sokuhyo

Trademark Appeal Case

故人芸名の商標登録可否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2001−35436(T2001−35436/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4231640号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年10月20日に登録出願、「ガルボ」の片仮名文字と「Garbo」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同11年1月22日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出している。

本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。

1 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由

本件商標の構成文字「Garbo」は、スウェーデン生まれのアメリカ映画女優「Greta Garbo」の芸名の著名な略称として、世界的な規模をもって広く認識され、理解されているものである。

「Greta Garbo;グレタ ガルボ(1905年〜1990年)」は、スウェーデンのストックホルムで出生。本名「グレタ・ロヴィッサ・グスタフソン」という。デパートの売り子、帽子のモデル等を経て、スウェーデン映画界に入り、その主演映画「イェス夕・ベルリングの伝説」のヨーロッパでの大ヒットを契機として、1924年、アメリカ映画界に引き抜かれ、エキゾチックな美貌とその演技をもって人気を高め、1920年から1930年代にかけて、「アンナ・カレニナ」、「アンナ・クリスティ」、「ロマンス」、「マタハリ」、「グランド ホテル」、「肉体と悪魔」、「クリスティナ女王」、「椿姫」、「ニノチカ」、「奥様は顔が二つ」等の主演作品をもって、アメリカ有史以来のトップスターとなり、36歳で引退をしたものである。

彼女は同時代のドイツ出身のアメリカ映画女優「マレーネ・デートリヒ」(1901年〜1992年)と共に世界の映画界を代表する超トップスターであったが、彼女の冷たい美しさと妖艶さは、世界中のファンを魅了して、憧憬と賛嘆とを博し、「北欧の美女」、「神秘の女性」、「神聖ガルボ帝国」、「不滅の大スター」等、数々の形容詞をもって喧伝され、物故後、今日に至るも、多くの伝説を残すものである。

「Greta Garbo」の名前が過去に埋もれたものではなく、現在でも、彼女に関する情報が提供され続けており、従って、多くの人々が今でもその名前を知悉していることが証明されている(甲第9号証)。

この神話の映画女優は、その略称として「Garbo/ガルボ」の名で知られている。わが国では「グレタ ガルボ」以外に「ガルボ」の姓を持つ有名人は知られていないので、「ガルボ」といえば直ちに女優の「グレタ ガルボ」を示すのが実情である。

彼女の芸名の略称は、日本における代表的な辞書類、即ち、英和辞典では研究社発行の「新英和大辞典(第5版)」(甲第10号証)、国語辞典では「広辞苑(第4版)」(甲第11号証)に収載されており、辞書に載る程の姓がいかに著名であるかは説明を要しないものである。

上述の通り、本件商標の構成文字「ガルボ/Garbo」は、スウェーデン生まれのアメリカ(ハリウッド)女優「Greta Garbo」の芸名の著名な略称からなるものである。

したがって、本件商標は、本来、人格権の保護規定とも言うべき商標法第4条第1項第8号の規定(「他人の芸名の著名な略称を含む商標」の無断使用)に該当すべき事例と言うべきものであるが、その他人の物故後であるが故にこれに当たらないとしても、商標法第4条第1項第7号に該当するものであって、正当な権利承継者の承諾を得ずして商標登録されたものであり、極めて不穏当である。また、権利承継者が財産権として承継している「パブリシティの権利」を害するものである。

2 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由

映画界における超トップスターとして世界的に著名であったスウェーデン生まれのアメリカ(ハリウッド)女優、故「Greta Garbo」が、その芸名を「Garbo/ガルボ」と略称され、日本国においても一般に広く認識され、理解されていることは、上述した通りである。

一方、本件商標は第4類「せっけん類、香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品とするものであるが、化粧品を初めとするこれらの商品は、映画女優のイメージに密接に関連するものであり、商標権者がこれを使用した場合、その商品は「Greta Garbo」と何らかの関連を有するものであるかの如く、商品の出所に関して混同を生ずるおそれが極めて大であると言わざるを得ないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。

