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Trademark Appeal Case

商標不使用取消審判の使用要件

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−30968(T2000−30968/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第573286号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成のものであり、昭和31年4月23日に登録出願、第18類「理化学、医術、測定、教育用の器械器具、眼鏡及び算数器の類並にその各部」を指定商品として、同36年6月1日に登録され、その後3回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定商品中「理化学用器械器具、測定用器械器具、体育用器械器具、体操用器械器具及び及びこれらの類似商品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

請求人が調査によれば、本件商標は、その指定商品中「理化学用器械器具、測定用器械器具、体育用器械器具、体操用器械器具及びこれらの類似商品」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何ら正当な理由が存するとも認められない。

これに加え、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならないので、ここに請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の指定商品中、上記商品につき登録取消審判を請求する。

2 答弁に対する弁駁

被請求人が使用の事実を証明する商品「シャーレ」は、大学病院や製薬会社の研究所において大量に使用されるものである。また、「気体採取混合容器」、「採取針」も同様に研究所においての大量に使用されるのが普通である。そして、これらの商品が少量生産品であることを示す事実はない。

にもかかわらず、「STシャーレ」の販売数量はわずか20個、「気体採取混合容器」の販売数量は5本、「採取針」の販売数量も12セットにしかすぎない。これらの商品が、たとえ受注生産品だとしても少なすぎる。これでは、到底社会の需要はまかないきれない。この程度の使用では、商標への業務上の信用は現実には全く化体されないし、化体された信用も消滅する。

被請求人の商品が特別の効能を有する高価な製品であるとか、技術的効果が秀でるものである場合は格別ではあるが、答弁書添付の証拠からは、その事実は見出すことはできない。

不使用取消審判制度の趣旨及びそれを支える商標法の制度目的からかんがみてもこのような商標には、業務上の信用の化体は認められるべきではない。商標登録維持の必要性が、商標選択希望者の意思に一歩譲られるべきである。

この程度の使用しかしない製品に企業が資本投下して使用を継続している事実は、極めて疑わしいものがある。

この疑念は、被請求人が提出した「補充の資料」にある。この資料は商品を特定しない本件商標等を付したラベルであり、これは必要に応じて商品名が付され、商品のケースに張り付けられるもので、使用しているという商品が常に現物代用写真のような状態で販売されているのではない。また、証明書にみられる商品の購入者は被請求人と同じ同業者であり、販売ルートとしては不自然である。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

1 答弁の理由

(1)本件商標は、商標権利者たる被請求により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商品「シャーレ」、「気体採取混合容器」、「採取針」にそれぞれ使用されているものであるから、請求部分に係る本件の登録商標は、取り消されるべきではない。

(2)すなわち、被請求人が使用する商品「シャーレ」は、蓋付の円形皿であり、検査物を入れたり、細菌の培養等に使用されるものであり、第18類「理化学用器械器具」に属する商品である。

また、商品「気体採取混合容器」は、ある気体からなる試料を化学的に分析するガス・クロマトグラフィー分析用器械器具の附属品として使用されるものであり、採取された気体試料の適量を同分析用器械器具に注入するものであり、第18類「理化学用器械器具」に属する商品である。

そして、商品「採取針」は、同様に、液体や気体である試料を、液体試料はガス化して化学的に分析するガス・クロマトグラフィー分析用の器械器具に附属し、シリンジ内に試料を採集する際に使用されるものであり、第18類「理化学用器械器具」に属する商品である。

(3)また、被請求人が商品「シャーレ」、「気体採取混合容器」、「採取針」にそれぞれ使用する商標の構成態様は、乙第2号証ないし乙第7号証に明記されるとおり、本件商標の構成態様と社会通念上、同一といえるものである。

(4)次に、被請求人は、昭和26年1月17日に設立登記された株式会社であり、東京都文京区本郷3丁目24番9号に本店を置き、以来「注射筒、注射針の製造販売及医理化学用硝子製品の製造販売、医療用具の販売及び輸出入に関する業務」を主たる業務としてきたものであるが(乙第1号証参照)、少なくとも昭和61年当時より、商品「シャーレ」、商品「気体採取混合容器」、「採取針」の発売をし、現在に到っているものである。

そして、本件審判請求の登録日から3年以内である平成11年10月頃、本件商標を表示した商品「シャーレ」を販売した事実がある。

この事実を立証するために、被請求人が作成した現物代用写真による登録商標の使用説明書(乙第2号証)と被請求人が販売にあたって発行した納品書の写しを添付したところの取引業者の証明書(乙第3号証)を提出する。

そして、これら現物代用写真による登録商標の使用説明書及び証明書の記載内容からして、平成11年10月12日に、本件商標が、商品「シャーレ」について使用されている事実は明白である。

