結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2001−35376(T2001−35376/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4335415号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成10年10月9日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,かばん金具,がま口口金,傘」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻類,下着,水泳着,水泳帽,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」を指定商品として、平成11年11月19日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1342698号商標は、「gap」の欧文字を横書きしてなり、昭和49年9月26日に登録出願、第21類「装身具、袋物、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和53年8月25日に設定登録され、二度の更新登録を経た後、平成13年9月13日に放棄による抹消の登録がなされているものである。同じく、登録第1384695号商標は、「gap」の欧文字を横書きしてなり、昭和49年9月26日に登録出願、第17類「被服(但し、洋服、コートを除く)布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和54年7月31日に設定登録され、二度の更新登録を経た後、平成13年9月13日に放棄による抹消の登録がなされているものである。同じく、登録第1579390号商標は、「THE GAP」の欧文字を横書きしてなり、昭和51年10月13日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和58年4月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第1634640号商標は、「ギャップ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和55年11月6日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和58年11月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第1634641号商標は、「ザ ギャップ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和55年11月6日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和58年11月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第2237980号商標は、「GAP」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年10月2日に登録出願、第21類「皮製ベルト、布製ベルト、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年6月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。同じく、登録第2481552号商標は、「GAP」の欧文字と「ギャップ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、昭和60年4月11日に登録出願、第22類「はき物(運動用特殊靴を除く)かさ、つえ、これ等の部品及び附属品」を指定商品として、平成4年11月30日に設定登録され、その後、平成13年9月13日に放棄による抹消の登録がなされているものである。同じく、登録第2481553号商標は、「THE GAP」の欧文字と「ザ ギャップ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、昭和60年4月11日に登録出願、第22類「はき物(運動用特殊靴を除く)かさ、つえ、これ等の部品及び附属品」を指定商品として、平成4年11月30日に設定登録され、その後、平成13年9月13日に放棄による抹消の登録がなされているものである。同じく、登録第2584331号商標は、「GAP」の欧文字を横書きしてなり、平成1年2月8日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、平成5年10月29日に設定登録されたものである。同じく、登録第3035792号商標は、「ギャップ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年7月13日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」を指定商品として、平成7年3月31日に設定登録されたものである。同じく、登録第3035793号商標は、「GAP」の欧文字と「ギャップ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成4年7月13日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」を指定商品として、平成7年3月31日に設定登録されたものである。