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Trademark Appeal Case

「らうめん」の普通名称性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第17819号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第30類「即席中華そばのめん,中華そばのめん」を指定商品として、平成7年9月4日に登録出願されたものであるが、指定商品については、平成9年5月28日付けの手続補正書をもって「即席中華そばのめん」に補正されたものである。

第2 原審の拒絶の理由

原審において、「この商標登録出願に係る商標は、『ラーメン』を直観する『らうめん』の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを指定商品に使用しても、商品の品質を表示したものと認識されるにすぎない。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」として、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1.当審において、「らうめん」、「ラウメン」の語について行った職権による証拠調べの結果、以下の事実が認められる。

(1)「ラーメンの誕生」(株式会社筑摩書房、2002年1月20日発行)の「横浜の居留地と華僑」の項(086頁)には、「作家の長谷川伸の『自伝随筆 新コ半代記』(宝文館)によると、新コ(長谷川伸)は、一九〇〇年(明治三三)の一六歳の頃に、横浜の居留地・・・近くの南京街の遠芳楼という料理店・・・豚蕎麦のラウメンは五銭、ラウメンは細かく刻んだ豚肉を煮たのと薄く小さく切った筍が蕎麦の上にちょっぴり乗っている・・・」なる記述が認められる。なた、同書「浅草六区の来々軒」項(091頁)には、「一九一〇年(明治四三)になると、浅草公園に、大衆的な来々軒が開店し、・・・日本人好みのめん料理の試作を繰り返す。そして、トンコツにトリガラを加えて、コクはあるが、あっさりしたスープを考案し、塩味から関東の濃口醤油の味にして、従来の刻みネギだけに、シナチク・チャーシュー・ネギを加える。・・・客からの注文があると、『エー、ラウメンヤッコ』という、勇ましい掛け声がかかる。」、同書「札幌の竹家食堂」の項(094頁)には、「札幌では、シナそばは、いち早くラーメンと呼び名を変える。浅草の来々軒の『ラウメン』(明治四二年)よりも、時間的には後のこと(大正一一)である。」(096頁)なる記述が認められる。

(2)1994年3月6日付け読売新聞(東京朝刊、12頁)の「[めん麺メン]ラーメン(1)“文化”の源流は東京・浅草」欄には、「・・・ラーメンの歴史を調べて『にっぽんラーメン物語』を書いた杉野女子大講師(博物館学)の小菅桂子さんは「日本人向けのラーメンが初めて登場したのは八十四年前の明治四十三年、浅草に開店した『来々軒』と結論づけている。・・・千葉市に住む三代目の尾崎一郎さんは、・・・当初の名前は『シナソバ』。一杯六銭。・・・昭和初期には十五銭で、品書きは『らうめん』に。来々軒では、生地を手で延ばしてめんを作った。この作り方は中国で『拉』(ラ)という。注文をコックに伝える時に『拉麺』(ラミェン)と言うのを聞いて、『客も、らうめんと言い始めたのでしょう。』と・・推理する。来々軒は・・・十八年前にのれんを下ろした。閉店まで十二年間修業した・・を訪ねて試食した。・・ラーメンは、豚骨と鶏ガラでだしを取った、しょうゆ味のあっさりスープ。」との記載がある。

(3)1999年7月8日付け朝日新聞(西部地方版/福岡、24頁、福岡版)の「さんさんネット/福岡」欄には「神奈川県横浜市『古伝らうめん』 新横浜ラーメン博物館が、家庭でもおいしい乾めんを、と企画開発した。化学調味料、合成保存料、かんすい無添加で、スープは古式天然醸造・二年物のしょうゆがベース。」との記載がある。

(4)1998年4月20日付け日本食糧新聞の「名給、春の新商品展示会開催」欄には、「【名古屋】業務用食品流通の(株)名給(本社=名古屋市熱田区・・・)は、『’98春の新商品展示会』を開催した。・・・三階では、『らうめん祭り』を開催。深く食生活に浸透したラーメンをより新しい提案でさらに追求した。」との記載がある。

(5)株式会社桂華堂のインターネットホームページ(http://www.keikado.co.jp/shohin/syohin4.html)には、その取扱い商品として「はろうきてぃ京風らうめん」の宣伝広告の掲載があり、「鶏ガラスープに伝統の京都の白味噌を加えたあっさりとした白味噌らーめんです。」との記載がある。

(6)樹海の杜本舗のインターネットホームページ(http://www.o−mise.com/jyukai/jyukai6.html)には、その取扱い商品として「比内鶏らうめん」の宣伝広告の掲載がある。

(7)べんり屋本舗のインターネットホームページ(http://www.can−pas.co.jp/cgi−bin/webpc...HOPID=benriya&TEMPLATE=prod_index.html)には、取扱い商品として「手打ちらうめん」の宣伝広告の掲載がある。

