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Trademark Appeal Case

不使用取消と商品類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年審判第30816号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第2694321号商標(以下、「本件商標」という。)は、「FREEDOM」の文字を横書きしてなり、第17類「被服,布製身回品,寝具類」を指定商品として、昭和61年10月24日登録出願、平成6年9月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

(1)請求人は、本件商標の指定商品中「使い捨て失禁用おしめ及びこれに類似する商品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。(なお、弁駁書と同時に提出した甲第1号証及び甲第2号証は、審判請求時に提出した甲第1号証及び甲第2号証と書証番号が同じであるので、弁駁書と同時に提出した甲第1号証を甲第3号証とし、甲第2号証を甲第4号証とする。)

本件商標は、上記の商品について継続して3年以上、日本国内において商標権者及び通常使用権者のいずれによっても使用されていない。

また、本件商標については専用使用権者は存在しない。

したがって、本件商標の指定商品中「使い捨て失禁用おしめ及びこれに類似する商品」についての登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

イ)被請求人の使用する商品「タイツ」は、「商品・役務名リスト」(甲第3号証)、及び特許庁商標課編集・発明協会発行の「(商標登録出願のための商品又は役務の区分がわかる)新商品・役務名リスト」(甲第4号証)の記載からも明らかなように、下着等が属する類似群に属するものである。したがって、「タイツ」は、取消請求に係る商品「使い捨て失禁用おしめ及びこれに類似する商品」に属するものとは言えない。

一般に「タイツ」とは、体に密着するようにつくられた腰から下を包む「衣服」であり、厚手で保温性に優れるため、防寒用・運動用として、主に、婦人・子どもに用いられるものである。特に、被請求人の使用する商品は「妊婦用タイツ」であるから、妊婦の腰及び脚部を保護する保温目的の「防寒衣服」としての性格がさらに強いと考えられる。この意味で、男性用であれば「ズボン下」に近いものである。また、妊娠後期の妊婦の下腹部は、熱を帯びることが多く、汗をかきやすくなるため、妊婦用タイツは、防寒と吸汗という二つの役割を有する他、腹部を包む部分に大きくなるおなかを下から支え上げるマタニティガードル(アンダーウェア)としての機能をも併せ持つため、需要者及び取引者は、これを「下着」として捉えているのが普通である。

これに対し「パンティーストッキング」は、ストッキングとパンティー部分がつながっている「靴下」であり、一般女性の素足を美しく見せるための商品である。

被請求人は、商品「タイツ」のことを、「厚手のパンティーストッキング」と表現しているが、「タイツ」と「パンティーストッキング」は異なる商品であり、取引者から一般の女性消費者に至るまで、通常、「タイツ」を「パンティーストッキング」と呼んだり、表示したりすることはないし、逆に「パンティーストッキング」を「タイツ」として取り扱うこともない。

したがって、「タイツ」は、「靴下」、「パンティーストッキング」とは異なり、これらの商品よりも、妊婦の下半身(腰から下)用の下着・中着に近い商品といえるから、「タイツ」は、下着等の属する類似群に属するというのが妥当である。

それ故、本件商標は、本件審判の取消請求に係る商品に使用されていない。

ロ)さらに、「タイツ」は、「使い捨て失禁用おしめ」に類似しない。

すなわち、「使い捨て失禁用おしめ」は、大人用の「紙おしめ」(紙おむつ)を意味するが、係る商品と「タイツ」とは、製造者・販売者・原材料・用途・需要者が明らかに異なっており、これらの商品は類似しない。

これに関し、先ず、一般的に、「使い捨て失禁用おしめ」は、紙・紙製品又は衛生用品の製造業者によって製造よって製造されるのに対し、「タイツ」は繊維・衣料製造業者によつて製造される。

