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Trademark Appeal Case

不使用取消における商品区分

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−30884(T2001−30884/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4141792号商標の指定商品中「薬剤」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4141792号の商標(以下「本件商標」という。)は、「アパガード」の片仮名文字と「APAGARD」の欧文字を二段に書してなり、平成8年6月4日登録出願、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用腕環,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,失禁用おしめ,人工受精用精液,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,乳児用粉乳,乳糖,はえ取り紙,ばんそうこう,包帯,包帯液,防虫紙」を指定商品として、同10年5月1日に設定登録されたものである

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出している。

1 本件商標はその指定商品中「薬剤」について、少なくとも過去3年以上日本国内において、商標権者によって使用された事実がない。加えて、商標登録原簿上において、通常使用権および専用使用権等の設定登録がなされておらず、使用権者が使用していることも考えられない。よって本件商標はその指定商品中「薬剤」については、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 被請求人は商品「薬用歯みがき」と「マウスウオッシュ」における商標「アパガード/APAGARD」の使用実績の証拠を示し、これらの証拠から取消に係る商品「薬剤」について本件商標を使用していたと主張する。

しかしながら、被請求人が本件商標を使用していたとする商品「薬用歯みがき」と「マウスウォッシュ」はいずれも第3類「歯磨き」(類似群04B01)に属するものであり、取消に係る第5類「薬剤」(類似群01B01)に属するものではないから、被請求人は取消に係る商品「薬剤」について本件商標を使用していないことは明らかである。

すなわち、被請求人が本件商標を使用していたとする商品「薬用歯みがき」と「マウスウォッシュ」はいずれも特許庁ホームページの特許電子図書館の提供サービス一覧に掲載されている「商品・役務名リスト」によれば第3類「歯磨き」(類似群04B01)に属することが記載されている。これらの甲号証から被請求人のその余の主張を検討するまでもなく被請求人が本件商標を商品「薬剤」について使用していないことは明らかである。

したがって、本件商標はその指定商品中「薬剤」について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

なお、被請求人は登録第4229134号において第3類「歯磨き」の指定商品で商標「アパガード/APAGARD」を所有しており、使用実績の証拠として提出された商品はこの商標登録によって保護されるものと思料する。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第9号証を提出している。

1 本件商標は、片仮名文字「アパガード」と欧文字「APAGARD」を書してなる構成であり、本件審判事件における、取消請求に係る指定商品は「薬剤」であって、その審判請求日は、平成13年8月9日であるところ、被請求人は、本件商標を「薬剤」について、審判請求日以前から、日本国内において使用している。

乙第1号証は包装箱であるが、その正面、上面、底面に「APAGARD」の欧文字、その両側面及び背面に「アパガード」の片仮名文字が配されてなるものであり、商品は「薬用歯みがき」である。

また、乙第2号証は、商品「マウスウォッシュ」の包装容器であるが、正面に「アパガード」の片仮名文字と「APAGARD」の欧文字を配し、その下段に「口臭防止」と書されているものである。

これら乙第1〜2号証をもってしても、我が国の取引市場に供されていることは客観的に明らかであると思料するが、なお、本件審判請求前に、取引されていたことを立証するために、売上伝票を提出する(乙第3〜4号証)。

乙第3号証の売上伝票は、日付が「20010710」とあることから、2001年7月10日付であること、また商品名が「アパガードMプラス135g」とあることから、乙第1号証背面の表示と同一であることがわかる。

また、乙第4号証の売上伝票は、日付が「20010723」であるから、2001年7月23日、商品名が「アパガードマウスウオッシュ300ml」であることから、乙第2号証と同一の商品であることがわかる。

したがって、本件商標は、商品「薬用歯みがき」及び「マウスウォッシュ」について本件審判請求前に使用されていたことは明らかである。

ところで、この「薬用歯みがき」と「マウスウォッシュ」は、第5類の「薬剤」に属するものであると思料する。すなわち、「商品及び役務区分解説」によると、「薬剤」の概念には、次のものが含まれるとされ、第一に「薬事法(昭和35年法律145号)の規定に基づく”医薬品”の大部分で、‘‘医薬品”とは、ア.日本薬局方に収められている物、イ.人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、器具器械(歯科材料、医療用品及び衛生用品を含む。以下同じ。)でないもの(医薬部外品を除く。)、並びに、ウ.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、器具器械でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)とされている。

