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Trademark Appeal Case

称呼類似と商品類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35085(T2002−35085/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4430648号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成より、平成10年4月6日に登録出願、第29類「加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、同12年11月2日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4249485号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの「液キャベコーワ」の文字を横書きしてなり、平成9年9月26日に登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同11年3月12日に設定登録されたものである。同じく、登録第3211954号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの「液キャベコーワ」の文字を横書きしてなり、平成5年7月5日に登録出願、第5類「液剤」を指定商品として、同8年10月31日に設定登録されたものである。(以下、「引用商標1」と「引用商標2」を併せていうときは「引用商標」という。)

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録は、第29類の指定商品中『調理用野菜ジュース』及び第32類の指定商品中『清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース』について無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標の構成に徴すれば、本件商標から「キャべ」なる自然称呼の生じることは極めて明らかである。このことは被請求人自身無効2001−35553事件において、本件商標中、「fiber」「ファイバー」の語は「食物繊維」を直感せしめる原材料もしくは品質表示に過ぎないため、それ自体には自他商品識別力が認められず、本件商標から「キャベ」なる称呼が生じると明確に主張・自認している事実(甲第4号証)から明らかであり、両当事者間に全く異論はない。

他方、引用商標1の商標構成、特に「キャべ」と「コーワ」との間にスペースがもうけられて分断表示されている構成に徴すれば、該商標から「キャべ」なる自然称呼の生じることも極めて明らかである。このことは被請求人自身前述の無効2001−35553事件において、登録第4457602号商標「液キャベコーワミニ」から「キャべ」なる称呼が生じると明確に主張・自認している事実(甲第4号証)によっても全く異論のないところである。

してみれば、本件商標と引用商標1とは何れも「キャべ」なる称呼を以って商取引せられるものであって、称呼上類似の商標たるを免れない。なお、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品が同一又は類似の商品であることは論ずるまでもなく自明である。

引用商標2の商標構成に徴すれば、該商標から「キャべ」なる自然称呼の生じることも、前記甲第4号証における被請求人の主張から自明である。

してみれば、本件商標と引用商標2とは何れも「キャべ」なる称呼を以って商取引せられるものであって、称呼上類似の商標たるを免れない。

ところで、引用商標2の指定商品が「液剤」であるのに対し、本件商標の指定商品は「清涼飲料」等の食品である。

しかしながら、近年厚生労働省の許可に係る特定保健用食品(通称「トクホ」)が、コンビニ・ドラッグストア・スーパー等のドリンクコーナーや食品コーナーで広く販売されている。この特定保健用食品は、各種試験データにより、予め効果効能や安全性が科学的に確かめられたものについて、その効果効能を表示することを厚生労働省によって認められた食品で、一般の食品に比し、より「薬」に近似するものである。

したがって、このような特定保健用食品を含む本件商標の指定商品「清涼飲料」等と引用商標2の指定商品「液剤」とは、効果効能が表示される同じドリンクタイプとして少なくとも類似の商品たるを免れない。

よって、本件商標と引用商標とはそれぞれ類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

以上説述した如く、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、引用商標1からは「エキキャベコーワ」の称呼のみが生じる旨主張する。

しかしながら、被請求人自身甲第4号証の第3頁において、「『液キャベコーワミニ』中の『液』は単に商品の性状を表すことから、自他商品識別力を発揮することなく捨象される。」と主張している事実に徴すれば、引用商標1中の「液」も商品の性状を表すものとして当然に捨象されるものであることは、被請求人においても否定し得ないはずである。

してみれば、引用商標1からは「エキキャベコーワ」の称呼のみしか生じないとする被請求人の上記主張自体自己矛盾であり、正に詭弁と云うの外ない。

しかも、引用商標1中の「コーワ」は、請求人会社の著名な略称であると共に、医薬品等について周知著名な商標でもある。このことは当業界はもとより特許庁においても顕著な事実であると確信するが、参考までに「新版日本有名商標録」を甲第5号証として提出する。

しかして、引用商標1に接した取引者・需要者は、当該商標中の「コーワ」の部分から、まず、請求人会社を直感する結果、「キャべ」と「コーワ」との間にスペースが設けられていることとも相俟って、簡易迅速を旨とする商取引の実際においては、単に「キャベ」の称呼を以って商取引するのがむしろ自然である。このことは引用商標1のデータを示す甲第2号証に、検索用称呼として「キャべ」が明記されている事実によっても明らかである。

他方、本件商標から「キャべ」なる称呼が生じることには当事者間に争いはない。

したがって、本件商標と引用商標1は何れも「キャべ」なる称呼を以って商取引せられるものであって、称呼上類似の商標たるを免れない。

(2)被請求人は、引用商標2に関し、異なる商品区分間における指定商品同士が、押しなべて類似とされるのであれば、商品区分を設けた意味も、商品区分ごとに登録する意味も失われ、現行法は抜本的に崩壊する旨主張する。

しかしながら、請求人は、異なる商品区分間における指定商品同士が押しなべて類似であると主張しているのではない。

すなわち、請求人は、特定保健用食品が、コンビニ・ドラッグストア・スーパー等において医薬品と同様に一定の効果効能を表示して広く販売されている商取引の実態、特にドラッグストアにおいては特定保健用食品が一定の効果効能を表示して医薬品と共に販売されている商取引の実態に徴し、一定の効果効能表示が可能な栄養補給飲料を含む本件商標の指定商品「清涼飲料」等と栄養剤を含む引用商標2の指定商品「液剤」とは同じドリンクタイプとして健康増進用に供されていることとも相俟って、少なくとも相互に類似の商品たるを免れない、と主張しているのである。