(8)「旭川らぅめん青葉」のインターネットホームページ(http://www5.biglobe.ne.jp/〜aoba1948/)には、「通信販売商品案内」として、「青葉らぅめん」と表示された包装用袋入りの「醤油ラーメン、味噌ラーメン」の宣伝広告の掲載がある。また、「十勝新津製麺」のインターネットホームページの「カップ麺・製品ご案内」(http://www.obihiro.ne.jp/〜niitsu/htm/cupinfo.htm)には、2001年1月発売のカップ麺「旭川らぅめん青葉」の掲載があり、「深みのあるスープは豚骨鶏ガラの他に鰹節、煮干し、昆布などを加え、じっくり煮込んだ昔と変わらぬ作り方。」なる記載がある。

(9)ラーメンを提供する店舗名、若しくは提供に係るラーメンの名称について

ア.1993年9月20日付「日食外食レストラン新聞」(日本食糧新聞社)の「お店招待席 ラーメンと食事の『風見鶏』(茅ヶ崎)」欄には、「ラーメンと食事の店『風見鶏』は、・・・料理は油脂分控え目で、あっさり仕上げている。・・・麺類の主力メニューは、・・・三八〇円のらうめんは格別として、ごま味噌らうめん、豆腐らうめん、五目野菜らうめん、ネギピリらうめん、ちゃーしゅうらうめんなど。」との記載がある。

イ.1994年1月26日付け毎日新聞(地方版/埼玉)の「[いただきます]らうめんや/埼玉」欄には、「(川越市旭町3の25の25)・・・」として店舗及びそのメニューなどの紹介があり、「黒ブタだけでとっただしと白色のタレを合わせたスープは、あっさりした味・・・」との記載がある。

ウ.「TokyoWalker」(株式会社角川書店、1999年3月9日発行)の「今週の街ネタ ニューオープン」には、「黒蘭らうめん」の店舗名とともに、その提供に係るラーメンである「黒蘭らうめん」、「のり忍者らうめん」(65頁)の名称の掲載がある。

エ.「FRIDAY」(株式会社講談社、平成12年4月28日発行)の「連載!!おいしいニュース 第81回 これを食べなきゃ!」(74頁)には、「黒らうめん炭蔵」の店舗名とともに、その提供に係るラーメンである「黒らうめん」の名称のの掲載がある。

オ.「らうめん田嶋」のインターネットホームページ(http://www.cyberpage.ne.jp/tajima/index.shtml)には、その提供に係るラーメンである「焼豚玉子らうめん」の名称の掲載がある。

カ.「Mainichi INTERACTIVE」のインターネットホームページ(http://www.mainichi.co.jp/area/hokkaido/noodle/2001/1129.html)の「北のらーめん道」には、「札幌 ラーメン龍神」の「おすすめ/みそらうめん」の掲載がある。

キ.「東海ラーメン王が選んだ激うまラーメン究極の50杯」のインターネットホームページ(wysiwyg://266/http://www.walkerplaus.com/tokai/tokushu/200101261/contents/ot043.html)には、「らうめん専門 めんきち」の掲載があり、「・・・こってりしているようで後味があっさりしたスープは、・・・」との記載がある。

ク.「兵庫のラーメン屋さん 神戸市北区−東部エリアの店」のインターネットホームページ(http://www.ca.sakura.ne.jp/−kamo/ramen/kobe/kita/kita_e.html)には、「らうめん唐櫃亭」の掲載があり、「ラーメンの基本は、ちょっと和風が入ったような、かなりあっさり目のしょうゆ味のラーメン。メニューは、らうめん(しょうゆ味)・・」との記載がある。

ケ.「Maniax/カリスマに訊け!!」(wysiwyg://402/http://maniax.vwalker.com/ramen/ramen_db.php?ch=1)には、「麺匠覇隆」のメニューに「醤油らうめん」の掲載がある。

コ.「行ったことのある店」(http://www5a.biglobe.ne.jp/〜toukatu/hana.htm)には、「入谷らうめん はな@三ノ輪」の店舗名等とともに、その提供に係るラーメンである「らうめん」の掲載があり、「くさみやあくの強さが無い、さぱっりとしたとんこつしょうゆラーメン。」との記載がある。

サ.「千葉の美味しいラーメン47杯」の「本八幡 黒豚軟骨らうめん(超)」(wysiwyg://425/http://www.walkerplaus.co.../tokushu/200202061/contents/ct021.html)には、その店舗と提供に係るラーメンである「黒豚軟骨らうめん」などの掲載があり、「・・・見た目と違った独特のあっさり感がやみつき!」との記載がある。

その他、インターネット上には、「らうめん」の語を使用した店舗名称及び提供に係るラーメンの名称を全国各地で検索することができる。

(10)「らうめん」の語のラーメン以外の使用例として、

ア.1999年9月9日付け読売新聞(東京夕刊、11頁)の「[ふるさとプラザ情報]豆腐とこんにゃく」欄には、「三重県 さしみこんにゃく・・・ほかにも『いなかこんにゃく』や『こんにゃくらうめん』など種類も豊富。」なる記載がある。