第二に、同法にいう ”医薬部外品”の一部とあり、薬事法に規定する“医薬部外品”のうち、例えば、「薬用ベビーパウダー」「薬用ベビーオイル」「口中清涼剤」「殺虫剤」「殺そ剤」等が含まれる。ただし、”医薬部外品”であっても、その使用目的において身体を清潔にし、美化し、魅力を増す等の用途に使用されるもの、例えば、”薬用化粧品”は、第3類化粧品に含まれる、とある。

薬事法第2条第2項の規定に基づく医薬部外品については、昭和36年2月1日厚生省告示第14号において、「二 次に掲げる物であって、人体に対する作用が緩和なもの」が列記され、その中で(3)薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第三項に規定する使用目的のほかに、(中略)口腔くうの殺菌消毒に使用されることもあわせて目的とされている物、さらに(8)のどの不快感を改善することが目的とされている物が指定されている。なお、「医薬部外品製造承認申請書を証拠として提出する(乙第5〜6号証)。

すなわち、これらの規定を総合すると、「薬用歯みがき」及び「マウスウォッシュ」は、第5類「薬剤」に属するものと思料する。

よって、被請求人は、取消に係る商品「薬剤」について、本件商標を、本件審判請求日前から使用しているものである。

2 本権審判の予告登録日は、平成13年9月5日であるところ、被請求人は、日本学術振興会の「平成12年度基盤研究(A・B)研究計画調書(新規)」(乙第7号証)にあるとおり、平成12年から「齲蝕の実体調査と初期齲触の治療に関する研究」、すなわち、「薬剤」に関する研究に着手していた。その後、「平成13年度厚生科学研究費補助金創薬研究事業『重点研究創薬等ヒューマンサイエンス総合研究』参加申請書(新規)」(乙第8号証)にあるように、「健康保持増進・予防医薬品の開発に関する研究」の分野における「ロ腔内バイオフィルムの除去技術の開発」を課題とする研究に取りかかった。その研究内容は、「個人別のトレーと抗菌剤を用いたデンタル・ドラッグ・デリバリー・システム(3DS)により、口腔内バイオフィルム形成細菌を除菌し、医薬品・食品の有効性評価のために試作中の人工口腔装置を完成させることを目的とするものである。しかして、かかる「抗菌剤」は、被請求人の開発した「ハイドロキシアパタイト」を基とするものであり、これにより、口腔内を除菌することを目的とした医薬品の開発に取りかかり、平成15年度までに、製品化を図ろうとしていたのである。そして、2002年7月1日発行の雑誌「DENTAL DIAMOND」において、その研究成果として「ハイドロキシアパタイトペーストは、う蝕撲滅の救世主になるか」なる論文を発表している(乙第9号証)。また、その文中において、「製品化は、2〜3年後を目安に行っている予定としている。」との記載もある(同、66頁右欄3行目以下)。薬事法の認可が下りるまでに、4〜5年かかっている昨今、被請求人は、その主力商品「APAGARD」の主成分である「ハイドロキシアパタイト」を有効利用し、これを「口腔用剤」として商品化すべく、研究開発を進めているのである。したがって、取消に係る商品「薬剤」について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があるというべきであるから、本件は、商標法第50条第2項ただし書きに該当するものである。

第4 当審の判断

1 使用商標に係る商標の使用について

(1)被請求人が提出した乙号各証によれば、以下の事実が認められる。

ア.乙第1号証は、包装箱であり、その正面、上面、底面、側面、背面に「APAGARD」「アパガード」と「薬用歯みがき」の記載が付されている。

イ.乙第2号証は、包装容器であり、その正面、背面に「アパガード」「APAGARD」と「マウスウオッシュ」「洗口液」の記載が付されている。

ウ.乙第3号証は、「売上げ伝票」であり、商品名欄に「アパガードMプラス135g」「アパガードMプラスラミネート115g」「アパガードMプラスラミネート40g」「アパガードマウスウォッシュ300ml」「アパガードマウスウォッシュ300ml」「アパガードマウスウォッシュ510ml」の記載の他「入数」「ケース数」「数量」「単価」「金額」とそれぞれ「20010710」「20010416」「20011219」「20010723」「20010515」「20000718」付けで納品されたことが示されている。

