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Trademark Appeal Case

緑色矩形の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2000−15915(T2000−15915/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1.本願商標

この登録出願に係る商標(以下、「本願商標」という。)は、1998年7月22日にイタリア国においてした商標出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して平成11年1月22日登録出願、商標の構成を別掲1のとおりのものとし、指定商品及び指定役務を第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,看板の提供」とするものである。

2.原査定の拒絶理由

原査定は、「本願商標は、ありふれた図形である長方形を緑色で彩色してなるにすぎず、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3.当審の判断

(1)本願商標について

(ア)本願商標は、別掲1のとおり、緑色に塗りつぶした横長の矩形を表してなるところ、これよりは、直ちに、特定固有の観念又は称呼をもって親しまれたものとはいい難く、前記の如く緑色の横長矩形を理解させる以外のなにものをも想起させるものではなく、また、その矩形自体、世上一般にありふれていて、なんらの特徴をも見出せない。

(イ)ところで、我が国において商標とは、「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、商品又は役務について使用するもの」と定義付けられているように、色彩は、それ自体が単独で商標を構成し得るものではなく、また、保護の対象とされていない。

(ウ)してみると、本願商標は、(ア)で認定したとおり、ありふれた形状の域を脱しないものというべきであるから、極めて簡単、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であって、自他商品又は役務の識別機能を有しないものといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものといわざるを得ない。

(2)商標法第3条第2項の主張について

請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当することを是認する一方、同法第3条第2項に該当する旨を主張し、証拠方法として第1号証ないし第15号証(枝番を含む。)を提出している。

ところで、商標法第3条第2項の趣旨は、同法第3条第1項各号に該当するような本来的には自他商品又は役務について識別力のない商標について特定の者が永年独占的にその業務に係る商品又は役務について使用した結果、それら商品又は役務の需要者、取引者間において当該使用者の商品又は役務を表示するものとして広く認識されるに至った場合に初めて、その商標登録を認めようとするものである。

そうすると、その適用が受けられる商標は、我が国において、当該特定の者の業務に係る商品又は役務として広く認識された商標と同一の商標及びその商標が使用されていた商品と同一の商品に限られるものと解される。

そこで、本願商標の周知性、すなわち、本願商標が請求人の業務に係る特定の商品又は役務を表示するものとして需要者、取引者間に広く認識されているか否かに関し、請求人提出の資料について以下検討する。

(ア)第2号証の1ないし同5は、請求人の日本における代理店5社の当該担当者による証明書及びその訳文と認められるところ、該文面は「I hereby certify that the trademark depicting a green rectangle is well known among consumers in the fashion field in Japan as an identifier of Benetton Group S.p.A.of via Villa Minell 1,31050 Ponzano Veneto,Treviso,Italy.」(私は、緑色の長方形の商標が日本のファッション界の需要者の間で、イタリア国、31050 ポンザノ・ベネート(トレビソ)、ビア・ビラ・ミネーリ 1に住所を有するベネトン・グループ・ソシエタ・ペル・アチオーニを示すものとして広く知られていることをここに証明する。)の文面を予め印刷した定型用紙に当該代理店担当者が署名しただけの一片の証明書であって、証明者が如何なる資料に基づき、当該文面の内容を具体的に証明し得たかという事情は全く不明であり、かつ、文面中には「緑の長方形の商標」というのみであって、具体的にどのような商標を指すのか判然としないから、これら第三者による5通の証明書は客観性に欠けるものであって、本願商標の周知性は俄に認め難い。

(イ)第3号証の1ないし同23は、我が国の日刊新聞、業界新聞、又は関連雑誌等の写しと認められるところ、これは、我が国のファッション分野における請求人の企業活動を紹介したものが主であって、本願商標及びその使用に係る商品に関する具体的な説明は全く見出せないから、これらの記事によっては、本願商標の周知性が客観的に明らかにされたものということはできない。

(ウ)第4号証は、請求人がアルバニアを初め、世界各国における商標登録及び出願状況を示す287丁に及ぶ一覧表(リスト)と認められるところ、諸外国における商標登録の事情が直ちに我が国における取扱い(登録の適否)を拘束するわけではなく、その適否は専ら各国の法制度に委ねられるべきものであり、かつ、該リストは、我が国における本願商標の周知性の認定に直接関わるものではないから、その周知性は、依然明らかでない。