また、通常、「使い捨て失禁用おしめ」は、医療品・衛生用品と共に薬局等で販売されるのに対し、「タイツ」は衣料店で販売される。

次に、「使い捨て失禁用おしめ」の原材料は、「紙」であるのに対し、「タイツ」の原材料は、毛糸・織物用化学繊維等の糸である。

また、用途・需要者においては、「使い捨て失禁用おしめ」が失禁用であって失禁患者によって使用されるのに対し、「タイツ」は、腰・脚の保温用として妊婦によって使用される。

したがって、両商品は、製造者・販売者・原材料・用途・需要者が明らかに異なっており、非類似の商品であることが明らかである。

したがって、本件商標は、本件審判の取消請求に係る商品に使用されていない。

ハ)乙各号証について

(a) 乙第1号証は、商標使用許諾契約書の写しであるが、係る契約書中の許諾商品は「タイツ」と明記されている。「タイツ」と「パンティーストッキング」は異なる商品であり、当事者の法律関係を語句の上で明確・厳密に規定する必要がある本号証のような契約書が、契約締結の専門家によって締結されたものであることを考えれば、許諾製品は、「パンティーストッキング」と記載されてしかるべきものである。

したがって、本契約書は、「タイツ」に商標の使用許諾をする目的で締結されたものと考えるのが妥当である。それ故、本号証の契約書は、本件商標の使用を取消請求に係る商品について許諾したものとは言えない。

(b) 乙第2号証は、「服飾事典」の「タイツ(Tights)」の項の写しであって、その説明の中では、確かに「一般に、厚手のパンティーストッキングを指し、...」という記載がある。しかしながら、請求人が調査した限りでは、「タイツ」を、上記のように「厚手のパンティーストッキング」と記載している事(辞)典は、他に見当たらなかった。

本号証は、この服飾事典が、「タイツ」の説明に関し、たまたま、「パンティーストッキング」の語を使用しており、被請求人の主張に有利に使えるために提出されたとしか考えられない。

また、本号証の「タイツ」の説明文の全体を考察するに、この中には、「肌に密着するようにつくられたもので、レオタードのこともいう。...。 腰から脚を包むものと、上体を含めて包むものがある。...活動的であるため演劇やバレエ、エアロビクスなどで用いられる。...は、保温性にすぐれているので家庭着・通勤着など広い用途をもっている。...」といった多くの記載も含められており、これらの記載は、「パンティーストッキング」に関する一般的な説明とは言えない。さらに、この説明文と共に載っている「タイツ」の例示写真は、「パンティーストッキング」とは言えない。

したがって、本号証の服飾事典の「厚手のパンティーストッキング」の語は、「パンティーストッキング」とは異なる商品、すなわち「タイツ」を説明するために使用している語句である。

それ故、本号証は、「タイツ」が「パンティーストッキング」と、商品カテゴリー的に同種のものであるということを証明してはいない。

(c) 乙第3号証の1〜3は、商品「タイツ」の販売状態(1及び2)及び商品の展開された状態(3)の写真であるが、本号証について、被請求人が自ら、係る商品を「タイツ」と称し、また、乙第1号証の契約書の使用許諾商品においても「タイツ」と規定されており、さらには、乙第4号証によれば、「タイツ」の商品名で実際に取引されていることからも明らかなように、本号証によって証明されている商品は「タイツ」に他ならないと解される。

また、本号証の3の写真に示された商品の外観からも、布地が厚手のタイツであることが推測できる。これに関しては、被請求人が、本号証の3に関し、商品「タイツ」は厚手で保温性がすぐれたものであることを自ら認めている。

したがって、本号証によって証明されているのは「タイツ」である。少なくとも、本号証の写真に係る商品が「厚手のパンティーストッキング」であることは、本号証によっては証明されているとは言えないし、また、そのような証明は、係る商品に関して実際に使用されている商品名が「タイツ」であることからすると、認め難いものである。

