Trademark Appeal Case
著名商標と称呼の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90254(T2002−90254/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4536844号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成13年1月16日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年1月18日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
異議申立人カール ツアイス スチフツング(以下「申立人」という。)の引用する登録第2344782号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成1年2月9日に登録出願、第18類「ガラス製包装用容器、包装用容器用ガラス製せん、その他の包装用容器」を指定商品として、同3年10月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)引用商標の著名性
引用商標は、申立人の所有する企業グループの一つであるショットグラスヴェルケ社が長年、特殊ガラス製品について使用している著名商標である。特に、ホウケイ酸ガラスは、優れた特性を持ち、最もよく知られた特殊ガラスであり、全ての国際規格を満たし、耐腐蝕性が極めて高く、熱膨張係数が最小限で熱的衝撃に強いため、ビーカー、びん、フラスコ、ロート、蒸発皿、シャーレ等の製品に幅広く使用され、その用途も化学、製薬、家庭、医療、教育、科学研究と多岐に渡っている。
日本においても、1966年1月に「ショット日本株式会社」を設立して以来今日までの長きに渡り、「デュラン・DURAN」製品の販売活動を継続、その販売個数・販売高共に着実な伸びを示しており、引用商標は、本件商標の出願時にはドイツ及び日本を含めた世界各国において申立人の販売する商品を表示するものとして著名になっていたものである。
(3)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、その文字に相応して「デュラス」の称呼を生じ、引用商標は、「デュラン」の称呼を生ずる。両称呼は、いずれもよどみなく一気に称呼され、語頭の「デュ」が明瞭かつ強く発音され、唯一の差異である語尾の「ス」と「ン」の音は弱く発音されることから、語尾における相異は十分に区別し得るものではなく、両者は、称呼上類似するものである。
又、外観においても「s」と「N」の相異のみであり、通常の注意力をもって観察した場合、本件商標に接した需要者は、「DURAN」の文字を認識するものである。更に、「DURAN/デュラン」の著名性に鑑みれば、本件商標は、直ちに申立人の関連企業の使用にかかる商標であるとの観念を生じさせるものである。
(4)商標法第4条第1項第10号の該当性について
本件商標は、申立人の所有する関連企業の商品を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似し、その商品と同一又は類似の商品に使用するものである。
(5)商標法第4条第1項第15号の該当性について
申立人の商品を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者をして、その商品が申立人の提供にかかわるものであるかのごとく、あるいは、同人と何等かの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され、出所混同を生ぜしめるおそれがあることが極めて高いといわざるを得ない。特に、本件商標にかかる指定商品「ガラス製包装用容器(「ガラス製栓・ガラス製ふた」を除く。)、ガラス製栓・ガラス製ふた」は、上述の如く、まさしく申立人の所有する関連企業の使用する著名商標「DURAN/デュラン」に係る商品である。
(6)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に該当するものであるから、その指定商品中「ガラス製包装用容器(「ガラス製栓・ガラス製ふた」を除く。)、ガラス製栓・ガラス製ふた」についての登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標と引用商標とは、前記したとおりの構成よりなるところ、その構成文字に相応して、本件商標からは「デュラス」の称呼を、引用商標からは「デュラン」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、この両称呼を比較するに、両称呼の差異は、語尾における「ス」と「ン」の音の差異とはいえ、「デュラン」の称呼における「ン」の音は、響きの弱い鼻音であるうえ、語尾に位置することから、極めて曖昧なものとなり、むしろ、その前音である「ラ」の音が印象に残るのに対して、「デュラス」の称呼にあっては、「ラ」の音はさほど明瞭に発音されないまま「ス」の音が発せられ、しかも「ス」の音も弱音とはいえ、比較的明瞭に聴取し得るものであるから、この音の差異が両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、いずれも全体として3音という極めて短い音構成であることとも相俟って、これをそれぞれ一連に称呼するも、その語調、語感を異にし、互いに聞き誤るおそれはないものというべきである。
また、両商標は、語尾における「s(筆記体)」と「N」の文字の差ばかりでなく、本件商標は語頭の文字が装飾的な大文字の筆記体で表され、これに続く文字が小文字の筆記体で表されているのに対して、引用商標は全体が大文字の活字体をもって表されているものであるから、外観から受ける印象においても顕著な差異を有しており、更に、両者はいずれも造語と認められるものであるから、観念においては比較すべくもない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
(2)商標法第4条第1項第10号の該当性について
本件商標は、上記のとおり、引用商標とは類似しないものであり、又、甲号証に掲載されている使用に係る商標とも、同様の理由から類似するものとは認められないから、他の要件について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標と引用商標とは、上記のとおり、十分に区別し得る別異の商標であるばかりでなく、甲各号証によれば、引用商標が「ビーカー、フラスコ」等のガラス製品の商標として使用されていた事実は認められるとしても、提出に係る証拠のみをもってしては、本件商標の登録出願時において、取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めるに十分なものとはいえない。
してみれば、商標権者が、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
(4)結論
したがって、本件商標の指定商品中「ガラス製包装用容器(「ガラス製栓・ガラス製ふた」を除く。)、ガラス製栓・ガラス製ふた」についての登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたと認められないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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