(エ)第5号証の1ないし同8は、請求人が、アメリカ等において行った広告キャンペーンと認められるが、これらは別掲2に示す標章、すなわち、緑色に塗りつぶした横長の隅丸矩形内に「benetton」の文字と「知恵の輪様」の図形を表してなるa標章、同じく横長の隅丸矩形内に「012」の文字と「benetton」の文字を2段に表したb標章、同じく横長の矩形内に「UNITED COLORS」の文字と「OF BENETTON.」の文字を2段に表したc標章等(以下、これら標章をまとめて「benetton標章」という。)に関するものであって、いずれの場合も本願商標の周知事情とは直接関係のないものである。また、これらには具体的な商品の記載もない。しかも、これらは、我が国における使用ともいえないから、我が国における本願商標の周知の程度を測ることはできない。

(オ)第6号証は、請求人に係る商品を販売する小売店の店舗写真と認められるところ、この中、はっきりと日本の店とわかるのは札幌にある「ベネトン南3条店」を示す二枚だけである。また、これらに撮されている商標(看板)は、別掲2に示す標章(benetton標章の一)であって、本願商標の使用状況を示すものでなく、また、その使用に係る商品は、衣服、帽子、かばん等であって、それ以外の本願商標の指定商品又は指定役務すべてに亘って使用している証拠は見当たらない。さらに、婦人服を売っている店舗の看板は、緑というよりは、むしろ水色といえるものである。

そうすると、この証拠をもってしては、本願商標の我が国おける周知性は証明されない。

(カ)第7号証は、F1レ−スのポスタ−等及びバスケットボ−ル選手並びに会場の写真と認められるところ、これらに「BENETTON.」の文字を表示することによって、ベネトンという企業を宣伝していることは理解できるものの、本願商標に係る商品等の具体的内容は、何ら見出せないばかりか、我が国における使用も認めることができない。

そうすると、この証拠をもって、本願商標の我が国における周知性は証明されない。

(キ)第8号証は、1994年から1998年までの間における欧州域を中心とし、かつ、日本を含む請求人業務に係る売上状況を示す10丁からなる一覧表(リスト)と認められる。しかしながら、それらリストによっては、本願商標の使用に係る商品に関する具体的な説明は全く見出せないから、その具体的な使用状況は依然明らかでなく、本願商標の周知性は証明されない。

(ク)第9号証の1ないし同3、第11号証ないし第15号証は、請求人に係るミニカタログ、カタログ、ウィンドウサイン、小売店向けのプロモ−ション・プログラムの説明用資料ないしそれら業務の企画書と認められる。しかしながら、これらは何れも邦語で表示されていないところから、我が国における使用とは直ちに認められない。また、価格等が示されていないところから、具体的に商品を表示したカタログ等とは認めることができない。しかも、benetton標章の表示は認められるものの、本願商標と思しき表示は全く見出すことができない。

そうすると、これら証拠をもってしても本願商標の我が国における周知性は証明されない。

(ケ)第10号証は、請求人に係る被服の企画書と思しき図面17丁及び903丁に及ぶ送り状(invoice)の写しと認められるところ、該被服の図面は、本願商標の使用状況を具体的に示すものではなく、また、送り状も本願商標及びその使用に係る商品との関係を具体的に明らかにするものとはいえないから、この証拠をもってしても本願商標の我が国における周知性は証明されない。

(コ)このほか請求人提出に係る証拠書類は、いずれも本願商標の使用状況を具体的に示すものではなく、また、本願商標の周知性を客観的に明らかにするものではないから、参酌することはできない。

以上の(ア)ないし(コ)の各点よりすると、請求人が各国において相当程度の商標登録を保有していること、F1レースチームやバスケットボールチームのユニフォーム等に「BENETTON.」という文字を表示するなどして請求人会社を宣伝していること、世界的規模で商取引を行い、我が国においてもbenetton標章の下に活発に経済活動を行っていること等の点は認め得るとしても、本件において問題となる本願商標に関する使用事情、すなわち「緑色に塗りつぶした横長の矩形からなる商標」についての使用に関する証拠はなく、その使用状況は全く明らかにされていない。

そうすると、請求人提出の証拠によっては、本願商標が我が国において、請求人に係る指定商品又は役務を表示するものとして需要者、取引者間に広く認識せられたものとはいい難く、したがって、本願商標が使用により自他商品又は役務の識別力を備えるに至ったものとはいえない。

(3)結論

以上、(1)(2)において述べたとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであり、また、請求人の主張する商標法第3条第2項の適用についても、同人提出の証拠からは、その要件を具備するものとは判断することができないから、その主張は採用することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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