぎず、この写真の存在をもって、これらコンパクトディスク(ビデオCD)とビデオCDプレイヤーが同様のダンボール箱に包装されて販売等されたとはいえない。そのような事実は、第二答弁書によっては何ら立証されていないといわざるを得ない。

上記ビデオCDのセットの購入者からすれば、コンパクトディスク(ビデオCD)については通常使用権者の出所にかかる商品であると認識するが、ビデオCDプレイヤーは通常使用権者ではなく著名商標「Panasonic」の所有者である松下電器産業株式会社の出所にかかる商品であると自然と認識するものと考えられる。

(3)平成13年8月1日付で提出された本審判事件における第三答弁書に対し、以下の通り弁駁する。

まず、被請求人は、請求人の主張が「商品商標とは製造標のみである。」という誤認に基づくものである旨主張するが、請求人がそのような主張をしていないことは明らかであり、そもそも、「商品商標とは製造標のみである。」か否かという議論は本件においては全く関係がなく、このような論点を持ち出すのは被請求人による論理のすり替えである。

この点に関して請求人が一貫して主張しているのは、本件商標はビデオCDプレイヤーについては出所表示機能・品質保証機能・宣伝広告機能のいずれの機能も発揮しておらず、したがって、本件商標はビデオCDプレイヤーについては使用されていないということである。

つまり、需要者の立場からすれば、コンパクトディスク(ビデオCD)とビデオCDプレイヤーを一緒に包装するダンボール箱に本件商標が付されているからといって、これをビデオCDプレイヤーに関する識別標識と認識することはなく、やはり、著名商標「Panasonic」のみをビデオCDプレイヤーの識別標識として認識すると考えるのが相当である。

次に、被請求人は、乙第2号証ないし乙第4号証を総合して判断すると、通常使用権者が審判請求予告登録日前に、本件商標をビデオCDプレイヤーについて使用していたと主張するが、その具体的根拠は何も説明していない。

この点に関して請求人が主張するのは、乙第2号証がビデオCDプレイヤーの販売の事実を証明するための証拠であり、第二答弁書に貼付された写真はダンボール箱の存在を示すための証拠であり、乙第4号証はダンボール箱が納品されたことを示すための証拠であるが、これらを総合して考えても、審判請求予告登録日前に、これと同一のダンボール箱に入れてビデオCDプレイヤーが販売等されたことは証明されていないということである。

つまり、乙第4号証を見ても分かるように、多数の包装箱があると思われるところ、コンパクトディスク(ビデオCD)とビデオCDプレイヤーの販売に際して、第二答弁書に貼付された写真はダンボール箱と同一のダンボール箱に入れられたか否かは依然として不明であると考えざるを得ないのである。

(4)以上より、本件審判請求設定登録日前3年以内に本件商標はいずれの指定商品についても使用されていないと考えるのが相当である。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として商標の使用の事実を示す書類の写真及び乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標の使用の事実を示す書類の写真及び乙第1号証及び乙第2号証(枝番を含む。)より明らかなように、本件商標は、本件審判請求登録(平成11年5月26日)前3年以内に日本国内で通常使用権者により指定商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)」中、「ビデオCDプレイヤー」について販売標として使用されているものであるから、商標法50条1項の規定により取り消されるべきものではない。

2 本件における争点は、本件商標が「ビデオCDプレイヤー」について現実に使用されているか否かである。そこで、本件商標が、「ビデオCDプレイヤー」について現実に使用されたことについての主張・証拠を補充する。

(1)商標の「使用」について

商標の「使用」に「商品の包装に商標を付したものを譲渡する行為」が含まれることは、商標法2条3項2号より明らかである。そして、商標法2条3項2号に規定される「包装」には、「実際に商品を包むのに用いられる容器」が含まれる(特許庁編「工業所有権法逐条解説〔第14版〕」929頁:乙第3号証)。

そこで、平成12年2月2日付答弁書3頁に示す写真の包装用ダンボール箱が、「実際に商品を包むのに用いられる」ことを下記(2)において証明する。

(2)本件商標を付したダンボール箱の使用の事実

写真:

・撮影年月日:平成13年4月5日

・撮影者の住所(居所)及び氏名:

・住所(居所):京都市南区西九条北ノ内町11 PHP研究所内

・氏 名: 石橋 陽子

・写真の説明:上記写真は、平成12年2月2日付答弁書3頁において示した写真中のダンボール箱の型番「PH202L」を確認できるように、撮影したものである。

請求書:

・1998年12月15 日付株式会社ケイジパック発行PHP研究所宛請求書(乙第4号証)

・請求書の説明:乙第4号証に示す請求書は、通常使用権者の発注を受けて、株式会社ケイジパックが、上記写真中に表示されていると同じ型番のダンボール箱を作成して、同社に納入したことを示すものである。

(3)上記(1)(2)より、「ビデオCDプレイヤー」の包装用ダンボール箱(包装)に本件商標を付したものを譲渡する行為が、本件商標の「使用」に当たることは明らかである。

なお、通常使用権者が「ビデオCDプレイヤー」を販売(譲渡)したことは、請求人も認めているところである(平成12年7月26日付弁駁書3頁15行目〜16行目、同4頁6行目〜7行目)。

3 本件商標が「ビデオCDプレイヤー」の包装箱そのものに直接表されていないことを理由として、本件商標の使用の事実を否定する請求人の主張(平成12年7月26日付審判弁駁書全趣旨、平成13年6月4日審判弁駁書(第2回)2頁14行目〜3頁15行目)は、「商品商標とは製造標のみである。」という誤認に基づくものであり、到底認められるべきものではない。

(1)販売標としての使用について

そもそも、「商品商標」には、商品の製造者が自己の製造する商品であることを示すために使用する「製造標」のほか、販売者が自己の選択に基づき販売する商品であることを示すために使用する「販売標」も含まれる。

そこで、「販売標」の一般的な使用についてみるに、製造業者と販売業者が別人である場合、「販売標」は、商品又は商品の包装容器そのものに直接表示されず、販売業者が商品を購入者に引渡す際に使用する包装用ダンボール箱等の包装容器に表示されるのが通常である。

そして、実際に商品を梱包又は包装するために用いられた包装用ダンボール箱等の包装容器に商標を付したものを引渡す行為が、商標法2条3項2号に規定する商標の「使用」にあたることは疑う余地がない。

(2)本件商標の現実の使用について

審判請求予告登録日(平成11年5月26日)前に、本件商標が「ビデオCDプレイヤー」について通常使用権者により現実に使用されたか否かは、平成13年4月12日付第二答弁書にて提出の写真のみをもって判断すべきでなく、平成12年2月2日付答弁書及び平成13年4月12日付第二答弁書における被請求人の主張並びに乙第2号証ないし乙第4号証を総合して判断すべきことは論じるまでもないところである。

そこで、上記答弁書及び第二答弁書における被請求人の主張並びに乙第2号証ないし乙第4号証を総合して判断すれば、通常使用権者が、審判請求予告登録日(平成11年5月26日)前、遅くとも平成11年2月28日以降、本件商標を「ビデオCDプレイヤ」について販売標として使用していることは明らかである。

第4 当審の判断

1 乙第1号証によれば、本件商標の使用者であるPHP研究所は、商標権者である被請求人のグループ会社であって、通常使用権者と推認できるものであり、この点について当事者間に争いはない。

2 被請求人の提出した、「商標の使用の事実を示す書類」の写真をみると、右下部分に「Portable Video CD Player」の表示のある包装用箱、コンパクトディスク(ビデオCD)用の収納箱とおぼしき箱及び正面中央部に青地の長方形内には白抜きで大きく「PHP」の欧文字の表示、右側中央部には「PHP 研究所普及部 PH202L」の文字と数字の表示がある包装用ダンボール箱が認められる。

3 乙第2号証の1ないし5は、PHP研究所からの取引先会社への請求書であり、以下のとおり。

(1)乙第2号証の1は、1999年2月28日付けの「三菱電機システムサービス(株) 人材育成センタ」宛で、品名の欄上から「新入社員ビデオCDシリーズ (1)新入社員基本マスター講座(2)新入社員基本マスター講座(3)新入社員基本マスター講座」、右の部数の欄に「1」、その右の単価の欄に「50400」、同じく品名の欄に「ビデオCDプレーヤー」、右の部数の欄に「1」、その右の単価の欄に「18900」と記載されている。