イ.株式会社ヴェントゥーノのインターネットホームページ(http://www.bcc−net.co.jp/ventuno/raumen/raumen.html)には、「ぷち断食らうめん」として「ゼロ・カロリーの寒天麺と10キロカロリーのスープが絶品のらうめんです。」の宣伝広告の掲載がある。

2.前記1.で認定した事実よりすると、「らうめん」の語は、明治末期から昭和初期にかけて、中華そばについて使用された語の一つであることが認められる。そして、該語は、今日においても、商品「中華そばのめん、即席中華そばのめん」の分野において、あるいは、中華そば等を提供する役務の分野において、概要、上記明治末期から昭和初期にかけて「らうめん」と称された中華そばに使用したスープと同様に、「豚骨と鶏ガラ等でだしを取った、しょうゆ味のあっさりスープを使用した中華そば、あるいはそのような中華そばを提供する店舗」を意味するものとして使用されている実情にあると認め得るところである。

上記した中華そばのめん、即席中華そばのめん等の商品、ないし中華そば等を提供する役務の分野における取引の実情からすれば、「らうめん」の語自体は、さほど目新しい語であるとはいい難く、したがって、本願商標に接する取引者、需要者は、請求人(出願人)が主張するように、造語よりなるものと認識することは極めて少ないというべきであって、むしろ本願商標をその指定商品である「即席中華そばのめん」について使用した場合は、前記したように、「豚骨と鶏ガラ等でだしを取ったあっさり味のスープを使用し、昔風の味を再現した商品」なる意味合いを想起し、他の即席中華そばのめんと品質(スープの味等)において異なる商品であるとの認識が生ずるにとどまるものであって、自他商品を識別する標識たる商標を表示したものとは理解し得ないとみるのが相当である。

この点については、請求人においても、「日清中華そば らうめん」の「プロフィール/名前の由来」として、「明治時代、ラーメンはまだ珍しい食品だった。当時、通の間で『ラウメン』と称したという。その伝統の味を再現したいという意欲から名付けられた。」(甲第94号証)と記載していることからも首肯し得るところである。

したがって、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、単に商品の品質を表示するものといわざるを得ない。

3.請求人は、本願商標は、即席中華そばについて1986年から使用し、本願商標を使用した商品は、発売以来売上を伸ばし、「ノンフライ袋麺」の分野における1986年度から1997年度までを集計した市場占有率は、13.56%であり、また、1986年10月以来継続して新聞、雑誌等を通じて宣伝、広告をした結果、需要者は、本願商標を請求人の取扱いに係る即席中華そばのめんの商標として識別し得るから、本願商標は自他商品の識別機能を有する旨主張する。

しかしながら、「らうめん」の語は、元来「中華そば」を指称する語の一つとして使用され、今日においては、昔風の中華そばの味を再現した商品、あるいはその商品を提供する店舗といった意味合いで使用されている実情にあることは、前記2.で認定したとおりであり、上記実情よりすれば、本願商標は、これをその指定商品について使用した場合は、毛筆風に書された「らうめん」の文字自体の構成態様は、格別顕著なものとはいえず、上記した意味合いを認識させる以上に自他商品の識別機能を有するとまでは認めることはできない。

加えて、請求人が、本願商標を使用した即席中華そばのめんについて宣伝、広告をしたとして提出した甲第5号証ないし甲第97号証によれば、本願商標「らうめん」が単独で使用されたという証左はなく、常に「日清食品」の文字商標、やや図案化した「nissin」の文字と半円形との結合商標、「日清中華そば」の文字等とともに表示されているものであるから、これらの文字等が使用された商品に接する取引者、需要者は、請求人の著名な略称といえる「日清食品」の文字等を捉え、これを自他商品の識別標識として理解する場合が多いとみるのが相当である。したがって、この点からしても、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を発揮させる要素に欠けるものといわざるを得ない。

そうとすれば、本願商標を使用した即席中華そばのめんは、その販売実績が1986年から2001年までに約5億3000万食あったとしても、これら商品について、本願商標が単独で使用され、販売されたものと認めるに足りる証拠は見出せないから、本願商標が自他商品の識別標識として格別の機能を有するものとは認め難いところである。

なお、請求人は、1986年度から1997年度までを集計した「ノンフライ袋麺」の分野における市場占有率をいうが、本願商標の指定商品である「即席中華そばのめん」の商品分野全体をみた場合の市場占有率については明らかにはされていない。

また、請求人は、本願商標が長年使用された結果著名となり、自他商品の識別力を有することの証明書を甲第98号証ないし甲第205号証として提出しているが、該証明書は、いずれもあらかじめ記載された本願商標及び同一文言よりなる書面の下部に、各証明者が記名捺印をしたというだけのものであり、本願商標の著名性を証明するのにどのような裏付け証拠を採用したのは明らかではないし、本願商標が単独で宣伝、広告をした事実が存在しないことは上記したとおりである。したがって、これらの証明書が本願商標の著名性及び自他商品識別性を立証するものとはならない。

4.以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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