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Trademark Appeal Case

語中文字相違と外観類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2000−35601(T2000−35601/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4244652号商標(以下「本件商標」という。)は、「Probinder」の文字(標準文字による商標)を書してなり、1997年5月16日付けでドイツ連邦共和国においてした出願に基づきパリ条約第4条の優先権を主張して、第7類「荷役機械器具、印刷用又は製本用の機械器具、包装用機械器具」を指定商品として平成9年11月12日に登録出願、同11年2月26日に設定登録がされたものである。

2 引用商標

請求人が本件商標の登録の無効を主張して引用する登録第1776322号商標(以下「引用商標」という。)は、「PROBIMER」及び「プロビマー」の文字を二段に横書きしてなり、第9類「産業機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として昭和57年4月13日に登録出願、同60年6月25日に設定登録がされ、その後、平成7年5月30日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

3 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。

(1)商標の類似

本件商標は、標準文字をもって「Probinder」と書してなるのに対し、引用商標は、「PROBIMER」及び「プロビマー」の二段併記よりなるものである。

ところで、商標に要部が数個ある場合、各要部はそれぞれが商標の類否判断の対象となり得るといえるところ、引用商標の構成文字である「PROBIMER」及び「プロビマー」は、いずれもその要部といえるから、当該構成中の「PROBIMER」の文字は、それ単独で類否判断の対象となり得るものというべきである。

そこで、本件商標「Probinder」と引用商標における「PROBIMER」とを比較するに、両者は商標において最も注視される語頭部の「PRO」、それに続く「BI」及び語尾の「ER」の各文字を共通にするうえ、相違する「nd」と「M」の文字とは、いずれも中間に位置することより、全体の外観において極めて近似するものである。

商標は図形や記号等のように外観(視覚に訴えるもの)から発達してきたこと、テレビや視覚に訴える宣伝広告の発達・成熟によって商標の外観が称呼や観念以上に重視されてきていること、外観類似の例(甲第4号証ないし甲第9号証)も多数存在することよりすれば、本件商標の登録は無効とすべきである。

(2)商品の類似

本件商標の指定商品「荷役機械器具、印刷用又は製本用の機械器具、包装用機械器具」は、引用商標の指定商品中に包含されるものであるから、両者の商品は同一又は類似するものである。

したがって、本件商標は、引用商標と商標の外観及び指定商品において類似しているから、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。

(3)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性

請求人は、高性能特殊化学品及びその関連機械の研究・開発・製造を行う世界的な大企業であり、その製品は世界的規模で製造・販売されている。世界的な大企業においては、よほどの特殊事情がない限り、同一商品については同一商標を世界中で使用する。この点は、本件商標と引用商標の両権利者に共通するものと解する。

ところで、本件商標は、引用商標との間に誤認混同を生ずるとして既に他国で争われており、請求人と被請求人の両者は、双方の商標の誤認混同の事実を認め、和解のために相互契約を締結し、互いの商標を一定の商品についてのみ使用することとなっている。

しかるに、今般、被請求人は、自らその契約に反して本件商標を広範囲の指定商品について登録したものである。当事者間でかかる状況を解決すべく契約を締結したにもかかわらず、それに反する行為が公然と行われ、かつ、登録が公然と認められることは国際信義にもとるものである。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

(1)請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同第11号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきである旨主張している。

しかしながら、請求人の主張は、商標の類否判断を誤り、かつ、請求人と被請求人との間で締結された契約書の解釈を誤った牽強付会なものであるから、到底受け入れ難い。

(ア)商標法第4条第1項第11号の不該当性について

(a)外観類似について

本件商標と引用商標は、前記1及び2のとおりの構成よりなるところ、本件商標は、頭文字のみを大文字とし、他を小文字としたアルファベットの9文字よりなる「Probinder」を同書、同間隔をもって左横書きしてなるものである。

これに対して、引用商標は、全てを大文字で肉太に横書きしたアルファベットの8文字よりなる「PROBIMER」及び片仮名の5文字よりなる「ブロビマー」をいずれも同書、同大、同間隔もって、上下二段に横書きしてなるものである。