同じく、登録第3040951号商標は、「ギャップ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年7月13日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,運動用特殊衣服」を指定商品として、平成7年4月28日に設定登録されたものである。同じく、登録第3040952号商標は、「GAP」の欧文字と「ギャップ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成4年7月13日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,運動用特殊衣服」を指定商品として、平成7年4月28日に設定登録されたものである。同じく、登録第3359883号商標は、「GAP」の欧文字を横書きしてなり、平成5年12月9日に登録出願、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・宝石箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて」を指定商品として、平成9年11月14日に設定登録されたものである。
以下、これらを合わせて「引用商標」という。
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)請求の理由
(ア)引用商標の周知性について
引用商標は、請求人であるザ ギャップ インコーポレイテッドが、被服、履物、かばん類等に長年に亘り使用している著名商標である(甲第16号証ないし甲第23号証)。
ファッションブランド「GAP」の誕生は1969年にサンフランシスコに衣料ストアとして創業されたことに溯る。「GAP」スタイルはジーンズ、カーキ一、ティーシャツ、ジャケットに代表されるアメリカン・カジュアルスタイルであり、そのシンプルなデザインに加えて、手頃な価格が消費者を引き付けた。そして「GAP」ではその独特のマーケティング手法を取り入れることで販売高を順調に伸ばし続けている。過去3年をとってみても、1997年6,507,825,000米ドル、1998年9,054,462,000米ドル、1999年11,635,398,000米ドルと178.8%の驚異的な伸びを示している。その店舗数も、1999年度末において「GAP KIDS」も含め、米国、カナダ、フランス、ドイツ、日本、英国に合わせて2160店舗を展開するに至っている(甲第16号証及び甲第17号証)。
日本には1995年に東京の数寄屋橋阪急に一号店を出店した(甲第18号証)のを皮切りに、店舗を増やし続け、1998年度末時点で31店舗、1999年度末時点で全国で53店舗を数えるに至っている(甲第17号証)。特に1999年秋には米国外では最大規模の旗艦店を東京原宿にオープンしたことで話題を呼んだ。1999年にはその斬新なTVCMで雑誌「広告批評」の1999年度CMベストテンで第2位(第1位なし)に選ばれている(甲第18号証及び甲第19号証)。
請求人はこのような著名商標「GAP」を保護すべく、日本を始めとする世界各国において「GAP」及びその関連商標に係る商標権を獲得している(甲第20号証)。
請求人の商標「GAP」の著名性については、過去の異議申立事件(異議2000−90241、異議2000−90242)の決定においても認定されたところである(甲第22号証及び甲第23号証)。
以上より、引用商標は本件商標の出願時である平成10年10月9日時には米国及び日本を含めた世界各国において請求人の販売する衣服、履物、かばん類等を表示するものとして著名になっていたと確信する。
(ロ)本件商標と引用商標の類否
本件商標はその文字に相応して「エヌギャップアクションペイント」の称呼が生じるところ、全体として実質12音と極めて長い音構成よりなること、また、本件商標を構成する「nGAP」部分は「actionpaint」部分より大きく表示されていることから、「nGAP」部分と「actionpaint」部分に分離して認識されるものである。
ここで「nGAP」部分を観察するに語頭の「n」は小文字で表記され、「GAP」部分は大文字で表記されていること、当該「GAP」部分が請求人の著名商標「GAP」と同一の綴りよりなることから、本件商標に接した需要者は「GAP」の文字を認識し「ギャップ」と称呼する可能性が大きいものと認められる。
このように「ギャップ」と称呼され得る本件商標と引用商標は称呼上明らかに類似するものである。なお、「G」と「A」の間に配置された逆三角形の図形は本件商標から「ギャップ」なる称呼が生じることを否定し得る程の存在ではない。
さらに、本件商標は引用商標と同一又は類似の商品に使用されるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(ウ)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、請求人の商品を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似し、その商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものである。
(エ)商標法第4条第1項第15号について
請求人の商品を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者をして、その商品が請求人の提供にかかわるものであるかのごとく、あるいは、同人と何等かの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され、出所混同を生ぜしめるおそれがあることが極めて高いといわざるを得ない。