(5)また、被請求人は、本件審判請求の登録日から3年以内である平成12年4月20日に、本件商標を表示した商品「気体採取混合容器」を取引業者に販売した事実がある。

この事実を立証するために、被請求人が作成した現物代用写真による登録商標の使用説明書(乙第4号証)と、被請求人が販売にあたって発行した納品書の写しを添付したところの取引業者の証明書(乙第5号証)を提出する。

これら現物代用写真による登録商標の使用説明書および証明書の記載内容からして、平成12年4月20日に、本件商標が、商品「気体採取混合容器」について使用されている事実は明白である。

(6)また、被請求人は、本件審判請求の登録日から3年以内である平成12年7月3日に、本件商標を表示した商品「採取針」を取引業者に販売した事実がある。

この事実を立証するために、被請求人が作成した現物代用写真による登録商標の使用説明書(乙第6号証)と、被請求人が販売にあたって発行した納品書の写しを添付したところの取引業者の証明書(乙第7号証)を提出する。

そして、これら現物代用写真による登録商標の使用説明書及び証明書の記載内容からして、平成12年7月3日に、本件商標が、商品「採取針」について使用されている事実は明白である。

(7)このように、被請求人が、本件商標を商品「シャーレ」、「気体採取混合容器」、「採取針」について、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内で使用していることを証明できる以上、請求人の主張が成り立たないこと明らかである。

2 弁駁に対する答弁

(1)商品「シャーレ」は、ステンレス製のものであり、通常提供されている使い捨てを前提としたガラス製・合成樹脂製のものではない。

また、商品「気体採取混合容器」及び「採取針」は、受注を待って製造されるものであり、特に、商品「採取針」にあっては、その直径が0.3〜4.5mmまで0.1mm刻みの直径を有する各種採取針があり、長さは全長5cm〜lmまで5cm刻みの長さを有する各種採取針があり、更に、針先(刃先)の形状は吸上・横穴・普通の3種類があるとともに、針先(刃先)の角度にも12°・30°・45°の3種類がある。そして、これらの直径、長さ、針先(刃先)の形状及び角度を種々組み合わせて特定した注文に応じて製造しているものである。

そして、これら商品は、各種企業や大学の研究室等において専門的に使用されるものであり、使用者の限定された特別な商品といえるものである。

(2)請求人は、被請求人が提出した「登録商標の使用説明書」の「補充の資料」によれば、商品を特定しない本件商標等を付したラベルであり、これに必要に応じて商品名が付され、商品のケースに貼付されるものであると主張されるが、これは前述したとおりに、商品サイズなどが多種・多様にわたるために、そのつど商標を付したラベルに商品名やサイズをゴム印等によって表示しているものであって、被請求人による従来からの商品表示方法である。

(3)さらに、同業者の証明書について反論する。

被請求人は、製造及び卸売を業とするものであって、小売はしていない。販売店(小売店)からの注文に応じて、商品「シャーレ」、「気体採取混合容器」、「採取針」を製造し、販売店(小売店)へ卸売をしているものであるから、被請求人からの売り先は同業者である販売店(小売店)となるのは当然であり、同業者発行に係る証明書となっものである。

(4)次に、商標法第50条第1項また同条第2項の規定では、登録商標が指定商品に使用された事実が問われているものであり、使用された商品の多寡や数量を問うているものではない。

第4 当審の判断

1 乙第1号証ないし乙第7号証及び主張の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

(1)日本国内において、被請求人が、平成11年10月12日に「シャーレ」を20個、平成12年4月20日に「気体採取混合容器」を5本、平成12年7月3日に「採取針」12本を販売し、これらの商品には本件商標が使用されていた事実。

(2)上記「シャーレ」、「気体採取混合容器」及び「採取針」は、いずれも本件商標の指定商品中の「理化学用器械器具」に属する商品であること。

2 被請求人は、被請求人が販売した上記「シャーレ」、「気体採取混合容器」及び「採取針」の販売数量はわずかであり、この程度の本件商標の使用をしても商標への業務上の信用は現実には全く化体されないし、化体された信用も消滅するとか、この程度の使用しかしない製品に企業が資本投下して使用を継続している事実は、極めて疑わしいものがあるとか主張する。

しかしながら、上記「シャーレ」、「気体採取混合容器」及び「採取針」は、使用者が限られている商品であって、大量に取引される商品ではないと認められ、また、これら商品に本件商標を使用した事実について記述する請求人の主張及びこの事実を立証をするとして提出した乙第2号証ないし乙第7号証には不審とすべきところは見あたらない。

そして、上記(1)で認定の本件商標の使用事実があることから、この点の請求人の主張は採用できない。

3 以上によれば、本件審判の請求の登録(平成12年9月13日予告登録)前3年以内に被請求人(商標権者)が、日本国内において本件商標をその指定商品中の「理化学用器械器具」に属する商品「シャーレ」「気体採取混合容器」及び「採取針」に使用したものであるから、本件請求に係る指定商品「理化学用器械器具、測定用器械器具、体育用器械器具、体操用器械器具及びこれらの類似商品」についての本件商標の登録を商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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