エ.乙第4号証及び同第5号証は、薬事法に基づく医薬部外品の厚生省告示と販売名を「アパガードM」とする医薬部外品製造承認申請書であり、その申請日を平成4年8月21日とするものである。

(2)上記(1)で認定した事実によれば、商標権者により本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、「薬用歯みがき」「洗口液」(以下「使用商品」という。)について社会通念上同一と認められる商標を使用していたというべきである。

2 被請求人は前記使用商品は「薬剤」の範疇に属する商品であると主張するのに対し、請求人は「歯磨き」の範疇に属する商品であると主張しているので、この点につき判断する。

被請求人が、本件審判請求の登録前3年以内に、使用商品に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることが認められることは前記したとおりである。

しかしながら、以下の理由により、使用商品は薬剤の範疇に属する商品と認めることはできない。

特許庁編「商品区分解説」(平成4年3月25日改訂第2版 社団法人発明協会発行)の第5類の「薬剤」の項(27頁)によれば、「この概念には、次のものが含まれる。・・・・ただし、“医薬部外品”であっても、その使用目的において身体を清潔にし、美化し、魅力を増す等の用途に使用されるもの、例えば“薬用化粧品”は第3類化粧品に含まれる。」旨の記載が認められ、また、同商品区分解説の「歯磨き」の項(21頁)には、「歯を清潔にすることを目的とする化学的製品は、すべてこの概念に属する。したがって、歯洗液もこの概念に含まれる。」との記載が認められる。

一方、使用商品は、乙第1号証によれば、「・・・歯垢を吸着除去し、さらにミクロのキズ(初期むし歯:・・・)を再石灰化します。その結果、歯の表面を滑らかにし、むし歯を防ぎ歯を白くします。」と、乙第2号証によれば「お口の汚れをとり、口臭を防ぎます。」「洗口液」「からだにやさしいマウスウォッシュ」「口臭防止」との記載が認められ、使用商品は、歯を清潔にすることを目的とするものとみられるものであって、前記商品区分解説の「薬剤」とは、その用途を異にするものであり、薬剤の範疇に属する商品というよりは、歯磨きの範疇に属する商品というべきである。

3 不使用の正当理由の存否について

(1)商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。

(2)被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由がある旨述べているので、この点について検討する。

被請求人が述べるところは、「不使用取消に係る審判請求より前の平成12年から薬剤に関する研究に着手し、同15年度までに製品化を図ろうとしていた。すなわち、主成分のハイドロキシアパタイトを有効利用し、口腔用剤として商品化すべく研究開発を進めているから、薬剤について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があるから、商標法第50条第2項に該当する」というものである。

しかしながら、乙第7号証ないし同第9号証からは、「齲蝕の実体調査と初期齲蝕の治療に関する研究」等に参加していたこと、ハイドロキシアパタイトペーストが、う蝕に対して効能があることは窺い知れるが、う蝕に対して効能を有するハイドロキシアパタイトペーストなる、いわば製品の原材料の研究が本件商標の不使用とは直接関係を有しないことは明かである。

また、使用商品は前記認定のとおり、薬剤の範疇に属するものということができないから、被請求人が主張した理由のみでは、直ちに不使用の正当な理由があるものということはできない。

してみると、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、被請求人(商標権者)の責めに帰すことのできない予見困難な事情があり、不使用を理由に商標登録を取り消すことが社会通念上酷であるような場合に相当するものとはいえない。その他、上記不使用に関して述べる被請求人の主張は、いずれも妥当性に欠けるものであって、採用することができない。かつ、前記認定を左右するに足りる証拠はない。

4 結論

以上、前記2及び3から、被請求人は、請求に係る「薬剤」について、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用している事実を証明したものということはできない。また、請求に係る指定商品について使用していないことについて正当な理由があるものとも認められない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、結論掲記の商品についてその登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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