而して、両商標は、アルファベットの大文字と小文字の差、後半部の「binder」と「BIMER」の差及び引用商標が片仮名の5文字である「ブロビマー」を伴っている点において顕著な差異を有するものである。

したがって、両商標は、外観を子細に亘って比較するまでもなく、その全体を離隔観察した場合においても、通常の観察力を有する者であれば、視覚上取り違えるおそれのない非類似の商標である。

仮に、請求人の主張の如く、引用商標のアルファベットの文字部分のみを抽出して本件商標とそれの全体を離隔的に観察したとしても、両者は前述したアルファベットの文字における顕著な差異によって、視覚上取り違えるおそれのない非類似の商標である。

なお、請求人が参考として挙げた審決例(甲第4号ないし甲第9号証)は、本件とは事案を異にするものである。

(b)称呼及び観念類似について

本件商標中の構成中、後半の「binder」の文字は、乙第1号証(大修館書店発行「ジーニアス英和辞典」)及び乙第2号証(株式会社岩波書店発行「広辞苑」第4版)の「バインダー(binder)」の項から明らかな如く、一般に「1.くくる人(特に製本屋)、2.新聞・書類などの綴込用具(バインダー)、3.接合剤、4.稲・麦類の刈取結束機」等の語義を有する日常語化した英語として周知されている。

因みに、被請求人は、ドイツ国最大の印刷機械器具及びその関連製品(製本機械器具を含む)の製造・販売会社であり、「binder」の文字は、「1.くくる人(特に製本屋)」等の語義を暗示させるものである。

そうとすれば、本件商標からは、取引上、英語読みの「プロバインダー」の称呼及び「プロ用のバインダー(製本など)又はバインダー(製本など)のプロ」といった観念が生ずる。

他方、引用商標の構成中、後半の「BIMER」「ビマー」の文字は、特定の語義を有しない造語と解されるものである。

してみれば、引用商標からは、取引上、上段のアルファベット文字の字音を特定したと看取し得る片仮名文字に相応して「プロビマー」の称呼及び「プロ用のビマー又はビマーのプロ」といった観念を生ずるものである。

そこで、本件商標から生じる「プロバインダー」の称呼と引用商標から生じる「プロビマー」の称呼とを対比するに、両者は7音対5音と、それぞれの構成音数を異にするだけでなく、後半部において「バインダー」と「ビマー」の顕著な差異を有する。

しかも、該差異音の「バインダー」と「ビマー」のうち、前者は上述の語義を有し、かつ、「バイン・ダー」と段落を生ずるように二音節で称呼されるのに対して、後者は「ビマー」と一気によどみなく称呼されるものである。

したがって、両者の全体をそれぞれ一連に称呼するときには、前述の後半部における「バインダー」と「ビマー」の顕著な差異及び語義の相違と相俟って、称呼及び観念上明確に判別し得る非類似の商標である。

因みに、特定の語義を有する既成語の場合には、たとえ、比較的近似した称呼のものであっても、前記語義の差異が一種の先入観となって、感覚的にこれを判別して区別されるものであることは、日常の対話において経験するところである。

(イ)商標法第4条第1項第7号の不該当性について

請求人は、本件商標が既に他国で引用商標との間に誤認混同を生ずるとして争われ、請求人と被請求人の双方がそれぞれの商標の誤認混同の事実を認め、和解のため相互契約を締結し、互いの商標を一定の商品についてのみ使用することになっている旨述べており、被請求人は、当該請求人の主張を必ずしも否定するものではない。

しかしながら、当該契約は、上記のとおり、あくまで、双方の使用する商品の制限を規定したものであって、商標の登録を禁止することまでをも定めたものではない。

すなわち、乙第3号証(契約書の第1条)の記載のとおり、被請求人は、本件商標を印刷機械器具及びその関連製品(製本機械器具)に使用するのに対し、請求人は、引用商標を半導体製造装置及びその関連製品(化学品)のみに使用することが定められている。