しかも、商標法第6条第3項は、「前項の商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない。」と明確に規定しており、事実異なる商品区分間における類似商品は多数存在している。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。

1 引用商標1の外観は、明朝体漢字「液」と片仮名「キャベコーワ」を一体不可分に結合している。その構成態様のすべてが同大であることは、甲第2号証からみて明らかである。そうであれば、引用商標1からは、「エキキャベコーワ」の称呼のみが生ずるとみるのが相当である。よって、本件商標と引用商標1とは称呼の点において非類似である。

次いで、引用商標2の商品は、商品区分第5類であるところ、本件商標のそれとは全く異なる商品区分である。商標は、商品区分ごとにおいて登録を受けることから、商品区分が異なれば、例え商標が同一であろうとも全く別の商標として確立される。このことから、本件商標と引用商標2とは彼此と比照すべくもない。

2 請求人は、本件商標と引用商標1とが類似する根拠として、引用商標1の外観において「キャべ」と「コーワ」とが分断されると主張しているが、引用商標1を一見すれば、誰がみても一体不可分の商標として理解されるものである。次いで、請求人は、商標「液キャベコーワミニ」についての審判事件(無効2001−35553)を援用するが、該「液キャベコーワミニ」は、明らかに文字の大きさの大小を見てとれるものであり、該審判事件はそのまま本件に援用できないものである。

次いで、引用商標2の「清涼飲料」が、特定保健用食品を含み左記商品がコンビ二やドラッグストアやスーパーで販売されること、及び左記特定保健用食品が効能効果を表示することから、「清涼飲料」がより「薬」に近似すると主張している。

異なる商品区分間における商品の類否については、具体的に使用された指定商品同士の状況を個別に且つ仔細に検証されて始めて可能となる。しかるに、請求人が主張される根拠によって、異なる商品区分間における指定商品同士が、押しなべて類似とされるのであれば、商品区分を設けた意味も、商品区分ごとに登録する意味も失われ、現行法は抜本的に崩壊する。

3 以上の理由により、本件商標は、引用商標に類似しないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。よって、商標法第46条第1項の規定に該当することもない。

第5 当審の判断

本件商標は、上記のとおり、飾り記号と理解される「ー」を文字の左右に記した「Cabefiber」の欧文字を上段に、また、その読み音とみて自然な「キャベファイバー」の片仮名文字を下段に大きく、太く表示してなるところ、構成各文字はそれぞれ同じ書体・同じ大きさ・等間隔にまとまりよく一体に表されており、文字間に軽重の差を見出すことができないばかりでなく、これより生ずる「キャベファイバー」の称呼も冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、例え、構成中の「fiber」及び「ファイバー」の語が、食品の分野で「食物繊維」意味し、商品の原材料表示として使用される場合があるとしても、かかる構成においては商品の品質を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものとはいい難く、本件商標は、その構成全体をもって、把握、認識されるというのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、該文字に相応して「キャベファイバー」のみの称呼が生ずるものである。

他方、引用商標1は「液キャベ」と「コーワ」の文字間に若干のスペースと文字の大小の差異を、また、引用商標2は文字の大小、太さの差異を有すること、及び引用商標において「コーワ」の文字部分が請求人会社のハウスマークして知られるものであって、「液キャベ」と「コーワ」の文字は分離して認識されるものとみるのが相当である。

しかしながら、「液キャベ」の文字部分は、同じ書体をもって簡潔にまとまりよく構成されており、例え、構成中の「液」の語が、商品の性状表示として使用される場合があるとしても、かかる構成においては商品の品質を具体的に表示するものとして直ちに理解し得るものともいい難い。

そして、通常の市場取引においても、引用商標が単に「キャベ」の略称をもって取引されているとする証拠の提出はない。

そうとすれば、引用商標より生ずる称呼は、「エキキャベコーワ」、「エキキャベ」及び「コーワ」であるといわざるを得ない。

そうすると、本件商標から生ずる「キャベファイバー」の称呼と、引用商標から生ずる「エキキャベコーワ」、「エキキャベ」及び「コーワ」の称呼とは「ファイバー」、「エキ」、「コーワ」の音の有無に差異があるから、称呼上区別し得るものである。

また、本件商標は、特定の観念を生じ得ない一種の造語と認められ、両者は観念上比較し得ないものであり、かつ、それぞれの構成からみて外観上も区別し得るものである。

請求人は「特定保健用食品を含む本件商標の指定商品『清涼飲料』と引用商標2の指定商品『液剤』とは、効果効能が表示される同じドリンクタイプとして類似する。」旨主張しているが、商品の区分第32類に属する「清涼飲料」と第5類に属する「液剤」とは、その商品の生産者、販売者、取扱い系統、材料、用途等を必ずしも同じくするとはいい得ない非類似の商品と認められるものであるから、この点に関する請求人の主張は採用し難い。

してみれば、本件商標と引用商標は、その指定商品の類否にかかわらず、商標において外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しないものである。

したがって、本件商標は、その指定商品中「第29類『調理用野菜ジュース』及び第32類『清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース』」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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