請求人は本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同第15号に該当し、商標法第46条第1項の規定により無効とされるべき旨主張しているが、本件商標はいずれにも該当しないものである。

1 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かについて

本件商標は商標登録異議申立において、商標法第4条第1項第7号に該当しないと判断されたものであるから、被請求人は追加された甲第9号証についてのみ検討することとする。甲第9号証はインターネット検索エンジン「YAHOO! JAPAN」で「Greta Garbo」、「グレタ ガルボ」及び「ガルボ」を検索した検索結果である。

ところで、「商標登録異議の申立についての決定謄本」の理由中において『我が国において現在「Garbo」(ガルボ)の文字より直ちに前記映画女優を想起するとは認め難く、フルネームの「Greta Garbo」(グレタ ガルボ)の表示をもって前記映画女優を表したものと認識され、把握されるとみるのが相当である』旨、判断されていることからすれば、「Greta Garbo」、「グレタ ガルボ」のキーワードによる検索結果は当を得たものではない。また、「ガルボ」による検索結果も挙げられてはいるが、提出された証拠を見る限り、半分がノイズであり、半分は「Greta Garbo」、「グレタ ガルボ」の記載の中の「ガルボ」部分がヒットしたものであり、「ガルボ」の文字より直ちに「グレタ ガルボ」を想起するといった証拠は見当たらない。

よって、請求人主張のような、「Greta Garbo」の著名性を理由に、本件商標を「Greta Garbo」の芸名の略称と想起すべき理由はないから、請求人の主張は失当であり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。

2 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて

本件商標と登録異議申立において引用された商標(Greta Garbo)は「商標登録異議の申立についての決定謄本」の理由中に記載されているように、その外観、称呼及び観念のいずれからしても類似しない商標であると認定されているものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、その商品が請求人又は請求人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。

さらに、本件商標と同一称呼を生ずる商標が他の類において登録されている事実(乙第2号証ないし乙第13号証の登録例)があり、これは被請求人の主張が正しいことを裏付けるものである。

以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に該当するものでない。

よって、答弁の趣旨の通りの審決を求めるものである。

第4 当審の判断

本件商標は、上記に示した構成よりなるものであるところ、請求人より提出された甲第3号証ないし甲第8号証によれば、請求人が本件商標の構成文字「Garbo」(ガルボ)は芸名の著名な略称であるとする女優は、1941年に36才で引退し、1990年に亡くなったスウェーデン生まれのアメリカの映画女優である「Greta Garbo」(グレタ ガルボ)と認められるが、「Greta Garbo」(グレタ ガルボ)が映画女優としてアメリカ映画界に引き抜かれたのは1924年であり、その後、「アンナ・カレニナ」、「アンナ・クリスティ」、「マタハリ」、「椿姫」等の主演作品で人気となったのは、今から70年以上前の1920年から1930年代に掛けてのことであって、我が国の取引者、需要者の間においては、現在「Garbo」(ガルボ)の文字より直ちに前記映画女優を想起するとは認め難く、フルネームの「Greta Garbo」(グレタ ガルボ)の表示をもって、前記映画女優を表したものと把握、認識されるというのが相当である。

してみれば、本件商標は、前記映画女優を認識させる「Greta Garbo」(グレタ ガルボ)とは相紛れることのない別異のものであり、本件商標を指定商品に使用した場合、前記映画女優を連想、想起させることはなく、その商品が女優「Greta Garbo」と関係のある者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

また、本件商標は、前記のとおり、「ガルボ」と「Garbo」の文字を二段に表してなる構成からなるところ、その構成自体が矯激、卑狼、差別的な印象を与えるような文字からなるものではなく、本件商標を指定商品について使用することが社会公共の利益、一般道徳観念に反するものとも認められず、また、他の法律によってその使用が禁止されているものということもできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反して登録されたものということができないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。