したがって、本号証は、本件審判の取消請求に係る商品について証明していない。

さらに、本号証の1の写真に表示された包装袋に付されたシールには、確かに、乙第4号証の納品書に対応する商品記号・番号のLT‐834 2021200079991の記載があるが、乙第4号証の納品書中に商品名として、本件商標「FREEDOM 」の表示はない。したがって、本件商標の使用は、唯一、本号証の写真中に表示された包装袋中の紙製の「帯ラベル」においてのみ示されているということになり、「帯ラベル」は本件商標の使用の証明の核心をなしていると言えるものである。しかしながら、このような「帯ラベル」は、上記包装袋とは別にこれだけを用意することも簡単にできるものであるから、このような「帯ラベル」を含んで写した本号証の写真だけから、「帯ラベル」が審判請求前3年以内に取引上実際に使用されたことを証明したとは言えない これに関し、被請求人は、「帯ラベル」の印刷日・印刷会社・印刷枚数さえ立証していない。すなわち、上記のような商品記号の表示があるシールが付された包装袋の中に、実際に、写真中で示されるような紙製の「帯ラベル」をつけた商品が入って販売されたかどうかは、なお定かではない。実際に本件商標を使用して商品が販売されたのであれば、本件商標がこのような「帯ラベル」についてのみ表示されているということはあり得ない。

(d) 乙第4号証は、納品書の写しであるが、係る書類中の商品名は明確に「タイツ」と記載されている。実際の取引上、「パンティーストッキング」が「タイツ」の商品名で取引されること、特に、取引書類上「パンティーストッキング」を「タイツ」の商品名で記録するということは通常考えにくい。

したがって、本号証によって証明されている商品も「タイツ」と言えるから、本号証は、本件審判の取消請求に係る商品について証明していない。

また、本号証の納品書は、予め決められた書式に、電算機でプリントされただけのものであり、「納品」に関与した者の署名・捺印もない。本号証のような書面は、納品書の書式さえあれば自由に作成可能であるということも言えるものであるから、このような書面に証拠価値は認め難い。

本号証の納品書によれば、被請求人が本号証によって証明しようとする商品の取引個数はわずか5個にすぎないが、実際に商品が取引されているのなら、本号証に示された1回だけの商品取引ということは考えられない。

以上述べたとおり、被請求人の主張事実に合理性はなく、また、提出された乙各号証によっては、主張事実は立証されたとは言えない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第4号証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標はその指定商品中の本件取消請求に係る商品について、審判請求の日前3年間に日本国内において使用している。

乙第1号証は、本件商標について権利者である被請求人と被請求人の得意先である南都編物株式会社(以下「南部編物」という。)との間で平成8年7月26日付で締結した「商標使用許諾契約書」である。当契約書の使用許諾商品の中に商品「タイツ」が記載されている。なお、契約書は本件審判事件に必要、かつ、関係する契約書のみを提示する。また、契約書の契約有効期間は2年間で既に満了しているが、南都編物から契約更新の申し出があり、再契約して継続使用していることを付記する。

乙第2号証は、「新・田中千代服飾事典」の「タイツ」の項である。

同服飾事典によれば、「タイツ[Tights]」の項の説明には「肌に密着するようにつくられたもので、一般に厚手のパンティー・ストッキングを指し、......。厚手のパンティーストッキングは保温性にすぐれているので家庭着、通勤着など広い用途をもっている。......」と記載されている。

本件商標の通常使用権者、南都編物はこの保温性のすぐれた厚手のパンティー・ストッキングについての使用を希望したため、服飾事典の記載から使用許諾商品の商品名として「タイツ」を採用したのである。

なお、乙第1号証に記載する本件商標の使用許諾商品の一つである商品「タイツ」は「服飾事典」に記載された「厚手のパンティストッキング」である。特許庁商標課編「類似商品・類似役務審査基準」[改定第8版]によると商品「使い捨て失禁用おしめ」は、上記審査基準に掲載の商品「靴下」に包含される商品であること明らかであり、許諾商品「タイツ」は「靴下」の類似商品である。