特に本件商標に係る指定商品「かばん類、袋物、洋服等」は、上述の如く、まさしく請求人の著名商標「GAP」に係る商品である。本件商標が指定商品に使用された場合には著名商標「GAP」との間に混同が生じるおそれが極めて高いといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(オ)商標法第4条第1項第7号について
カジュアルファッションブランドとして著名な引用商標と相紛らわしい本件商標を、請求人とは何ら関係のない他人が自己の商品について商標として採択し使用することは、本来みずからの営業努力によって得るべき業務上の信用の維持をはかる商標法の目的に反し、該名称の著名性にフリーライドするものであり、また、著名商標「GAP」に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、商標制度の趣旨に則しないものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(カ)むすび
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第7号に該当し、同法第46条第1項第1号の規定により無効にされるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)商標法第4条第1項第11号について
本件商標中の「n」が小文字の「n」のレタリングとして一般的に使用されていたとしても、そもそも当該文字が小文字である点には変わりがない。単語の最初の文字が大文字であって、その後ろの文字が小文字であるならばともかく、本件商標の上段のように、最初の文字が小文字の「n」であって、その後ろに大文字の「G」「A」「P」が続く場合に、需要者が当該4つの文字を常に一連一体にとらえると考えるべき合理的な理由はない。むしろ、これに接する需要者は、当該部分を小文字の「n」と、「隔たり」等を意味する語として広く親しまれている英単語「gap」を直感させる大文字の「GAP」部分に分けて認識すると考える方が自然である。そうすると、大文字の「GAP」部分から「ギャップ」のみの称呼が生ずると考えられる。
また、「G」と「A」の間に描かれた三角形であるが、これは単に背景の一部として描かれているものであって、本件商標から生ずる称呼に直接的に影響を及ぼすものではない。
よって、三角形の存在自体は、本件商標から「ギャップ」の称呼が生じないことの理由にはならない。
「A」の文字が右側に傾いている点を加味すると、三角形が存在しない場合の方が、「G」と「A」の間に隙間ができるため、当該欧文字部分が「n」「G」と「A」「P」に分断して看取される可能性が高い、とも考えられる。そうすると、当該三角形の存在は、むしろ「G」と「A」の間の隙間を埋めることにより、両者の結合を強めているともいえるから、より「GAP」の結合性が顕著になるであろう。
以上より、本件商標中、上段部分は外観上、「n」と「GAP」に分離してとらえられ、「GAP」部分から「ギャップ」のみの称呼が生ずるものである。
欧文字の羅列の中に、日本語の母音に当たる文字(a,i,u,e,o)が含まれている場合、我が国では当該文字の羅列をローマ字読み又は英語読みするのが一般的である。その方が称呼が短縮され、需要者において称呼しやすいからである。
このような一般的な称呼方法に鑑みると、本件商標の場合、仮に上段部分「nGAP」を外観上一連にとらえることができたとしても、そこからは「エヌギャップ」という称呼が生ずると考える方が、むしろ自然である。小文字の「n」と大文字の「GAP」という構成から考えても、その方が自然というべきである。したがって、当該部分から「エヌジーエーピー」という冗長な称呼が生ずると、あえて考えるべき特段の事情はない。
そうすると、本件商標上段部「nGAP」からは「エヌギャップ」の称呼が生ずるから、引用商標の称呼「ギャップ」を含むことが一層明確になろう。ここで、引用商標は需要者に広く知られているため、「エヌギャップ」という称呼を耳にした需要者は、「ギャップ」の部分により強く引きつけられ、当該部分がより強く印象に残ると考えられる。
したがって、本件商標の上段部を一体にとらえて、ここから「エヌギャップ」の称呼が生ずると考えられるとしても、「ギャップ」部分の著名性により、引用商標の称呼と混同を生ずるほどに類似しているというべきである。
更に、そもそも本件商標中の上段欧文字部の最初に位置する図形が、常に欧文字「n」と認識されるとはいい難い。
確かに、本件商標の上段中最初の図形は「n」と認識される可能性も幾分かはあろうが、当該文字は大文字の「U」を逆さまにした態様にも見える図形である。したがって、ここから連想される様々な形態、例えば「U」字型の磁石や、かばんの持ち手部分、或いは「U」字型のブロックを輪切りにしたもの、トンネルの断面、等を表す図形とも認識され得るものである。当該図形が非常にシンプルな形状であるだけに、明らかに欧文字の「GAP」と認識される2文字目以降と比較すると、これが欧文字と認識されない可能性の方が高いといわねばならない。
そうすると、当該図形部分から称呼は生じないのであるから、「ギャップ」のみの称呼が生ずるものである。
本件商標は、「被服」などに周知・著名である引用商標「GAP」と、「n」(又は一種の図形)が結合してなる部分「nGAP」を含む商標であって、当該部分が既成語の一部になっているともいえないから、両者は類似するといえる。