(2)乙第2号証の2は、1999年2月28日付けの「日本ガイシ(株) 人事部」宛で、品名の欄上から「新入社員ビデオCDシリーズ (1)新入社員基本マスター講座(2)新入社員基本マスター講座(3)新入社員基本マスター講座」、右の部数の欄に「1」、その右の単価の欄に「50400」、同じく品名の欄に「ビデオCDプレーヤー」、右の部数の欄に「1」、その右の単価の欄に「21000」と記載されている。

(3)乙第2号証の3は、1999年2月28日付けの「日立通信システム(株) 教育センタ」宛で、品名の欄上から「ビデオCDプレーヤー」、右の部数の欄に「1」、その右の単価の欄に「21000」、同じく品名の欄に「新入社員ビデオCDシリーズ (1)新入社員基本マスター講座(2)新入社員基本マスター講座(3)新入社員基本マスター講座」、右の部数の欄に「1」、その右の単価の欄に「50400」と記載されている。

(4)乙第2号証の4は、1999年2月28日付けの「ブラザー販売(株」宛で、品名の欄上から「(1)新入社員基本マスター講座(2)新入社員基本マスター講座」、右の部数の欄にそれぞれ「1」、その右の単価の欄にそれぞれ「16800」、同じく品名の欄に「ビデオCDプレーヤー」、右の部数の欄に「1」、その右の単価の欄に「21000」と記載されている。

(5)乙第2号証の5は、1999年2月28日付けの「千寿製薬(株) 」宛で、品名の欄上から「新入社員ビデオCDシリーズ (1)新入社員基本マスター講座(2)新入社員基本マスター講座(3)新入社員基本マスター講座」、「 (第1巻)新入社員ケーススタディ」、右の部数の欄にそれぞれ「1」、その右の単価の欄に「50400」と「26250」、同じく品名の欄に「ビデオCDプレーヤー」、右の部数の欄に「1」、その右の単価の欄に「14700」と記載されている。

4 乙第4号証は、98年2月28日付けの「株式会社 ケイジパック」のPHP研究所宛の請求明細書であって、包装用ダンボール箱の写真中に表示されていたと同じ「PH202L 一式」の欧文字と数字が品名の欄に記載されている。

5 以上の商標の使用の事実を示す書類の写真及び乙各号証よりすれば、通常使用権者であるPHP研究所は、取引先会社である三菱電機システムサービス株式会社外(乙第2号証)にビデオCDプレーヤーとコンパクトディスク(ビデオCD)とを合わせて包装用ダンボール箱に入れて販売していたことが認められる。

そして、このビデオCDプレーヤーには直接的に本件商標が付されていないとしても、これを包装するための包装用ダンボール箱には、上記2のとおり正面中央部に青地の長方形内に白抜きで大きく「PHP」の欧文字、右側中央部に「PHP 研究所普及部 PH202L」の文字と数字とが記載されており、これらの表示中「PHP」の文字部分は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であり、また、「PH202L」の表示は、包装用ダンボール箱の代金請求明細書(乙第4号証)の品名の欄にある「PH202L 一式」の表示とも一致するものである。

また、ある商品を販売する場合、その商品を製造した者のみが販売するのではなく、関連会社又は中間流通業者がその商品を販売することは普通に行われているところであるし、その際、関連会社又は中間流通業者等が用いる包装用箱等には、その取扱いに係る商品であることを表示するために自己の商標を明示するのが一般的であるといえる。

そして、この包装用ダンボール箱には、上記のとおり、白抜きで大きく「PHP」の欧文字が記載されているものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。

6 以上のとおりであるから、被請求人は、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者より、請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」に属する「ビデオCDプレーヤー」について使用したことを証明したというのが相当である。

したがって、本件請求に係る指定商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)及びこれらに類似する商品」についての本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものとすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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