したがって、「使い捨て失禁用おしめ」は、取消請求に係る類似商品に該当する商品であること明白である。

乙第3号証は、南都編物が製造・販売する商品「タイツ」を撮影した写真である。乙第3号証の1は商品「タイツ」の店頭で販売されている状態の表側であり、乙第3号証の2はその裏側、乙第3号証の3は商品「タイツ」を透明袋から出して拡げた写真である。乙第3号証の1より、「帯ラベル」に本件商標である「FREEDOM」と同一性のある態様で大きく表示して使用していることを示す。

また、「帯ラベル」に重ねて付けられたシールの記載「マタニティ」と、「帯ラベル」表示の「SUPPORT TIGHTS」及び図形より商品「タイツ」は「妊婦用のパンティーストッキング」であること、更に、包装袋に付されたシールには「西松屋 チェーン」「LT−834」とバーコードの下に「2021200079991」が読み取れる。乙第3号証の2より、そこには「南部編物(株)」とあり、本件商標の使用許諾者の商品であることを示している。乙第3号証の3より、商品「タイツ」は「厚手のパンティー・ストッキング」であり、保温性がすぐれたものであることが一目瞭然である。

なお、乙第3号証の写真の撮影年月日は、本件商標の使用の態様を明示するために本件審判事件の書類送達の後に撮影したもので、本件取消商品の使用の時期を証明するものではない。

乙第4号証は、南都編物から西松屋チェーンへ納品された商品「タイツ」の納品書(控)である。

納品書(控)は、チェーンストアの方針により統一伝票が使用されており、商品は商標でなく商品コードで表示するよう規定されている。この納品書の頭部の社名「(力)ニシマツチエーン」、内容表示の4行目の品名・規格欄の「LT−834」及び商品コード欄の「2021200079991」の記載がある。これらの記載は乙第3号証の1で提示した商品「タイツ」に付けられたシールの各記載と合致するものであり、本件商標を使用している乙第3号証に撮影した商品の納品書であることを示すものである。

納品書に記載の日付「発注日97年10月26日」「納品日97年10月30日」はそれぞれ平成9年10月26日、30日であり、本件商標が本件取消請求に係る商品に本件審判請求の日前3年以内に日本国内で使用されていたことが明らかである。

4 当審の判断

被請求人の提出に係る乙第1号証によれば、被請求人は、南都編物に対し本件商標について使用を許諾したことが認められるから、南部編物は本件商標に関する通常使用権者ということができる。

次に、南部編物が本件商標を使用しているとする商品の写真(3葉)は包装(透明袋)された商品の表、裏及び袋から出して広げた商品の各写真であり、表面の帯ラベルに本件商標と社会通念上同一と認められる商標「FREEDOM」が表示されていること、その下に「SUPPORT TIGHTS」の文字があり、裏面の「帯ラベル」の下方に小さく「南都編物(株)」と表示されていることが認められる。そして、商品を広げて撮影した写真によれば、使用に係る商品は「厚手のパンティストッキング」と認められるものである。

また、乙第4号証は、「南都編物」から取引先へ納品された1997年10月30日付の納品書控(写)と認められるところ、この書面の品名・規格の欄には「タイツ」と表示されている上部に前記乙第3号証の表面の包装袋に付された価格シールに表示されていた「LTー834」及び商品コードと同一の記号と数字が表示されているものである。

しかして、商標使用許諾契約書及び納品書で「タイツ」と書されている本件商標の使用に係る商品は、前記したとおり「厚手のパンティストッキング」と認められるものであり、該商品は本件取消請求に係る商品と「使い捨て失禁用おしめ及びこれに類似する商品」と需要者、販売店等を共通にする類似の商品と認め得るものである。

以上の事実によれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により本件審判の請求に係る指定商品について、使用されていたものと認めらる。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「使い捨て失禁用おしめ及びこれに類似する商品」についての登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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