以上より、本件商標は、請求人の引用商標と、外観及び称呼において類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(イ)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
請求人の引用商標は、本件商標の出願時・登録時には、既にカジュアルファッションブランドとして著名になっていたと考えられる。また、本件商標が著名商標である「GAP」の文字を含んでいることは、外観上明白である。しかも、上述のとおり、「n」(若しくは一種の図形)と、後ろに続く「GAP」部分は、分離してとらえられる可能性が非常に高いものである。
そうすると、仮に本件商標と引用商標とが、外観、称呼及び観念上類似しないと考えられる場合であっても、引用商標が周知・著名となっている「被服」や、これと関連性の深いファッション関係のアイテムである「かばん類,袋物」等ついて本件商標を使用すると、需要者が本件商標から請求人の引用商標を連想・想起したり、当該商品を請求人の業務に係る商品と誤認し、又は請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その出所について混同するおそれがあることは十分に推認できるはずである。
また、本件商標の上段部分「nGAP」については、現に「n」部分と「GAP」部分を、完全に分離した態様で使用がなされている事実がある(甲第25号証)。
(ウ)商標法第4条第1項第7号について
被請求人は、カジュアルファッションブランドの商標として著名になった請求人の引用商標「GAP」の文字を明らかに含む本件商標を、「被服」や「かばん類」に使用することにより、請求人の長年に亘る使用によって引用商標に化体した業務上の信用、名声、顧客吸引力にフリーライドしていると考えられる。上述のとおり、本件商標の出願時・登録時には、引用商標が「被服」について著名になっていたことは明らかである。そして、商標権者は「被服、かばん類」等を指定商品としている以上、アパレル業界に属する者、又はその関係者であろうから、周知・著名である請求人の引用商標の存在を出願前に当然知っていたものと推認できる。商標選択の幅は広いにもかかわらず、被請求人は「GAP」を含む本件商標をあえて選択した上、上述のように「N」と「GAP」が完全に分離するような態様での使用をしていることにも鑑みると、被請求人による不正な「ただ乗り」の意思が一層明白に推認できるものである。
海外において周知・著名なファッションブランドが、次々と日本に直接参入している現在、このような本件商標の登録を認めることは、国際信義に反するといえよう。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を概略次のように述べた。
(1)商標法第4条第1項第11号について
請求人は、本件商標はその構成文字に相応して「エヌギャップアクションペイント」の称呼を生じるところ、全体としての称呼は実質12音と長く、また本件商標「nGAP」部分は「actionpaint」の部分より大きく表示されていることから該両部分は分離して認識されるものであり、「nGAP」の文字中「GAP」部分は請求人の著名商標「GAP」と同一の綴りよりなるので需要者は「GAP」の文字を認識し「ギャップ」と称呼され得るものと主張している。
しかしながら、本件商標は、レタリング化して表された欧文字「n」「G」と「A」「P」の文字間に斜め型の三角形の図形を配し、その下部には「actionpaint」の文字を横書きしてなる構成のものであるところ、構成中の「n」「G」「A」「P」の文字と「actionpaint」の両文字は、大きさ、書体を著しく異にして表してなるものであるから、これに接する取引者・需要者は、構成中の上段の「n」「G」「A」「P」の文字部分のみを捉えてこれより生ずる称呼をもって取引にあたる場合も少なくないものとみられるところである。
そして、該文字中「n」は小文字であるがその形状は大文字の「U」を逆さまにした態様で表示されているところ、これは「n」のレタリングとして普通一般に使用されている表現方法であるから、該部分は「n」「G」「A」「P」の各文字を同じ書体、同じ大きさで表されており、かつ、「n」「G」「A」「P」の文字間には三角形の図形が顕著に描かれているところから、これに接する取引者・需要者は「n」「G」と「A」「P」との文字部分に分離して看取する場合があるとしても、これを「エヌジーエーピー」と一連にのみ称呼するものとみるのが自然なものであるというべきである。
そうとすると、本件商標を構成する上段の文字中の「G」「A」「P」の文字部分のみを抽出して、これより「ギャップ」の称呼をも生ずるという請求理由は適切なものとはいえないものである。
また、本件商標と引用商標とは前記の構成態様よりなるものであるから、外観及び観念上類似するものとはいい得ないとみられるものであるから、本件商標と引用商標とは類似するとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標は、請求人の商品を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似し、その商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから著名商標「GAP」との間に出所の混同を生じるおそれがあると主張している。
しかしながら、引用商標がカジュアルファッションブランドとして需要者間に著名であっても、本件商標と引用商標とは上記に述べたごとく外観はもちろんのこと、称呼、観念上において著しく相違するものといえるところである。
そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者が引用商標を連想・想起したり、その商品が請求人又は請求人と組織的・経済的に何らかの関係を有するものの業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同するおそれはないものというべきである。
(3)商標法第4条第1項第7号について
カジュアルファッションブランドとして著名な引用商標と相紛らわしい本件商標を請求人と何ら関係のない他人が自己の商品について商標として採択使用することは公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであると主張している。
しかしながら、本件商標は、矯激、卑猥、差別的な印象を与えるような文字からなるものではなく、また、本件商標を指定商品について使用することが社会公共の利益・一般道徳観念に反するものでないものであり、かつ他の法律によってその使用が禁止されているともいえないものである。
(4)結論
してみると、本件商標は、被請求人がその指定商品について使用しても、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第7号に何等違反して登録されたものとはいえず、その登録を無効にすることはできないものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲のとおり、レタリング化して表した欧文字の「n」「G」と「A」「P」の間に斜め型の三角形の図形を配し、その下部に「actionpaint」の文字を横書きした構成よりなるものであるところ、構成中の「n」「G」「A」「P」の文字と「actionpaint」の両文字は、大きさ、書体を著しく異にして表してなるものであるから、これに接する取引者・需要者は、構成中の上段の「n」「G」「A」「P」の文字部分のみを捉えこれより生ずる称呼をもって取引にあたる場合も少なくないものとみるのが相当である。
そして、「n」「G」と「A」「P」の文字部分の間に斜め型の三角形の図形が描かれていることより、取引者・需要者は「n」「G」と「A」「P」との文字部分に分離して看取する場合があるとしても、その「n」「G」「A」「P」の各文字は、同じ書体、同じ大きさで表され、外観上まとまりよく一体的に看取し得るものであるから、これよりは「エヌジーエーピー」と一連にのみ称呼するものと判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標より「ギャップ」の称呼を生ずるということはできないから、本件商標から「ギャップ」の称呼を生ずるとした上で、本件商標と引用商標との類似を述べる請求人の主張は妥当でなく、その理由をもって両者を称呼上類似のものとすることはできない。
そして、本件商標と引用商標は、別掲または前記の構成よりみて、外観及び観念においても判然と区別し得るものであって、互いに相紛れるおそれはないものというべきである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点よりしても互いに区別し得る非類似の商標といわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
請求人の提出に係る甲各号証によれば、引用商標が請求人のカジュアルファッションブランドとして取引者、需要者間に相当程度知られていることが認められるとしても、本件商標と引用商標とは、前記の如く商標が著しく相違する別異のものである。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者が引用商標を連想・想起したり、その商品が請求人又は請求人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、前記のとおり、引用商標とは著しく相違する別異のものであって、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な印象を与えるような文字又は図形からなるものでなく、また、本件商標を指定商品について使用することが社会公共の利益・取引秩序の維持・国際信義に反するものとすべき事実は認められず、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第7号に違反して登録されたものではなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
なお、請求人は、弁駁書において、被請求人が本件商標を実際に使用している態様であるとして甲第25号証を挙げ、甲第26号証及び甲第27号証を根拠に登録後の事情であってもそれを斟酌することは許されるものである旨述べているが、提出された甲第25号証に表示の「N GAP」の文字は、その表示態様上自ずと「N」と「GAP」とに分離して認識される点で本件商標とは自他商品識別標識として同一の機能を果たし得ない別個のものというべきであって、本件商標の使用とはいい得ないものであるから、該使用をもって上記判断が左右されるいわれはない。また、甲第25号証は、本件商標の登録出願後のものであって、それをもって直ちに本件商標の登録出願時に被請求人により不正な「ただ乗り」の意思があったものとまでは認めることはできない。したがって、これら甲号証に基づく請求人の主張は採用の限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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