しかも、本件商標は、第7類「荷役機械器具、印刷用又は製本用機械器具、包装用機械器具」について登録されているが、前記契約書に定めのある請求人が引用商標を使用する筈の「半導体製造装置及びその関連製品(化学品)」とは、全くその商品を異にするものである。

したがって、本件商標が国際信義にもとるとの請求人の主張は失当である。

(2)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても非類似の商標であり、かつ、本件商標は、国際信義に反するものではないから、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同第11号の規定に該当しないことは明らかである。

5 当審の判断

(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、前記のとおり、「Probinder」の文字を書してなるから、「プロバインダー」及び「プロビンダー」の称呼を生ずるというのが相当である。

また、これは特定の語義を有しない造語であり、何らの観念も生じないものというべきである。

他方、引用商標は、前記のとおり、「PROBIMER」「プロビマー」の文字を二段に横書きしてなるから、これよりは「プロビマー」の称呼を生ずるものである。

また、これも特定の語義を有しない造語であり、何らの観念も生じないものというのが相当である。

そこで、先ず、本件商標と引用商標の外観について比較するに、本件商標は、「Probinder」の欧文字のみよりなるのに対して、引用商標は、欧文字「PROBIMER」のほかに片仮名文字「プロビマー」を有する点において、両商標は、外観上明らかに相違する。

さらに、本件商標「Probinder」と引用商標の構成文字中の「PROBIMER」の欧文字とを比較しても、前者が大文字「P」と小文字「robinder」の混在であるのに対して、後者は同書体、同大に欧文字の大文字「PROBIMER」を肉太に表示してなるという外観上の明らかな差異を有するだけでなく、その綴り字及び文字数にも差異があるため、本件商標と引用商標は、時と所を異にして接した場合においても、外観上互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。

次に、本件商標と引用商標の称呼についてみるに、本件商標よりは、「プロバインダー」及び「プロビンダー」の称呼を生ずるのに対して、引用商標よりは、「プロビマー」の称呼を生ずるから、両者は、それぞれの後半部における「バインダー」又は「ビンダー」と「ビマー」の各構成音が相違し、その構成音数並びに音質等の点において明らかな差異があるため、本件商標と引用商標をそれぞれ全体として一連に称呼しても互いに聴き誤るおそれはなく、称呼上非類似の商標というべきである。

また、本件商標と引用商標は、いずれも特定の語義を有しない造語よりなるから、観念上も比較すべくもない。

してみると、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念のいずれからしても非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。

(2)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について

本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当すると請求人が主張している事由は、(ア)他国において、本件商標が引用商標との間に誤認混同を生ずるとして争われ、請求人と被請求人とがそれぞれの商標の誤認混同事実を認めて和解し、双方の商標を特定の商品についてのみ使用する契約を締結したこと(イ)それにもかかわらず、今般、被請求人が、その契約に反し、本件商標をより広範囲の指定商品について登録したこと(ウ)被請求人の当該行為は、かかる状況を解決すべく当事者間で締結した契約内容に違反し、国際信義にもとるというものである。

そして、乙第3号証(請求人と被請求人との間の契約書)によれば、被請求人が本件商標を「印刷機械器具及びその関連製品(製本機械器具)」に使用し、請求人は引用商標を「半導体製造装置及びその関連製品(化学品)」のみに使用することを定めているものと認められる。

しかしながら、乙第3号証の契約書中には、その契約時点において、登録出願がなされていた本件商標及び既に商標登録がなされていた引用商標をどのように取り扱うかについての取極めは見当たらないし、また、この点に関しては、当事者双方から何らの主張もなされていない。

そうとすれば、当事者間に乙第3号証の契約書による契約が存在する事実をもって、被請求人が本件商標を登録することが国際信義にもとるということは到底できない。

その他、本件商標は、矯激、卑猥な文字、図形からなるものでないことはいうまでもなく、被請求人が請求人に損害を加える目的等、不正の目的をもって本件商標の登録をしたと認めるに足りる証拠もなく、他に本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれある商標に当たるとする格別の事由もないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第11号に該当するものではないから、同法第46条第1項の規定によって、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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